第1章 計画策定にあたって 第1章 計画策定にあたって 第1章 1 計画策定にあたって 計画策定の趣旨 (1)次世代育成支援対策推進法について 次世代育成支援を迅速かつ重点的に推進するため、国において、平成15年7月に 「次世代育成支援対策推進法」が制定され、地方公共団体及び事業主が行動計画を策 定することを基本として、次世代育成支援対策の推進が図られてきたところです。 しかしながら、平成17年に我が国は初めて総人口が減少に転じ、出生数は106万 人、合計特殊出生率は1.26と、人口を維持するために必要とされる2.08を大きく割 り込み、過去最低を記録するという予想以上の少子化の進行が見られたところです。 また、平成18年12月に発表された「日本の将来推計人口(出生中位・死亡中位推計)」 によれば、2055年にあっても合計特殊出生率は1.26とされ、少子化の著しい進行が 現れています。 この少子化の流れに対して、埼玉県では、国の「次世代育成支援対策推進法」をう け、平成17年度から平成21年までの少子化対策として「埼玉県子育て応援行動計画 ~子育てコバトンプラン~」を策定しました。平成21年度には、平成22年度から平 成26年度までの「埼玉県子育て応援行動計画(後期計画)」を策定しています。また、 平成19年11月から県内の子育て支援サービスが充実している市町村を「地域子育て 応援タウン」として認定し、子育てをしやすい環境づくり・子育て支援サービスの充 実に努めています。 宮代町でも、国の動きに合わせて平成17年3月に「宮代町次世代育成支援行動計 画」 (以後、 「前期計画」という)を策定し、次代を担う子どもを養育する子育て家庭 への支援に、計画的、総合的に取り組むための施策を展開してきました。その成果も あって平成19年度には、埼玉県より子育てをしやすいまちとして「地域子育て応援 タウン」の第1号の認定を受けました。 今回、前期計画が平成21年度をもって終了となることから、後期計画の策定にあ たり児童福祉、母子保健、商工労働、教育、環境、道路、施設整備等の関係課署が子 育て支援施策について横断的に取り組むとともに、町民をはじめ地域の支援団体、N PO、企業や労働者代表など、多くの方のご協力を得ることができる策定体制としま す。また、平成20年度にアンケート調査による宮代町の現状と課題の分析を実施、 平成21年度には前期計画の施策等の中間評価を行い、より一層の子育て環境の整備 を推し進めるため、平成22年度から始まる後期計画を策定するものです。 3 (2)これまでの国の施策 国は、平成2年の「1.57ショック」以来、出生率の低下と子どもの数が減少傾向 にあることを「問題」として認識し、急速な少子化の進行をとめるための施策を展開 してきました。子どもを産み育てやすい環境づくりを目指して仕事と子育ての両立支 援などの検討を始め、平成6年に「エンゼルプラン」を策定し、平成11年度を目標と して保育サービスの充実を進めてきました。平成11年のエンゼルプラン見直しでは、 保育サービスだけでなく、雇用、母子保健等の事業も加わった「新エンゼルプラン」 が策定されました。 平成14年にまとめられた「少子化対策プラスワン」では、従来の取り組みが保育 に関する施策を中心としたものであったのに対し、子育てをする家庭を地域全体とし て支え、社会全体が一体となって総合的に取り組むための施策を進めることとしまし た。平成15年には「次世代育成支援対策推進法」が制定され、平成17年から施行さ れているところです。また、平成15年には「少子化社会対策基本法」が成立し、平 成16年には同法に基づき少子化に対処するための施策の指針として、 「少子化社会対 策大綱」が策定されました。同年、少子化社会対策会議において、「子ども・子育て 応援プラン」が策定され、おおむね10年後を展望した「目指すべき社会」の姿を提 示しています。さらに、予想以上の少子化の進行に対処し少子化対策の抜本的な拡充、 強化、転換を図るため、平成18年に少子化社会対策会議において「新しい少子化対 策について」が決定され、「社会全体の意識改革」と「子どもと家族を大切にする観 点からの施策の拡充」という2点を重視し、40項目にわたる具体的な施策を掲げてい ます。 以上のような動向を踏まえ、平成19年に「子どもと家族を応援する日本」重点戦 略検討会議が設置され、結婚や出産・子育てに関する国民の希望を実現するためには 何が必要であるかに焦点を当てて検討が進められ、平成19年12月に「子どもと家族 を応援する日本」重点戦略(以下「重点戦略」という)が取りまとめられました。 重点戦略では、就労と出産・子育ての二者択一構造の解消において、「働き方の見 直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス※)の実現」とその社会的 基盤となる「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築※」を「車の両輪」として進め ていく必要があるとされています。 