グローバルキャリア実践実習 を経て

特集
学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 21
会人に比べてないので,どんどん前にいくべき」
グローバルキャリア実践実習
を経て
大
橋
「日本人の強みは物事の視点・視野を抽象的にみる
ことができる」というアドバイスを下さり,中でも
奈
「色々な経験をすることでさまざまな価値観に出会
Sana OHASHI
紗
えることによって視野を広げ自分の中の許容範囲を
環境ソリューション工学科
3年
1.はじめに
広げることができる.」は特に印象が残っています.
4.研修内容
様々なインターンシップがある中で,なぜグロー
カリフォルニア州のシリコンバレーにオフィスを
バルキャリア実践実習を選んだのか,それは「世界
構える住友電工社の R&D 部門のブランチで研修す
を見よう」という言葉から始まりました.以前この
る機会を得ることができました.研修ではカリフォ
実習に参加した方から「大学生で何をすべきなの
ルニア州における水事情,並びに水不足に対する改
か」という質問に対し,海外に行くことを勧められ
善策・解決策を学ぶことで,発展途上国の水質改善
ました.海外に行くことは,異国の文化を体験し,
対策に繋がるものは何かということについて調査を
現地の人に接することで祖国,そして自分が見つめ
進めました.
られ考えさせられること,大きな刺激を受けること
研修中に Sacrament Regional Wastewater Treatment
ができると思います.異国の文化を理解し認めるこ
Plant Tour に参加しました.処理能力の拡大,経済
とができる,広い視野を持てるようなグローバル人
性,高水質化を達成するため,施設の拡大及び新処
材になる大きな一歩を踏み出す機会になればと思
理システムの導入計画が立てられています.計画を
い,この実習に参加しました.
実行するには,下水料金が 2023 年頃までに$45∼53
/月に上がってしまうことを説明していたことから,
2.目標
住民に理解をしてもらうためのツアーでもあると考
実習に取り組むにあたって,大切にしていたこと
えました.またツアーに参加して思ったのは,施設
があります.それは「発言すること」です.発言す
ることは質問や提案をすることも含みます.発言す
るということは結果的に提案する,つまりは自己ア
ピール力につながると考えたからです.このような
姿勢は周りから一歩前にでることなので,他人の意
識や評価を気にしすぎていたら実行は難しいと思わ
れます.
アメリカの小学校の教育方針に「There are no stupid questions.」があります.下らない質問なんてな
い.目標を達成するための大きな糧となりました.
3.キャリアフォーラム
ロサンゼルス在住のキャリアパーソンとディスカ
ッションをする機会がありました.「平易で楽な道
などない,チャレンジするのみ」「学生は責任が社
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図
サクラメント下水処理場の玄関にて
を公開する規模が大きく参加者の年齢層が広かった
2008 年からオレンジカウンティの住民のうち 240
ことと,一時間のガイダンスと一時間半の施設見学
万人には,処理水がリチャージされた地下の帯水層
という充実した内容でした.また質問する人が多い
から飲料水(60 万人分の必要飲料水量に相当)を
ことから,”水”への意識の高さが伺えました.
得始めている.
サクラメントやオレンジカウンティの取り組みよ
人口増加と少ない降水量に悩まされる南カリフォ
り,先進国と発展途上国のいずれにおいても,啓蒙
ルニア州の取り組みを取り上げます.
‘生活用水が処理された後に地下水領域の帯水層を
活動を通し,住民に正しい環境知識を理解して貰う
介して再び台所やシャワールームなどの蛇口に出て
こと,つまり意識改革が重要であり,そのためには
くる浄化システム’の導入について,サンディエゴ
国や各地域と住民とのコミュニティをつくることが
の住民にアンケートをとり調査したところ,以下の
大切であることがわかりました.
ような意見がでてきました.
5.実習を終えて
英語はコミュニケーションのツールであり,自分
「don’t want to drink water that once had poop in it,
の武器となる専門をもつことが大切であることが分
even if it’s been cleaned and purified.」
かりました.また日頃から異文化に接する意識をも
サンディエゴの住民アンケート結果は,清浄され
つことや,大まかな目標をもつことの重要性にも気
た水でも下水であった水は飲みたくないという意見
づきました.そして最初の目標「発言すること」は
が大半でした.そして Toilet to tap という言葉が生
社会においても大切であることを確認することがで
まれました.人の心理的な問題がリサイクル水の普
き良かったです.
これからの学生生活では,異文化交流に積極的に
及における課題となっています.
一方,オレンジカウンティは,住民に情報交換を
参加し,専門の勉強はもちろんのこと,日々英語の
させるコミュニティを作り,地道な PR 活動をつづ
勉強を積み重ねていき TOEIC の試験を受けようと
けることによって住民の理解を得ることができまし
思います.
行動力や積極性をつけるためには,考えるという
た.
過程で終わるのではなく,実際に行動してみる,挑
「Icouldn’t tell the difference between the tap water
戦することが改めて大切であるとわかりました.
最後になりますが,グローバルキャリア実践実習
and the bottled water.」
に携わった方々,このような機会を与えてくださ
「飲み水とリサイクル水の違いがわからなかった」
り,本当にありがとうございました.
という住民の声も得ることができました.そして
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