情報処理入門(火曜4限) 第 5 週(2015 年 11 月 10 日)のキーワード テイラー展開 関数 f(x)が何度でも微分可能な関数である時、f(x)のテイラー展開は以下のように書ける。 f !(a) f !!(a) f (n) (a) (x − a) + (x − a)2 + ⋅⋅⋅ + (x − a)n + ⋅⋅⋅ 1! 2! n! f (n) (a) =∑ (x − a)n n! n f (x) = f (a) + 有限個(n 個)までの項の和(下の gn(x))を n 次のテイラー展開という。また、特に a = 0 の場合をマクローリ ン(Maclaurin)展開と呼ぶ。 n gn (x) = ∑ k=0 f (k ) (a) (x − a)k k! テイラー展開は、関数の値を近似する時などに便利であり、物理、化学の分野ではよく使われる。 Mathematica でテイラー展開を計算するには、組み込み関数 Series[]を用いる。いくつ目の項まで計算させ るかで、近似の精度が変わる。n 番目まで計算させて、それ以降は無視する場合、f(x)は n 次のテイラー展 開と剰余項 Rn+1(x)を用いて以下のように表される。 f (x) = gn (x) + Rn+1 (x) Series を用いて 5 次のテイラー展開(a = 2)を求める。 Series[f[x], {x, x0, n}]は、f(x) の(x-x0)n 次までの点 x = x0 に関するベキ級数展開を作成する。 ここの O[x-2]6 は(x-2)6 以上の高次の項で、剰余項に対応する。 最小二乗法 実験で得られるデータは離散データであり、測定上の誤差が存在するため、実験データが理論式に完全 に一致することはない。また、理論式は種々の近似の下で導かれるため、その意味でも実験データと理論 式は一般には一致しない。 実験データを解析する時、確からしい理論式にあてはめて様々なパラメータを推定することが良く行われ る。これをフィッティングと呼ぶ。このとき、最小二乗法が用いられる。 実験データの組を(xi, yi) (i = 0, 1, 2, ... n) とし、 xi は実験者が決める測定条件(時間や波長など)で測 定誤差はなく、yi は測定結果で誤差を含むとすると、測定値と理論値とのずれΔi は以下のように書ける。 Δi = yi − f (xi ) この測定値と理論値とのずれΔi の総和は、i → ∞でゼロに近づくが、Δi の二乗の総和 S はゼロにはなら ない。 S = ∑ Δ i2 = ∑ ( yi − f (xi )) i 2 i 最小二乗法では、この S が最小になるように f(x)を決める。その方法は非常に面倒で、手計算では難しく、 計算機を用いて最も確からしい f(x)を求める。Mathematica では組み込み関数 Fit[]を使うことで最小二乗法 によるフィッティングが可能である。 1
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