9月定例会代表質問事項 項目 1 障害者が安全に安心 質問要旨 本年7月、神奈川県相模原市の障害者支援施設で発 答弁 答弁者 県では、事件発生の翌日に、障害者支援施設や特別養 吉林 し て 暮 ら せ る 社 会 の 生した事件を受け、本県では障害者施設の安全確保に 護老人ホーム、児童養護施設などの社会福祉施設に対し 副知事 実現について (1) 障 害 者 施 設 の 安全対策 ついて、どのような対応をしたのか伺う。 まして、入所者等の安全確保を図るよう、注意喚起をい また、この事件で逮捕された男性は、事件の発生し たしました。また、速やかに社会福祉施設関係者を対象 た施設の元職員であるが、在職中に入所者を冒涜した にした防犯対策会議を開催いたしました。県、警察本部、 り、差別発言を繰り返していたとの指摘がある。 施設における防犯に備えた連携体制を整え、警察本部か 職員のケアは基本的には各施設の責任者が行うべき らの助言を受けまして、各施設の防犯体制の点検と強化 ものであるが、施設内で解決できない課題などについ の支援に取り組むことといたしました。 ては、相談体制の充実が必要と思われるが、県の所見 を伺う。 社会福祉施設等の防犯対策マニュアルの作成をはじ め、県、警察と連携した防犯訓練や防犯診断の実施など、 施設の安全を守るための防犯対策の徹底を図っておりま す。社会福祉施設に必要な防犯設備等の整備につきまし ては、国の新たな支援制度や県の施設整備事業を活用し て、入所者や職員の不安を解消する、安全で安心できる 施設となりますよう早急に取り組んでまいります。 県では今回の事件を受けまして、精神保健福祉センタ ー及び各保健所におきまして、施設や職員などからの 様々な相談に応じる体制を整えております。施設職員の ストレス解消を図るなど、職員のケアへの支援を充実、 強化したところであります。 今後とも障害のある方が地域の人々と共に暮らすノー マライゼーションの理念の徹底を図りまして、障害への 理解を深めていくことで、障害のある方が幸せに暮らせ る“ふじのくに”づくりを進めてまいります。 (2) 将 来 の 自 立 に 向けた支援 障害のある子どもの親の最近の関心ごとは特別支援 学校等を卒業した後の就職である 障害のある方が住み慣れた地域で自立した生活を送る 健康福祉 ためには、ライフステージに応じて、就労と生活の両面 部長 親は、自分が年老いて先だった後、我が子の行く末 からのきめ細かな相談と支援を、的確に行うことが重要 を心配しており、障害が比較的軽度であれば、自ら稼 であります。 ぐ力を身に付けさせるなど、子どもが自立できるよう 願っている。 就労支援につきましては、県では、平成22年5月に 「障害者働く幸せ創出センター」を開設し、障害のある 障害の有無に関わらず、誰もが幸せに安全で安心し 方や企業からの相談に応じて、障害者の雇用に関する情 て暮らせる社会の実現のため、今まで以上に障害者政 報提供や助言、希望する職場や職種の紹介などを行い、 策の充実が求められている。 障害のある方一人ひとりの特性に応じた就労の実現を図 そこで、障害のある方が住み慣れた地域で自立した っております。 生活を送るため、県としての支援策について伺う。 生活支援につきましては、障害福祉計画に基づき、市 町と連携しながらグループホームの整備を着実に進め、 重度の障害のある方も自宅を離れて自立して暮らせるよ うに支援しております。また、県内8か所にある「障害 者就業・生活支援センター」におきましては、就労支援 に加え、就職後も家庭を訪問して、生活習慣をはじめ、 健康管理や金銭管理等の自己管理に関する助言を行うな ど、障害のある方が地域で自立した生活を送るための支 援にも取り組んでおります。 県では市町や福祉関係者と連携し、障害のある方の自 立した生活を支える様々な福祉サービスの提供に努めて まいります。また、障害者自立支援協議会を活用いたし まして、各地域の就労支援や相談支援体制の充実を図る など、障害の有無に関わらず、誰もが幸せに安心して自 立した生活を送ることができる“ふじのくに”の実現を 目指してまいります。 2 子供の居場所づくり について 我が国の子どもの6人に1人は相対的に貧困状態と 県では、「静岡県子どもの貧困対策計画」に基づき、 〃 言われている。