岡谷小学校周辺斜面安全対策検討業務業務計画書

岡谷小学校周辺斜面安全対策検討業務業務計画書
株式会社長野技研
１．業務の目的
岡谷市山手町地区は塩嶺高原東部の丘陵地にあり，急傾斜地が多く，法律により次のような
区域指定がされています．（図-1）
岡谷小学校
急傾斜地崩壊危険区域
土砂災害特別警戒区域
土砂災害警戒区域
図-1 岡谷小学校周辺の急傾斜地に関する区域指定状況（「信州くらしのマップ）より）
本業務は，岡谷小学校の東側・南側の軟弱な盛土斜面について，斜面下側の住宅等の保全
対象の安全を確保するための解析・検討行うものです．
２．斜面安定解析手法
本業務では，斜面上の軟弱地盤の安全性を，斜面内のすべり面が発生することを想定して，
その安定計算から算出される「安全率：Fs」から判断します．
(1) 推定すべり面
円弧すべり面もしくは任意形のすべり面を推定して安定計算を行います．
円弧すべり：
すべり面の形状を円弧と考え，繰り返し安定計算を行って安全率が最
小になるすべり面を求めます
任意形すべり面：
潜在地すべり（過去に発生した地すべり）や地層境界で発生するが予
想されるすべり面
管理教室棟(投影)
円弧すべり面
Bs
水位線
最高
Ts
軟弱層
W3
Bs
W3
W1
Ts
W2
支持層
W3
W1
(1) 円弧すべり（例）
南校舎（投影）
Lm
W3
Bs
任意形すべり面
W3
Ts
Lm
位線
最高水
W2
Ts
潜在地すべり
W1
(2) 任意形すべり面（潜在地すべり）
図-2.1 推定すべり面（例）
W2
支持層
W1
(2)安全率(Fs)の計算法
すべり面の安全率は次の計算式で求めます．（図-2.2参照）
すべりに抵抗する力
Σ{C・l＋(W･cosα－u･l・cos 2 α)・tanφ}
Fs＝
・・・・（一般的に多く用いられる式）
Σ(W・sinα)
すべり起こそうとする力
①すべり面上の土塊を複数のスライスに分割
②スライス毎にＡ・Ｂを求める
③Ａの合計とＢの合計の比が安全率となる
d
(Fs＝ΣＡ／ΣＢ)
B.すべりをＢ.すべりに抵抗する力
起こそうとする力
W：スライスの重量
：すべり面の内部摩擦角
C ：すべり面の粘着力
u ：スライスにかかる間隙水圧
α ：すべり面と水平面とのなす角
φ
W
W・sinα
α
L
すべり面
Ａ.すべりに抵抗する力
2
C・l＋(W･cosα －u･l・cos α )・tanφ
図-2.2 すべり面の安定計算の概念図
この式より，
○安全率が1.0より小さい・・・・不安定な状態（危険）
○
〃
1.0より大きい・・・・安定している状態・・・・安全率が大きいほど安全
対策工は安全率が1.2（地震時は1.0）以上となるように検討します．
※ 解析手法及び解析式は，対策工法によって変更となる場合があります．
３．解析・検討
解析は以下のとおり行います．（図-3(1)～(3)参照）
Ⅰ．現況の安定計算
現況の地形において安定計算を行い，繰り返しによって安全率が最小となるすべり面を求
め，そのすべり面の安全率を1.0として，次の安定計算に使用する軟弱層の土質定数（φ：内
部摩擦角，C：粘着力）を推定します．
校舎(投影)
W3
推定すべり面
Bs
水位線
最高
Ts
軟弱層
W3
Bs
W3
W1
Ts
W2
支持層
W3
W1
W2
図-3(1) Ⅰ．現況の安定計算
Ⅱ．対策工法の検討
対策工法は，安定計算により安全な形状（安全率1.2以上）で経済的な方法を提案します．
軟弱層掘削
移　動
抑え盛土
W3
動
移　Bs
水位線
最高
Ts
軟弱層
抑え盛土
W3
Bs
W3
W1
集水ボーリング
Ts
W2
支持層
W3
W1
W2
推定すべり面
図-3(2)
Ⅱ．対策工法の検討（一例）
４．検討断面
Lm
次の３断面で検討します
管理教室棟(投影)
W2
W3
W1
Bs
水
最高
Ts
軟弱層
位線
W3
Bs
W3
W1
Ts
W2
支持層
W3
W1
W2
(1) Ⅰ測線
南校舎（投影）
WC
W3
Lm
W3
Bs
最高
W3
W2
W2
Ts
Lm
水位線
W1
支持層
W1
W2
Ts
潜在地すべり
W1
(2) Ⅱ測線
Ts
管理教室棟
南校舎
北校舎
(花)
Lm
Bs
Bs
W3
Ts
W3
W2
W2
Ts
Lm
W1
W3
W2
W3
W2
Bs
W3
支持層
W2
W1
W2
支持層
W1
W1
(3) Ⅴ測線
図-4.1 検討断面
BV-5
プレファブ倉庫
南体育館
BV-4
渡廊下
プール
給食室棟
No.3
北体育館
物置
窯
プール
渡廊下
花壇
No.1
渡廊下
Ｗ
プール附属建物
便所
北校舎
BV-7
南校舎
花壇
No.2
線
Ⅳ測
花壇
BV-3 BV-3-2
花壇
管理教室棟
BV-3-3
池
No.5
No.4
キュービクル
花壇
BV-2
凡　例
S-1
BV-8
Ⅴ測
線
BV-1
BV-6
BV-9
BV-3-3
BV-2
H23～24年度の
ボーリングと測線
(歪計・水位計あり)
BV-7
H18・H25年度地盤調査
ボーリングと測線
(歪計・水位計なし)
S-1
Ⅵ
測線
H25年度ボーリング
（孔内傾斜計)
地盤伸縮計
湧水
Ⅰ測線
線
線
Ⅱ測
Ⅲ測
図-4.2 検討断面位置

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