秋田県立横手養護学校 地域支援部報 No.3 H27.9.29 平成27年度特別支援学校のセンター的機能充実事業 特別支援教育研修「パワーアップ研修会」 ■演題■幸せな人生は人の役に立つこと~知的障がい者に導かれた企業経営~ 講師 日本理化学工業株式会社 会長 大山 泰弘氏 夏季休業中に、本校が主催する特別支援教育研修会が行われ、地域の企業、学校等から多数の参加があ りました。講師の先生からは、「障がい者の自立と社会参加のためにこうすればできるという気付きを伝え たい」 「日本国憲法第 27 条にあるように『皆働社会』を実現していかなければならない」というご講話をい ただきました。以下、講義の概要です。 1 会社の概要 ・昭和12年、父親が体に安全なチョークを日本で作るために、理 化学工業を設立。教師を目指していたが、父親が病気で倒れたた め会社を継ぐことになり、昭和 31 年に入社。逆境を甘んじて受 けてがんばろうという気持ちだった。 ・日本理化学工業とは、国内シェア 30%をもつダストレスチョー クメーカーで、従業員81人中60人の知的障がい者を雇用して いる。 2 知的障がい者多数雇用モデル工場をつくった理由 ・昭和34 年に東京都立青鳥養護学校の先生が、 「卒業まで働く経験をさせてほしい」と訪問し、実習生 2 名を受け入れた。実習最終日、従業員から「卒業後会社に来ていいと言ってほしい」と言われた。そのこ とをきっかけに、障がい者を雇用することになった。 ・お釈迦様の弟子の中に自分の名前を言えないお坊さんがいた。知的障がいがあるが、一心不乱に庭掃除を しているその働く姿が無言の説法であり、自分の会社の従業員にも言える。 ・住職に、 「 『施設にいたら幸せ』は間違っている。みんなから愛されること、誉められること、役に立つこ とが幸せ。会社にいればありがとうと言われ、必要とされることが幸せなこと。企業が幸せにできる。」 と言われ、チョーク屋を大きくするよりも障がい者の多数雇用を目指していこうと、決心した。 3 知的障がい者7割雇用企業を成功させた「役に立つ幸せ」 ・理解力に合わせた工程の工夫。その人の理解力の中でできる段取りを準備して覚えさせ、できたらほめる。 ・小学5年生が会社の見学をして、 「天の神様は、どんな人にも役に立つ才能を与えてくださっている。 」と 手紙が来た。これも無言の説法である。 ・ハンガリー人女性は「日本の企業には職人文化がある。活用できれば人の役に立つ存在になれる。」と言 った。 ・ 「渋沢栄一賞」受賞。憲法で約束しているみんなが役に立って働ける皆働社会実現への提言。 ・昭和48年、労働省から障がい者多数雇用のモデル工場になってほしいと電話があった。北海道に工場を 作り、トップメーカーになることができた。規格内の商品を作り、重度の障がい者にも最低賃金を払って いる。川崎工場はグループホームを利用し、自立することができている。 ・人のために一生懸命頑張れば、その幸せは自分に戻ってくる。 【質疑応答】 Q1:就職後の定着が難しい。周りと連携してうまくいった例を教えてほしい。 A1:グループホームが生活のケアをしてくれている。保護者の力が必要で、「父兄会」がある。保護者には 「おや?と思ったら、電話してください。」と伝え、電話訪問という形で進めている。 Q2:段取りをするときの決めごと、安全教育はどのようにしているか。 A2:表示で示し、徹底して教え込む。中軽度の子の方がルールを軽視しがちだが、班長制度があることで守 っている。実習では、4つの約束(①身辺処理②返事③一生懸命やる④迷惑をかけないこと)を守っても らうようにしている。できるだけ優しく伝え、障がい者のせいにはしない。 参加者の感想 ・日本理化学工業様のことは「日本でいちばん大切にしたい会社」を読んで知りました。本の中身以上に、知的 障がい者、ご家族とのコミュニケーションはすばらしいと感じました。全て障がい者のためと感じた。 (事業所) ・ 「人から必要とされること」は障がい者に限らず、すべての人間が心理的に満たされることであると感じました。 日頃、子どもに対しての関わりの中で、子どもたちの心の成長の面でも重要なことであると思うので、その欲 求や喜びを感じられるよう意識して取り組んでいきたいと思います。私自身、一人の人間として働くことの大 切さを改めて感じさせてもらいました。 (保育所) ・働くことの意味・意義について考えさせられました。特別支援を要する子どもたちが将来働くことができる人、 働く喜びを感じることができるようにするために、どんな教育・支援をしていったらよいか教育現場でしっか り考え、実践していきたいと思いました。また、保護者にも伝えていきたいと思いました。(小学校) 出前授業 ~ よりよいかかわりを目指して 担当 ~ 小学部 教諭 田口侑以子 本校小学部では、地域の2校の小学校と学校間交流を行っています。その交流日より数日前に相手校の児 童たちに、佐々木義範教育専門監と私が、交流の事前学習として出前授業をさせていただきました。出前授 業の大きな目標は、交流前に様々な気持ちでいる児童たちの不安感を減らし、少しでも安心して接すること ができること、楽しみな気持ちを少しでも増やすことです。そうすることで、相手校の児童から本校の児童 にたくさん声をかけてもらい交流を深めることができればと思います。 「横手養護学校って?」 「仲良くなるコツは? ①車いすについて ②イヤーマフについて ③話しかけ方に ついて」を中心に体験を交えた形で授業をしました。交流を前に「不安だ」と感じている児童がほとんどで したが、授業のまとめのときには「交流が楽しみだ」と言う児童が増えていました。 当日の交流では温かく本校の児童に関わってくれている様子が印象的でした。本校の児童のことを正しく 理解してもらうためにとても意味のある活動であり、今後も積極的に行っていきたいと考えています。 ※学校間交流だけでなく、障害理解の学習などニーズに合わせた内容で出前授業を行うことが可能です ので、お気軽に地域支援部までご連絡ください。 「YOKOYO ほっと相談会」のご案内 1 日時 10月20日(火)21日(水) 12月 2 日 (水) 3日(木)(1 日(火)が変更になりました) 15:30~17:00(都合のつく時間においでください) 2 場所 安全な車いすの介助の仕方 を教えました。 横手養護学校 小・中学部校舎 3 申し込み 希望日一週間前まで、 地域支援部 阿部潤子宛て電話、FAX で ① 希望日 ② 相談内容について、ご連絡ください。 〔主な相談内容〕 ・セミナー研修・個別の指導計画・進路 等
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