結核に関する診療マニュアル 1 結核の感染 結核菌を排菌する患者からの咳などで飛散し、空中に浮遊する感染性飛沫(飛沫核) を吸い込むことによって感染する感染症。一般的には、喀痰塗抹陽性患者が感染源とな るが、有効な化学療法を開始すれば、喀痰の中の結核菌量は急速に減少し、感染性は急 速に低下する。 2 結核の発病 結核に感染した者のうち、BCG 未接種者においては約10%が感染性の結核を発病 するといわれている。感染すると2ヶ月くらいでツ反、IGRA(Interferon gamma release assay:インターフェロンγ遊離試験)が陽転する。一般的に発病は感染後4~5ヶ月以 降だが、BCG 未接種の乳児はこれより早く発病する場合がある。 3 結核患者の早期発見のために (1)咳や痰が2週間以上続くような場合には、胸部X線検査及び結核菌検査(喀痰塗抹、 培養検査は3日間連続検痰が望ましい)の実施が重要。 (2)微熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少など、特に高齢者では呼吸器症状以外も多 い。 (3)咳がある場合には「咳エチケット」(サージカルマスクの着用)、医療機関では「優 先診療(トリアージ)」を行う。 4 結核診断のための検査 (1)喀痰塗抹・培養検査(適切な痰、3回)、結核菌群核酸増幅同定検査、薬剤感受性 検査(培養陽性の場合)。 (2)菌陰性で診断困難な場合はIGRAを参考、ただし、乳幼児の場合はツ反が優先。 5 保健所への届出 (1)「結核発生届」:結核菌塗抹陽性患者等を診断した場合、直ちに最寄りの保健所に提 出する。 (2)「結核患者入退院届出票」:結核患者が入・退院した場合、1週間以内に最寄りの保 健所に提出する。 (3)「結核患者医療費公費負担申請書」:治療開始時に作成し、入院中は30日毎に、外 来治療は6ヶ月毎に保健所へ申請する。 (4)「転記届」:結核の治療が終了した時点で最寄りの保健所に退出する。 6 入院の必要性の判断 (1)肺結核等で喀痰塗抹陽性は原則入院(保健所より入院勧告)-当センターではPC R検査等での結核菌同定後の連絡をお願いしています。 (2)状況により入院:喀痰塗抹陰性・胃液又は気管支鏡検体の塗抹陽性、培養又はPC R検査陽性だが咳が多い。特に施設入所・医療機関入院中等の場合。 (3)原則外来対応可能:喀痰塗抹陰性・培養陽性、胃液又は気管支鏡検体の塗抹陽性、 培養又はPCR検査陽性だが咳等の呼吸器症状がない場合。 (4)粟粒結核は肺外結核ですが、重症な結核で通常入院治療が必要となります。喀痰塗 抹検査陰性の場合は保健所による入院勧告の対象外となり、入院医療費は自費(保 険診療)となりますが、ご相談に応じます。 7 結核患者もしくは結核を疑う患者への指示 (1)外来受診時、外出時はサジカルマスクを着用する。 (2)咳をするときは、必ずマスク、タオル等で口を覆う。 (3)外出はしない。特に公共交通機関は使用しない。 8 入院治療の依頼・紹介等 (1)結核患者をご紹介いただく場合は、当センタ―地域医療連携室まで事前に連絡の上、 「結核患者入院・診察依頼票」に必要事項を記入し、診療情報提供書と併せて下記送 信先にFAXをお願いします。 FAX送信先 0228-38-4250 TEL 0228-38-4135(直通) (2)病床調整などのため、連絡日の入院とはなりませんのでご了承下さい。 (3)入院受け入れの際、患者の保険情報などをお聞きしますので準備をお願いします。 9 紹介時の患者・家族への説明 (1)感染性結核の可能性が高く、結核のまん延を防止するために結核病棟への入院が必 要です。入院期間は通常2ヶ月程度ですが、入院後に主治医より話されます。 (2)保健所から「入院勧告」を受けての入院であれば、治療にかかる費用は原則として 全額公費負担となりますが、保健所への手続きが必要です。 (3)発症時に重症で全身状態が不良である場合を除き、適切な治療を受ければ治る病気 です。 10 移動についての指示 (1)搬送手段等は保健所にご相談下さい。 (2)搬送時、患者にはサジカルマスク、同乗者はN 95 マスクの着用。 11 感染対策 (1)感染防止は、患者本人の「咳エチケット」が最も大切。 (2)家族等濃厚接触者は、感染を受けている可能性があるが、保健所が相談・検査等の 対応をします。接触者健診の必要性と範囲は保健所が判断します。 (3)接触者本人が発病していなければ、接触者から周囲への感染はないので、行動制限 等は不要です。 (4)患者が滞在した空間(部屋、車等)は、換気すれば充分で、消毒の必要はありませ ん。 (5)医療機関内の感染が疑われる場合にも、保健所と連携し感染対策を行って下さい。
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