4年1組

第4学年1組 道徳学習指導案
1
主題名 内容項目名 心の内にあるきまり 公徳心、規則の尊重(内容項目番号4-(1))
(資料名「雨のバス停留所で」
2
出典
「わたしたちの道徳」)
主題設定の理由
(1)価値について
本主題は、学習指導要領の第3学年及び第4学年の内容項目 4-(1)「約束や社会のきまりを
守り、公徳心をもつ。」を受けて設定している。
この時期の児童は、気の合う仲間できまりをつくり、自分たちが決めたことを大切にする傾向
がある。さらに、社会のきまりについても関心を高めていく時期である。その反面、きまりは理
解していても、自分中心の考えで行動してしまうことがある。社会生活上、守るべききまりは、
多くの人がよりよい生活を送っていくために作られるものであり、好ましい集団を形成していく
ためには一人ひとりが守っていくことが重要である。
この学習を通して、みんなが仲良く、気持ち良く生活するためにも、きまりを進んで守ろうと
する心情を育てたいと考え、本主題を設定した。
(男子 16 名 女子 11 名 計 27 名)
(2)児童の実態について
<実態調査>
①知っているきまりは何か。
(複数回答)
・教室や廊下を走らない(21 人)
・廊下は右側を歩く(13 人)
・すれ違う先生に挨拶をする(3 人)
・トイレのスリッパを揃える(3 人)
・次の授業の用意を休み時間にする(2 人)
・移動する時におしゃべりをしない(2 人)
・その他、家庭のきまり等(21 人)
②今まで守れたことのあるきまりは何か。(複数回答)
・教室や廊下を走らない(8 人)
・挨拶をする(5 人)
・トイレのスリッパを揃える(3 人)
・廊下の右側を歩く(6 人)
・移動する時におしゃべりをしない(2 人)
・その他(18 人)
③②で答えたきまりを守って、よかったことはあるか。
・廊下を走らなかったから、他の人とぶつからなかった(6 人)
・挨拶をすると、返事が返ってきて気分がいい(4 人)
・トイレのスリッパを揃えると、次に使う人がいい気持ちになれるからよかった(2 人)
・その他(11 人)
・無回答(4 人)
④今まで守れなかったことのあるきまりは何か。
(複数回答)
・廊下を走ってしまった(15 人) ・掃除中にふざけてしまった(2 人)
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・右側を歩かなかった(2 人)
・業間休み時間に外へ遊びにいかなった(2 人)
・授業開始時間を守る(3 人)
・その他(11 人)
⑤④で答えたきまりを守らなくて、いやな気持ちになったこと、残念だったことはあるか。
・廊下を走って、人とぶつかりそうになった(3 人)
・授業開始時間に遅れて恥ずかしかった(2 人)
・挨拶をしなくて、少し変な気持ちになった(1 人)
・掃除の時間にふざけてしまって、箒が曲がってしまった(1 人)
・その他(16 人)
・無回答(4 人)
⑥きまりを破りそうになったけれど、我慢して守った経験はあるか。
・読書中に友達が話しかけてきて、話したかったけれど我慢した(1 人)
・急いでいたので廊下を走りたかったけど、ちゃんと歩いた(15 人)
・その他(5 人)
・無回答(6 人)
⑦我慢して守った時、どんな気持ちになったか。
・守ってよかった(7 人) ・ぶつからなくてよかった(2 人)・安心した(2 人)
・スッキリした(1 人)
・その他(6 人)
・無回答(10 人)
<考察>
本学級の児童の実態から、きまりを守らなかったこととして一番多いのは、「廊下を走っ
てしまった」ことである。きまりの存在を意識しているものの、「早く遊びに行きたい」「ト
イレに早くいきたい」など、自己中心的な思いからつい走ってしまっている。
しかし、きまりを破りそうになったけれど我慢して守った経験がある児童が、自分の予想
よりも多く、児童はきまりを守ろうとする意識が強いことがわかった。それを学習の中で他
の児童に広め、共有していきたい。
(3)資料について
公共の乗り物に乗る順序について、社会のルールを扱った資料である。
激しい雨が降る中、よし子はおばさんの家に行くために、お母さんとバスの停留所にいる。
そこでは、バスを待つ人たちが、たばこ屋の軒下に並んで雨宿りをしていた。バスが見えると、
よし子は駆け出し、停留所の一番先頭に並んだ。バスが止まり、よし子が乗ろうとした時に、
お母さんに肩を強くつかまれ、後ろのお母さんが並んでいたところまで連れていかれた。よう
やくバスに乗ると空いている座席はなく、よし子はお母さんに文句を言おうとする。しかし、
いつもと違うお母さんの様子によし子は何も言えなくなり、自分の行いを振り返る、という内
容である。
主人公よし子のような行動は、子供たちの日常の中で起こりうる行動である。列を乱しても
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先に乗ろうとする気持ちに共感させながらも、母の表情からきまりを守ることの大切さに気づ
いたよし子の変容を通して、進んできまりを守ろうとする心情を育てられるだろう。
(4)指導観
まず、導入では児童の知っているきまりについて話し合い、それが守られていない時がある
という現状に気付かせる。
次に、展開で、よし子が駆け出して停留所の先頭に並んだ場面を役割演技させ、よし子や他
の乗客の気持ちを想像させる。そして、教師がよし子を引き戻すお母さん役を無言で演じるこ
とにより、児童一人ひとりにお母さんの気持ちを深く考えさせ、それをワークシートに記述さ
せていく。ワークシートに書かせることにより、児童一人ひとりの意見を明確にさせたい。ま
た、児童のきまりを守った体験を発表させ、共有することで、みんなが仲良く、気持ち良く生
