平成18年度 前期長期研修 特別支援教育とは… 研究成果報告会 「今後の特別支援教育の在り方について」 (最終報告) 知的障害児の問題行動に対する 効果的な指導・支援のあり方 場の教育 PBSの理論に基づいた 実践と PBSの理論に基づいた実践と 一人一人のニーズに 応じた教育 行動支援シートの作成を 通して 行動支援シートの作成を通して 県立名護養護学校教諭 QOLの向上を 目指した 支援 小仙 敏彦 2 1 効果的な指導・支援を進めるためには 効果的な指導・支援を進めるためには 個の持つ 多様な 家庭 ニーズ 一貫した 教育的支援 学校 個の持つ 多様な ・生活スキル ・コミュニケーション ニーズ ・余暇の過ごし方 ・自立性 ・気になる行動 (問題行動) 等 関係機関 個別の教育支援計画 3 研究仮説 ① PBS (Positive Behavioral Support) Positive 積極的な Behavioral 行動 Support 支援 4 個人の価値観 好み スキル 興味 ライフ スタイル 指導・支援の 計画 将来的なQOLの向上 プラス思考的行動支援 5 6 1 研究仮説 ② 研究仮説 ③ 機能的アセスメント 環境的な 影響 問題行動 機能 行動支援シート 内容・形式の 精選 学校 分析 家庭 関連機関 情報の共有 活用 個に応じた適切かつ効果的な指導・支援 一貫した指導・支援 7 PBSの前提となる要素 PBSの前提となる要素 ① 問題行動は,環境的な影響に ② 問題行動は,その個人に何ら 関連している 環境的な 影響 8 かの機能をもたらしている 問題行動 機能 問題行動 (目的) 9 PBSの前提となる要素 PBSの前提となる要素 ③ 効果的な指導は,「環境的な影響」 ④ PBSは,「個人を中心にした価値観」 に裏打ちされたものであり,個人の 尊厳,好み,各人のゴールを尊重し た支援でなければならない と「問題行動の機能」を徹底的に理 解することに基づく 環境的な 影響 問題行動 10 機能 個人の価値観 好み 機能的アセスメント 11 スキル 興味 ライフスタイル 12 2 MASの評定結果 対象児童のプロフィール ・A児 ・小学6年生 男子 ・知的障害,自閉的傾向 ・自傷他害行為 学校・カラーズで頻発 しかし… 家庭ではほとんど見られない かんしゃく,固執過ごし方にギャップがあるのでは? 13 現状の分析 ( Before ) 標的行動 減らしたい行動 現状で「標的行動」が生起しない原因を推定する 増やしたい行動 A:先行条件 自立活動(個別学習) 座って課題に取り組む 掃除時間 掃き掃除をする 下校前 帰りの会に参加する 自傷他害行為 ・手を噛む ・頭突きをする ・側にある物(人)を たたく・蹴る 14 ・教室で ・周りに友達がいる ・騒がしい ・ずっと好きなことを していない ・掃除の範囲が広い ・スケジュールの提示 なし B:行動 掃き掃除を する 標的行動 C:結果条件 ・うるさい(↓) ・じゃまをされる, ちょっかいを出される(↓) ・好きなことができない (↓) ・なかなか終わらない(↓) ・見通しが持てない(↓) (↓):弱化(行動の結果によって,その行動が減ること。) 15 現状の分析 ( Before ) 解決策の分析 ( After ) 現状で「標的行動」が生起しない原因を推定する C:結果条件 A:先行条件 ・うるさい(↓) ・じゃまをされる, ちょっかいを出される(↓) ・好きなことができない (↓) ・なかなか終わらない(↓) ・見通しが持てない(↓) B:行動 16 推定された原因から考えられる 妥当性のある解決策を書き出す C:結果条件 A:先行条件 自傷他害 問題行動 ・その場から離れられる (↑) ・先生が相手をしてくれる (↑) ・掃除が終わる(↑) ・音楽を聴くことができる (↑) (↑):強化(行動の結果によって,その行動が増えること。) 17 ・生活訓練室の和室で ・ちぎった新聞紙を 部屋にまく ・スケジュールの提示 あり ・終了後にリラックス タイムがある B:行動 掃き掃除を する C:結果条件 ・静かに落ち着いてできる (↑) ・じゃまをされない (↑) ・新聞紙を全部集めたら 終われる (↑) ・見通しが持てる (↑) ・好きなことができる (↑) 18 3 19 20 研究の成果 PBSの理論に基づいて,要点を押さえな がら機能的アセスメントを行ったことで… 本児の実態及びニーズを,幅広く,的確 に把握することができた 21 研究の成果 22 研究の成果 問題行動が生起する状況を記録し 分析したことで… 本児の実態や問題行動の前後の状況を系統 立てて整理し,現状及び解決策の分析を行っ たことで… 環境的・時間的な要因,及びその行動の 持つ機能を絞り込むことができた 「何を優先すべきか」「どのように環境を設定す ればよいか」等の支援のポイントを押さえること ができた 23 24 4 研究の成果 研究の成果 問題行動が生起しやすい幾つかの場面 において,「標的行動」を定めて指導・支 援を進めたことで… 「個別の教育支援計画」と併せて 「行動支援シート」を作成したことで… それぞれの場面において問題行動の軽 減と標的行動の定着を図ることができた 問題行動(減らしたい行動)に関する指 導・支援についての情報を,家庭・関係 機関と共有することができた 25 26 今後の課題 今後の課題 包括的な支援体制 行動支援シートを活用していくにあたって… 家庭 計画 一貫した 教育的支援 学校 ・望ましい行動 ・スキルの獲得 実施 関係機関 評価 改善点を見出し 内容を精選 していく 般化 27 28 今後の課題 問題行動 将来的な 効果的な対応 QOLの向上 一人一人のニーズに 応じた教育 29 5
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