「政策期待が高まる11月の株式相場」を更新しました。

マーケット展望
2015.11.2
ちばぎんアセットマネジメント 調査部
政策期待が高まる11月の株式相場
(作成者:奥村義弘)
○10月はリスクテイクの動きが強まる
10月の株式市場は、弱い経済指標を背景としたアメリカの利上げ先送り観測、日本や欧州
の追加金融観測の強まりで、流動性相場への期待が高まり上昇基調となった。とりわけ、E
CBのドラギ総裁が、12月の追加緩和の方向性をかなり強いトーンで打ち出したことが影響
した。また26日より開催された中国の5中全会を前に発表された中国の追加金融緩和策が、金
融緩和基調を印象付ける結果となり、リスクテイクの動きを強める結果となった。
〇新興国経済の減速が鮮明
一方世界経済の減速の動きは、IMFが発表した世界経済見通しでも明らかである。とり
わけ、中国経済の減速感の強まりで、資源国・新興国経済で減速感が強まっている。政策面
で緩和期待が高まる先進国においても輸出関連の弱さが景況感を悪化させている。中長期的
に原材料安は先進国経済にプラス効果をもたらすが、短期的には需要の弱さを示す結果とな
っている。当面は景況感の悪化として株価に悪影響を及ぼす局面が出るものとみられる。
〇日銀は追加金融緩和を見送る
そのような中、注目を集めた30日の日銀金融政策決定会合では、追加金融緩和が見送られ
た。物価見通しの2%達成は16年度後半に半年先送りされたものの、「やや長い目で見れば、
全体として上昇」という見方が踏襲された。足元の経済指標の弱さなどから、エコノミスト
の追加緩和実施の是非は意見が分かれていたが、日銀内の追加緩和の議論はなかったと述べ
られている。金融政策への市場の無用の思惑を絶ち、追加緩和金融緩和のカードは温存、次
の一手は政府サイドへ渡した形に見える。追加金融緩和が実施されなかった場合の株価反落
リスクを警戒する見方も強かったが、30日の日経平均株価は終値で1万9,000円台に乗せた。
補正予算など、実効性のある政策への期待が引き続き強いことがうかがえる。
〇政府の経済対策に注目
11月の注目指標には、日本では16日に7—9月期のGDPの発表がある。2期連続のマイナス
との見方も強く、政府は何らかの景気対策を示す必要があるだろう。また、安倍首相の外交
日程も、日中韓首脳会議に続き、15日からはトルコ・アンタルヤでのG20など重要日程が控
えている。新興国の様々なリスクへの対応が話し合われるものとみられる。各国の経済対策
にも焦点が当たる可能性があろう。日本の場合、成長戦略の柱として「1億総活躍社会」を打
ち出している。GDP600兆円、出生率の上昇、介護離職者ゼロなどが柱となっている。11
月はその検討の国民会議が3回程度開催される予定で、具体的内容が注目されよう。TPPの
大筋合意を受けた、農業政策なども詰められる見込みで、来年の通常国会に向けて、3兆円強
と言われる補正予算の内容も含めて、様々な内需振興策への期待が高まりやすい。株式市場
では、株主還元や資本効率向上に向けた日本企業の動きを評価する声もあるが、海外投資家
の売買動向を見ると明らかに期待値は下がっている。PERなどバリュエーションが切り上
がるには、アベノミクスをポジティブな方向で見直すことができるか否かが注目される月と
なりだ。
◇OECD景気先行指数の推移
(%)
106
104
102
100
98
96
94
米国
日本
EU
中国
15/1
14/3
13/5
12/7
11/9
10/1
10/11
09/3
08/5
07/7
06/9
05/1
05/11
04/3
03/5
02/7
01/9
00/1
00/11
92
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
▲ 1.0
(円)
21,000
7.3
6.8
2014
6.3
2015
2016
3.4
3.1
3.6
2.4 2.6
0.6
2.8
1.5
0.9
1.0
1.6
▲ 0.1
世界
(注)直近値は15年8月
(出所)Quick Astra Manager より CAM作成
◇日経平均株価と海外投資家の売買動向
23,000
◇主要地域、国の成長率予測
日本
米国
ユーロ地域
中国
(出所)IMF「世界経済見通し」2015年10月
◇米国の政策金利と景気先行指数CIの推移
(億円)
海外投資家
日経平均株価
19,000
17,000
15,000
13,000
11,000
9,000
7,000
5,000
3,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
▲ 2,000
▲ 4,000
▲ 6,000
▲ 8,000
▲ 10,000
▲ 12,000
12.0
(%)
104
OECD景気先行指数CI(右軸)
10.0
102
8.0
100
6.0
98
4.0
96
2.0
94
米FF金利(左軸)
0.0
(注1)売買動向は10月第4週(10/19-10/23)まで、日経平均株価の直近は10月30日終値
(注2)日経平均株価は週足、売買動向は二市場差引き(東証調べ)
(出所)Quick Astra Manager よりCAM作成
92
(出所)OECD資料などよりCAM作成
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