in 大阪 ~処分地の適性と段階的な選定の

全国シンポジウム「いま改めて考えよう地層処分」in
~処分地の適性と段階的な選定の進め方~
開催概要
1.日 時:
2015 年 10 月 16 日(金)13:00~15:33
2.場 所:
梅田スカイビル タワーウエスト3階 ステラホール
大阪
大阪市北区大淀中 1-1
3.主 催:
経済産業省資源エネルギー庁
原子力発電環境整備機構(NUMO)
4.後 援:
文部科学省、日本原子力研究開発機構、日本経済団体連合会、
日本商工会議所、 経済同友会、全国商工会連合会、日本原子力学会、
電気事業連合会、 関西電力株式会社
5.参加者:
307 名
6.当日概要(敬称略)
:
(1)開会あいさつ
:関 総一郎 (近畿経済産業局長)
(2)パネルディスカッション
■パネリスト
・杤山 修(原子力安全研究協会 技術顧問、地層処分技術WG委員長)
・亀井玄人(日本原子力研究開発機構 基盤技術研究開発部長)
・小林大和(資源エネルギー庁 放射性廃棄物対策課長)
・梅木博之(原子力発電環境整備機構 理事)
■モデレーター
・松本真由美(東京大学 教養学部 客員准教授)
(3)質疑応答
7.内 容(敬称略、説明順)
(1)パネルディスカッション(概要)
【自己紹介】
【進め方の説明、事前質問の紹介】
【高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた新たな取組について】
松本 今年の 5 月に国は基本方針をなぜ改定したのか。
小林 2007 年の高知県東洋町応募以降の進展がないこと等の反省から、国としてこれまでの
やり方を抜本的に見直した。
【処分地の適性の考え方】
松本 なぜ地下深くに処分する事がベストと考えられているのか。
梅木 地下深部は人間の生活環境から隔離され、酸素が少なく、物の動きが非常に遅いとい
う特徴があり、放射性廃棄物の隔離・閉じ込めに適している。
松本 色々な地層があると思うが、どのような地層でも同じなのか。
亀井 日本は堆積岩と結晶質岩がだいたい半々。いずれの岩種でも地下深部には地層処分に
適した環境が備わっている。
松本 日本では火山、地震の不安があるが、地下深部はどこでも大丈夫なのか。
梅木 地層処分に著しい影響を及ぼす可能性のある火山活動、断層活動、隆起・侵食といっ
た天然現象が認められれば、これを避ける必要がある。
松本 適した場所は残るのか。
杤山 悪い条件がたくさんあるように思えたかもしれないが、実際には火山とか活断層はご
く限られた場所にしかない。そこを避ければ、一般的に地下は地層処分に適している。
松本 処分場に適さない場所の説明を受けたが、適した場所の確認方法を教えてほしい。
梅木 3 段階の調査による十分なデータ収集、安全裕度をもたせた施設設計、得られたデー
タとコンピュータによる将来の環境影響の予測に基づく安全評価、、規制機関の審査
による。これは世界的にも同じ。
【段階的な処分地選定と科学的有望地の位置づけについて】
松本 科学的有望地とはどんなものなのか。
小林 日本全体を、適性が「高い」
「ある」
「低い」の大きく 3 つに分けて地図として提示す
ることを検討中。これにより国民の関心や議論の深まりを期待。処分地選定に至る長
い道のりの最初の一歩。
(2)質疑応答
質問者1
・核のゴミは 10 万年管理する必要があり、地震活動期に入った日本では実現は不
可能。本日の説明資料にフィンランド、スウェーデンがあるが、国際的に処分方法
は確立していない。
・将来世代にツケを残さないと言うが、原発を止めるとか、再処理をやめるとかの
根本的なことをしないで、こういったシンポジウムを行っても、説得力が無い。
・これまで最終処分費用用にどれだけ積み立てられ、広告・広報などにどれだけ出
費しているのかを明らかにしてほしい。
梅木 今日までの50年間、国際的に地下深部に安全に隔離できる構造物を造り上げること
ができるかについてずっと議論されてきた。将来のことのため、不確実な部分は現
在でも残っているが、その不確実性を勘案しても、現在考えられる技術で少しずつ
計画を進めていくことは可能であろうと国際的にも考えられており、スウェーデン
とフィンランドでは許認可申請まで行っている。許認可申請とは社会の中で最終的
に容認するかしないかという判断を行おうとする段階であり、決して技術が確立し
ていないということではなく、慎重な判断は必要だが、技術的な積み重ねは決して
否定されるものではない。また、国際原子力機関(IAEA)では、地層処分を実際に
行うための国際的に通用する基準類、あるいはガイドラインなどが既に整備されつ
つある。
小林 国全体として電気を利用している。この数年原発ゼロできたが、化石燃料を使い、
国富を流出してきた。今後のことを現実的に考えると、原発を使わざるを得ない。
推進ありきではない。10 年 20 年先の将来世代に対し、どんな人材を残し、どんな
技術を残すか議論してきた。原発を即やめよという意見に対しても向き合ってきた。
しかし、今仮に原子力をやめると判断しても目の前の問題は片付かない。みんなで
考えるべき大きな話。国民から頂くご意見は、原子力にたずさわる者として肝に銘
