アロニアを用いた果実酒などの加工品の開発 (HーG)

平成 16年 度事業報告 ・平成 17年 度事業計画
ア ロニ ア を用 い た 果 実 酒 な どの加 工 品 の 開発
食 品バ イオ部発 酵食 品科 田 村 吉史 橋 渡 携
(H16)
吉 川修 司
研究の 目的 と概要
大滝村 では 、平成 13年 度 に村 と してア ロニ ア を奨励 作物 に指定 して産地 化 を図
り、本年度 には約 3000kgの 収穫 が予想 され 、そ の加 工利 用方法 の確 立 が必 要 とな
つてい る。 当セ ンター では 、平成 10∼ 12年 度 に農林水産省 の 受託研 究 として 「
ア
ロニ アの食 品加 工利用 に 関す る研 究」 を、平成 14年 度 には大滝 村 との 共 同研 究で
「
ア ロニ ア を用 いた新規食 品 の 開発 」 を行 い 、 ア ロニ ア搾 汁残澄 か らの食酢製造 を
検討 してい る。 さらに平成 16年 には当セ ン ター の研 究発 表会 にお い て 「
搾汁残澄
を利 用 したア ロニ ア パ ンの製造」 につ い て研 究発表 を行 ってい る。近頃、ア ロニ ア
は マ ス コ ミに取 り上 げ られ 、 関 心 はます ます 高 ま って きて い る。本 共 同研 究 ではア
ロニ ア果 実酒及 び 凍結 乾燥粉 (FD粉 )に よるカロエ食 品 の試 作 を行 い 、そ の評価 な ど
を行 っ て商品化 を 目指す ことを 目的 として い る。 ア ロニ ア果実酒 では 、果 実濃度 、
アル コー ル 発 酵条件 な どを検討 し、FD粉 利 用 で は うどん 及 びそ ばへ の適 正 配合量
を検討 した。
予想 され る成果 】
【
・ア ロニ ア を用 いた果 実酒 の 商 品化
。ア ロニ ア粉末 の配合 され たそ ば 。うどん の 商品化
・ア ロニ ア加 工 品 の 多様 化
試験 研究の方法
ア ロニ ア果 実酒 の果 実 は、凍結保 存果 実 を解 凍 し、 チ ョ ッパ ー に よる破 砕 を行 い
使用 した。果 実酒 は果 実 50%、 20%補 糖 (含水 ブ ドウ糖 に よる)を 行 い 、沸騰水浴
中 で 1時 間 の加熱 処理 の有 り及 び無 し、発 酵温度 15℃ 及び 30℃ に よ り行 っ た。酵
母 は ワイ ン用酵母 を用 いた。発酵後 PF酒 袋 に入れ 、無加圧 で ろ液 を回収 し、加熱
殺 菌 処理 した。
を用 い たそ ばへ の 添カロ
試 験 で は 、手打 ちに よるそ ば製 造 (二
人そ ば)で 0∼ 5%ま での添加 を行 い 打 ちやす さ及 び食 味 を比較 した。 ア ロニ アそ
ば 乾麺 の作製 ではア ロニ ア粉末 5%配 合 でそ ば粉 :小 麦粉 =50:50の
機械製麺
ア ロニ ア全 粒 FD粉
を行 っ た。
実験結 果
ア ロニ ア果 実酒 の発酵 に よるアル コー ル量 の変化 を図 1に 示 した。 15℃ 及 び 30
℃ 発 酵 区 のい ずれ で も加 熱処理 の差 に よるアル コー ル 生成 量 の 早 さに差 は見 られ な
か つ た。 15℃ 発酵 区で は発 酵時間 はかか るが、順調 に発酵 が進 んだ。 30℃ 発酵 区
は 13日 間、 15℃ 発酵 区は 20日 間 で発 酵 を終 了 した ところ、30℃ 発酵 区では残糖
分 が な く辛 回の果 実酒 に 、 15℃ 発 酵 区で は残糖 分 が あ る こ とか ら若 干 甘味 が 残 る
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平成 16年 度事業報告 。平成 17年 度事業計画
果 実酒 とな った 。 色 は加 熱 処 理 区 が 赤 ワイ ン に近 い 色 とな り、非加 熱 区 は ロゼ ワイ
ン に近 い 色 とな っ た 。 香 りは非加 熱 処 理 区 が 果 実 の 香 りを よ く残 してお り、特 に非
加 熱 1 5 ℃ 発 酵 区 は 良好 な香 りで あ っ た 。
12
︵
ま︶一楓昴察ミー ロミ ト
10
8
6
4
2
0
一
加熱3 0 ℃発酵
。
護… 非加熱30℃ 発酵
―
加熱 1 5 ℃発酵
非加熱 15℃ 発酵
15
25
発酵期間( 日)
図 1 ア ロニ ア果 実酒 の発酵 に よるアル コー ル 量 の 変化
F D 粉 の手 打 ちそ ばへ の 配合割合 を表 1 に 示 した。 ア ロニ アは色 が濃 い こ とか ら
使用す る道具 へ の 着色 を もつ とも懸念 していたが 、それ らが全 く起 きな い こ とが確
認 され た。 また、 ゆ で汁 へ の溶 出 もほ とん ど起 きな い こ とか ら有効 な利用方 法 で あ
る こ とか示 され た 。 F D 粉 の添加 量 の増加 と共 に麺 の色調 は紫 色 が濃 くな り、風 味
は雑 穀 臭 が減少 した。 5 % の 添加 で も酸 味 が強 くな る こ とはな く良好 な食 味 を有 し
て い た。 しか し、F D 粉 で あるた め吸水 しや す く、素早 く全体 へ 混合 しない と団子
にな りやす いので 注意 が必 要 で あ つた。機械製 麺 にお いて も、使 用機械 に着色 は起
きず良好 に製麺が可能であ り、乾燥 も良好 であつた。 いずれ の製麺方法 で も通常よ
り若干加水量を増す方が製麺 し易 かつた。F D 粉 5 % 配 合 ア ロニアそば 1 0 0 g は、約 2 5
粒 のア ロニア果実を含 んでい る。
表 1 ア ロニ ア手 打 ちそ ば の配合割合
4%区
5%区
対照 区
1%区
2%区
3%区
そば粉
80
80
80
80
80
80
小麦粉
20
20
20
20
20
20
水
50
30
30
30
30
30
アロニアFD粉
0
1
2
3
4
5
要約
ア ロニ アを用 い た果実酒 を作製 した。発 酵 は 1 5 ℃ 、3 0 ℃ いずれ も順調 に進 行 し
た。 加熱 処理 の有 無 によ り色 と香 りに違 いが 生 じた。 F D 粉 配合 そ ばでは道 具 へ の
付着 もな く良好 に製麺 可能 で あ り、 ゆ で 汁 へ の溶 出 も少 な く食 味 も良好 で あ つた。
(共同研 究機 関 :大 滝村)
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