PRESS RELEASE 報道関係者各位 (本資料は米国報道資料の抄訳です) 2016 年 7 月 22 日 ボストン コンサルティング グループ 10 カ国の消費者、58%が完全自動運転車への乗車意向示す 日本では 36%~BCG・世界経済フォーラム共同調査 「ロボタクシー」積極活用により、都市の自動車の数がほぼ半減するシナリオも ボストン発、2016 年 7 月 21 日 ―― 経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以 下、BCG)は、世界経済フォーラム(WEF)と共同で、自動運転車が都市モビリティをどう変化させるか、に焦点 をあてた調査レポート「Self-Driving Vehicles, Robo-Taxis, and the Urban Mobility Revolution」を発表しました。 本レポートでは、10 カ国において 5,500 人以上を対象に行った消費者調査や 12 都市の 25 人の政策担当者 へのインタビューから得た示唆に加え、BCG と WEF が作成した都市モビリティの未来に関する 4 つのシナリ オを掲載しています。 10 カ国の消費者の 58%が「完全自動運転車に乗る可能性がある」と回答 今回行った消費者調査では、回答者の 58%が完全自動運転車に乗ることに対して抵抗を感じていないことが わかりました。なかでも若年層・新興国では、完全自動運転車への乗車意向のある消費者の割合が高い傾向 が見られました。「完全自動運転車に乗る可能性はどの程度ありますか」という問いに対し、29 歳以下の回答 者では 63%が「ある」「かなりある」と答えましたが、51 歳以上の回答者では、その割合は 46%でした。インドで は 85%の回答者が乗車意向を示した一方で、完全自動運転車への抵抗感が最も強く見られたのは日本(乗車 意向がある消費者の割合 36%)、オランダ(同 41%)でした(図表 1)。 図表1: 自動運転車への乗車意向 58%の消費者が 完全自動運転車に乗ると回答1) 69%の消費者が 部分自動運転車に乗ると回答2) 回答者の割合 (%) 10カ国の平均 中国 フランス ドイツ インド 日本 オランダ シンガポール アラブ首長国連邦 イギリス アメリカ N=5,635 質問1: 質問2: 注: 出所: 29 回答者の割合 (%) 29 19 32 43 31 27 21 17 23 20 56 12 24 19 24 22 31 38 25 24 かなりある 16 6 10 15 21 10 17 24 8 7 ある 17 18 36 20 26 26 31 34 あまりない 11 8 27 23 26 21 -1- 13 6 3 15 4 2 8 10 9 全くそのつもりはない 完全自動運転車に乗る可能性はどのくらいありますか? 部分自動運転車に乗る可能性はどのくらいありますか? 四捨五入のため、合計は必ずしも100にならない 消費者調査 (2015年7月~9月に実施)、世界経済フォーラム、ボストン コンサルティンググループ分析 © The Boston Consulting Group 2016 - All Rights Reserved. 2 0 12 11 35 28 6 12 39 44 28 どちらともいえない 20 35 3 1 6 7 27 29 7 6 14 14 65 14 7 6 13 42 25 19 19 49 31 22 12 36 35 3 2 16 18 20 25 33 2 15 29 32 27 12 19 25 31 11 9 完全自動運転車の製造元としては、既存の自動車メーカーを支持した消費者が約半数 「完全自動運転車の製造元として、どのような企業が望ましいですか」という質問に対しては、従来型自動車メ ーカーを挙げた回答者が約 50%を占めました。フランス、ドイツ、日本においては従来型自動車メーカーを挙 げた回答者の割合が特に高かったのに対し、テクノロジー企業の存在感が目立つインド、アメリカ、中国ではそ の割合が相対的に低いことが分かりました(図表 2)。 図表2: 完全自動運転車の製造元として望ましい企業 回答者の割合(%) 100 80 32 33 45 50 47 59 47 57 44 44 10 60 21 10 40 20 7 3 20 0 13 15 7 9 中 国 18 25 15 4 11 11 14 3 6 0 8 0 0 2 2 3 1 フ ラ ン ス ド イ ツ イ ン ド 9 16 19 10 12 34 7 23 14 11 5 8 3 0 2 6 1 3 1 日 本 オ ラ ン ダ 8 10 5 24 22 11 19 7 0 1 3 ポ シ 連首ア ーン 邦長ラ ルガ 国ブ イ ギ リ ス 従来型自動車 メーカー テクノロジー 企業 わからない 新しいタイプの 自動車メーカー 政府系企業 自動車部品 メーカー その他 3 2 1 ア メ リ カ N=5,635 質問: 自動運転車の製造元としてどのような企業が望ましいですか? 注: 四捨五入のため、合計は必ずしも100にならない 出所: 消費者調査 (2015年7月~9月に実施)、世界経済フォーラム、ボストン コンサルティンググループ分析 © The Boston Consulting Group 2016 - All Rights Reserved. 都市モビリティの未来に関する 4 つのシナリオ 共有の完全自動運転車を活用した「ロボタクシー」の実現などにより、乗用車の個人所有を禁ずる施策を取る 都市が世界中に少なくとも一つは出てくるのはいつになると予想するか質問したところ、都市の政策担当者の およそ 60%は 2025 年までに、24%は 2030 年までにはと答えました。シンガポール、ロンドン、スウェーデンの ヨーテボリなどの都市ではすでに完全自動運転車の公道実験が行われています。 