概要 - 奈良教育大学

平成 26 年度修士論文
A partial order of knot shadows and pseudo diagrams
奈良教育大学 教育学研究科
修士課程 教科教育専攻
数学教育専修 花木研究室
学籍番号 133304 田中遼
2015 年 2 月 13 日
《修士論文概要》
結び目理論は,三次元空間内における閉曲線を結び目と呼び,その結び目の絡み方がどのように絡んでい
るか,2 つの結び目が異なった形であるかどうかを考察するものである.結び目の影とは結び目を平面へ自
然に射影したときの像である.結び目の影の多重点は横断的な二重点のみとする.ダイアグラムとは結び
目の影のすべての二重点に上下の情報を与えたもので,準ダイアグラムとは,結び目の影の一部の二重点に
上下の情報を与えたものである.準ダイアグラムは交点をもたないこと,二重点をもたないこともある.す
なわち,準ダイアグラムは結び目の影やダイアグラムであることもある.
本研究は,準ダイアグラムの残りの二重点に上下をつけると,どのような結び目が得られるかを明らかに
することが目的である.
本論文は,先行研究を参考に準ダイアグラムに前順序となるような関係を与え Hasse 図にかき表すこ
とで,現れる結び目の特徴に注目している.先行研究では素な交代結び目に半順序となる関係を定義し,
Hasse 図にかき表している.その中で,素な交代結び目の影においては必ず三葉結び目が得られることが
わかっている.また,結び目の影に前順序となる関係を定義し,Hasse 図にかき表している.準ダイアグラ
ムに前順序となる関係を定義し,8 交点までの結び目の準ダイアグラムから得られる結び目の考察をおこな
い,Hasse 図にかき表した.8 交点までの結び目の準ダイアグラムで上下が決定している交点が 1 つのみの
ものからは三葉結び目が得られていることがみられた.上下の付いている交点が 1 つの準ダイアグラムか
ら三葉結び目が必ず得られることの証明を行っている.さらに,8 交点までの結び目の準ダイアグラムで上
下の付いている交点が 2 つのものからは一部の 41 の結び目の準ダイアグラムを除いては,三葉結び目が得
られていた.そこで,上下の付いている交点が 2 つ,二重点が 3 つ以上の準ダイアグラムから三葉結び目
が得られることを予想している.
1
を,結び目 K と同じになるように上下を与えた
1 研究動機
とき,そのダイアグラムを結び目 K のダイアグ
ラムという.準ダイアグラムとは,結び目の影の
筆者は学部の頃から結び目理論を学んできた.
結び目理論は靴ひもやコードといった現実でも再
一部の二重点に上下の情報を与えたもので準ダイ
現できるものを研究していることに親しみ,興味
アグラムを Q で表す.準ダイアグラムは二重点の
を持ち研究しようと考えた.
みのこと,二重点を持たないこともある.すなわ
結び目理論は,ある結び目がどのように絡んで
ち,準ダイアグラムは結び目の影やダイアグラム
いるか,解くことはできるのか,2 つの結び目が異
であることもある.ここでは,二重点を前交点,
なった形であるかどうかを考察するものである.
二重点に上下の情報を与えたものを交点と呼ぶ.
学部の頃は,2 つの結び目が異なるのかどうかを
また,空間内の共有点を持たない r 個の結び目
判定するために,結び目に数を与え,結び目の変
K1 , K2 , · · · , Kr (r ≥ 1) からなる図形
形により数が変化しない不変量を持たせることで
L = K 1 ∪ K 2 ∪ · · · ∪ Kr
判定することができることを学んだ.結び目理論
を学んでいく中で,DNA 結び目の研究を知った.
を絡み目 (link) といい絡み目を L で表す.各
DNA 結び目の実際の写真を見たとき,交点の上
K1 , K2 , · · · , Kr をその成分という.1 成分の絡み
下がはっきりわかる部分とわからない部分が存在
目を結び目という.
していて,どの DNA 結び目かわからないことが
2 つの絡み目が同じ形をしているかどうかを判
ある.それを解決するために結び目の準ダイアグ
断する際,変形したり曲げたりすることで,一方の
ラムの研究 [2] が行われていることを知り,準ダ
絡み目を他方の絡み目に重ね合わせることができ
イアグラムの研究を行いたいと考えた.
