搭載の最新鋭超音波検査装置を 用いた超音波検査

平成 27 年 8 月 26 日放送
エラストグラフィ―搭載の最新鋭超音波検査装置を
用いた超音波検査について
なめがた地域総合病院
放射線部 審査役放射線主任 櫻井秀生
司会者:今回、新しい超音波装置が導入されたそうですが、超音波検査について簡単に
説明しいただいてよろしいですか?
櫻
井:まず、超音波というのは人間の耳に聞こえないほど周波数の高い音のことを指
しています。たまに、テレビなどでコウモリやイルカなどが仲間同士で超音波
を発し交信するといわれているのを聞くと思いますが、この超音波を利用して、
体内の様子を見ようと言うのが超音波検査です。
司会者:音を使って体内の画像を作成していると言う事ですか?
櫻
井:はい、その通りです。超音波検査では、プローブと呼ばれる探触子に内蔵され
た振動子に電圧を加えることで体内に向け超音波を発生させます。振動子は超
音波を送信すると同時に、体内で反射して戻ってきた超音波を受信する役割も
持っていて、戻ってきた超音波を電気信号に変換します。この超音波の送信と
受信を繰り返し、戻ってきた信号の画像化を行う事で、体内の断面像を得るこ
とができます。
司会者:なるほど。音の反射で体内が見えるなんてすごいですね。プローブという機械
さえ当てられれば検査ができるわけですね
櫻
井:大部分はそうなのですが、音の反射がなかったり、弱かったりする部分は良い
画像が得られません。例えば、頭の中(脳)などの硬い骨に囲まれて内部まで
超音波の入っていかない部分や肺のように空気が多く、反射するもののない臓
器は検査をすることができません。
司会者:具体的にはどのような部分の検査を行うのでしょうか?
櫻
井:腹部なら、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、膀胱、前立腺といった部分で、
首の回りなら耳下腺、顎下腺、甲状腺といった部分ですね。他にも乳腺の腫瘤
の検査や腕や足の血管、表在の腫瘍や筋肉といった様々な部位を検査する事が
できます。
司会者:他にはどんな特徴がありますか?
櫻
井:超音波検査の利点としましては、放射線を使わない検査であるため、X線被ば
くの心配がなく、くり返し検査できるので、経過観察にも有効です。また、装
置が小型で移動可能であるため、入院患者さんのベットサイドでも検査を行う
ことができます。他にも、リアルタイムの画像が得られ、結果がその場で判定
できることや、いろいろな方向の断面を描出できるなどといった利点が挙げら
れます。それに観察だけでなく、超音波ガイド下で細胞をとる生検や肝細胞癌
をラジオ波で焼く治療や、体内に溜まった余分な水分や血液などを体外に抜く
ドレナージという治療を行うことができます。
司会者:被ばく無しで腹部の画像が見られる上に治療にも用いられているなんて便利な
検査なのですね。
櫻
井:そうですね。ただ、この検査にも欠点はあります。例えば、主観的検査であり
客観性に乏しいため、検査者の技量による差が大きいことや、視野が限られる
ため、肝臓のように大きな臓器では全体像を一画面に描出できないことなどで
すね。また、先ほども言ったように音の反射がなかったり、弱かったりする部
分は良い画像が得られません。腹部の検査でも肥満や腸の中のガスなど、患者
さんの体格や体調に影響されてしまうこともありますし、肺や消化管などのガ
スを含む臓器の検査は、CT、内視鏡、X線検査と比べて劣ることが多いです。
もちろん、超音波は骨を通過しないため、骨の検査にも不適当です。あとはリ
アルタイムの画像が得られるのですが、患者さんが一定時間の息止めをできな
いと観察しづらい検査でもあります。
司会者:技師さんの技術に加えて、息止めは患者さんの協力が必要なのですね。検査自
体はどのくらい時間がかかりますか?
