社会思想史B

電通大・2015 年度後期
社会思想史B
社会思想史B
担当講師:庄司俊之
1.社会思想史とは…情報、豆知識を得るためだけでなく、
1)歴史 ― 骨董趣味というよりも、
「今」を照らし出すもの。
2)社会 ― 「自己」を取り巻いているもの、
「自己」の立ち位置を明らかにするための関心事。
3)思想 ― たんにものごとを説明するのでなく、一歩踏み込んで、感じる、理解する、行動する。
2.私事―今回のテーマに入るまえに…
1)ターミナルケア(終末期医療)への関心…30人(多過ぎず少な過ぎずの人数)の死に立ち会う
→ 死にゆくひとを目のまえにしたときに、死後のことを一度も考えたことがないというのではダメで、
なんらかの理解がなければきちんと見送れないという(宗教的?)感覚が湧いてきた。
→ 死んだらそれで終わりというのではなく、死者とのつながり、死者との約束という想念に実感が。
2)東日本大震災…こういう授業をやっていると、なんらかの反応をする責任も。
→ 震災後、戦後日本のあり方を問い返す出版物が多く出たが、そのなかで「死者とのつながり」が大
切だという主張がかなり多く見られた。震災前にはなかったこと。
→ そうした論がやや過剰に強調されている傾向にあることには注意も必要だろう。
→ が、もろもろを留保したうえで、トータルでは同意する。
3)震災後の議論のタイプ
震災後の議論のタイプ
a) 技術論:津波のメカニズムの研究→強固な防波堤の建造
b) 学校や地域社会=現場:避難訓練の充実
c) 行政:支援システムの構築…ボランティアのコントロールなど ・・・などなど
人災:原発、原爆、戦争、津波被害をめぐる人的契機・・・
「人間が起こす問題は人間が解決できる」
「 悲劇 を繰り返すな!」
天災:津波
否応なく繰り返してしまう「悲劇」はどこへ行ってしまうのか?
技術でも行政でも救い切れない個々の悲劇は、
個々が引き受け、
個々がつきあっていかねばならない。
だが、それは誰が論じるのか?
テーマ
4)
「悲劇」の語りの問題・・・マスコミなどにおける、
→ そこから被災者たちが生きる力を得ることもあるだろうが、画一的だったり、所詮他人事という
視線が密かに潜んでいたりしないだろうか?
3.ニーチェ『悲劇の誕生』
・・・ウェーバー、アドルノ、ベンヤミン、フーコー、ドゥルーズなどに影響を与えた 19 世紀末の思想家
→ 失われたのは悲劇の精神であるという主張
→ ふつう、悲劇は避けるべきもの、繰り返してはならないものと見なされるが、ここでは逆!
→ これを手掛かりにして考えを深めることができないか?
4.ニーチェからはじまるいくつかの問い
ニーチェからはじまるいくつかの問い
1
ニーチェにおける「悲劇」
2
応用例としてのフーコー
前期ニーチェ
① 「狂気の歴史」
↓
アリストテレスの悲劇概念
4
② 「監獄の誕生」
後期ニーチェ
= ニーチェの仮想敵
3
演劇史のなかの悲劇
5
ふたたび現代へ
① ギリシャ悲劇「オイディプス王」
② シェークスピアの4大悲劇
③ 現代の不条理劇-ベケット「ゴドーを待ちながら」
授業では以上の項目を話します。
(シラバスを参照のこと)
5.授業のすすめかた/テスト等について
◎ 授業の性質上、とくに予習復習が必要ということはありません。
◎ ただし、授業で使う資料はシラバス上の「参考 URL」に前日アップ
URL」に前日アップします。各自 DL のこと。
◎ テキストは使いません。参考書は適宜紹介します。出欠はとりません。
(時々とるかも?)
◎ 試験期間中に試験を実施します。
簡単な語句テストと文章題の予定です。
出題内容は事前にお知らせします。ご心配なく、きちんと聞いていれば大丈夫なはず。
◎ 一発勝負の試験はどうしても苦手というひとのためにレポート課題も出します。
とっても後ろ向きなひと、もしくはとっても前向きなひとはどうぞ。