第一次選考審査講評 - 日本大学経済学部

平成28年度AO入学試験〈論文・プレゼンテーションによる選考〉および 校友子女入学試験
第一次選考審査の講評
日本大学経済学部
このたびは,日本大学経済学部のAO(アドミッション・オフィス)入学試験〈論文・プレゼン
テーションによる選考〉および校友子女入学試験にご出願いただきありがとうございました。
「エントリーシート」または「志望理由書」
,
「小論文」について選考の結果,次のとおり講評
致します。
なお,ご質問には一切応じかねますのでご了承ください。
「エントリーシート」
・
「志望理由書」講評
「エントリーシート」または「志望理由書」の審査においては,次の3点を中心に評価を行った。
1.
「日本大学経済学部」に対する志望動機が明確に説明されているか。
2.卒業後のキャリアに関する考えがしっかりしているか。
3.上記のキャリア展望に基づいて,入学後の学習計画が立てられているか。
以上3点のすべてについて,自身の考え方を具体的に提示しているものには高い評価を与えた。
また上記の3点の関連が明確であることも,高評価を与える上での条件とした。
昨年に引き続き本年においても, 大学入学にあたって明確な目的意識を持ち,自身の経験に基づ
き,現時点で希望する将来のキャリアと大学での勉強を具体的に関連付けて説明できている受験生
が多数みられた。将来就きたい仕事や将来の夢を書き連ねるだけではなく,その夢や仕事の社会的
意義に踏み込んだ記述がいくつもあり,それらには強い説得力を感じた。具体的な数値などを示し
ながら現代社会や日本経済についての現状認識を示し,それらと関連付けながら将来のキャリアや
本学への志望理由を説明していた受験生には,特に高い評価を与えた。大学や学部の特徴をよく調
べた上で,オープンキャンパスにおける模擬授業や説明会などで収集した情報を積極的な進路選択
に反映させている受験生の真剣さを高く評価した一方で,大学案内を単にコピーしたような表層的
な志望動機を書いた受験生には高い評価を与えることはできなかった。
「小論文」講評
今年度の課題は,それぞれの受験生が「継承の価値があると考える産業遺産」について経済史・
産業史の観点から調査・研究を行い,さらに,「その遺産に関連する産業」がどのような現状にある
かの分析,そして,関連産業の将来的展開を予測するというものであった。多くの受験生が高校生
ならではの視点からさまざまな産業遺産についての知見を深め,私たちが生きる現代社会の未来を
展望するという課題に真剣に向き合ったことは大いに評価するところである。今回得られた知識や
経験が今後の勉学や現代社会との積極的な関わり方に活かされることを期待したい。
以下では,小論文の内容を精読し,気づいた点や評価した項目を簡潔に述べる。
(1) 論文作成の方法について
・ 現地調査を含むインタビューがない研究が散見された。また,現地調査が観光地の単
なる訪問であったり,インタビュー先が調査目的を達成するには不十分である場合も
1
見受けられた。このような小論文には高い評価は与えなかった。反対に,インタビュ
ーを行った相手や日時,場所を明記し,質疑応答の内容を詳細にまとめ,それに関す
る考察を添付するという周到な小論文も見られ,こうした受験生には高い評価を与え
た。
・ 調査結果や参考文献が本文中の議論のどの部分の論拠となっているのかが不明な小
論文が多かった。せっかく行った調査や研究を自分の説明論理に活かし,アピールす
ることができないのは非常に残念であった。論理的な文章を構成するためには,論拠
に基づいて論ずることが重要であるため,論拠を読む人にそれと分かるように明示す
る必要がある。
・ 参考文献に信頼性の低いウェブサイトの記事ばかりを列挙している小論文も見られ
たが,そのような受験生には高い評価を与えなかった。説得的な論述のためには学術
的書物や時事的記事等を参照し,それらを十分に検討する必要がある。また,参考文
献のリストは必ず付けなければならない。
(2) 日本語表現について
・ 原稿用紙の使い方,句読点の付け方など作文の基本的ルールが守られていない小論文
も見られた。段落の区切りがなかったり,不必要に区切ったりする小論文も見られた。
小論文の作成にあたっては,文章やパラグラフを論理的に構成する必要がある。また,
誤字・脱字の校正にも細心の注意を払う必要がある。
・ 論理展開を急に中断して唐突に異なる論点に移るのではなく,全体としてまとまりや
流れのある論述になるように文章構成を工夫する必要がある。
(3) 内容および課題の受け止め方について
・ 課題では,自分が選択した産業遺産を経済史・産業史の観点から大局的に考察するこ
とを求めたが,対象の単なる歴史記述だけに終始してしまっている小論文が多かった。
審査においては,何よりも経済史・産業史の基本的な知識をベースにしているかどう
か,そして,その産業遺産が経済社会全体にどのような影響を及ぼしたか,および,
その動向を歴史的にどのように評価できるかといった論点に触れているかどうかを評
価基準とした。
・ 課題で求められたのは,
「産業遺産に関連する産業」の歴史的考察,現状分析および関
連産業の将来予測であったが,受験生のなかには地域振興や各種資源開発,その産業
の国際的使命等に本題が移ってしまい,課題が意図した本質的な問いに答えられずに
終わっている者も多かった。また,産業遺産の価値は必ずしも稼働遺産や観光資源と
して継続していることだけではないにもかかわらず,そのことにこだわる受験生も少
なくなかった。
・ 選択した産業遺産と産業との関連を論じる文脈において論理の飛躍が見られる小論文
も見られた。価値のある産業遺産と見なすアイディア自体は斬新であったにもかかわ
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らず,問題の意図を捉えきれていなかったために不合格となった受験生もおり,非常
に残念であった。
・ 綿密な調査・研究を行い,それに基づいて自分の説明を論理的に伝えることができた
受験生,産業遺産を選定する上での着眼点が独特で素晴らしい研究を行った受験生も
少なくなかった。これまでに注目されずにきたさまざまな対象を,先入観にとらわれ
ることなく若者のみずみずしい感覚で評価する姿勢は,いずれも高い評価に値するも
のであった。第二次選考(プレゼンテーション)におけるさらなる研究の発展を期待
する。
以
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上