高熱伝導性プラスチックにおける 無機フィラー量の低減化技術

【材料技術】
中部センター
高熱伝導性プラスチックにおける
無機フィラー量の低減化技術
先進製造プロセス研究部門 無機複合プラスチック研究グループ
堀田裕司,佐藤公泰,今井祐介
連絡先 [email protected]
研究背景
●電子部材の小型化・集積化およびモータの
放熱対策として樹脂の熱伝導性向上が必要。
●熱伝導率の向上のためには、高熱伝導性
の無機フィラーを樹脂中へ高充填化するため、
部材の重量が増し、軽量性が失われてしまう。
●無機フィラーの素材コストは高いため、材
料・部材の製造コストを引き上げてしまう。
低フィラー量での熱伝導性発現技術が必要
HV・EV自動車用モータ、電子部材等の放熱材
ハイブリッド・電気自動車の大出力モーターの熱対策
電子部材の小型化・高集積化に伴う熱対策
開発目的及び目標
積層粒子
高熱伝導性の積層無機フィラーを剥離し、
低フィラー充填量で熱伝導パスを形成
積層体
の剥離
I. 積層粉末の剥離プロセスを検討(h-BNを対象)
II. 剥離BNフィラーと樹脂との複合材料の
低フィラー充填量での熱伝導性発現を確認
III. 低フィラー充填下での機械特性を把握
樹脂
●伝熱パスが
出来にくい
●積層粒子の剥離により、
フィラー充填量が同じで
も伝熱路が形成
剥離プロセス検討後の沈降試験(20日間)
熱伝導率の測定
►低フィラー充填量で熱伝導率向上
►従来品の20vol%の時と、開発品の
10vol%の熱伝導率が同等値
(1/2のフィラー量で同等の特性発現
⇒素材コスト半減、重量半減)
素材コスト削減、軽量化へ
h-BN積層体の剥離に成功
レーザーフラッシュ法
開発した複合樹脂の機械特性
曲げ強度(MPa)
ヤング率(MPa)
使用した樹脂
原料BN複合樹脂
41
35
931
1839
剥離BN複合樹脂
47
2401
まとめ
●低フィラー充填量での熱伝導発現
プロセス技術を開発。
●開発した複合樹脂の機械特性は向上。
軽くて強い樹脂材料へ