血友病患者の肥満:出血頻度,凝固因子濃縮製剤の使用,止血および

Abstract: A. Tuinenburg, et al.
Abstract (Clinical haemophilia )
血友病患者の肥満:出血頻度,凝固因子濃縮製剤の使用,止血および線維
素溶解パラメータが及ぼす影響
Obesity in haemophilia patients: effect on bleeding frequency, clotting factor
concentrate usage, and haemostatic and fibrinolytic parameters
A. Tuinenburg, S. Biere-Rafi, M. Peters, P. Verhamme, K. Peerlinck, M. J. H. A. Kruip, B. A. P. Laros-Van
Gorkom, M. Roest, J. C. M. Meijers, P. W. Kamphuisen and R. E. G. Schutgens
血友病患者( PWH )における肥満率が上昇して
濃 度( VWF:Ag ), 第 VIII 因 子 活 性, お よ び 内 在
いる。そこで我々は肥満が出血頻度と PWH にお
性トロンビン産生能は,肥満者の方が非肥満者よ
ける凝固因子濃縮製剤( CFC )使用に及ぼす影響に
り高かった。PWH の場合,肥満によるこれらの
ついて研究し,肥満において観察される血栓形成
マーカーへの影響は認められなかった。PWH のプ
促進性変化が対照と PWH との間で異なるかどう
か評価した。出血回数および CFC 使用について,
肥満( N = 51 )と非肥満( N = 46 )の血友病 A 患
者間で比較した。止血および線維素溶解に関する
マーカーについて,PWH と性別,年齢,肥満度
指数( BMI )が一致する非血友病対照( N = 91 )と
の間で比較した。出血回数 / 患者・月の中央値は,
肥満と非肥満の重症血友病患者間で同程度であっ
た( p = 0.791 )。 肥 満 の 重 症 血 友 病 患 者 の 場 合,
CFC 使用 / 患者・月は非肥満患者の 1.4 倍であった
。 体 重 調 整 後, こ の 差 は 消 失 し た
( p = 0.036 )
。フォンヴィレブランド因子の血漿
( p = 0.451 )
Haemophilia (2013), 19, 744–752
© 2013 John Wiley & Sons Ltd
30
Abstract: A. Tuinenburg, et al.
ラスミノゲンアクチベーターインヒビター 1 型濃
( p < 0.001 )。PWH の場合,肥満は正味の CFC 使
度は,肥満患者の方が非肥満患者より高値であっ
用増加と関連付けられるが,出血頻度には影響を及
たが( p < 0.001 ),PWH と対照との間では同程度
ぼさない。さらに,PWH の場合,肥満により線溶
。プラスミン -α2 プラスミ
であった( p = 0.912 )
亢進が軽減される。今後の研究では,肥満の PWH
ンインヒビター複合体( PAP )濃度は,対照内( p
を対象とした体重に基づく投与による CFC 治療の
= 0.011 )
,PWH 内( p = 0.008 )いずれの場合も,
必要性の有無,低用量による出血の予防および治療
肥満者の方が非肥満者より低値であった。一方,
の可否について検討する必要がある。
PWH の PAP 濃 度 の 方 が 対 照 よ り 高 値 で あ っ た
31