じていく。
梅木 高レベル放射性廃棄物の最終処分費用は、約 2 兆 7 千億円が見込まれており、その
約 1/3 の約1兆円が既に電気料金の中から積み立てられている。費用の支出は、国
の監査を受けており、ムダには使っていない。本日のシンポジウムのように、みな
さまの意見を聞くことに使わせていただいている。具体的な数字は公開されている
ので、詳しくは NUMO へ問い合わせください。
質問者2
・5 月に国の方で方針を示した後に、自治体向けに非公開で説明が行われた。どん
な内容だったのか。
・スウェーデンの例をひいて説明されるが、国民性や原発の進み具合が違っており、
日本にはあてはまらないのではないか。
小林 5 月の自治体説明会は、5,6 月に 9 カ所で行ったシンポジウムと同じ内容を同じ資
料に基づいて各都道府県の市町村の担当者の方に説明したもの。そのことは国の審
議会でも報告しており、その資料は全部公開をされている。非公開というのは、重
要な意見交換ができるように、プレスの方などの入室はご遠慮いただいたという意
味。
梅木 スウェーデン、フィンランドについては、当初より科学的に適性のある場所を国あ
るいは事業者が示して、皆さんに考えていただくという事業の進め方について学ぶ
べきところがある。日本との違いについては、地質環境は明らかに異なるが、そこ
は各国が十分に調査した上で判断する。スウエーデン、フィンランドの地質は氷河
に覆われていたので、氷河がとけた後、陸地が大きく隆起すると言われているが、
氷河は日本では考える必要はない。また、スイスにはアルプス造山帯という極めて
高い山が連なり、非常に大きな構造運動を起こしている場所かつ非常に面積の狭い
国。そういった中でも、適地を探す努力をして実際にそこを探す事ができるような
状況にある。日本においても火山の動きとか活断層の状態を十分把握して、適地を
選んでいくことは可能。
質問者3
・300m以深の高深度の地下への地層処分について、300mの根拠がどこにあるのか
・熱を加えた岩のストレスとか地下深部になると水の動きが遅いことなどのデータ
については、海外のデータを使っているのか。それとも日本自身が研究してデータ
をとっているのか?
梅木 地下 300mよりも深い所に埋めると法律に書かれる時点で、諸外国での考慮深度や
その理由が調べられた。1つは地表に降った雨は酸素をたっぷりと含んで地下へ入
っていくが、日本で地下 100~200m位までそれが届いている事例があった。ここか
ら 300mが酸素の少ない条件として議論された。もう 1 つは隆起浸食を考慮して、
米国が当時サイト選定クライトテリアとしていた 300mが参考にされた。ただし 300
m以深であればどこでもよいというわけではなく、サイトに於ける条件を十分に把
握し調査した上で、適切な深度に処分施設を建設していくことが必要。
亀井 熱の影響について補足する。ガラス固化体の周囲にはベントナイトを埋設するが、
ベントナイトが熱で変質するなど、影響をうけないか研究している。室内で実験を
しながらシミュレーションしている。実物大の大きさの装置で測定している。
熱の影響については、ガラス固化体の周囲のベントナイトという粘土の緩衝材が熱
によって変質するとバリア機能が損なわれるので、どの位の間隔を空けて設置する
とベントナイトが変質しないか研究が行なわれている。また、地下深部での熱の勾
配、地下の岩盤の圧力、水質の変化などを評価する技術が必要であり、室内での実
験、シミュレーション坑道の設置、北海道の幌延の地下研究施設で実物大の試験装
置を設置と、熱・水・力学・化学的な変化を観察・測定して、これらの結果をシミ
ュレーションコードの改良に役立てることにしている。
質問者4
いわゆる「2000 年レポート」の内容で技術的には決着がついていると思っているが、
その後、技術的な進展があったのか教えて欲しい。どんな文献を見ればいいのか教
えて欲しい。
梅木 2000 年レポートは、
1999 年に当時の核燃料サイクル開発機構から出されたもので、
その段階では、地下深部の状況に関するデータがあまり無く、利用可能なデータに
限定して非常に安全性に過剰に考慮した保守的な評価や簡単なモデルであった。そ
の後の 15 年の研究開発により、日本の地下深部のデータが沢山蓄積された。オー
バーパックは 19cmと過剰に厚くしたうえで 1000 年での破れるという過度に悲観
的な安全評価想定をしていますが、これまでの室内での非常に長期の試験の結果か
ら、実際には 1 万年あるいは 2 万年位は現実的には保つであろうとの知見が少しず
つ蓄積されてきている。NUMO では、現在これらの最新の知見をもとに、安全性を全
体的に評価する報告書を作成中であり、来年公開した際には、皆さまから色々とご
批判ご意見をいただきたい。
亀井 2000 年レポート以降、色々な条件とか条件の多様性等を考えて、データを幅広く拡
充してきた。また長期に亘るプロジェクトであるため、データを集約するシステム
を作ってきました。そのデータはかなり膨大なものだが、JAEA のホームページに掲
載している。ご質問の放射性物質の溶解度のデータも拡充してきている。
以
上