両面テールアルメ設計・施工ガイドライン

両面テールアルメ設計・施工ガイドライン
2015 年 1 月
日本テールアルメ協会
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無断転載禁止(日本テールアルメ協会)
第1章 総
設
1.1 適用範囲
本ガイドラインは,両面テールアルメの設計・施工に適用する。
本ガイドラインは,
「補強土(テールアルメ)壁工法 設計・施工マニュアル 第4回改
訂版」1)及び「スーパーテールアルメ工法
設計・施工ガイドライン」2)に示されたテール
アルメとスーパーテールアルメによる両面テールアルメの設計と施工に適用するものであ
り,日本テールアルメ協会が作成したものである。なお,本ガイドラインにでは,「補強土
(テールアルメ)壁工法
ルアルメ工法
設計・施工マニュアル
第4回改訂版」1)及び「スーパーテー
設計・施工ガイドライン」2)の内容と重複する箇所については省略した。
両面テールアルメの実施に当たっては,本ガイドラインによるほか,以下の基準・指針
類に準じて行う。
「補強土(テールアルメ)壁工法
設計・施工マニュアル
第4回改訂版」(平成25年;
土木研究センター)
「スーパーテールアルメ工法 設計・施工ガイドライン」(平成27年;日本テールアルメ
協会)
「道路構造令の解説と運用」(平成16年;日本道路協会)
「道路橋示方書・同解説�下部構造編」(平成24年;日本道路協会)
「道路橋示方書・同解説_耐震設計編」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工要綱」(平成21年;日本道路協会)
「道路土工-擁壁工指針」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工-軟弱地盤対策工指針」(平成24年;日本道路協会)
「道路土工-盛土工指針」(平成22年;日本道路協会)
「道路土工-切土工・斜面安定工指針」(平成21年;日本道路協会)
「防護柵の設置基準・同解説」(平成20年;日本道路協会)
「道路照明施設設置基準・同解説」(平成19年;日本道路協会)
「道路標識設置基準・同解説」(昭和62年;日本道路協会)
「地盤調査の方法と解説」(平成25年;地盤工学会)
「地盤材料試験の方法と解説」(平成21年;地盤工学会)
「冬期土工設計施工要領」(平成11年;通年施工推進協議会)
なお,これら準拠する基準・指針類が改訂され,参照する事項について変更がある場合
は,新旧の内容を十分に比較した上で適切に準拠するものとする。
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1.2
適用に当たっての基本
両面テールアルメの適用に当たっては,「補強土(テールアルメ)壁工法
ニュアル
第4回改訂版」1)あるいは「スーパーテールアルメ工法
設計・施工マ
設計・施工ガイドラ
2)
イン」 および本ガイドラインに従い,計画・調査・設計・施工・維持管理を適切に実施し
なければならない。
両面テールアルメの適用に際し,計画から調査,設計・施工・維持管理の各段階での実
施担当者は,テールアルメ及びスーパーテールアルメの力学的な特性や変形・破壊メカニ
ズム,要求される性能,さらに,その確保と維持のために必要となる条件を十分に理解し,
これらのマニュアルの各章に示された内容に従って,適切に計画,調査,設計,施工,維
持管理を実施しなければならない。
1.3 用語の定義
本ガイドラインで用いる主な用語の意味は,以下のとおりとする。
(1) 両側に壁面を有するテールアルメ
テールアルメ及びスーパーテールアルメが背中合わせに設置された構造となるテール
アルメ及びスーパーテールアルメの総称。それぞれのテールアルメ及びスーパーテールア
ルメのストリップの後端の距離に応じ,独立型,連接型,はめ込み(嵌合)型がある。
(2) 両面テールアルメ
両側に壁面を有するテールアルメの内,連接型とはめ込み(嵌合)型の総称。
(3) 独立型
両側に壁面を有するテールアルメの内,それぞれのテールアルメ及びスーパーテールア
ルメのストリップの後端が離れた構造のテールアルメ及びスーパーテールアルメ。両面テ
ールアルメには含まれない。
(4) 連接型
両面テールアルメの内,それぞれのテールアルメ及びスーパーテールアルメのストリッ
プの後端がほぼ接した状態の構造のテールアルメ及びスーパーテールアルメ。
(5) はめこみ(嵌合)型
両面テールアルメの内,連接型に比べ,それぞれのテールアルメ及びスーパーテールア
ルメがより接近してストリップ同士がはめ込んだ状態となる構造のテールアルメ及びス
ーパーテールアルメ。嵌号型ともいう。
(6) 嵌合
両面テールアルメのそれぞれのテールアルメ及びスーパーテールアルメのストリップ
同士がはめ込まれた状態をいう。
ここで示した用語は,本ガイドラインで取扱う基本的な事項について定義したものであ