こうした調査の結果を踏まえ、BCG と WEF は、自動運転技術やライドシェアリング、電気自動車への移行など が都市モビリティの未来をどう変えるか、そのインパクトを検討するうえで参考になる、4 つのシナリオを作成しま した(図表 3)。 ① プレミアムカーが自動運転機能を搭載: このシナリオは、既存の枠組みの延長線上にあります。完全自動 運転機能は、高級車の一機能と位置付けられ既存の移動手段の補完的役割を果たします。自動車車両 数の減少は 1%と小幅ですが、交通事故件数は 19%減少。電気自動車のシェアが増え、排気ガスは 9% 減少すると推計されます。 ② 完全自動運転車が街路を席巻: 乗用車のほとんどが基本的に個人所有のまま完全自動運転車に置き換 わるシナリオです。共有される自動運転車は 1 割程度と想定します。このシナリオでは、自動車車両数は 8%、交通事故件数は 55%、排気ガスは 23%減少し、駐車スペースの 5%が不要になると推計されます。 ③ ロボタクシー(共有の完全自動運転車)への移行: ロボタクシーが都市の主な交通手段の一つとなるシナリ オです。シナリオ②との大きな違いは規制により個人所有される自動車が減少するという想定です。このシ ナリオでは自動車車両数が 46%、交通事故件数は 86%、排気ガスは 81%減少し、駐車スペースの 39% が不要になると推計されます。 ④ ライドシェア革命: ロボタクシーが都市の交通手段の主流になるシナリオです。ライドシェアが進むと仮定し、 ロボタクシーの平均乗車人数を 2 人と見積もります(シナリオ③では現状のタクシーの平均乗車人数と同 様の 1.2 人)。自動車車両数は 59%、交通事故件数は 87%、排気ガスは 85%減少、駐車スペースの 54% が不要になると推計されます。 -2- 図表3: 都市モビリティの未来: 4つのシナリオ 車両所有主体 1 自治体の政策 個人による 車両所有 特に関与なし SDVが現状の移動手段を補完 • 消費者は既存の自動車と 同様に自動運転車を所有・ 利用 個人による 車両所有 自治体による 自動運転車への 転換促進 ほぼすべての自動車がSDVに 置き換わる • 個人所有の自動車と一部 公共車両がSDVに置き換 わる モビリティサービス の提供者が車両を 保有 自治体が自動車 の個人所有に不 利な条件を設け、 EVやSDVへの 移行を促進 ロボタクシーが主な移動手段の 一つに • 個人保有の自動車はまれに • バスの一部もSDVへ モビリティサービス の提供者が車両を 保有 自治体が自動車 の個人所有に不 利な条件を設け、 EVやSDVへの 移行を促進 ライドシェアとロボタクシーが主 な移動手段に • ロボタクシーへの相乗りが 進む • バスのほとんどがSDVに プレミアムカーが 自動運転機能を搭載 2 SDVが 街路を席巻 3 ロボタクシー(共有のSDV) に移行 4 ライドシェア革命 特徴 注: EV=電気自動車 SDV=完全自動運転車 出所: 世界経済フォーラム、ボストン コンサルティンググループ © The Boston Consulting Group 2016 - All Rights Reserved. ■調査レポート 「Self-Driving Vehicles, Robo-Taxis, and the Urban Mobility Revolution」 https://www.bcgperspectives.com/content/articles/automotive-public-sector-self-driving-vehicles-robo-taxis-urbanmobility-revolution/ ■日本における担当者 古宮 聡 シニア・パートナー&マネージング・ディレクター 明治大学政治経済学部卒業。IMD(International Institute for Management Development)経営学修士(MBA)。日本フィリップス株式会社、レーザーテック株式会 社ロンドン支店を経て現在に至る。BCG 産業財・自動車グループおよび BCG 自動車セクタ ーのアジア・パシフィック地区リーダー。 東京大学経済学部卒業。ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス経営学修士 ■ ボストン コンサルティング グループ(BCG)について (MBA)。株式会社三和銀行、アンダーセン(現 KPMG:M&A アドバイザリー)を経て現在に BCG は、世界をリードする経営コンサルティングファームとして、政府・民間企業・非営利団体など、さまざま 至る。 な業種・マーケットにおいて、カスタムメードのアプローチ、企業・市場に対する深い洞察、クライアントとの緊 密な協働により、クライアントが持続的競争優位を築き、組織能力(ケイパビリティ)を高め、継続的に優れた 業績をあげられるよう支援を行っています。 1963 年米国ボストンに創設、1966 年に世界第 2 の拠点として東京に、2003 年には名古屋に中部・関西オ フィスを設立しました。現在世界 48 ヶ国に 85 拠点を展開しています。http://www.bcg.co.jp/ bcg.perspectives サイトでは、さまざまな業界・分野に関する BCG の知見をまとめたレポート、記事およびイ ンタビュー映像などをご紹介しています。https://www.bcgperspectives.com/ ■ 本件に関するお問い合わせ ボストン コンサルティング グループ マーケティング 嶋津・直江 Tel: 03-5211-0600 / Fax: 03-5211-0333、Mail: [email protected] -3-
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