機器分析 問題解答

機器分析 問題解答
No. 1
電磁波
1
× 電磁波は、波動性と粒子性の両方の性質を有する。
2
○
3
○
4
○
5
× 紫外線>可視光線>赤外線の順に、エネルギーは小さくなる。
6
× エネルギーの大きい電磁波は、波数が大きいといえる。
7
○
8
× 赤外線、可視光線、紫外線の順に、波長は小さくなり、エネルギーは大きくなる。
9
× 真空中において波長の大小に関係なく電磁波の速度は同じである。
10
× 真空中において、電磁波は、波長に関係なく同じ速度である。
11
× 真空中のほうが水中よりも速度が大きい。
12
○
13
⑤
14
② 赤外吸収スペクトル法 (赤外線)
核磁気共鳴スペクトル測定法(ラジオ波)
紫外可視吸光度測定法 (紫外線~可視光線)
X 線回折測定法(X 線)
5 蛍光光度法(紫外線~可視光線)
赤外吸収スペクトル測定法(IR)
1
○
2
○
3
⑤ アは 1700 cm-1 付近に吸収をもたないため、構造中にカルボニルをもたない化合物のスペクトルであり、c が該当する。
イは 1700 ㎝-1 付近に2つの吸収をもつ(1656 ㎝-1 と 1696 ㎝-1)ため、構造中にカルボニルを2つもつ化合物のスペクトルで あ
り、b が該当する。
ウは 1700 ㎝-1 付近に1つの吸収をもつ(1760 ㎝-1)ため、構造中にカルボニルを1つもつ化合物のスペクトルであり、a が該当す
る。
4
① アは 1700 ㎝-1 付近に2つの吸収をもつため、構造中にカルボニルを2つもつ化合物のスペクトルであり、a が該当する。
イは 1700 ㎝-1 付近に3つの吸収をもつため、構造中にカルボニルを3つもつ化合物のスペクトルであり、b が該当する。
ウは 1700 ㎝-1 付近に吸収をもたないため、構造中にカルボニルをもたない化合物のスペクトルであり、a が該当する。
1650
ア
1650
ウ
1650
イ
機器分析 問題解答
No. 2
核磁気共鳴スペクトル
1
× ラジオ波領域の電磁波を利用している。
2
⑤ スペクトル A はシグナルが2つ、スペクトル B はシグナルが3つ、スペクトル C はシグナルが3つである。
これに対して化合物アは水素が3種、化合物イは水素が4種、化合物ウは水素が3種、化合物エは水素が2種である。
すなわち、イは該当するシグナルを4つもつスペクトルがない。したがって答えに化合物イを含まない⑤が正答となります。
3
⑥ 化合物アは o-二置換ベンゼン、化合物イは p-二置換ベンゼン、化合物ウは三置換ベンゼンである。
与えられたスペクトル a~c のうち、p-二置換ベンゼンの特長である8〜6ppm 付近に2H 分の二重線が2組出現しているのは
スペクトル a のみであるため、化合物イのスペクトルにはスペクトル a が該当する。
また、化合物ウは三置換ベンゼンなので、芳香環に直接結合した水素を3つ持ちます。このため、化合物ウのスペクトルには、
8〜6ppm 付近に合計3H 分のシグナルが出現しているスペクトル b が該当する。
化合物アのスペクトルには残ったスペクトルcが該当する。
4
④ 2.5 ppm 付近の一重線(3H)から構造中にアセチル基(−COCH3)を有すると考えられる。
また、4.1 ppm 付近の四重線(2H)と 1.5 ppm 付近の三重線(3H)の組合せから構造中にエトキシ基(−OCH2CH3)を有すると考えられる。
したがって、アセチル基とエトキシ基の両方を有する化合物4が該当する。
5
⑤ 化合物ア~エの構造は次に示した通りである。
(簡単な構造に関しては名称から構造を導き出せるようにしておいて下さい。
)
O
O
CH3
O
CH3
O
ア
イ
O
O
CH3
O
CH3
O
H3C
ウ
エ
化合物エのみが p−二置換ベンゼンであるため、p-二置換ベンゼンの特長である8〜6ppm 付近に2H 分の二重線が2組出現しているス
ペクトル a が該当します。この時点で選択肢から⑤、⑥に絞られます。