り,その他の用語に関する定義は「補強土(テールアルメ)壁工法
設計・施工マニュア
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第4回改訂版」1)及び「スーパーテールアルメ工法
ル
設計・施工ガイドライン」2) を参
照されたい。
図-1.1 両側に壁面を持つテールアルメ(独立型)
連接型
はめ込み(嵌合)型
図-1.2 両側に壁面を持つテールアルメ(両面テールアルメ)
第 2 章 目的と構造
2.3
2.3.3
両面テールアルメの詳細構造と使用材料
盛土材料
両面テールアルメに使用する盛土材料は,
「補強土(テールアルメ)壁工法 設計・
施工マニュアル
第4回改訂版」1)における〔A〕材料を使用することを原則とする。
両面テールアルメは路肩に用いられることが多く,通常のテールアルメ及びスーパーテー
ルアルメに比べ高い施工精度を求められる。また,両面テールアルメにおける一方の壁の
変位,変形等により再施工となった場合,反対側の壁にもその影響が及ぶために,盛土材料
には,良質な〔A〕材料を使用することを原則とした。
第5章 設
計
5.2 部材の安全性及び両面テールアルメの安定性の検討
5.2.1
部材の安全性の検討
両面テールアルメの部材の安定性の検討は,片側ずつ単独で実施する。
両面テールアルメの部材の安定性の検討は,これまでの施工実績において大きな変状が
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確認されていないことから判断して,従来通り片側ずつ独立したテールアルメとして実施
することとした。なお,この時の設計方法等は,「補強土(テールアルメ)壁工法
施工マニュアル
第4回改訂版」1)及び「スーパーテールアルメ工法
設計・
設計・施工ガイド
ライン」2)に従うこととする。
5.2.2 両面テールアルメ自体の安定性の検討(外的安定検討)
両面テールアルメ自体の安定性の検討は,両側のテールアルメ及びスーパーテールアル
メを一つの構造物として検討を実施する。
両面テールアルメの補強領域は接しているか,部分的に嵌合しているために一体化して
いると考えられる。このため,両面テールアルメ自体の安定性の検討は,この一体化した
補強領域を一つの疑似的な構造物として検討を実施することとした。なお,この時の設計
方法等は,
「補強土(テールアルメ)壁工法 設計・施工マニュアル
び「スーパーテールアルメ工法
5.2.3
第4回改訂版」1) 及
設計・施工ガイドライン」2)に従うこととする。
両面テールアルメを含む全体安定の検討
両面テールアルメを含む全体安定検討は,両側のテールアルメ及びスーパーテールアル
メのストリップを考慮して実施する。
両面テールアルメの補強領域は接しているか,部分的に重なり合っているために全体の
安定の検討において相互に影響を及ぼしていると考えられる。このため,両面テールアル
メを含む全体安定の検討は,対となるもう一方のテールアルメ及びスーパーテールアルメ
のストリップの影響を考慮して実施するものとした。なお,この時の設計方法等は,「補強
土(テールアルメ)壁工法
ールアルメ工法
設計・施工マニュアル
第4回改訂版」1)及び「スーパーテ
設計・施工ガイドライン」2)に従うこととする。
5.6 構造細目及び付帯する構造
5.6.1
ストリップの配置
ストリップの配置は,表-5.1 の値を下回らないものとする。
(1)最小ストリップ長
従来から両面テールアルメのストリップ長は1種類とし,長方形断面の補強領域とする
ことが望ましいとされてきた。この時の構造細目は,図-5.1
c)となる。これは,テールア
ルメ内に無補強部分を残さないための配慮である。しかしながら,無補強部分が特に弱点
となった例がないことや,嵌号の度合いが増えると,図-5.1 a),b)の構造細目であっても
無補強部分が残ることがないことなどから,両側の壁の距離(B)がB≧1.0・Ha,0.8・Ha>B
≧0.7・Ha となる両面テールアルメの構造細目を一般のテールアルメと同様に図-5.1 a),b)
とした。なお,一方のテールアルメのストリップがもう一方のテールアルメの主働領域に
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侵入するとみなす1.0Ha>B≧0.8Haの場合の構造細目を図-5.1 c)とした。Bがさらに小さく
なり,0.7Ha>B≧0.6Haとなる場合の構造細目は図-5.1 d)である。
表-5.1
テールアルメの種別
a)
B≧1.0・Ha,0.8・Ha>B≧0.7・Ha
(嵩上げ盛土高が 2m 未満のとき)
0m≦H1<2m
b) B≧1.0・Ha,0.8・Ha>B≧0.7・Ha
(嵩上げ盛土高が 2m 以上のとき)
H1≧2m
c) 1.0Ha>B≧0.8Ha
d) 0.7Ha>B≧0.6Ha