櫻
井:患者さんの状態や観察する部位によって異なりますが、通常の腹部や首の回り、
乳腺などの検査時間は 10∼15 分位です。血管などの検査では 20∼30 分程度か
かります。
司会者:検査を受ける際に気を付けるべきことなどありますか?
櫻
井:腹部以外の検査では基本的に制限はありませんが、腹部の検査におきましては
禁食になります。食事をしてしまうと、胆汁が排出されて胆嚢が収縮してしま
い観察困難になることや、胃の内容物により、膵臓の描出が困難になることを
避けるためです。また、水やお茶などの水分はとっても構いませんが、乳製品
や甘い飲み物などは避けていただきたいです。やはり胆嚢が収縮して観察でき
なくなってしまいます。それから、検査前は極力、排尿をがまんしてください。
排尿してしまうと、膀胱が小さくなって観察できなくなってしまいます。せっ
かく検査するのですから、膀胱まで検査するのがよろしいかと思われます。
司会者:なるほど。わかりました。やはりせっかく検査をするのなら、しっかり見ても
らいたいですもんね。では、次に新しい超音波装置について教えてください。
櫻
井:はい。当院放射線部におきましては、現在、3台の超音波検査装置を使用して
います。今年3月にそのうちの 1 台が更新されました。それが、今回ご紹介す
る日立アロカ社製の最新鋭・最上位機種のARIETTA70という装置です。
司会者:最新鋭・最上位機種というだけでなんだかすごそうな雰囲気がありますね。
櫻
井:このARIETTA70という装置は従来の装置よりも、エネルギーロスの少
ない超音波の送受信が可能となり高感度、高分解能が実現された装置です。ま
た、体の表面に近い部分から体の深い部分までより均一に、精度よく緻密にフ
ォーカスを絞ることにより、画像をよりクリアに描出することができます。検
査中に画像を観察するためのモニタも感度、分解能に優れていて、患者さんの
状態に依存することの少ない画像を導きだします。さらには、超音波から得ら
れた電気信号を画像化するための処理時間が短縮されており、ノイズを低減さ
せ、辺縁のつながりを強調する画像処理により、高画質が実現された装置とな
っています。機能についても、B モードと呼ばれる通常撮像および血管を見る
ドプラ検査においては、高感度と高分解能により画質が著しく向上しました。
造影検査に対応するソフトが搭載されているので、高音圧から低音圧まで様々
な造影検査に対応しています。その他、新しい機能としましてはエラストグラ
フィ―と e-Tracking という機能が搭載されています。
司会者:エラストグラフィ―と e-Tracking とはどのようなものですか?
櫻
井:エラストグラフィ―はプローブを小刻みに動かす事で、組織のひずみを算出し
て硬さの違いを色付けすることができる機能です。これは、乳腺腫瘤の良悪性
の診断に用いられたり、肝臓を硬さごとに色分けして、カラーマッピング化す
ることで肝硬変の評価などを可能にする機能です。その他、甲状腺や前立腺な
どの分野でも応用が期待されている機能です。e-Tracking は、生体の情報に、
より忠実な生の超音波信号である RF(Radio
Frequency)信号を用いて、血
管の太さの変化をリアルタイムに解析して、動脈硬化度の指標となる複数のパ
ラメータを測定することが可能で、早期動脈硬化の評価に役立つ機能です。
司会者:なるほど。機械本体だけでなくソフトも最新のものなですね。最後に、時間も
なくなってきましたので、今後の抱負や努力目標などありましたらお願いしま
す。
櫻
井:今回導入された装置により、検査の質の向上が図られると思います。装置に負
けないよう、私たち技師も患者さんへの負担が少なく、利益の多い検査を行っ
ていけるように努力していきたいと思います。また、超音波検査は患者さんの
協力が必要不可欠な検査ですので、私たちに至らない点もあるかとは思います
が、何卒ご理解とご協力の程をよろしくお願い致します。本日は有難うござい
ました。