スペクトルbは、芳香環に直接結合する水素以外に三重線2組と多重線を1組もつことからプロピル基(-CH2CH2CH3)をもつ化合
物のスペクトルと考えられ、化合物アが該当すると推測されます。
したがって、⑤が正答となります。
6
④
サリチル酸メチル
p−二置換ベンゼンに特有のシグナル(8〜6 ppm 付近に 2H 分のニ重線が2組)が見られないため、p−二置換ベンゼンではないと考
えられる。さらに、メチル基を示す 3H 分のシグナルが 3.9 ppm 付近にあることからメトキシ基(-OCH3)を有していると考えら
れる。
アスピリン
p−二置換ベンゼンに特有のシグナルが見られないため、p−二置換ベンゼンではないと考えられる。さらに、メチル基を示す 3H 分の
シグナルが 2.2 ppm 付近にあることからアセチル基(-COCH3)を有していると考えられる。
パラオキシ安息香酸メチル
p−二置換ベンゼンに特有のシグナルが見られるため、p−二置換ベンゼンであると考えられる。さらに、メチル基を示す 3H 分のシグ
ナルが 3.8 ppm 付近にあることからメトキシ基(-OCH3)を有していると考えられる。
アセトアミノフェン
p−二置換ベンゼンに特有のシグナルが見られるため、p−二置換ベンゼンであると考えられる。さらに、メチル基を示す 3H 分のシグ
ナルが 2.0 ppm 付近にあることからアセチル基(-COCH3)を有していると考えられる。
機器分析 問題解答
7
No. 3
②
1.05ppm 付近に 6H 分の二重線のシグナルが現れていることから 化合物2、5、6に選択肢を絞れます。
また、2.40ppm 付近に 2H 分の二重線のシグナルが現れていることから化合物2が該当することがわかります。
8
⑦
化合物 a と化合物 b はアミドであり、化合物 c と化合物 d はエステルである。アミドとエステルはいずれもカルボン酸誘導体であり、
カルボニル基(C=O)を有するため IR スペクトルにて 1650 cm-1〜1800 cm-1 付近に吸収を示すが、一般的に、エステルの方が高波数側に
吸収を示します。したがって、図アを示す化合物は IR スペクトルにて高波数である 1700 cm-1 に吸収を示すことからエステルである化合物 c
または化合物 d が、図イを示す化合物は IR スペクトルにて低波数である 1650 cm-1 に吸収を示すことからアミドである化合物 a または化合
物 b が該当すると推測されます。
1
H−NMR スペクトルの図アおよび図イはいずれも 8〜6 ppm 付近のシグナルにおいて、2H 分の二重線が二組とはなっておらず、p−二置換
ベンゼン誘導体ではないと考えられる。したがって、p−二置換ベンゼン誘導体である化合物 a および化合物 b は除外される。
したがって、図アには化合物 c が該当し、図イには化合物 a が該当する。
9
①
IR スペクトルにて、1665cm-1 に吸収を持つことからカルボニルを有しており、3239 cm-1 に吸収を持つことから-OH または-NH-を有して
いることが分かる。
また、重水添加により消失するシグナルは 1 つだけであること、6~8ppm 付近のシグナルの分裂から p−二置換ベンゼンではないことがか
わる。
これらを総合すると化合物1が該当する。
10
A:多重線が 4ppm 付近、単一線が 2ppm 付近にあることから b が該当する。
B:多重線が 2ppm 付近、単一線が 4ppm 付近にあることから c が該当する。
C:多重線、単一線が共に 2ppm 付近にあることから a が該当する。
11
⑤
与えられた構造は、a がデキサメタゾン、b がスピロノラクトン、c がエチニルエストラジオールである。この時点で選択肢からスペクトル(ハ)
は除外される。
エチニルエストラジオールは、ベンゼン環(芳香環)に直接結合するプロトンを有することから、スペクトル(イ)が該当する。
12
④
エテンザミドの構造を次に示します。
(エテンザミドの構造は覚えましょう!)