最小ストリップ長
着目箇所
上段付近
下段付近
上段付近
下段付近
全
全
段
段
ストリップ
の最小長さ
LSD 注)
0.7・Ha
0.4・Ha ,
かつ,4m
0.7・Ha
0.4・ Ha ,
かつ,4m
0.7・Ha
0.6・Ha
最小長さのストリップの配置区域
Ha の上端より 0.5・Ha 以上
テールアルメ下端より 0.3・Ha 以下
Ha の上端より 0.6・Ha 以上
テールアルメ下端より 0.3・Ha 以下
全
全
段
段
注)LSDは構造細目から決まる最小ストリップ長である。
図-5.1
両面テールアルメの最小ストリップ長
(2)設計上の配慮
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はめ込み(嵌合)型の両面テールアルメの場合には,図-5.2に示すように平面的なスト
リップの重なりをできるだけ避ける構造としておくのがよい。
両側のストリップが重なる場合には,これを避けるよう,両側の壁位置を延長方向にわず
かにずらす(0.25m程度)などの設計上の配慮をしておく事が望ましい(a)。この理由は,ス
トリップの引抜き抵抗力を算定する際に,テールアルメの標準的な設計では土との摩擦力
がストリップの上下両面に働くものと考えていることによる。しかしながら,直接取付け
道路に適用されるような場合には,このような方法が難しく,数値的に左右のストリップ
が同一の位置に配置されることもある。このときには,施工時に左右のストリップを互い
に前後(壁面延長方向)に振って,重なりを避けるようにしなければならない(b)。また,
設計時に片側の壁の基礎の高さを盛土工1層の仕上がり高さ分低くすることで左右の壁の
ストリップの敷設高さをずらすことも有効である(c)。
(平面図)
(c)
(断面図)
図-5.2 はめ込み(嵌合)型のストリップの配置方法
また,一方のストリップの後端がもう一方の壁背面から 1.0mの人力施工範囲に侵入する
場合には,設計に用いた摩擦係数を確実に得ることを目的として,壁面背面排水層を 1.0m
以上とすること。
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第6章 施工
6.2
6.2.7
施工方法
盛土材料の敷均し,締固め
両面テールアルメは,盛土材料の敷均し,締固めの際にストリップがたるまないように建設機械を
走行させなければならない。
両面テールアルメの盛土材の敷均し・締固めに当たっては, 一方の壁が変位,変形等によ
り再施工となった場合,反対側の壁にもその影響が及ぶため,慎重かつ入念な施工が必要
である。また,両面テールアルメは一般に図-6.1 に示すように,幅員が狭いため,盛土材
料のまき出し,敷均し及び締固めの際の建設機械の走行には以下の点に注意を払わなくて
はならない。
① 壁際 1.0mの人力施工範囲の作業員との接触
② 建設機械の走行によるストリップのたるみ
ストリップのたるみは,後に壁面の変形につながるため,建設機械の走行は図-6.1 に示
すように,ストリップがたるまないように建設機械を走行させる手順を検討し,実施しな
ければならない。
なお,施工機械の選定に当たっては,両面テールアルメの盛土工は,狭隘な施工環境とな
るため,周辺施工環境を考慮して選定を行うこと。小型の建設機械しか使用できない場合
には,盛土の 1 層の仕上がり厚さを小さくするなどして,必ず所定の締固め度(JISA 1210
のA,B法による最大乾燥密度の 95%以上,または,C,D,E法の 90%以上)を満足し
なければならない。
1m
1m
スキン
図-6.1
両面テールアルメにおける盛土材の敷均し
6.2.5 スキンの組立て
両面テールアルメにおけるスキンの組立時の鉛直制度の確認は常に実施すること。
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両面テールアルメの施工において壁面の鉛直精度を確保するために,「補強土(テールア
ルメ)壁工法
設計・施工マニュアル 第4回改訂版1) 6.2.5(1)コンクリートスキンの組立て」
に示したコンクリートスキン設置時の盛土側に後傾させる程度を,施工環境を考慮した上で,通常
に比べ多めに設定するとよい。ただし,両面テールアルメは路肩に設けられる場合が多いので,出
来高が不足し,道路幅員が確保できなくなるようなことのないよう,鉛直精度の確認を常に実施し,
その結果を参考にして,コンクリートスキン設置時の後傾の程度をコンクリートスキン個々に調整す
ること。
<参考文献>
1) 一般財団法人土木研究センター:補強土(テールアルメ)壁工法
設計・施工マニュア
ル第4回改訂版,2014.8
2) 日本テールアルメ協会:スーパーテールアルメ工法 設計・施工ガイドライン,2015.1
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