抗悪性腫瘍剤「ジャカビ®錠5mg」、 真性多血症の治療薬として効能追加

ノバルティス ファーマ株式会社
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東京都港区虎ノ門1丁目23番1号
虎ノ門ヒルズ森タワー
http://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年9月24日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
抗悪性腫瘍剤「ジャカビ®錠5mg」、
真性多血症の治療薬として効能追加承認を取得
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は、本日、
「ジャカビ®錠5mg」(一般名:ルキソリチニブリン酸塩、以下「ジャカビ」)について、
真性多血症の効能追加の承認を取得しました。
真性多血症は、骨髄で血液細胞が過剰産生される「骨髄増殖性腫瘍」の一種で、血液中の
赤血球が増加する血液疾患です。骨髄にある造血幹細胞が持つ遺伝子に異常が生じること
で発症し、病気の進行に伴い血液が濃くなることで血栓のリスクが高まり、脳卒中や心臓
発作といった重篤な心血管系の合併症を引き起こします1。さらに、真性多血症の患者さん
では、予後の不良な骨髄線維症、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病などに進展するこ
とが懸念されるほか2、脾臓の腫大(脾腫)や倦怠感・掻痒感といった全身の症状により日
常生活に影響を及ぼします1。日本における年間発症率は10万人あたり約2人で3、年間発症
率および10年生存率からすると国内の患者数は約30,000人程度4と推測されています。
現在の真性多血症の治療では、異常に増加した赤血球数の低下を目的として体内から血液
を抜き取る瀉血療法やヒドロキシカルバミド(HU)を用いた細胞減少療法が標準的な治
療です。しかし、HUによる効果が不十分またはHU不耐容の場合、現在の標準的な治療が
困難な真性多血症患者さんにとっての治療選択肢は限られており、有効な薬剤が待ち望ま
れています。
今回の効能追加について、
ノバルティス ファーマ株式会社 常務取締役 オンコロジー事業
本部長のフランシス・ブシャールは、次のように述べています。「このたびの効能追加承
認により、既存の治療が困難な真性多血症の患者さんに新たな治療選択肢をご提供できるこ
とを嬉しく思います」
「ジャカビ」は、ヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を阻害する働きを持つJAK阻害
剤で、JAK1およびJAK2に高い選択性を有しています。真性多血症の患者さんでは、JAK2
のシグナル伝達経路の恒常的な活性化が見られ、「ジャカビ」は病態の中心となるJAK2
を介したJAK-STAT経路を阻害することで、赤血球数をコントロールし、QOL低下の主な
原因である脾腫や諸症状を改善することが期待されています。2015年9月現在、「ジャカ
ビ」は、欧州連合(EU)、北米、アジアや中南米、南米の数カ国を含む90カ国以上で骨髄
線維症の治療薬として承認されており、真性多血症の治療薬としては2014年12月に米国で
承認され、世界約50カ国で承認されています。
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「ジャカビ」の有効性と安全性は、国際共同第III相臨床試験であるRESPONSE試験の結果
で確認されており、既存の治療法と比較して、真性多血症の患者さんの血球コントロール
および脾腫縮小効果が見られた割合は、「ジャカビ」投与群で有意に高いことが示されま
した5。また、主な副作用は、貧血、血小板減少症(血小板数減少を含む)、体重増加、浮
動性めまい、頭痛などです。
今回の効能追加に対する国内承認にあたっては、「医薬品リスク管理計画を策定の上、適
切に実施すること」および「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売
後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を
実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有
効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」が承認
条件として追記されています。
ノバルティス ファーマでは、患者さんの安全性確保と「ジャカビ」の適正使用の推進を最
優先していきます。適切な投与量で使用いただくこと、および副作用マネジメントの普及
に努めながら、真性多血症の患者さんに新たな治療選択肢を提供してまいります。
「ジャカビ®」について
「ジャカビ」は米国インサイト社が創製した薬剤で、ノバルティスは米国外での「ジャカ
ビ」の開発と商業化のライセンスを取得しています。現在、欧州連合(EU)、北米、アジ
アや中南米、南米の数カ国を含む90カ国以上で骨髄線維症の治療薬として承認されており、
ノバルティスが販売する国々ではJakavi®、米国ではインサイト社からJakafi®の製品名で発
売されています。真性多血症においては、欧州で2015年3月にHU抵抗性又は不耐容の真性
多血症の成人患者さんに対する治療として欧州委員会より承認を取得、米国でもインサイ
ト社が2014年12月にHUに対して効果が不十分又は不耐容の真性多血症患者さんへの治療
としてFDAより承認を取得しています。日本では、予定される効能・効果を骨髄線維症と
して2011年9月8日に厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受
けた後、2013年9月に骨髄線維症の治療薬として製造販売承認を申請、2014年7月4日の承
認取得を経て9月2日に発売されています。
骨髄増殖性腫瘍について
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)は,造血幹細胞レベルでの腫瘍化
によって発症する疾患で、骨髄系細胞(顆粒球,赤芽球,骨髄巨核球,肥満細胞)の著し
い増殖を特徴とします6。ノバルティス ファーマでは、患者さんやご家族、医療関係者を
対象として、骨髄増殖性腫瘍に分類される骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症と
いった血液疾患の症状、診断、治療についての理解を深めていただくためのウェブサイト
「骨髄増殖性腫瘍.net(http://www.mpn-info.net)」を開設しています。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置くヘルスケアにおける
世界的リーダー、ノバルティスの医薬品部門の日本法人です。ノバルティス グループ全体
の2014年の売上高は580億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96
億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約120,000人の社員を
擁しており、世界180カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧くだ
さい。http://www.novartis.co.jp
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参考資料
1. Leukemia & Lymphoma Society. “Polycythemia Vera Facts.” Available at:
http://www.lls.org/content/nationalcontent/resourcecenter/freeeducationmaterials/mpd/pdf/polycythemiavera.
pdf. Accessed on April 28, 2014.
2. Kiladjian et al.2011
3. [小松則夫 (2007)] 真性赤血球増加症. 日内会誌; 96:1382-9.
4. Dan et al. 2006, 下田2006
5. Verstovsek S, et al. Results of a prospective, randomized, open-label Phase III study of ruxolitinib in
polycythemia vera patients resistant to or intolerant of hydroxyurea: The RESPONSE Trial. Abstract #7026.
50th American Society of Clinical Oncology (ASCO) Chicago, IL.
6. Vardiman JW, et al. Introduction and overview of the classifi cation of the myeloid neoplasms. Swerdlow SH,
et al. eds. WHO Classifi cation of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ;2008 :
pp18-30.
以上
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<参考資料>
ジャカビ®錠5mg の製品概要(下線部が追加承認)
製品名:
「ジャカビ®錠5mg」(JAKAVI® Tablets 5mg)
一般名:
ルキソリチニブリン酸塩(Ruxolitinib Phosphate)
効能又は効果*(下線部は今回追加承認された効能又は効果)*:
1.骨髄線維症
2.真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
用法及び用量*(下線部は今回追加承認された用法及び用量):
骨髄線維症の場合
通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与る。用量は、ルキソリチニブと
して1回5mg~25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。
真性多血症の場合
通常、成人にはルキソリチニブとして1回10mgを開始用量とし、1日2回、12時間毎を目安
に経口投与する。患者の状態により適宜増減するが、1回25mg1日2回を超えないこと。
承認取得日:
・骨髄線維症 2014年7月4日
・真性多血症 2015年9月24日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、
添付文書を
ご覧下さい。
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