O
NH2
O
CH3
エテンザミドは化合物 A を経て合成される訳なので、1H-NMR スペクトルを解析しなくても、答えとしては化合物4しか選びようが
ない気はしますが、ここはスペクトルから答えを導き出してみましょう。
まず、芳香環に直接結合する水素のシグナルが現れる 6~8ppm 付近を見ましょう。
ここには、イ~オのシグナルが存在しており、これらは p-二置換ベンゼンのシグナルパターン(2H 分の二重線が2組出現)にはなっ
ていません。したがって、p-二置換ベンゼンである化合物1、化合物2は答えとしては不適切となります。
また、重水添加によりアとカのシグナルが消失したことから、OH または NH の水素が合計 3H 分存在することが分かります。したが
って、重水添加により化合物3では 1H 分、化合物5では 2H 分のシグナルしか消失しないため、化合物4、5は答えとして不適切と
なります。
よって、化合物4が答えとなります。
機器分析 問題解答
No. 4
質量スペクトル測定法 解答
1
○
2
× 気体、液体、固体に適用できる。
3
○
4
○
5
○
6
× 化学イオン化法は高分子化合物の測定には不向き。また、試料はイオン化、分解します。
7
× EI 法は、タンパク質などの高分子化合物の測定には不向き。
8
○
9
× すでに存在します。
10
× 最高質量部に出現するピークを分子イオンピークといいます。最も強度が大きいピークは基準ピークです。
11
× 磁場の方向と垂直に導入される。
12
○
13
○
14
○
15
○
16
① ○
② × 検出されたイオンの強度に比例する。
③ ○
④ ○
⑤ ○
17
① ○
② ○
③ ○
④ ○
18
① ○
② × m/z91 は、ベンシル基に由来するピークなので、ベンジル基を有する A、B は該当するが、D は該当しない。
③ ○
④ × B と推定される。
19
① × 基準ピークは、最も強度の大きいピークなので m/z105 が該当する。
② ○
③ ○ これにより、マクラファティー転位を起こしていることが分かります。
④ × 1-フェニル-1-ブタノンと推定される。
20
③
O
O
OH
Cl
H3C
CH3
O
CH3
CH3
安息香酸イソプロピル(中性)
:分子量 164=化合物 A
安息香酸クロリド
O
H2O
OH
安息香酸(酸性)
:分子量 122=化合物 B
a ○
b × 化合物 B は安息香酸である。
c × 同じ。
d ○
e ○
機器分析 問題解答
21
No. 5
① ○
② ○
③ × 精密質量は、分子を構成する各元素の天然同位体の存在比率が最も高い核種の質量を基にして計算された分子量。
④ ○
⑤ × p-ジブロモベンゼンである。
22
④ 基準ピークを見ると m/z43 となっているため、構図中にアセチル基をもつことが分かる。したがって、4が該当する。
23
② 赤外吸収スペクトルの情報から構造中にカルボニルを有することが分かる。
m/z 154 から m/z139 へは 15 減少しており、m/z154
から m/z111 へは 43 減少している。このことから、アセチル基を有してい
ることが分かる。したがって、2が該当する。
旋光度測定法
1
○
2
× 可視光線の波長療領域で測定
3
× 右旋性の記述
4
○
5
○ 比旋光度を算出する式に分子量は含まれていない。
6
× 不斉炭素を有していなくても旋光性を示す物質もある(分子不斉:ビフェニル誘導体など)
。
7
× 旋光度は、濃度との間に比例関係がある、医薬品の定量に用いられる。
8
○
9
⑥
屈折率測定法
1
× 試料の空気に対する屈折率
2
× 屈折率は、入射角に依存しない。
3
× 屈折角は、入射角に依存します。
4
× 屈折率は光の波長に依存する。
5
○
6
○
7
× 光の進行速度は媒質の屈折率に影響をうける。