るときに 2 つの絡み目が同じであるとすることが
自然である.そのときの変形を次のように定める.
2 結び目とは
L = K1 ∪ K2 ∪ · · · ∪ Kr を三次元空間 R3 内
結び目 (knot) とは,三次元空間にある閉曲線
の絡み目とする.uv を L のある成分の 1 辺と
のことをいい,結び目を K で表す.特に絡んでい
し,∆ = uvw を三次元空間 R3 内の三角形で,
ない結び目を自明な結び目と呼ぶ.
∆ ∩ L = uv とする.L の辺 uv を ∆ の他の 2
辺 uw ∪ wv で置き換えて得られる絡み目を L0 と
する:
L −→ L0 = (L − uv) ∪ (uw ∪ wv)
L0 −→ L = (L0 − uw − wv) ∪ (uv)
結び目の影
ダイアグラム
図1
準ダイアグラム
このとき L0 は L から,L は L0 から ∆ 移動で得ら
れたという.(図 2)
次に,2 つの絡み目が同じであることを次のよ
結び目を扱う際には,平面に射影して扱うこと
うに定める.
が多い.結び目を平面に自然に射影したときに得
写像 r : R3 → R3 ; (x, y, z) 7→ (x, y, −z)
られる像を,結び目の影といい S で表す.この
を平面 R2 に関する鏡映 (reflection) という.
ときの結び目の影の多重点は,横断的な二重点の
絡み目 L の鏡映を L∗ で表す.
みとする.ダイアグラムとは,結び目の影のすべ
2 つの絡み目 L と L0 において,絡み目の有限列
ての二重点に上下の情報を与えたものでダイアグ
L = L0 , L1 , L2 , · · · , Ln−1 , Ln = L0
ラムを D で表す.ダイアグラムの上下のつけ方
2
において次の変形が定められている.
u
w
絡み目 L のダイアグラム D・準ダイアグラム
Q の任意の交点・前交点の付近に対して,次の
v
図 3・図 4 に示す局所的な変形を Reidemeister
⇔
u
move・Pseudo Reidemeister move という.
w
v
R1
図 2 ∆ 移動
が存在して,Li (i = 1, 2, · · · , n) が ∆ 移動で得ら
れるか Li = L∗i−1 のとき,L と L0 は同型である
といい,L ∼
= L0 で示す.また,同型 ∼
= という関
係は,絡み目の集合において同値関係である.
この同値類を絡み目型 (link type) という.特
に結び目の場合は結び目型 (knot type) といい,
絡み目 L の絡み目型を〔L〕で表す.
次に特徴をもった結び目を紹介する.結び目 K
と 2 点 v1 , v2 で交わるような球面
∑
が存在する
と,K は閉曲線なのでこの 2 点は K 上にある.
R2
K は v1 と v2 によって 2 本の曲線 C1 と C2 に分
∑
∑
けられる. 上で v1 と v2 を曲線 C で結ぶ.
が囲む内部領域を B1 ,外部領域を B2 とすると,
新しい結び目
K1 = (K ∩ B1 ) ∪ C, K2 = (K ∩ B2 ) ∪ C
が得られる.ところで,v1 と v2 を結ぶ
線は,互いに
∑
∑
上の曲
上の変形の繰り返しで重なるの
で,K1 , K2 の結び目の形に C の選び方は影響し
ない.このときの K は
∑
によって K1 , K2 に分
解 (decompose) されたという.また,結び目 K
に上に示したどのような分解を与えても,一方の
結び目が自明な結び目になる場合を K は素であ
るという.結び目のダイアグラム D において,ダ
R3
イアグラムの曲線を一定の向きに沿って 1 周する
とき,D の上を通る交点と下を通る交点を交互に
図 3 Reidemeister move
通過するとき D は交代であるという.
