【背景 - 目的】 白血病の治療に用いられるチロシンキナーゼ阻害薬の

29amF319
ダサ チニブ体 内動 態 の患 者個体 間変動 の様相
光佐 1,松元 加奈 1,土手
○上村 貴代 1,堀村
莱 ,2京都桂病院)
賢史 2,森 田 邦彦 l
(1同志 社女大
【
背景 ・目的】 白血病 の治療 に用い られ るチ ロシンキナーゼ阻害薬 のダサチニブ
(
DAS) は、主に CYP3
A4で代謝 され ることや、吸収が 胃内 pHの影響 を受 けること
な どか ら、その体内動態が個体間で大 きく変動す ることが懸念 され る。今回 、DAS
の血 中濃度モニタ リングを通 して患者個 々の体内動態の変動 の様相 を探索 した。
【
方法 】DASを 20- 1
40 mg
/d
ayの用量で投与 された患者 15名 を対象 とした。DAS
血 中濃度測定のための採血 は、服用 1時間後 (ピー ク) もしくは次回服用直前 (ト
ラフ)に実施 された。 これ らの血 中濃度、あるいは血 中濃度 を体重 あた りの投与量
C/D比)で評価 した。
で除 した値 (
【
結果 】DASの トラフ血 中濃度 は検 出限界 (
1ng
/
mL)以下∼33ng/
mLの範 囲 (
平
mL) に、また ピー ク血 中濃度 は 3-269 ng/
mLの範 囲 (
83±
均値 ±SD-8±10 ng/
86 ng
/
mL) に、それぞれ広範囲に分布 した。 トラフにお ける C/Dは 4.63±5.52、
CVは 11
9% であ り、ピー クにお ける C/Dは 56.6±40.4、CVは 71% であった。また、
制酸薬 を併用 した群 にお けるピー クの C/D は 53.1±44.2、非併用群では 61.0±
41
.2であ り、各群 とも C/Dは広範囲に分布 し、両群の平均値 に有意差 は認 め られ
なかった。
【
考察 】DASの血 中濃度 は ピー ク、 トラフともに広範 囲に分布す ることが明 らか と
なった。特 に血 中濃度 が極 めて低値 で、効果 が期待 できない ことが予想 され る例
も見 られた。 これ らの血 中濃度 の大 きなバ ラツキは、胃内 pHや食事 内容 な ど吸収
過程や cyp3A4を介 した相互作用 を誘発す る併用薬の存在 な ど、多種の要因によ り
複雑 に影響 を受 け、もた らされてい るもの と考 え られた。以上 よ り、DASは血 中濃
度モニ タ リングによる個別化投与設計 を行 う必要が高い といえる。