8
○
9
○
10
× 和→積
11
× 光が屈折率の大きい媒質から小さい媒質に入るとき、入射角が臨界角より 大きいとき界面で全反射を受ける。
紫外可視吸光度測定法
1
○
2
× 赤外吸収スペクトルの記述。
3
○
4
○
5
○
6
× 吸光度(A)は、透過率(t)の逆数の常用対数であると定義される。
7
× 問6解説参照
機器分析 問題解答
No. 6
8
× 溶媒の影響をうけ変化する。
9
× 可視部にはタングステンランプまたはハロゲンタングステンランプが光源として用いられる。
10
× 紫外部には重水素放電管、可視部にはタングステンランプまたはハロゲンタングステンランプが用いられる。
11
× モノクロメーターを用いる分光光度計、光学フィルターを用いる光電光度計を使用する。
12
× 可視部はガラス製のセルを用いることができる。
13
× モル吸光係数という。
14
× 1vol% → 1w/v%
15
× 測定波長により変化する。
16
○
17
○
18
○
19
× 短波長側 → 長波長側
20
○
21
③ 波長 240 nm(紫外領域)での測定であるため、石英製セル、重水素放電管と用いる。
22
④ この試料の濃度は、1.00 mg/50 mL=2.00 mg/100 mL=0.002 g/100 mL=0.002 w/v%である。
1%
問題文よりセルの層長は 1 ㎝、比吸光度 E 1cm は 125 である。
これを比吸光度の式に代入すると
A
l(cm)× c(v/w%)
%
=
E 11cm
125=
A
1(cm)× 0.002(v/w%)
A= 0.250
23
⑥ この試料の濃度は、10.0 mg/50 mL×10mL/100 mL=1.00 mg/50 mL=2.00 mg/100 mL=0.002 g/100 mL=0.002 w/v%である。
また、0.002 w/v%は、分子量 500 の医薬品では、0.00004 mol/L である。
1%
問題文よりセルの層長は 1 ㎝、比吸光度 E 1cm は 250 である。
これを比吸光度の式に代入すると
A
l(cm)× c(v/w%)
%
E 11cm
=
250=
A
1(cm)× 0.002(v/w%)
A= 0.500
ここで得た吸光度(A)を用いてモル吸光係数をもとめると
ε=
A
l(cm)× c(mol/L)
0.500
1(cm)× 0.00004(mol/L)
ε=12500
ε=
蛍光光度法
1
○
2
○
3
× 分子が励起状態から基底状態に遷移する際に観測される。
4
○
5
○
6
× 小さくなる。
7
○
8
× 比例する。
機器分析 問題解答
9
○
10
× 影響する。
11
× キセノンランプ、アルカリハライドランプ、レーザーが用いられる。
12
○
13
× キセノンランプ、アルカリハライドランプ、レーザーが用いられる。
14
○
15
○
16
× レイリ―散乱やラマン散乱の影響を受ける。
17
○
18
○
19
× 蛍光スペクトルの記述。
20
× 短波長側 → 長波長側
21
○
22
× 発光した蛍光量子数を吸収した励起光量子数で割った値である。
原子吸光光度法
1
○
2
× 励起状態 → 基底状態
3
× 基底状態から励起状態への遷移する際に吸収される光を測定する方法である。
4
○
5
○
6
× 光源には中空陰極ランプまたは放電ランプが用いられる。
7
○
8
○
9
× 電気加熱方式の記述
10
○
11
× 連続スペクトル → 輝線スペクトル
12
× 補正は必要です。
13
○
14
× 併用しなくては存在状態に関する情報をえることはできない。
15
× 原子吸光光度法は定性分析には用いることはできない。
16
○
17
○
18
○
19
○
20
× セレン、ヒ素、ビスマスなどの定量に用いられる。
No. 7