また、重点戦略では「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」に向け、①具体的 な制度設計の検討、②先行して実施すべき課題という2つの課題が示され、地域や職 場に対して、次世代育成支援対策を推進していくよう求めています。 ※「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」とは、仕事と家事・育児・介護などの生活 との両立とされています。 ※「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」とは、就労の有無を問わず、すべての子育てをしている家 庭に対して、給付・サービスの体系を再構築し、全国どの地域でもすべての子どもや子育て家庭に普遍 的に給付・サービスが提供される枠組みを構築することとされています。 4 第1章 計画策定にあたって 一方では、平成14年度から都市部の待機児童を解消するために推進された「待機 児童ゼロ作戦」により、保育所の受入児童数を引き上げるなどの対策を進めてきまし たが、待機児童数は平成20年度に1万9,550人と5年ぶりに増加しました。そのため、 国では希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができる社会の実現 のため「新待機児童ゼロ作戦」を掲げ、以後10年間における保育のサービスの質と 量の充実・強化に取り組むこととなりました。同年7月には、緊急に対策を講ずべき 5つの課題について「社会保障強化のための緊急対策~5つの安心プラン~」を取り まとめました。5つの課題のうち柱の1つである『未来を担う「子どもたち」を守り 育てる社会』の実現に向けて「保育サービス等の子育てを支える社会基盤の整備等」 と「仕事と生活の調和の実現」を推進する施策が盛り込まれています。さらに11月 には、国民が希望と安心を持つことができるような社会保障制度のあり方という観点 から社会保障国民会議が設置され、少子化対策として、子育て支援の社会的基盤の充 実に向けて取り組んでいく視点が示され、「仕事と生活の調和」と「子育て支援の社 会的基盤の拡充」を重要な取り組みとしています。 ■ 少子化対策の経緯 ■ 資料:平成21年版少子化社会白書 5 2 他計画との調和 本計画(後期行動計画)は、宮代町の全体的な計画である「宮代町総合計画」の創造 理念に沿ったものとします。また、国及び県の関連計画及び宮代町の関連計画等との調 和が保たれたものとします。 国の法・関連計画 宮代町総合計画 次世代育成支援対策推進法 子ども・子育てビジョン 障害者基本計画 健康日本21 宮代町次世代育成支援行動計画 (後期計画) その他の 関連分野 教 育 環 境 労 働 交 通 情 報 健やか親子21 6 環境基本計画 彩の国健やか親子21 男女共同参画プラン すこやか彩の国21プラン 母子保健計画 埼玉県障害者支援計画 障がい者基本計画 埼玉県子育てコバトンプラン 高齢者保健福祉計画 介護保険事業計画 県の関連計画 第1章 計画策定にあたって 3 計画の期間 次世代育成支援行動計画は、5年を一期として策定するものとされており、最初に策 定した行動計画(前期計画)は、平成17年度から平成21年度までを計画期間としてい ます。それを引き継ぐために策定する行動計画(後期計画)は、前期計画の見直しを平 成21年度に行った上で、平成22年度から平成26年度までを計画期間として、平成21 年度中に策定しました。 平成 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 計画 策定 前 期 計 画 見直し 4 後期計画(今回策定した計画) 計画の見直し体制 (1)宮代町次世代育成支援行動計画地域協議会の設置 後期計画の策定にあたり、次世代育成支援行動計画地域協議会(地域協議会)を設 置しました。所管事項は、行動計画の策定及び行動計画に係る進行管理に関すること としています。 また、今後は仕事と生活の調和の実現に向けた働き方の改革をはじめ、地域、企業、 子育て支援を行う団体等が相互に密接に連携し、協力し合いながら地域の実情に応じ た取組を進めることが必要と考えられます。 こうしたことから、町では庁内の関係課署をはじめ多くの関係者が参画することの できる策定体制を構築し、前期計画の評価と後期計画の策定に努めました。 (2)アンケート調査の実施 平成20年度に就学前児童1,140世帯、就学児童906世帯の合計2,046世帯を対象 としたアンケート調査を実施し、多くの皆様からご回答、ご意見をいただきました。 7 (3)パブリックコメントの実施 「宮代町市民参加条例」に基づき、計画策定にあたってのご意見を広く住民の皆様 から募集し、貴重なご意見をいただきました。 ■宮代町次世代育成支援行動計画の見直し体制図■ 地域協議会 地域資源 国 資料 提供 連携 県 ・県次世代育成 支援後期計画 ・その他関連計画 連携 子育て中の親 意見 事務局 ・意見の集約 ・計画案の作成 ・会議の開催 庁内関係課署 意見 資料 提供 推進委員会 8 地域の 代表者 意 見 事業主・ 労働者 支援団体・ NPO 民間事業者
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