イサベルの”ひみつきち”

イサベルの”ひみつきち”
1957 年
5月
4日
ルピタおばさんへ
こうやって手がみをかくのは、まだまだたいへんなの。チャボは、いいことだって
うけどね。手がみにも、なみだのしみが
きのう、大きなあらしが
のだから、雨で
いろんな
言
ついちゃった。
ミシガン湖をとおりすぎていったわ。箱を外に出していたも
だめになってしまったの。
あたらしいことがあっても___ほら、ことばだけじゃなくて、人とか
ば
しょとかも___箱の中でなら、とってもあんしんできたのに!
ママは、台どころのテーブルのしたで
手がみをかいてもいいって
るの。
でもやっぱり、ひみつきちとは
ちがうみたい。
さみしいわ。
イサベルより
1
ゆるしてくれてい
1957 年
5月
18 日
ルピタおばさんへ
このまえの手がみで、おばさんをかなしいきもちにさせていたらごめんなさい。これは、
ハッピーな手がみになるはずよ。
ママが、おしごとを
はじめたの。おたん生日パーティーのためのごちそうを
つくる
のよ。そう、メキシコでしていたみたいに。
今日は、わたしも
ついていったの。
そうしたら、おたん生日の子のお母さんが
やげをくれたわ。でも
台どころに入ってきて、パーティーのおみ
わたしは、おみやげのかわりに
一番大きな箱を
たのんでみた
の。
箱は、家に
もってかえったわ。
パパとチャボは、あたらしいひみつきちをつくるのを
さみしいわ。
イサベルより
2
てつだってくれています。
1957 年
6月
2日
ルピタおばさんへ
家で、スペイン語をはなすと
ほっとするわ。でも、学校でえい語をはなすのは、まだ
どきどきするの。チャボは、1 つだけのことばより、2 つはなせたほうが
そうそう、この夏は
大学でべんきょうするんですって。
わたしのじゅぎょうは、ほとんど
おわっています。
ママとわたしは、パーティーのために
ッツをきざむのも、じょうずに
ばを知ってるかしら?
言うのよ。いったい
いいって言うわ。
ケーキをやくのよ。メレンゲを立てるのも、ナ
なってきたんだから。そうだ、おばさんは
ママったら
わたしのこと、「あなたは
こんなこと
わたしの右うでよ」って
どういう意味?
わたしはこのまえ、2 つのパーティーの
たぶん、次の手がみには
おてつだいをしたの。大きな箱があったわ。
いいニュースがかけるはずです。
さみしいわ。
イサベルより
3
1957 年
6月
16 日
ルピタおばさんへ
おばさん、ほんとに
いいニュースがあるの!
あたらしいことばではないけど、あたらしい箱。それも、大きな箱。
きのう、おたん生日の女の子は、とびきり大きなビニールプールをもらっていたの。箱
も大きかった。ふくらませたプールほどでは
その子は、わたしを
ないけどね。
さそってくれたわ。「台どころから出て
びをしましょう」って。でも、わたしは服をきていたから
そうしたら
り道
ずーっと
ママが、箱を車にはこぶのを
笑っていたのよ。
さみしいわ。
イサベルより
4
ほかのみんなと、水あそ
見ているだけ。
手伝ってくれたのよ。だからわたしは、帰
1957 年
7月
7日
ルピタおばさんへ
わたしはこの手がみを、ひみつきちの中で
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7 月 4 日___ドクリツキネンビって
だったのよ。でも、きれいな花火が
かいています。
言うんですって___は
とってもさわがしい日
あがったわ。まるで、おばさんと家にいるときみた
いな。
先しゅうの
パーティーでのこと。わたしと同じ年の女の子が、ドールハウスを
っていたの。それから、お人形のための小さなベッドとか
んぶ、今は
もら
ソファなんかも。その箱はぜ
ひみつきちの一部になったわ。
そこには、たくさん
おへやがあるの。
今日、チャボが言ってたわ。
「きみのひみつきちの、花火みたいな色を見ると、わくわくして
って。
さみしいわ。
イサベルより
5
おどりたくなるんだ。」
1957 年
8月
1日
ルピタおばさんへ
ひみつきちのしゃしん、すぐに
わたしが
おくるわね。
この手がみをかく間、チャボは、パパに新聞をよんであげています。パパは
ね、「しごとで人がはなしているえい語は、かんたんに
どうも
むずかしい」って
毎しゅう
わかるんだ。しかし、よむほうは
言っているの。
おばさんからの手がみをうけとって、スペイン語を
ると、わたしは
わたし、まい日
とっても
ほっとして
よむでしょう。そうす
うれしくなるの。
じょうずにはなせるように
なってきたのよ。でもね、またらいしゅ
うから学校がはじまるの。あーあ、きんちょうしてきたわ。
知らない人たちとはなすより、手がみをかくほうがずっとかんたん。だって、わたしは
知っているから。おばさんが
わたしを
あいしていることを。
さみしいわ。
イサベルより
6
1957 年
8月
4日
ルピタおばさんへ
聞いて、おばさん!
きのう、はじめて
みんなが
きのう、すごいことが
うちのきんじょで
おきたのよ!
おたん生日パーティーがあったの。さいごには、
わたしたちにはくしゅをしてくれたわ。おたん生日の子のお母さんは、こう言
ってた。「今までで一番のパーティーよ!きっと
わたしも、メキシコの
あのすばらしいケーキのおかげね。」
バースディ・ソングをうたったわ。もちろん、スペイン語でね。
でも、それだけじゃないのよ。
かえる前、ママは
そこにいた家ぞくみんなを
うちにまねいたの!
生日パーティーに!
わたしは、みんなに
たのんだわ。
「プレゼントには、みんなの
大好きなことばが
さみしいわ。
イサベルより
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ほしいな」って。
わたしのおたん
1957 年
8月
31 日
ルピタおばさんへ
みんなが来てくれたのよ。みーんな!
わたしが気に入ったことばはね、
「あけぼの」に「よなきうぐいす」に「たそがれ」、そ
れに「こもりうた」とか。でも、大きな声で
大好きって言えるのは、やっぱり「プラタ
ナス」のひびきかなあ。
ママは、タマーリと
サルサと
キをつくってくれたわ。チャボは
グアカモーレに豆ごはん、それからチョコレートケー
ギターをひいたし、パパは
みんなに
ダンスのステ
ップをおしえてた。
わたしは、お客さんみんなに
メキシコのバースディ・ソングを
それからみんなで、外に聞こえるくらい大きな声で
おしえてあげたの。
うたったわ。
ひみつきちは、ちっともひみつじゃなくなった。でも、そんなことはどうでもいいの。
だれも
かえりたがらなかったのよ。
この幸せが、おばさんにも
うまく
つたわるといいな。
ことばにできないんだもの。
おばさんが、ここに
いればいいのに。
イサベルより
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