さわやか芸能発表会の歴史と経緯・そしてこれから

「さわやか芸能発表会の歴史と経緯・そしてこれから」
北総育成園園長
武井敏朗
「鳥に翼のあるごとく人間に労働あり」。これはかのゲーテの言葉だそうです。
その働く仕組みの中で①自らの健康を保持し②仲間の価値を認め③仲間と仲良くする術を学ぶ。
どんなに障害が重くても大人として「働くこと」の暮らしに誘う。
それがこの人たちと私たちとの毎日のやり取りです。そして、「働くこと」を手に入れたこの人
は今度は文化を手に入れる道に踏み込みます。他の生き物と区別される「人間が人間たる所以」
それは「文化」を手に入れることです。仕事を離れて仲間と大きな声で下手くそな歌を歌う。皆
でよさこいソーランを思いっきり踊る。絵を書く。スポーツする等など。その中で 今 を精一
杯生きている自分を表現する。文化とは苦労多い人生を豊かに温かくしてくれるもの。
知的に障害を持ったこの人たちはともすると「何も出来ない人」と、それらの文化的な取り組
みから取り残されてきた。「いや、そうではない」。その取り組みは既に、千葉県の多くの施設
でなされていた。そんな施設の仲間が集まった。第一回さわやか芸能発表会がそれである。時は
19 年の今年から遡ること 14 年前。平成 5 年の香取郡東庄町公民館大ホールである。その後、場
所を千葉県文化会館に移した。千葉県、千葉県社協、千葉県共募、手をつなぐ育成会がその活動
を評価し、主催者に加わってくれたのだ。
千葉県の文化の殿堂である千葉県文化会館。晴れがましい舞台の幕が開く。下手くそでいいの
だ。皆で舞台いっぱいに踊って歌って、そして会場は仲間の共銘の拍手に包まれる。人生バンイ。
「文化」を手に入れたこの人たちに 今 人生最高の晴舞台。この発表会がこれからも長く続
きますように。