粉と自動制御

あすなろ
粉 と自動制律:
山武 ハ ネ ウエ ル(lll 国 際 システ ム計装部
久 米輝 代
大学 時代 化 学 工 学 を専 攻 して きた私です が ,プ ロセ ス制 御 の 研究室 出身 の ため 「粉 」 につ いて 触
れ る機 会が 訪 れ る とは,思 い も しませ ん で した 。 それ が ,就 職 して 3年 目 にPVCプ ラ ン ト制御 の
イ ン ドネ シアプ ロ ジェ ク トに参加 したのが 「粉 と 自動制 御 Jを 考 え る き っか け にな りま した。
私 の手 が けた PVCプ ラ ン トは,「 最新 の技 術 を結 集 した 自動 化 プ ラ ン トJで あ り,そ れ だ け に試
行錯 誤 的 な と こ ろ もあ ったのですが ,最 終 的 に は非 常 に質 の よ い,真 っ 白 なサ ラサ ラ した PVCが
で き,皆 さん 大 変 喜 んで くれ ま した 。 PVC制 御 システ ム は,
1プ ラ ン トで 数百 本 の 制 御 プ ロ グラ
ムが絡 み合 う複 雑 なバ ッチ プ ロセ スで す。現 地 にお け る水運 転・ 試運 転 そ して 本運転 それ ぞれ ,い
ろ い ろ細 か い所 に違 いが あ り,運 転 中 に最適 プ ロ グラムに変更 しな けれ ばな らな い ことが 多 く,と
て も大変 な もので した。 しか し, 1バ ッチ め の製 品が で きあが って くるの に立 ち会 う ことがで き
,
本 当 に真 っ 白で 細 か くサ ラサ ラ して い る粉 を 見 て感 動 しま した。 また同時 にプ ロセ スを構 築 して き
た ライセ ンサ ーの方 々や イ ン ドネ シアの お客様 た ちが ,手 を取 り合 って喜 ぶ 姿 を見 て ,更 な る感動
を覚 え た り も しま した。
さて粉粒 体 の 制御 につ いて最 近私が会社 で勉 強 した 「造 粒 プ ロセ スの 制御手 法 Jに つ いて 簡単 に
ご紹 介 します 。 これ は,化 学肥 料 プ ラ ン トな どの転動 式造 粒 プ ロセ スにお いて ,ペ レ ッ トの粒度 と
形状 の均 一 化 を 目的 に した もので す。 この 制御 システ ム を開発 す るため に,ま る 4年 もの歳 月が か
か ったそ うで す。 まず 最 初 の 2年 間 の現 場実 験 を通 じて ,類 型 的 パ ター ンの抽 出,フ ィー ドバ ック
制御 固有 の 応 答 成 分 の抽 出 ,ス テ ップ状 外 乱 の影 響 等 を チ ェ ック し,こ れ らの 情 報 か らどの パ ラ
メー タによ って 制 御 で きるの か ,と い う仮 説 を たて は じめて ソフ トウ ェア開発 とな った ので す 。 そ
の結 果 ,実 際 プ ラ ン トで は当初 60%も あ った戻 り量 (製 品 にな らず ,原 料 と して戻 され る量 )が
30%に まで 引 き下 げ られ ,標 準 アプ リケ ー シ ョ ンパ ッケ ー ジ と して発 表 され ま した。 その 後 ,均 一
,
な粒度 を持 つ 化 学肥料製造 システ ム と して 現 在実 際 に使用 され てお り,よ り精度 の 高 い 「造粒 プ ロ
セ スの 制御手 法 」 と して 役立 って い ます。
この よ うな高 い レベ ル の粉 粒 体制 御 を必 要 とす る化 学 プ ロセ スで は,今 で もな お熟 練 した オ ペ
レー タが視 覚 に基 づ いて ,高 度 な判断 と的確 な操 作 を 行 って い るよ うで すが ,そ の能 力 の一 部 また
は全て を代 行 す る 自動制御系 が これ か らます ます望 まれ て い る ことは確 かだ と思 います 。 そのた め
よ り完全 な 「粉 」 の告1御 システ ムを完成 す るため に,私 た ち計装 エ ンジニ アが 少 しで もそ の お手伝
,
いが で きた ら幸 い に思 い ます。 また私 自身 も今後 も っ と深 く粉 の 勉 強 をす る努 力 を して い こ うと
思 って い ます 。
自己紹介
:Teruyo KUME
平成 4年 3月
同年 4月
現在
趣味 :ピ ア ノ,卓 球
,
名古屋大学大学院 工 学研究科
化学 工 学専攻 博士 前期過程 修了
山武 ハ ネ ウエルい 入社
同社 工 業 システ ム事業部
国際 システム計装部 第 2グ ル ープ
ジグソーパ ズル他
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主任