くちきデイリーニュース 〒973-8411 2015 年 6 月 10 日(水) 福島県いわき市小島町2-9-15 株式会社朽木会計事務所 TEL 0246-27-3631 FAX 0246-26-4234 Email マイナンバーが可能にする満足税 [email protected] 価証券だけなら1億円以上)保有者につい ては、財産明細の申告を義務付けることに なりましたが、マイナンバーでの管理の本 当の狙いはこの層にあります。 マイナンバーの周知化は間に合うか 国外への出国に際しての、課税消失を防 日本居住者総背番号制度というべきマイ ぐための出国税の創設は今年の税制改正項 ナンバー制度の実施が始まることに向けて、 目で既に実現しています。 国家の各機関の動きがいよいよ急になり出 富裕税から累進消費税(満足税)へ しました。 財産捕捉のための番号管理は、まず相続 国民に付番されるマイナンバーを国民自 税・贈与税の課税漏れ防止、それから、富 身には他に告知する義務はありません。告 裕税という財産への直接課税の制度化、さ 知の強制もできません。しかし、義務であ らには累進消費税の創設を可能にします。 り、強制であるかの如き、マスコミ情報が 真の所得とは満足である、という租税学 流されています。制度の是非を論ずる機会 説があります。満足とは消費とも置き換え を暗黙裡に抹殺する合意をもって、動き出 られます。従って、真の所得である消費の しているかのようです。 総量に累進課税をすることこそ、あるべき マイナンバーは必要か、有効か 税制かもしれません。満足税です。 明治維新後の国家のように、徴兵制を敷 消費の総量は、 くわけでもなく、戦後の混乱期のように、 期首純財産-期末純財産+当期利益=消費 預金封鎖を実施して国民の財産の没収を企 として計算できます。 図しているわけでもなければ、国民管理の この消費額に累進税率を乗じ、平均税率 ための付番の必要性は薄そうに思われます。 分(現在なら8%)を控除して満足税額と 税の有効な徴収という側面から、国民に なります。(消費税の還付も仕組めます。) 対する番号管理を考えるとしたら、国民の 2、3割程度の富裕層の財産管理ができれ ば十分なはずで、小市民の源泉税まで番号 管理する必要性はなさそうです。 マイナンバーの真の狙いと機能的活用 5000 万円超資産の海外財産保有者、2000 万円超所得者で且つ3億円以上の財産(有 財産申告は、新たな税制を可能にします。 財産総額に累進 税率を掛けるの が富裕税や相続 税。消費総額に累 進税率を掛ける のが満足税。 補足と解説 ◆daily コラム◆2012.5.8「近い将来の税増収 プラン」 補足と解説 第 180 通常国会 24.3.6 衆院予算委員会 ・・・富裕税という考え方もあり・・・ ●金子宏「租税法」第二編第3章第2節第1款 第1項2所得の意義 ・・・真の意味における所得(real income) は、財貨の利用によって得られる効用と人的役 務から得られる満足を意味するが、これらの効 用や満足を測定し定量化することは困難であ るから、所得税の対象としての所得を問題にす る場合には、これらの効用や満足を可能にする 金銭的価値で表現せざるをえない。 所得を金銭的価値で表現する場合にも、その 構成の仕方には2つの類型がある。1つは、消 費型(支出型)所得概念(consumption or expenditur tyoe concept of income)と呼ば れるもので、各人の収入のうち、効用ないし満 足の源泉である財貨や人的役務の購入に充て られる部分のみを所得と観念し、蓄積に向けら れる部分を所得の範囲から除外する考え方で ある。・・・・・・・・・・・・いま1つは、 取得型(発生型)所得概念(accrual type concept of income)と呼ばれるもので、各人 が収入等の形で新たに取得する経済的価値、す なわち経済的利得を所得と観念する考え方で ある。この考え方が、各国の租税制度において 一般的に採用されている。 ●消費支出税(受益型所得税)について 二元的所得税の制度化の前提には、あるべき 税制として評価されながらもその制度化およ び実行困難性により採用する国がなかった消 費支出税(受益型所得税)という税理論がある。 現行所得税を稼得型所得税だとすると、消費 支出税(受益型所得税)という税理論がある。受 益型所得税は、財貨の利用効用と人的役務から の満足を「所得」として課税するというもので ある。 ・稼得型所得=当期利益=収益-費用 =期末純財産-期首純財産+家事消費 ・受益型所得=期首純財産-期末純財産 +当期利益=家事消費 「純財産の増加プラス家事消費」が稼得型所 得で、「純財産の減少プラス稼得」すなわち家 事消費が受益型所得である。 現行所得税は、世の中にサービスの提供を沢 山する人に(この人は結果として利益を上げる ので)税を課し、働かずに世の中からサービス の提供ばかり受けている消費だけの人には所 得課税をしない、という税理論になってしまっ ている。この不合理さは受益型所得税を創設す ることによって解消される。これは、消費の総 量に対する累進課税制度である。 ●所得に担税力があるという思い込み 担税力は所得・資産・消費のいづれにあるか。 担税力とは税金を納める財産的裏付けがある ということである。所得とは請求書と領収書の 計算差額であり、消費とは領収書のことである。 そうすると、所得は担税力の直接的証明ではな く推測させるものにすぎない。所得に担税力が あるというなら、消費にも担税力が推測される ということになる。 しかし、財産は担税力そのものであり、財産 の保有にはそれ特有の効用もある。一定以上の 財産保有者には、薄く広い一般財産税を課すべ きである、という発想は自然に出てくる。 固定資産税や自動車税、地価税は個別財産税 である。
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