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写真/青木健格
︵WPP︶
日頃から災害を意識し、防災の大切さを社会に広め、いざと
いうとき率先して行動する
〝防災の伝道者たち〟
。そんな彼ら
が持ち歩くのはどんな防災ギアなのか? それぞれの考えに
基づく携帯品を参考にして、自身の防災に役立てたい。
当たり前の積み重ねと備えが余裕を生み、
ともできるのだと思います﹂
と、夏と冬に向けての準備
ができます。
備蓄する水や食品
常に備えよ
大切な人を守る
立ち上げ、停電時の対策や災害備
蓄品の確認などを行っている。
﹁マンション全体で備えておけば、
私の不在時でも家族を守れますか
ら。また、普段からご近所の方と
文/吉田 渓
材です。私も﹃災強人材育成﹄を
通して日本をタフにするために貢
献していきたいですね﹂
思います。
﹃災害に強い人材﹄
は、
折
れない心で困難に立ち向かい、強
い回復力をもつ。今、多くの企業
から求められるのも、そうした人
ら率先して行動しよう﹄と自分を
奮い立たせるという面もあります。
また、普段からメンタルとフィジ
カルを鍛えておくことも重要だと
救助に必要なアイテムも揃う。
﹁これを持つことで﹃何かあった
鎌田さんも大切な人を守るため、 食料や飲料水のほか、ポリエチレ
自宅マンションで自主防災組織を ン手袋や人工呼吸機具など、人命
きません。けれど、大切な人のた 交流しておくことも大切ですよね﹂
めなら行動しやすいもの。ですか
そして、外出時には﹁防災サバ
ら、大切な人のために備えるのだ イバルキット﹂を必携する。キッ
と目的を明確にするといいですよ﹂ トには、生き延びるために必要な
い人も多いのではないだろうか。
﹁人間は自分の身を守ろうと考え
るだけではなかなか動くことがで
しかし、備えが必要だとわかっ
鎌田修広さんにとって防災とは ューターに﹃世界で最後に生き残
﹃思いや ていても、なかなか実行に移せな
﹁爪を切ることと同じ﹂だという。 るのは誰か﹄と尋ねたら、
教官時代、
体育の指導中。
意識すること。それがいざという
時に慌てないための備えである。
文/谷口 尚
﹁私は消防職員の頃から数日に一 りがある人﹄という答えがはじき
度爪を切るのですが、これは誰か 出されたそうです。普段は道徳心
を助けようと身体に触れた時、相 に沿って生活できていても、災害
手に不快な思いをさせないため。 時にはそれができないこともあり
また、クルマのガソリンも、メー ます。けれど、普段から備えてお
ターが半分になったら補給します。 けば、いざという時に生き延びる
ことができますし、心に余裕が生
まれ、周囲への思いやりをもつこ
防災とは、こうした﹃当たり前の
こと﹄の積み重ねなのです。以前
聞いた話ですが、スーパーコンピ
﹁非常用持ち出し袋を買って、安
心している方も多いのですが、そ
によって、家庭によって違います。
たとえば私の場合、コンタクトレ
ます。それをどう活用できるかが、 ンズを使っていますから、使い捨
れだけでは充分ではありません。
じつは被災時に必要なものは、人
重要なポイントになります﹂
てタイプのレンズは絶対必要です。
は何だと思いますか﹂︱︱自らの
和田隆昌さん
﹁春と秋にチェックする
感染症で生死 さま
感染症で生死をさまよった経験から防災士の
た経験 ら防災 の
資格を取得。
資格を取得
資
格 取得 専門誌の編集長を経て、
専門誌の編集長を経て
専門 の編集
経て 災害や危
災害 危
機管理問題に取り組む。
機管理問題に取り組む
機
管 問題に り組む 長年
長年、
長 、
アウトドアに親
ア
ドア 親
しみ、
し
、
そこから得たサバイバルの知識も豊富だ。
から得たサバ バルの知識も豊富
富だ
心配ですからウェットティッシュ の消費期限のチェックもできる
などが必要になります。また、暑 ので安心です﹂
い夏と寒い冬では、必要なものが
防災グッズを買い揃えるだけで
違ってくるのは当然でしょう﹂ なく、日常生活の中で常に災害を
ういうちょっとした配慮が﹁普段
和田さんは、春と秋、年2回の
使えて持ち歩ける﹂ということだ。 持ち出し品チェックを推奨する。
ものを持ち歩くのは無駄です﹂
和田さんのバッグには、ペット
ボトル用保冷ポケットがある。こ
体験を活かし、災害や危機管理問
和田さんはスマートフォンのバ 持病のある方なら、服用している
題に取り組む和田隆昌さんの取材 ッテリー切れを防ぐため、
常に約3 薬とお薬手帳が必要でしょう﹂
は、そんな質問から始まった。
日間分のモバイルバッテリーとカ
また、季節やタイミングによっ
﹁それは情報です。何をするにも、 ーチャージャーを持ち歩いている。 て、必要なものは変わっていく。
まず情報が大事です。たとえば、
被
﹁日常的に防災グッズを持ち歩 ﹁被災直後、まず確保したいのは
く必要はありません。必要なのは 水と食糧です。しかし、避難所に
普段の生活や仕事で使え、非常時 たどり着いたら、今度は衛生面が
にも役に立つもの。普段使えない
災の第一段階では、安全に避難所
にたどり着く必要があります。そ
のためには、どこに行けばいいの
か、どう行けばいいのかといった
情報が必要です。正確な情報を得
ないで避難所に向かうのは、大変
危険なことです。現在はスマート
フォンという便利なツールがあり
防災士・危機管理アドバイザー
携帯の Point
携帯の Point
わが子と妻です
﹁被災したとき、一番大事なもの
持ち出し品は、季節や
タイミング、人や家庭の
環境によって違ってくる
18年間在籍した横浜市消防局で、
8年 在籍し 横浜市
局で 消防訓練セ
消防 練セ
ンター体育訓練担当教官として、
ンター体育訓練担当教官として
ン
体育訓 担当教
して 人材育成と
人材 成と
危機管理教育に携わる。
危機管理教育に携わる
危
機 理教育 携わ 現在は
現 は
「災害に強い人
「 害に強 人
やまちづくり」
や
づく 」
を
をテーマに人材育成を行う。
ーマに 材育成
材育成 行う
2015/08/25 18:16:57
0916MM028-029_bousai.indd 28-29
元消防学校教官
28
29
鎌田修広さん
オリジナルサバイバルキットには、
20㎖の飲用水、
ポリエチレン手袋、
マスク、
消毒綿、
バンドエイド、
バン
ダナ、
ロキソニン、
ブドウ糖タブレット、
携帯食料、
緊急簡
易トイレ、
防災虎の巻、
ライトと電池、
ゴミ袋、
簡易人工
呼吸器具、
警笛を常備。
家族の写真はラミネート加
工で水や土砂による劣化を防ぐ。
スマホに
はラジオのアプリも。
和田さんが持ち歩くアイテムは、
普段から使えるモ
ノばかり。
スマートフォンに不可欠なUSBカーチャー
ジャーとモバイルバッテリー。
衛生面で欠かせないウェッ
トティッシュ。
アイマスクと耳栓は安眠の確保に役立つ
必携品。
ペンにはLEDライトとホイッスルが付属
している。
バッグの中には水のペットボト
ルも欠かせない。
INTERVIEW
WITH
KEYPERSON