皮膚科編① 爪の病変について 服部 浩明

岡 山 県 医 師 会 報 第 1368 号
2013年(平成25年)10月25日発行( 51 )
他科の先生に
知って欲しい
皮膚科編①
爪の病変について
服部皮膚科アレルギー科 服部 浩明
爪のトラブルは外見の不都合や痛みなどを伴う事があるので困っている患者さんは意外に多い。
よく皮膚科で経験する爪の病気や最近のトピックスについてご紹介する。
①巻き爪
主に第1趾に好発する。痛みを早く取ってあげたい気持ちから爪を短く切りこんでしまうと後
からその断端がさらに食い込んでこじらせてしまう事がある。抜爪して爪母を外科的に切除または
フェノールで腐食して爪の幅を狭くする施術が主流だったが、爪の変形をきたすこともあるため、
最近では、アクリル樹脂やチューブを使用して人工爪を装着する保存的な方法が行われる事が増え、
侵襲が少ない事と後の爪変形をきたし難いことから徐々に主流になりつつある。その他にも軽症例
にはワイヤー法(ワイヤーやプレートで物理的に爪を変形させる)
、炭酸ガスレーザー法(炭酸ガ
スレーザーで爪を熱変形させる)など現在進行形で施術は改良されつつあるが、保険点数の変更が
追い付いておらず、患者さんに自費で負担していただかないといけない施術もある。
②爪の肥厚
肥厚した爪を見ると直感的に爪白癬を疑われると思うが、尋常性乾癬・扁平苔癬・荷重趾での物
理的変形・薬剤性変形・先天性の変形など他の疾患でも頻度は高い。乾癬では頭部や関節などの荷
重部位に赤くカサカサした紅斑が出ていることが多い。扁平苔癬では口腔内の白色線条や、躯幹ま
たは四肢に暗紫紅色の皮疹を認めることがある。遭遇された際には体のほかの部位に皮疹がないか
どうかも確認していただきたい。また、爪白癬治療には抗真菌剤の内服が頻用されるが、投与開始
前に検鏡にて菌の有無を確認してから投与していただくようにお願いしたい。培養ではコンタミ
ネーションの可能性があり、診断には不向きと思われる。乾癬や扁平苔癬の爪変形治療については、
光線療法が注目されている。近年治療に有益な波長以外をフィルターでカットして、特定の波長を
強く照射する治療機器が開発されて徐々に臨床の場でも使われつつある。特に局所に高いエネル
ギー量で照射が可能なエキシマランプは効果が高いという報告があり、今後期待できる治療法の一
つと言える。そういった患者さんに遭遇された際はご相談いただけると幸いである。
935