また,絡み目のダイアグラム・準ダイアグラム
3
L0 が同型であるとは,絡み目の有限列
L = L0 , L1 , · · · , Ln−1 , Ln = L0
が存在して,Li が Li−1 から有限回の Reidemeis-
PR1
ter move,もしくは平面 R2 上での有限回の ∆ 移動
を施すことによって,L0 が得られるか,Li = L∗i−1
となっている場合である.ダイアグラムは結び目
と同型の範囲で一意的である.
3 先行研究
PR2
結び目の「複雑さの度合」を量る基準として,結
び目のダイアグラムの全体を考慮することによっ
て,結び目の複雑さを比較している.素な交代結
び目のダイアグラムについては [6] で,結び目の
影については [5] で示されている.
3.1 素な交代結び目の順序
L を絡み目のダイアグラムとし,S を L の絡
み目の影として,S の前交点の数を c とすると,
S を影とする絡み目のダイアグラムが 2c 個得ら
れる.したがって,S から高々 2c−1 個の絡み目
PR3
形が発生する.S から発生する絡み目形の集合を
LIN K(S) で表す.絡み目形 L0 が LIN K(S) の
図 4 Pseudo Reidemeister move
要素であるとき,S は L0 の影であるという.絡
み目形 L0 のすべての影の集合を P ROJ(L0 ) で
表す.
以降は,それぞれのライデマイスター移動を
ここで絡み目形の間に,次のように大小関係を
R1,R2,R3,P R1,P R2,P R3 と呼ぶ.
定める.
絡み目のダイアグラムの鏡像(mirror image)
絡み目形 L1 , L2 について,
とはダイアグラムの交点の上下の情報をすべて入
P ROJ(L1 ) ⊃ P ROJ(L2 )
れ替えて得られるダイアグラムのことで,絡み目
のダイアグラム L の鏡像を L∗ で表す.
であるとき,L1 は L2 のマイナーといい,L1 ≤ L2
で示す.すなわち,L2 のどのような影でも,その
鏡像
前交点に適当に上下を指定すると L1 のダイアグ
ラムになる.また,L2 のどのようなダイアグラム
でも適当に交点を選んで上下を入れ換えれば L1
のダイアグラムとなるといったことを表す.
図5
また,上の定義から以下が示される.
任意の µ(µ ∈ N) 成分の絡み目形 L について
L と L0 を絡み目のダイアグラムとする.L と
Oµ ≤ L
4
が成り立つ.ここでの Oµ は µ 成分の自明な絡み
目形を表す.さらに次の命題も得られる.
絡み目形の集合 Lµ 上で,関係 ≤ は前順序(pre-
order)である.
しかし,一般には反対称律は成り立たない.こ
れは P ROJ(L1 ) = P ROJ(L2 ),つまり L1 と L2
の影がすべて一致していても,L1 = L2 とは限ら
ないからである.
ここまでは µ 成分の絡み目形の集合 L につい
て記述してきた.これを,素な交代絡み目全体に
制限することで半順序集合となる.
自明な結び目 (記号で 01 ) が最小元になること
図6
が上でわかっている.次に,結び目のうちもっと
結び目の Hasse 図
も簡単な結び目とされている三葉結び目 (記号で
31 ) について,以下が示されている.
た結び目は自明な結び目と三葉結び目と同値にな
る.ゆえに,Lif t(C) の要素の数は 8 個であるが
非自明な任意の結び目形 K において
L(C) の要素の数は 3 個になる.
(31 の結び目形) ≤ K
次に示す定義により結び目の影の同値類の集合
に対して,その複雑さを表す順序をつける.
が成り立つ.
結び目の影の集合 C とする.結び目の影 C1 , C2
上の定理は,非自明な結び目形 K の任意の影 S
に対して
の前交点に適当に上下を指定すると,三葉結び目
のダイアグラムとなる,または任意の結び目のダ
C1 ≤ C2 ⇔ L(C1 ) ⊂ L(C2 )
イアグラム D の交点を適当に選び,それらの交点
を交差交換すると三葉結び目のダイアグラムとな
とする.
ることを示す.
上の定義より,例えば結び目 31 と 41 に着目す
これらの定義・定理をもとにかかれた Hasse 図
ると
L(31 ) = {01 , 31 }
は図 6 である.
