高圧力技術を用いた 鉄ニクタイド 系超伝導体の研究

鉄系超伝導体の圧力効果
• 超伝導について
高温超伝導ケーブルの試験(横浜)
電気抵抗がゼロに
永久電流が流れる
無損失で電力輸送
リニアモーターカー
超伝導マグネット
超伝導体開発の歴史(背景)
Tc vs. year 圧力効果も同時にプロット
H. Takahashi: JPSJ Online-News and Comments [Jun. 10, 2008]
目標 (1) 高いTcを目指す (2) 新超伝導体のメカニズム解明による新概念の創製
研究の背景-鉄系超伝導の発見と大きな圧力効果
相図
LaFeAsO1-xFx
Tc = 26 K
1111 type structure
(La1111)
超伝導
反強磁性
[Y. Kamihara et al., JACS 130, 3296 (2008)]
O
F
La-O
La layer
e-
Fe-As
layer
Fe
As
F置換
[H. Luetkens et al., NM8, 302 2009]
圧力効果
Tc = 43 K at
4 GPa
Schematic crystal structure
of LaFeAsO1-xFx
two dimensional
electron doping
[H. Takahashi et al., Nature 453 ,376 2008]
研究の目的
LnFeAs(O1-xFx)
LnFeAsO1-d
[Z. A. Ren et al., EPL 83 (2008) 17002]
Ln=ランタノイドのイオン半径が小さ
いものほどTcが増大(化学圧力)
Tcの圧力効果(物理圧力)の結果が指針となる
目的
・鉄系超伝導体の高圧実験から高いTcを得ること。
・物理量の圧力効果から超伝導機構についての知見を得ること。
特にX線回折実験により高圧下での結晶構造を決定する
・新物質開発の指針を得ること。
研究の成果
新物質開発(細野グループ)
• 1111型 CaFeAsF Fe→Co置換、F → H置換
• 1111型 SmFeAsO O→ H置換
• 1111型 LaFeAsO O→ H置換
• 122型 SrFe2As2 Sr → La置換
• 122型 LaCo2B2 Co → Fe置換、La → Y置換
• 11型 FeSe
Se → S置換(NIMS高野グループ)
研究の成果
CaFeAsF, CaFeAsH
Tcの圧力効果と結晶構造の圧力効果との関連
研究の成果
Sr1-xLaxFe2As2
a軸
c軸
[Y. Muraba et al., PRB 82 (2010) 180512(R)]
Tcの圧力効果
構造相転移
格子定数の圧力効果
Tcの圧力効果と結晶構造の関係、 圧力による構造相転移でTc抑制
研究の成果
Fe(Se1-xSx)2
Tcミニマム
Tcの圧力効果
圧力に対する構造パラメーターの急な変化が
Tcミニマムに対応している
結果と考察 (構造パラメータと超伝導転移温度の相関)
[C. H. Lee et al., JPSJ 77 (2008) 083704]
FeAs4四面体が正四面体(a = 109.47º)
に近づくほど超伝導転移温度が高い。
理論的にも電子構造と原子位置
の強い相関が示唆されている。
LnFeAsO1-xFxの構造パラメータ
の圧力依存性
(LaFeAsO1-xFxでの実験を進行中)
高圧発生装置
ピストンシリンダー装置とダイヤモンドアンビルセル
ダイヤモンドアンビルセル装置
ピストンシリンダー装置
3~4GPaまで静水圧性は良い
電気抵抗や磁化率測定
試料空間大
50~100GPaまで
X線回折、電気抵抗、磁化率測定
試料空間極小
静水圧性は圧力媒体による
高圧発生装置
キュービックアンビルセルと一軸圧縮
キュービックアンビルプレス装置
12GPaまで静水圧性は良い
電気抵抗や磁化率測定
試料空間やや大
一軸応力発生装置と一軸ひすみ発生装置
1GPa程度まで、
電気抵抗や磁化率測定
試料が破壊するまで
今後、異方的圧縮による効果も調べたい
川上グループ (サブグループ)
上:SrFeO3
下:SrFO2
SrFeO2の高圧メスバウワー
S=2(黄) →S=1 (青)の磁気転移
SrFeO2の高圧電気抵抗