親知らずのお話

城北歯科ニュース
第 18号
2009年1月号
発行 :石川勤労者医療協会
城北歯科
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親知らずのお話
城北歯科 歯科医師
郷真梨江
「親知らずを抜いたが、その後腫れて大変だった」なんて話を聞
いたことがあるかと思います。もちろん「自分で経験した!」と
いう方も多くいるでしょう。確かに親知らずの抜歯は他の歯と比
べて困難な場合が多く、歯を抜いた後の腫れや痛みが出やすい傾
向にあります。
そもそも親知らずとは何なのか、なぜ親知らずは抜かなくてはい
けないことが多いのか・・・今回は親知らずについてお話をしまし
ょう。
親知らずとは・・・
親知らずは正式には「第三大臼歯」といい、大人になってから生えてくるため「親が知らない」ので
この名前がつきました。知恵がついてから生えるので別名「智歯」ともいいます。現代人は歯が退化
する傾向にあり、上下左右の親知らずのどれかが最初からない場合もあります。
現代人の顎と親知らずの関係
現代人は加工された食物を食べ、硬い食物を食べる機会が昔の人(例えば江戸時代の人)と比較して減
っているので、顎の骨が昔の人より華奢で小さくなっています。ところが歯の大きさは昔の人と比べ
て余り変化していません(むしろ大きくなっているという調査結果もあ
るくらいです)
。そうすると、大人の歯(永久歯)で最後
できないので、斜めに生えてきたり、歯茎の下に全部
あるいは半分埋もれていたりすることが多くなります。
このように中途半端にお口の中に顔を出した「親知ら
ず」が色々悪さをするのです。
ウラも、読
んでね!
に生えてくる「親知らず」は生える場所が十分に確保
親知らずの生え方いろいろ・・・
ここで生え方の違う親知らずのレントゲン写真をいくつかご紹介しましょう。
まずは、ほぼ正常に生えている親知らずです。これならば
あまり問題は生じず、
「第三大臼歯」として立派に機能します。歯磨きを
しっかりしていれば虫歯にもなりにくく、前の歯の状況次第ではブリッ
ジに使う場合もあるので安易に抜歯はしません。
親知らずが生えるスペースが不足すると、斜めに生えてお口の中に半分
しか顔を出せません(これを半埋伏といいます)
。
これでは歯と歯茎の間に歯垢が溜まりやすく、そこから細菌感染して炎
症を起こしやすいのです。細菌感染をして炎症を起こした状態を「智歯
周囲炎」といいます。また親知らずばかりでなく、その手前の歯も虫歯
になりやすくなります。抜歯するには、歯茎を開いて歯をいくつかに切
断して抜く場合が多いです。
これは、顎の骨の中に完全に埋まっている状態(これを完全埋伏といいま
す)です。しかも水平に倒れています(水平埋伏)
。この状態で、先程の「智
歯周囲炎」を起こした場合には、歯茎を開いて親知らずを覆っている骨
を一部取り除いて抜歯する必要があります。
やや困難な処置になります。
骨を削ったり歯茎を開いたりするので、抜歯後に腫れや痛みが出る場合
が多いです。
炎症を度々起こしたり深い虫歯になった親知らずは、応急処
置が済んだら、抜歯後に多少腫れや痛みが出ても大丈夫な時
期(お仕事や学校の都合をつけられるとき)を見計らって抜歯
しておいたほうが無難です。当院では、難しい場所に埋まっ
ている親知らずの抜歯の際には、国立・県立病院や大学病院
など大きな病院の口腔外科(口の中の外科的処置を行う歯科
の専門科)と連絡を取り合って抜歯を受けに行って頂く場合
もあります。
また、まっすぐ生えている親知らずの歯磨きに適した歯ブラ
シ等もあるので、一度ご相談下さい。