3.2 結び目の影の順序
L(41 ) = {01 , 31 , 41 }
岩田 [Iwata] は,結び目の影を平面曲線 (plane
curve) として扱っていたので,ここでは平面曲線
となる.よって (31 の影) ≤ (41 の影) であること
(plane curve) を結び目の影と表すこととする.は
がわかる.ここでいう,31 の影,41 の影は図 7 の
じめに,結び目の影に順序を与えるために定義を
左が 31 の影,右を 41 の影とする.
行う.
C を結び目の影とする.
Lif t(C) := {K|K は C を影としてもつダイアグラム }
L(C) := Lif t(C)/∼
=
図7
C が 31 の影 (図 7) であるとき,C の前交点に
結び目の影の集合 C 上で,この関係 ≤ は前順序
上下の情報を与えて得られるダイアグラムの数は
3
(pre-order)である.
2 = 8 個である.各前交点に上下を与えて得られ
5
これらの定義をもとに [5] で Hasse 図がかかれ
る.以下は 6 交点以下の結び目の準ダイアグラム
ているが,この Hasse 図は同型になる影も含まれ
の K(Q) の要素を表す.
ている.それらを除いた前交点の数が 7 交点以下
K(01 ) = {01 }
の結び目の影の順序は以下の Hasse 図である.
K(31−1 ) = {01 , 31 }
K(31−2 ) = {01 , 31 }
K(31−3 ) = {01 , 31 }
K(41−1 ) = {01 , 41 , 31 }
K(41−2 ) = {01 , 41 , 31 }
K(41−3 ) = {01 , 41 , 31 }
K(41−4 ) = {01 , 41 }
K(41−5 ) = {01 , 41 }
K(51−1 ) = {01 , 51 , 31 }
K(51−2 ) = {01 , 51 , 31 }
K(51−3 ) = {01 , 51 , 31 }
K(51−4 ) = {01 , 51 , 31 }
K(51−5 ) = {51 , 31 }
図8
K(52−1 ) = {01 , 52 , 41 , 31 }
K(52−2 ) = {01 , 52 , 41 , 31 }
K(52−3 ) = {01 , 52 , 41 , 31 }
4 準ダイアグラムの順序
K(52−4 ) = {01 , 52 , 31 }
K(52−5 ) = {01 , 52 , 31 }
先行研究では,素な交代結び目の順序・平面
K(52−6 ) = {01 , 52 , 41 , 31 }
曲線 (plane curve) の順序を定めることで,結
K(52−7 ) = {01 , 52 , 31 }
び目の構造を与え考察が行われた.これらを参
K(52−8 ) = {52 , 31 }
考に,結び目の影からどのような結び目が得ら
K(52−9 ) = {01 , 52 , 41 }
れ,得られ方には特徴があるかどうかを考察し
K(52−10 ) = {01 , 52 }
た.また,準ダイアグラムの表は The Theory of
K(61−1 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 61 }
Pseudoknots[Henrich][1] に示されている表を使
K(61−2 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 61 }
用した.はじめに,準ダイアグラムに前順序とな
K(61−3 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 61 }
る関係を定める.
K(61−4 ) = {01 , 31 , 41 , 61 }
結び目の影から得られる準ダイアグラムを
K(61−5 ) = {01 , 31 , 41 , 61 }
Q, Q0 とする.Q, Q0 のすべての前交点に上下の
K(61−6 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 61 }
情報を与え得られるダイアグラムで表現される結
K(61−7 ) = {01 , 41 , 61 }
び目の集合を K(Q), K(Q0 ) で表す.
K(61−8 ) = {01 , 41 , 61 }
0
K(Q) ⊃ K(Q )
K(61−9 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 61 }
K(61−10 ) = {01 , 41 , 61 }
であるとき,Q は Q0 のマイナーといい,Q ≤ Q0
K(61−11 ) = {41 , 61 }
で表す.これは準ダイアグラムの集合で,上で記
K(61−12 ) = {01 , 52 , 61 }
述した関係 ≤ は前順序(preorder)である.