貧困家庭に生まれ育った子供は、十分 子供たちの地域での孤立を防ぎ、生活の安定と自立を支 な食事を摂ることができないことも多く、親が貧困で 援するため、生活に困窮している世帯などを対象に子供 あることを隠すことで、子供は自分さえ我慢すればと の居場所づくりを進めております。 いう、狭まった世界に自分を追い込んでいるのではな 今年度は、ひとり親家庭の子供を対象に、学習支援や いだろうか。 調理実習と夕食の提供などを行う「放課後の居場所」事 問題解決のヒントは地域にあると思われる。家庭と 業を県内3箇所でモデル的に実施することとし、既に東 学校以外に、地域に居場所を作ってあげることで、自 部地域と西部地域の2箇所で開始しました。今後は、そ 分とは違う考え方や生き方、社会的なサポートなどを の成果を市町に積極的に情報提供いたしまして、市町が 知ることができる。県内ではNPO法人などが居場所 主体となり、子供たちを温かく見守るための居場所づく づくりに取り組んでおり、富士市のある団体では子ど りを進めていくよう取り組んでまいります。 も食堂も開設して、地域の協力により食材を集め、毎 また、平成22年度からは、地域住民が主体となって、 週無料で栄養バランスのよい食事を提供している。 子供から高齢者まで気軽にふれあえる居場所づくり事業 県の試算によれば、本県の貧困状態にある子供の数 を、「ふじのくに型福祉サービス」の一つとして行って は、人口の1%に相当する約38,000人と推計さ おります。ここでは、子供たちは高齢者と昔ながらの遊 れている。自ら選んだ訳ではなく、大人の都合で貧困 びや一緒に勉強をするなど気兼ねなく楽しく過ごしてお 状態の生活を送らなくてはならない子供が大勢いる中 ります。居場所は、現在100箇所以上に広がっており、 で、官民あげて今まで以上の支援策に取り組む必要が 一層の拡大を図ってまいります。 あると考える。 今後も市町や関係団体とも協力し、地域住民がつなが つらい思いをしている多くの子供たちに地域の居場 り、子供たちがほのぼのと安心できる自分の居場所をし 所を提供するため、県はどのような手を差し伸べるの っかり確保できるように積極的に取り組みます。 か、その対策について伺う。 3 職員の交通事故防止 対策について 過去 10 年間に県職員による公務上の交通事故(専決 職員には、県民の信頼を損なうことのないよう、交通 経営管理 処分のみ)は 220 件に上り、1 億 2,677 万円余の損害 事故防止をはじめとした交通規範の遵守が強く求められ 部長 賠償金が支払われている。私の出身会社では交通事故 ております。 防止対策の一つとして、過去の事故事例を分析した交 新規採用職員を対象とした実際の公用車事故のドライ 通KY(こうつうきけんよち)シートを作成し、職場 ブレコーダー映像を用いた意見交換会の実施や、公用車 で事故の原因や対策について話し合い、事故を未然に を運転する機会の多い出先機関における外部講師を招い 防止する能力を高める取組を進めている。県において ての交通安全講習会、運転技術向上研修会の開催など各 もこの手法を取り入れ、事故防止につなげてもらいた 種の取組を進めてまいりました。 いと考えるが、所見を伺う。 交通事故の撲滅を図るためには、こうした取組を更に 進めるほか、各職場において交通事故の原因や対策につ いて話し合いを持つ機会を増やし、職員に新たな気付き を促すよう、普段から取組を重ねていくことが効果的で あると考えております。 櫻町議員から御提案いただきました交通KYシート、 交通危険予知シートは、危険情報の共有や注意喚起に有 効でありますので、最新の情報を加えるなど内容の充実 を図り、各職場の定期的なミーティングにおいても活用 してまいります。 4 次世代産業の創出に 本県はモノづくり県であり、製造業が基盤産業とし 静岡県は、市場や現場のニーズを踏まえるとともに、 川勝知事 て位置づけられてきたが、製造業の業態が変化し、特 地域が有する場の力を最大限に活用した製品開発を進め (1) 成 長 産 業 の 振 に中小零細企業は大手メーカーの経営戦略により、突 ることを基本的な考えとしております。