活するためにきまりを守ることが大切であることに気付かせたい。
終末では、東日本大震災の時の日本人の様子を見て、進んできまりを守っていこうとする心
情を高めさせたい。
3
仮説との関連
一人ひとりの感じ方や考え方を表現する機会を充実させれば、自分を見つめ、自分の考え
を表し、自分のよさを伸ばそうとする児童が育つであろう。
道徳の時間の学習活動は主に、他者の価値観に触れることであり、自分の価値観を表出することで
ある。この活動は、言語を通して成立するものであり、言語活動そのものであると考える。そこで、
本主題では、これを具現化するべく、次の手出てを講じる。
○書く活動を通して自分と向き合う時間をつくる。
役割演技で他の乗客やお母さんの気持ちを想像した後に、よし子はどんなことを考え始めたのかを
ワークシートに書くことによって、自分の考えをより明確に表現することができるだろう。そのため
にワークシートに取り組む時間をしっかりと確保していく。
○役割演技を活用する。
よし子と他の乗客に分かれて役割演技を行うことにより、その時の両者の心情をより深く感じるこ
とができるだろう。さらにそれを見ている母親の気持ちを児童に問いかけてみることにより、ねらい
とする公徳心に迫ることができるだろう。
4
本時の指導
(1)ねらい
バス停に先に並ぼうとしたとき、お母さんに連れ戻されて自分の行動を考え始める主人公を
通して、約束や社会のきまりを守り、公徳を大切にしようとする道徳的心情を養う。
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(2)展開
過
時配
学習活動と主たる発問
程
導
資料
予想される児童の反応
5
1
身の回りにあるきまりを考える。
入
展
支援及び指導上の留意点
8
・学校や身近な生活の中でのきまりを
出させるとともに、それらが守られ
・ごみを床に捨てない
ていないことに気づかせる。
2
・廊下やフロアを走らない
開
5
「雨のバス停留所」を読んで、話し合
CD(雨の音)
う。
絵
○バスを待っている時、よし子さんはど ・雨の中に外出しているという不快感
んなことを考えていたでしょう。
や雨がおみやげにも当たっていて、
・早くバス来ないかな。
雨宿りせざるをえないという状況
・雨に濡れるのは嫌だな。
を押さえさせる。
・おみやげが濡れちゃう。
<役割演技>
5
・よし子・他の乗客の役割演技をする
○先頭に並ぼうとしたよし子さんと、並
ことで、多様な発言を引き出した
んでいる人たちの気持ちを考えよう。
り、その心情を深く考えさせたりす
〈よし子〉
バス停の模型
る。
・やっと来た。
・よし子は自分が乗ることだけに夢中
・今行けば一番になれるかも。
になっている点、一人ぐらい、また
子供だからという甘えがある点に
〈他の乗客〉
ついて気づかせる。
・みんな早く乗りたいのに。
・お母さん役を教師がおこなう。
・私の方が先に待っていたのに。
・周りで役割演技を見ている子に、
お母さんの気持ちを想像させる。
15
◎お母さんの横顔を見ながら、よし子さ ・きまりを守らなかったことを反省し
んはどんなことを考え始めたのだろ
始めたよし子の気持ちに共感させ
う。
る。
・いけないことだったのかな。
・ワークシートに書かせることで、よ
・周りの人のことを考えていればよかっ
し子の心の深まりについてじっく
た。
り考えさせてから発表させる。
・今度はきまりを守ろう。
5
3
きまりを守った時の体験を共有する。 ・実態調査で体験を書けていた児童を
○きまりを破りそうになったけれど、我
意図的に指名する。
慢してきまりを守ったことはあります ・みんなの気持ちを考えて楽しく生活
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ワークシー
ト
か。
するためには、きまりやマナーを守
・急いでいたので廊下を走りたかったけれ
ることが大切だと感じさせる。
ど、我慢して歩いた。ぶつからなくてよ
かった。
・読書中に話しかけてきた友達と話したか
ったけれど、我慢をして話さなかった。
正しいことをしている気持ちになってす
っきりした。
終
末
写真
2
4
東日本大震災の時の日本の様子を聞 ・震災の時でもきまりを守って並んで
き、きまりを守って並ぶことの大切さ
いる人を見て、自分たちもきまりを
を知る。
守っていこうとする意欲を高める。
(3)板書計画
絵
れ
ば
よ
か
っ
た
。
5
・
周
り
の
人
の
こ
と
を
考
え
・
・ を ら
今 か い 考 、
度 な け え よ
は 。 な 始 し
き
い め 子
ま
こ た は
り
と の ど
を
だ か ん
守
っ 。 な
ろ
た
こ
う
の
と
。
絵
絵
○
お
母
さ
ん
の
横
顔
を
見
な
が
・
よ
し
子
が
悪
い
。
・
は
ず
か
し
い
。
〈
お
母
さ
ん
〉
で
い
た
の
に
。
・
私
の
方
が
先
に
並
ん
〈
他
の
乗
客
〉
・
や
っ
と
来
た
。
〈
よ
し
子
〉
○
バ
ス
に
向
か
っ
て
走
り
出
し
た
時
・ ・ ○
う お 早 バ
。 み く ス
や バ を
げ ス 待
が 来 っ
ぬ な て
れ い い
ち か る
ゃ な 時
。
お
み
や
げ
が
ぬ
れ
る
風
が
強
い
大
つ
ぶ
の
雨
雨
の
バ
ス
停
り
ゅ
う
所
で
他の教育活動との関連
4年生になり、公共施設を利用した学習が多くなった。その活動を通して、社会の約束やきまりに
ふれる機会がある。公共施設の利用だけでなく、学校生活を送る上でのきまりを一人ひとりが意識し
ていけるようにクラスの環境づくりをしていく。
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