「 キャリアデザイン 」 講義 担当 : 松尾 信子 第9回 レジュメ 2015.11.24(火) 社会人としての基礎力の身につけ方を考える ( どのような仕事においても必要となる能力について理解する ) メニュー 1. 講義 14:40 ~ 15:40 2. 演習 15:40 ~ 16:10 1. 企業が新卒採用時に求めている能力は基礎力である ① コンピテンシーの考え方が基礎力の重要性に気づきをもたらした コンピテンシーとは : 一定の職務や作業において、絶えず安定的に期待される 業績をあげている人材に共通して観察される行動特性 個人の能力を活かし、仕事で成果を上げるためには、業務知識、業務スキル、 専門力を上げると同様に、コンピテンシーも高めなければならないことが明白 になった。 情 報 指 向 性 、分 析 的 思 考 、人 間 関 係 構 築 力 、対 人 感 受 性 、組 織 感 覚 力 、 対人影響力、先見性、達成指向性、顧客指向性、チームワーク力、 組織への献身、自信、自発性、専門性 な ど 21 の コ ン ピ テ ン シ ー 組織人として「協働システム」の機能を実現するために求められる 3 つの要素 (1) 共通目的をもつこと (組織の理念・ミッション・ビジョン) (2) 貢献意欲が高いこと (事業活動を通して、会社貢献、社会貢献をしようとする意欲) (3) コミュニケーションが上手にとれること ( (1)を達成せるために、 (2)を高める促進要因のひとつ) 2. 基礎力とは、知識として習得できない資質である ① 人間性 : 内閣府の定義「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間と して力強く生きていくための総合的な力」 1 ② 社会人基礎力 職場や地域社会の中で、多様な人々とともに仕事を行っていくうえで、必要 な基礎的能力 基礎学力(読み書き、算数、基本 IT スキルなど)や専門知識(仕事に必要 な知識や資格など)を活かす能力 社会人基礎力を構成する 3 つの要素 前に踏み出す力(アクション) 考え抜く力(シンキング) チームで働く力(チームワーク) 「前に踏み出す力」一歩前に踏み出し、失敗しても強く取り組む力 分類 1 ・ 実社会の仕事において、答えは一つに決まっていないので、試行錯誤や失敗を繰り 返しながらも、一歩前に踏み出す行動が求められる。 ・ そのためには、失敗を恐れず、失敗しても他者と協力しながら、粘り強く取り組む 力が必要である。 能力要素 内 容 主体性 物事に進んで取り組む力 働きかけ力 他人に働きかけ、巻き込む力 実行力 目的を設定し、確実に行動する力 チェック(5 段階) 「考え抜く力」疑問を持ち、考え抜く力 分類 2 ・ 物事を改善していくためには、常に問題意識をもち、課題を発見することが求めら れる。 ・ その課題を解決するための方法やプロセスについて、十分に納得いくまで考え抜く ことが必要である。 能力要素 内 容 課題発見力 現状を分析し、目的や課題を明らかにする力 計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力 創造力 新しい価値を生み出す力 チェック(5 段階) 「チームで働く力」多様な人とともに、目標に向けて協力する力 ・ 職場において、仕事をとおして価値をつくりだすためには、多様な人との協働が求 められる。 ・ そのためには、自分の意見を的確に伝え、意見や立場の異なるメンバーも尊重しな がら、目標に向けて共に協力することが必要である。 能力要素 分類 3 内 容 発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力 柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 状況把握力 自分と周囲の人びとや物事との関係性を理解する力 規律性 社会のルールや人との約束を守る力 ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する力 チェック(5 段階) 2 3. 基礎力とは何かを知り、自分の能力をチェックする (リクルートワークス研究所・大久保幸夫所長の分類) ① 対人能力 基礎力の中核をなすものである。 他人と良好な関係を築くことができ、意思疎通が図れること【親和力】。 共通の課題(仕事)を協働してやり遂げること【協働力】 。 リーダーとして他人を動かしながら課題を達成していくこと【統率力】。 能力というよりも、その人が持っている個性(性格)と受け止められること が多い。個性としてはじめから身につけた人もいるが、場数を踏み、失敗や 成功の体験を積んでいく中で培われていくものでもある。 ( 3:よくできている、 2:どちらともいえない、 構成能力 レベル と キーワード チェックポイント ① Ⅰ 親しみやすさ 気くばり ② ③ 親和力 他者との間に良好な 関係を築き、維持・ 発展させる能力 Ⅱ ④ 他者に興味を持つ ⑤ 共感する 多様な価値の尊重 ⑥ ⑦ Ⅲ Ⅰ 人脈の形成 相互の信頼構築 役割を理解する 情報の共有 不足を補う Ⅲ 相談に乗る やる気にさせる 他者に対して気軽に話しかけることができます か。 相手の人が話しかけやすい雰囲気を持っている と思いますか。 相手の立場に立って、他者を思いやることがで きますか。 他人に興味を持ちますか。 相手の話に共感し、受け入れることができます か。 自分とは異なる価値観や意見を尊重することが できますか。 有益な人間関係を築き、その関係を維持・発展 させることができますか。 他人から信頼されていると思いますか。 ⑨ 他人を信頼することができますか。 ① 自分の役割を理解できますか。 ② 他人の役割を理解できますか。 ③ 相互に連絡を取りあい、協力して仕事を進める ことができますか。 報告・連絡・相談などを通じて、他人と情報を 共有していますか。 他人の状況を理解し、足りないところを補いあ えていますか。 他人の相談にのり、アドバイスすることができ ますか。 ④ Ⅱ チェック ⑧ 協働力 目標に向けて 他者と協力しながら 仕事を進める力 1:できていない) ⑤ ⑥ ⑦ 他人にやる気を起こさせることができますか。 3 Ⅰ 傾聴 意見の主張 Ⅱ 建設的な論議 Ⅲ 意見の調整 合意の形成 他者の説得 優位に交渉する ① 場の中の雰囲気や状況を読みとり、他人の意見 に耳を傾けることができますか。 ② 場の中で自分の意見を主張することができます か。 ③ 他人の意見を踏まえて、建設的な討議を行った り、有益な提案を行うことができますか。 ④ 異なる意見を調整し、合意を形成することがで きますか。 ⑤ 他人に対する交渉・説得をうまくこなすことが できますか。 統率力 場を読み、 組織(チーム)を 動かす力 「 チェックシートをとおして気づいたことは何か 」 1. 自分はどのレベル(段階)にあるのか 2. 自分の対人能力がうまく発揮できない原因はどこにあるのか 3. 自分の対人能力を向上させるための課題は何か。 「 対人の能力をどのように伸ばしていったらよいか 」 構成能力 1. 仕事あるいは、さまざまな社会生活を通じて身につけていくことができる。 2. しかし、それは自分の課題を知っていることが前提となる。 3. つまり、学ぶべきことを自覚していることが重要である。 レベル 原因 および 課題 Ⅰ 親和力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 協働力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 統率力 Ⅱ Ⅲ 4 ② 対自己能力 自分を制御し、動機づけ、よい行動を習慣づける能力。 自分の良さを引き出すために、自分のもっている態度、価値観、動機などを 良い方向に導く力。 対自己能力の高い人は、仕事において安定した能力を発揮し、仕事に他必要 な知識や技術を確実に身につけていく傾向が高いとされている。 ( 3:よくできている、 2:どちらともいえない、 1:できていない) 構成能力 5 「 チェックシートをとおして気づいたことは何か 」 1. 自分はどのレベル(段階)にあるのか 2. 自分の対自己能力がうまく発揮できない原因はどこにあるのか 3. 自分の対自己能力を向上させるための課題は何か。 構成能力 レベル 原因 および 課題 Ⅰ 感情制御力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 自信創出力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 行動維持力 Ⅱ Ⅲ 6 ③ 対課題能力 問題解決行動のベースになる能力。 過去の経験則や常識が通用しない仕事が増えてきているために、ルーティン 業務(手順の決まって定型的な仕事)ではなく、創造性が求められる仕事に 対する重要度が高まった。 また、問題解決能力が商品やサービスの売り上げを決める重要な要素になっ てきている(提案型営業、ソリューション型営業) 。 創造性の高い仕事をするということは、自分で課題を見つけ、最良の方法を 講じてその解決に当たり、確実に成果を上げる能力が必要である。 スキルやノウハウを学ぶことも大切であるが、まず、意欲的な姿勢であるこ と、それを習慣づけることが何よりも重要である。 ( 3:よくできている、 2:どちらともいえない、 構成能力 課題発見力 課題の所在を明らか にして、それを解決 するために必要な 情報分析ができる力 計画立案力 レベル と キーワード チェックポイント 必要な情報を適切な方法で収集することができ ますか。 ② 客観的な事実に基づいて、本質を見極めること ができますか。 ③ さまざまな角度から課題を分析し、原因を明らか にすることができますか。 ① ゴールのイメージを明らかにして、目標を立てる ことができますか。 ② 目標の実現 シナリオ 適切な方法の選択 ③ 目標の達成に至るシナリオを描くことができま すか。 情報収集 Ⅱ 本質理解 Ⅲ 原因追究 Ⅰ ゴールイメージ 目標設定 Ⅱ Ⅲ 評価と検証 リスク管理 Ⅰ 着手 Ⅱ 修正 Ⅲ 結果の検証 課題解決に当たって、より良い方法を立案できま すか。 ④ 目標の達成や課題解決に向けた見通しを立てる ことができますか。 ⑤ さまざまな障害やリスクを想定し、事前に対応策 を準備することができますか。 ① 計画に従って、自ら行動を起こすことができます か ② 計画の実行の中で、その都度、修正や微調整を 加えることができますか ③ 結果を検証し、次の改善につなげることができ ますか。 実践力 立案した計画に 基づいて、それを 実際の行動に移す力 チェック ① Ⅰ 課題解決のために 適切な計画を 立てる力 1:できていない) 7 「 チェックシートをとおして気づいたことは何か 」 1. 自分はどのレベル(段階)にあるのか 2. 自分の対課題能力がうまく発揮できない原因はどこにあるのか 3. 自分の対課題能力を向上させるための課題は何か。 構成能力 レベル 原因 および 課題 Ⅰ 課題発見力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 計画立案力 Ⅱ Ⅲ Ⅰ 実践力 Ⅱ Ⅲ 8
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