成長産業分野へ 然取引が無くなるなどの影響が出ており、産業支援機 の参入を目指す中小企業に対しまして、技術相談から研 関などの協力を得ながら、新分野への進出を模索して 究開発・試作品開発、事業化・販路開拓まで一貫した支 いる。 援に取り組んでおります。 ついて 興 県では、従来の地域別の成長産業プロジェクトに加 静岡県の基幹産業は、衰えたりとは言え、輸送機械で え、次世代自動車や新エネルギー、環境、ロボット、 あります。この輸送機械におきましては、現在、次世代 航空宇宙などを加えた分野を新たに成長産業として位 自動車の技術革新が急速に進んでおります。自動運転、 置づけている。 安全運転支援システムや、車両の軽量化などが課題とさ これらの成長産業が根付けば、製造業に携わる多く の中小零細企業は、自社の強みを活かし、新しい分野 への参入を模索することができ、本県のモノづくりの 再興が期待できる。 一方、成長産業分野の製品の需要が拡大できなけれ れておりまして、そのための研究開発を行う企業に対す る助成などに取り組んでおります。 また、航空関連産業につきましては、防災などで使用 される次世代無人航空機を公募により選定した企業と開 発するとともに、メンテナンス、リペア、オーバーホー ば、新規参入できたとしても売上高の増加にはつなが ルのいわゆるMRO(エムアールオー)ビジネスの創出な らず、需要の掘り起こしと販路の拡大が大変重要であ どを進めてまいります。 る。 県は、どのように成長産業分野の振興と定着を図っ ていくのか、伺う。 さらに製品づくりに当たりましては、マーケットイン の発想に立った市場性の高い製品を数多く生み出すよう 支援を行うとともに、大手メーカーと県内中小企業との ビジネスマッチングや、海外を含む展示会への出展など を行い、販路拡大につなげてまいります。 県は三つの産業集積プロジェクトを西部、中部、東部 において進めています。東部地域はファルマバレープロ ジェクトということでございまして、今月1日に新拠点 施設「ファルマバレーセンター」がオープンいたしまし た。ここで医療器具などが医薬品とともに生産されてい るんですけれども、この医薬品と医療器具の合計額がこ の数年一貫して全国1位でありまして、特に医療機器と いうのが年間4千億円という規模の生産金額を維持して おります。 これと関連いたしまして、化粧品の生産金額が平成 26 年に日本一になり、平成 27 年も日本一でございます。静 岡県におけるこの化粧品生産額というのは 10 年前に比べ まして、なんと 3.4 倍も増加になっております。中国、 東南アジア等におきまして、この化粧品の需要が飛躍的 に高まっておりまして、これも海外の需要に引っ張られ る形で成長産業と言えるかもしれません。 県といたしましては、この「健康」と「美」を売り物 と言いますか、本県の長所としてPRしたいと思ってい るところでございまして、この医療健康産業を支えるも のとして、医薬品、医療機器、化粧品、これを三本柱と して現在は考えているところであります。 県といたしましては、産業戦略推進センター「オープ ンイノベーション静岡」や、静岡県産業振興財団などの 産業支援機関と連携いたしまして地域企業を支援する取 組を継続的に進めていくことで、新しい成長産業分野を 振興・定着させ、次代における本県経済を牽引する産業 を数多く創出してまいる所存であります。 (2) C N F に 取 り 県では、昨年6月に「ふじのくにCNFフォーラム」 次世代産業の創出についてのうち、CNFに取り組む 組 む 企 業 へ の を立ち上げて、CNFの振興を図っており、サンプル 企業への支援策についてお答えいたします。 支援策 展示会などを積極的に開催していると承知している。 企業の研究開発については、新たに富士工業技術支援 CNFは将来が有望視される新素材であり、紙パル センターにコーディネータを配置し、7月から企業訪問 プ産業に従事する企業は、自社の強みを活かせる機会 を行う中で、訪問先の多くからは、製品化に向け、CN を模索している段階であると聞いている。 Fの詳細な特性や他の材料との配合方法等に係る相談な CNFを成長産業分野に、新たに定義づけることに ど、研究開発に前向きに取り組む意向が示されておりま より、県が強化している成長分野を対象とした制度融 す。 