数値解析 [2015 第6回目] 1 数値積分 y=f (x) の積分が容易でない場合 がある.或いは、 f (x) の値が, 実験データの現実の問題を解く ためには,容易でない. そこで,数値解析により求める方 法を学習する. y = f (x) α b I = ∫ f ( x)dx β x a 2 数値積分 微小区間に分けて,各区間の面積を足 しあわせる(区分求積法). 各微小区間における積分方法が各種 提案されている. … b a α β m分割 (1) 中点則 (2) 台形則 (3) シンプソン則 (4) ニュートン・コーツ積分公式 h (5) ガウス積分 (6) チェビシェフ公式 a b 以降,微小区分を取り出して考える. 3 数値積分 h 1. 多項式への近似 (1) 中点則 y = q (定数)と近似 aとbの中点をcとする.積分値を以下 と考える. 分点 M = h f (c) a c a b (2) 台形則 y = px+q と近似 分点 台形で近似して,面積を求める. b h T = ( f (a) + f (b)) 2 分点 (3-1) シンプソン則y = px2+qx+r と近似 二次多項式で近似する. a c b h S = ( f (a) + 4 f (c) + f (b)) 6 4 1. 多項式への近似 数値積分 分点 (3-2) シンプソンの3/8公式 y = px3+qx2+rx+s と近似 三次多項式で近似する. a c1 c2 b 3(h / 3) S3 / 8 = ( f (a) + 3 f (c1 ) + 3 f (c2 ) + f (b)) 8 h = ( f (a) + 3 f (c1 ) + 3 f (c2 ) + f (b)) 8 5 1. 多項式への近似 数値積分 (4) ニュートン・コーツ積分公式 分点( , )の数: n+1 ● ○ y = pn x n + pn −1 x n −1 + p0 y = f (x) 中点則,台形則,シンプソン則を一般 化した積分方法. 分点の数をn+1とするとき,f(x)をn次 の多項式で近似して,積分する. 多項式で近似する方法は? … 分点 x0 x1 a xn b 6 2. 誤差解析 (2) 台形則 数値積分 h I b I = ∫ f ( x)dx a T a c b b−a T= ( f (a) + f (b)) 2 Taylor展開を用いて,I と M の差を見積もる. Taylor展開 F ʹ′ʹ′( x) 2 F ʹ′ʹ′ʹ′( x) 3 F ( x + δ ) = F ( x) + F ʹ′( x)δ + δ + δ + 2! 3! (n) ∞ F ( x) n =∑ δ f(x+δ) n! n =0 f(x) δ x 7 数値積分 2. 誤差解析 (2) 台形則 h f(x)の原始関数をF(x)とする. I b I = ∫ f ( x)dx = F (b) − F (a) T a F(b)とF(a)をcのまわりでTaylor展開. a c b h f ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′(c) h 3 F (b) = F (c) + f (c) + ( ) + ( ) 2 2! 2 3! 2 h f ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′(c) h 3 F ( a ) = F (c ) − f (c ) + ( ) − ( ) 2 2! 2 3! 2 よって, 2 f ʹ′ʹ′(c) h 3 2 f ʹ′ʹ′ʹ′ʹ′(c) h 5 I = f (c ) h + ( ) + ( ) 3! 2 5! 2 8 数値積分 2. 誤差解析 (2) 台形則 h 一方, h T = ( f (a) + f (b)) 2 f(b)とf(a)をcのまわりでTaylor展開. I T a c b h f ʹ′ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′ʹ′(c) h 3 f (b) = f (c) + f ʹ′(c) + ( ) + ( ) 2 2! 2 3! 2 h f ʹ′ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′ʹ′(c) h 3 f (a) = f (c) − f ʹ′(c) + ( ) − ( ) 2 2! 2 3! 2 よって, f ʹ′ʹ′(c) h 2 T = h{ f (c) + ( ) + } 前のページ 2 f ʹ′ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′ʹ′ʹ′(c) h 2! 2 I = f (c ) h + ( ) + ( ) 3! 2 5! 2 結局,誤差は, 1 1 h 3 T − I = 2( − ) f ʹ′ʹ′(c)( ) + =>1区間での誤差は,h3のオーダー 2! 3! 2 全区間では,m=(β-α)/h倍して, 2 h2のオーダー.O(h ) 9 3 5 数値積分 2. 誤差解析 (3) シンプソン則 一方, h S = ( f (a) + 4 f (c) + f (b)) 6 f(b)とf(a)をcのまわりでTaylor展開を用いると h S a c b f ʹ′ʹ′(c) h 2 f ʹ′ʹ′ʹ′ʹ′(c) h 4 S = h{ f (c) + ( ) + ( ) + } 3 ⋅ 2! 2 3 ⋅ 4! 2 結局,誤差は, 1 1 h 5 S − I = 2( − ) f ʹ′ʹ′ʹ′ʹ′(c)( ) + 3 ⋅ 4! 5! 2 =>1区間での誤差は,h5のオーダー 全区間では,m=(β-α)/h倍して, h4のオーダー.O(h 4 ) 10 数値積分 2. 誤差解析(2)台形則と(3) シンプソン則 台形則(分点数=2, 二次の多項式) 誤差:h2のオーダー … しかしながら,多項式の次数を上げると,端 点で振動的な振る舞いをすることがある(ル ンゲの現象) ので、そこそこの次数で区間幅 hを狭め、分割数mを増やすのが良い β m分割 誤差:h4のオーダー 高精度化のためには,一見すると, ・ 近似する多項式の次数を上げる. ・ 区間幅hを小さくする. = 区間分割数mを多くする. b a シンプソン則(分点数=3, 三次の多項式) α h a b h a c b 11 数値積分 演習問題の 1 から 4 までについて; 被積分関数を一次式から順に高次の式に変えていって、 数値積分の結果と正確な値との間に どのような誤差が出るかを確認する。 誤差を生むような被積分関数を使った時に、 区間幅 h (あるいは分点間隔 hh ) を変化させることによって 誤差の値がどのように変化するかを確認する。 異なった積分公式を用いた結果を比較する場合には、 計算に用いた分点の数がほぼ同じになるよう調整する。 (関数値の計算に非常に大きなコストがかかるものとしている。) 12
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