K(61−13 ) = {01 , 61 }
準ダイアグラムの残りの前交点に上下の情報を
K(62−1 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 62 }
与えることで得られる結び目の集合 K(Q) を考え
6
K(62−2 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 62 }
K(63−16 ) = {01 , 31 , 63 }
K(62−3 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 62 }
K(63−17 ) = {31 , 63 }
K(62−4 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 62 }
K(63−18 ) = {01 , 41 , 63 }
K(62−5 ) = {01 , 41 , 52 , 62 }
K(63−19 ) = {31 , 52 , 51 }
K(62−6 ) = {01 , 31 , 41 , 62 }
K(63−20 ) = {01 , 63 }
K(62−7 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 }
以上を元に準ダイアグラムに大小をつけた
K(62−8 ) = {01 , 31 , 41 , 62 }
Hasse 図は後半に示す.
K(62−9 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 }
ここで筆者はほとんどの準ダイアグラムから三
K(62−10 ) = {01 , 31 , 41 , 51 , 62 }
葉結び目が得られていること,先行研究 [6] によ
K(62−11 ) = {01 , 41 , 62 }
り,結び目の影からは必ず三葉結び目が得られる
K(62−12 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 62 }
ことが示されていることから,準ダイアグラムの
K(62−13 ) = {01 , 31 , 41 , 62 }
前交点に上下を与えて,三葉結び目 31 が得られる
K(62−14 ) = {01 , 31 , 52 , 51 }
のはどのような場合であるか考察した.
K(62−15 ) = {01 , 41 , 62 }
はじめに,交点が 1 つである準ダイアグラムに
K(62−16 ) = {01 , 31 , 52 , 51 }
注目しすると,次のことが示された.
K(62−17 ) = {01 , 31 , 41 , 51 , 62 }
交点が 1 つの準ダイアグラムの前交点に上下を
K(62−18 ) = {01 , 31 , 41 , 62 }
うまくつけると三葉結び目が得られる.
K(62−19 ) = {41 , 62 }
さらに,交点が 2 つの準ダイアグラムに注目し,
K(62−20 ) = {01 , 31 , 52 , 51 , 62 }
三葉結び目が得られる条件を考えた.準ダイアグ
K(62−21 ) = {01 , 31 , 62 }
ラムから得られる結び目に注目していると 6 交点
K(62−22 ) = {31 , 52 , 51 }
までの結び目の準ダイアグラムのうち,4 交点の
K(62−23 ) = {01 , 62 }
結び目の準ダイアグラム 41−4 からは三葉結び目
K(62−24 ) = {52 , 51 }
が得られないことがみられた.そこで交点が 2 つ
K(62−25 ) = {31 , 51 , 62 }
の準ダイアグラムに対して次の予想があげられる.
K(62−26 ) = {31 , 62 }
Q を交点が 2 つ,前交点が 3 つ以上の準ダイア
K(63−1 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 63 }
グラムとする.残りの全ての前交点に特定の上下
K(63−2 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 63 }
のつけ方に従い上下を付けることで,三葉結び目
K(63−3 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 51 , 63 }
が得られる.
K(63−4 ) = {01 , 31 , 52 , 51 , 63 }
K(63−5 ) = {01 , 31 , 52 , 51 , 63 }
K(63−6 ) = {01 , 31 , 52 , 63 }
K(63−7 ) = {01 , 31 , 52 , 63 }
K(63−8 ) = {01 , 31 , 41 , 52 , 63 }
K(63−9 ) = {31 , 52 , 63 }
K(63−10 ) = {01 , 31 , 41 , 63 }
K(63−11 ) = {01 , 31 , 52 , 51 }
K(63−12 ) = {01 , 31 , 41 , 63 }
K(63−13 ) = {01 , 31 , 52 , 51 }
K(63−14 ) = {01 , 31 , 63 }
K(63−15 ) = {01 , 31 , 63 }
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参考文献
[1] Allison
Henrich,Rebecca
Hoberg,Slavik
Jablan,Lee
Johnson,Elizabeth
Minten,Ljiljana
Radovic.The Theory of Pseudoknots.
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図9
準ダイアグラムの Hasse 図
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