資が適用となるなど、参入を目指す企業にとって大き な追い風となる。 また、来月17日には、企業局と連携して、富士市内 で、製品開発に取り組みたい企業とCNF製造メーカー CNFに取り組む企業に対する有効な支援策につい とのマッチングを目的に「CNFサンプル企業展示会」 て所見を伺う。 を開催いたします。既に県内外から600名を超える参 加申込みがあるなど、企業の関心もこれまで以上に高ま っております。 御提案の制度融資につきましては、研究成果の実用化 や製品化に伴う機械設備の導入を後押しする有効な施策 でありますことから、CNFを成長分野へ位置付け、融 資制度の対象としてまいりたいと考えております。 県といたしましては、今後とも、富士工業技術支援セ ンターの機能強化を図るとともに、海外を含め、国、大 学、研究機関との連携、さらには国内の他の地域との連 携も積極的に推進し、我が国のCNF関連産業創出の拠 〃 点づくりを進めてまいります。 以上であります。 5 未来の学校「夢」プロ ジェクトについて 本会議場や文教警察委員会で、会派を問わず、教職 未来の学校「夢」プロジェクトについてお答えいたし 員の多忙化解消の必要性が議題として取り上げられて ます。私は、昨年5月、教育長に就任して以来、「教育の きたが、県教委では今年度から未来の学校「夢」プロ 現場主義」 を掲げまして、県内の小学校・中学校・高校、 ジェクトを立ち上げ、県内の小学校2校、中学校2校 それから特別支援学校と約30校を訪問してまいりまし をモデル校に指定し、重点的に資源を投入して、教職 た。その中で、学校現場が直面する課題が複雑化・多様 員の多忙化解消に向けた調査研究に取り組むこととな 化している現状、特に、教職員の長時間勤務が日常化し、 った。 多忙になっている実情を詳しく把握してまいりました。 今回のプロジェクトの特徴は、趣旨に賛同した学校 この「教員の多忙化」の問題については、これまでも が名乗り出て、自ら積極的に取り組む姿勢を示してい 対策が講じられてきましたが、根本的な解消に至っては ること、また、静岡大学、常葉大学や民間企業もプロ おらず、従来とは異なる方法が必要であると考えており ジェクトメンバーとなり共同研究を行うこと、などが ます。そこで、県教育委員会では、本年度からの3か年 あげられる。 計画として、未来の学校「夢」プロジェクト事業を立ち 今後は小学校における英語の教科化をはじめ新たな施 上げました。 策の導入により、教職員にかかる負担はますます大き その特長は、民間コンサルタント等の外部の知見を活 くなることが予想される。今までの固定観念をなくし、 用する点と、教員の勤務時間に上限を設定してこれを厳 民間感覚を取り入れ、学校現場の意識改革とともに業 守するという「実証」を行う点にあります。いずれも全 務の見直しを行うことを期待される。 国的に前例のない挑戦的な取組でありまして、県教育委 プロジェクトを成功させるには、地域や保護者の協 員会の最重要政策の一つとして推進しているところでご 力も不可欠で、学校運営に関して今まで以上に、積極 ざいます。 的に地域の協力を得たり、保護者の、学校や教職員に 既にプロジェクト開始から約半年が経過し、県内4つ 対する見方や意識もPTAなどを通じて理解してもら のモデル校で進められている意欲的な研究実践が報告さ うことなども重要と考える。 れております。今年度末には、1年目の研究の成果と課 そこで、教職員の多忙化解消のために取り組む、未 題を取りまとめ、これを全モデル校が共有することで研 来の学校「夢」プロジェクトにかける教育長の思いを 究内容の充実を図っていくこととしております。そして、 伺う。 3年目には、研究の成果を「しずおか方式」として県内 教育長 外に広く発表し、教員の勤務環境の改善につなげてまい ります。 このプロジェクトの最終的な目標は、教員が子供たち と向き合う時間を確保することで、子供たちへの教育の 質を高めることにあります。単なる教員の働き方改革に とどまらず、未来の学校の創造につながる有意義なもの となるよう、積極的に取り組んでまいります。 以上であります。
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