平成 28 年度衛生薬学 2 期末試験模範解答 問1(1)大きな→小さな:(2) UV-A→UV-C:(3)ヒドロキシルアミン→エポキシド (4) シトクロム P450→UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ:(5)脱メチル化→酸化的脱硫 (6)ヘテロサイクリックアミン類→ニトロソアミン類 or N-ニトロソ化合物:(7)不可逆的→可逆的 (8) 受動輸送体→能動輸送体:(9)ヒドロキシ基→チオール基:(10) アセトアルデヒド→ホルムアルデヒド (11)イニシエーター→プロモーター:(12) 細胞膜上の→細胞内の、細胞質の、核内の (13) アンタゴニスト→アゴニスト:(14) 結合残留塩素→遊離残留塩素:(15) CYP3A4→CYP2E1 (16) 促進→抑制、阻害 問2(1) CO2:(2)CFC:(3)CFC:(4)CFC 問3 トリハロメタン:原水の浄化過程の塩素消毒 ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン:低温での廃棄物焼却、除草剤 2,4,5-T の製造過程、パルプの塩素漂白過程 問4 (1) Ames 試験はネズミチフス菌のヒスチジン要求変異株の復帰突然変異を指標とする突然変異原性の試 験である。突然変異原性と発がん性の間には高い相関性があるので、発がん物質の簡便な試験法として 用いられる。S9mix には肝臓のミクロソーム画分とサイトゾル画分が存在することから、シトクロム P450 をはじめとする様々な代謝酵素が含まれる。まず、㋐に関しては、S9mix の存在の有無にかかわらずコロ ニー数の増加は見られないことから、突然変異原性(発がん性)は無いと考えられる。㋑については、 S9mix を添加するとコロニー数が増加、すなわち突然変異原性を示すことがわかる。したがって、㋑には 代謝活性化を受けて突然変異原性(発がん性)を獲得する二次発がん物質が含まれる可能性が高い。こ れらのことから、牛肉を真っ黒になるまで焼くことによって、二次発がん物質が生成したと考えられる。 (2) モルヒネは肝臓でグルクロン酸抱合を受けてモルヒネグルクロニドとなった後に胆汁排泄される。グ ルクロン酸抱合は第2相反応である。この胆汁が腸管に分泌されると、腸内微生物の持つ β-グルクロニ ダーゼの作用によってグルクロン酸が加水分解され、モルヒネ抱合体が脱抱合される場合がある。この ような腸内微生物による代謝が第3相反応である。脱抱合されたモルヒネは腸管から吸収されて、肝門 脈を通って再び肝臓に戻る。このように化合物が肝臓と腸管の間を循環することを腸肝循環という。 (3) 自然環境中の無機水銀は、ある種の微生物(メタン生成菌)のビタミン B12 依存的反応(メチルビタ ミン B12 をメチル基供与体とする反応)によってメチル化されてメチル水銀に変換されることがある。メ チル水銀は脂溶性なので、食物連鎖によってマグロ類などに生物濃縮される。摂取されたメチル水銀は、 システインに結合して中性アミノ酸トランスポーターを介して、および脂溶性なので単純拡散によって 血液胎盤関門や血液脳関門を通過できる。このような理由で、妊婦が摂取すると胎児の中枢神経系がメ チル水銀に曝され、発生過程では特に感受性が高いので、産まれてきた子供がハンター・ラッセル症候 群になる可能性がある。このような理由で、厚生労働省は妊婦に対してマグロ類の摂取制限を促してい る。 問5 p53 は大腸がん組織で対立遺伝子の両方に変異がみられるか、または一方の対立遺伝子に変異があ り、もう一方は完全に欠失している。したがって、この変異はおそらくは遺伝的に劣性であると考えら れる。この変異 p53 は細胞増殖の促進に関与するサイクリン/CDK を不活性化する p21 の発現を促進で きないことから、p53 は本来はがん抑制遺伝子であり、細胞増殖を抑制しているが、機能喪失変異によっ て細胞のがん化を引き起こしたと考えられる。
© Copyright 2025 ExpyDoc