資料10

人間計測の方法
10.ユーザビリティテストに用いられ
る手法
ユーザビリティの位置づけ
システムはその機
能をもっているか
目的を達成でき
るか
ユーザはその機
能を使えるか
ヤコブ・ニールセン 「ユーザビリティエンジニアリング」
ユーザビリティを調べる方法
1. パフォーマンス評価
– エラーや反応時間など課題の成績を見る
2. インタラクション評価
– 観察、プロトコル分析など
3. 主観評価
– アンケート調査など
• ユーザビリティテストの対象者
– 健常者
• 画面を理解しているか?やりたいことができているか
?良く起こす間違いや勘違いは?特徴的な行動はな
いか?
– 高齢者
• コントラストや文字の大きさなどの視覚的な困難、ボタ
ンの押しやすさなどの身体的な困難、記憶や理解など
の認知的な困難
– 障害者
• 適切な代行手段が与えられているか?
プロトコル分析法
• 認知過程は非常に複雑なのに対し、測定で
きる行動データは単純である
• ⇒課題遂行中に作業者が考えている事柄や
頭に思い浮かぶ事柄を発話⇒発話内容を言
語データとして記録・分析する
– 認知過程(理解、問題解決、意思決定など)の研
究
– 情報機器、ソフトウェアなどのユーザビリティ評価
発話を引き出す方法
• 発話思考法:課題遂行中に頭に浮かぶ事柄
、考えている事柄をそのまますべて声に出し
て言ってもらう
– 発話時点で短期記憶にある事柄については,報
告可能であると考えられている
• 構成的相互作用法:グループで発話しながら
協調的に課題を行う
• 発問法:実験参加者が実験者に質問しながら
課題を行う
• 良質な発話データとは
• 発話が豊富であること
• 発話に歪みがないこと(特定の観点に偏っているなど)
• 発話内容を時系列に沿って記録した言語デ
ータを発話プロトコルと呼ぶ
– 期待される発話内容
•
•
•
•
作業者の行為の意図
期待した結果
結果に対する評価
期待と実際の結果との差をどう解決するか
• 実験方法
– 実験環境について
① 実験参加者のみ
② 実験者が同席:仮想的な「受け手」の存在により自然
な発話が期待される。実験者がタイミングよくプロン
プトを出せる
– プロンプト:発話を促すことば 「どうしました?」「なにをしよう
としていますか?」 単純な言葉で、必要最小限にとどめる
• 実験前の準備ー良質な発話を引き出すために
– 実験参加者の緊張を取り除き、実験者との間で安心
して発話できる関係を築く
– 課題遂行中に発話することの意味について十分理解
してもらう
• 課題の成功/失敗を調べるのではなく、課題遂行過程にお
ける過程を調べることである
• 頭に浮かんだこと、考えていること、感じたことをそのまま声
に出すこと
• 実験参加者の側で、どのような発話には意味があるかなど
の価値判断をしないこと
• 発話から実験参加者自身を評価するのではないこと
– 簡単な課題を用いて発話の練習を行う
• データ分析
– テキストの形に書き起こす(熟練者でも実記録時
間の2倍かかる)
– ビデオや打鍵記録などから行動記録を書き加え
る
• モデルに基づき発話プロトコルを記述する
– セグメンテーション
• 分析単位を定めて,分析単位ごとに区切る
– 経過時間、一定時間の沈黙、課題作業の構造的な区切り
– エンコーディング
• 各セグメントを特徴づける語を定義する⇒属性セット
• セグメントに語彙をあてはめる
• エンコーディング結果に基づき分析する
「問題解決活動としてのwww情報探索」
斉藤ひとみ、三輪和久
認知科学10(2) 2003年
実験方法
質問:韓国の昔からの婚礼で新郎新婦に向
かって撒かれた植物とは何?
情報探索中の発話のプロトコル分析
熟練者と非熟練者の
探索行動の違いに注目
探索行動のモデル
エンコーディング
キーワード
キーワードを入力して検索
空間
セグメンテーション
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PD:Prediction
EV:Evaluation
OT:Other
プロトコル分析のポイント
・発話だけによらない
・ビデオに頼らずその場で観察・分析
・分析の視点を事前に準備
ユニバーサルデザイン
不特定多数の人が利用するものは誰にとっても
使い易くなくてはならない
・健常者と障害者に共通のデザイン
・障害者専用のデザインを付加