〔実 14 頁〕 公開特許公報(A) (19)日本国特許庁(JP) (12) (11)特許出願公開番号 特開2015-177800 (P2015−177800A) (43)公開日 平成27年10月8日(2015.10.8) (51)Int.Cl. FI テーマコード(参考) A23K 1/165 (2006.01) A23K 1/165 ZNAC 2B150 C12N 9/16 (2006.01) C12N 9/16 B 4B024 C12N 15/09 (2006.01) C12N 15/00 A 4B050 C12Q (2006.01) C12Q 1/68 A 4B063 1/68 審査請求 有 請求項の数1 OL (全19頁) (21)出願番号 特願2015-87985(P2015-87985) (22)出願日 平成27年4月23日(2015.4.23) ビーエーエスエフ (62)分割の表示 特願2012-534648(P2012-534648) ア の分割 BASF 平成22年10月18日(2010.10.18) ドイツ連邦共和国 (31)優先権主張番号 09173782.5 ェン (32)優先日 平成21年10月22日(2009.10.22) D−67056 (33)優先権主張国 欧州特許庁(EP) n, 原出願日 (71)出願人 508020155 ソシエタス・ヨーロピ SE ルートヴィヒスハーフ (番地なし) Ludwigshafe Germany (74)代理人 100091096 弁理士 平木 祐輔 (74)代理人 100118773 弁理士 藤田 節 (74)代理人 100122389 弁理士 新井 栄一 最終頁に続く (54)【発明の名称】合成フィターゼ変異体 (57)【 要 約 】 (修正有) 【課題】追加の保護手段を用いずに飼料ペレットの生産に使用できるような十分な熱安定 性を有するフィターゼを提供する。 【解決手段】配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を有する合成フィ ターゼを使用する。 【選択図】なし ( 2 ) JP 1 2015-177800 A 2015.10.8 2 【特許請求の範囲】 フィターゼ。 【請求項1】 【請求項7】 配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性 以下の変化: を有するフィターゼ。 [A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H22 【請求項2】 8Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q]、 配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84 [A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A20 、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、 9S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L 202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、 / H413Q]、 251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、 373、382、399、402および413位からなる群から選択さ [A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A20 10 9S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Q れる位置の少なくとも1個でのアミノ酸の変化を有する ]および 、請求項1に記載のフィターゼ。 [A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A20 【請求項3】 9S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q 少なくとも5個の前記変化を有する、請求項2に記載の ]からなる群から選択される少なくとも1つの変化を有す フィターゼ。 る、請求項1に記載のフィターゼ。 【請求項4】 【請求項8】 配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84 請求項5∼7のいずれか一項に記載のフィターゼの1つ 、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、 に対して、少なくとも1個の位置で少なくとも1個の保存 202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、 的アミノ酸置換を有する、先行する請求項のいずれか一 251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、 20 項に記載のフィターゼ。 373、382、399、402および413位の少なくとも1個のアミ 【請求項9】 ノ酸が、いずれの場合も、以下のアミノ酸:1 N, D, Q, 単離されたフィターゼである、先行する請求項のいずれ H; 6 V, I, L, T,S; 12 N, D, Q, H, S; 17 N, D, Q, か一項に記載のフィターゼ。 H; 84 V, I, L, T, S; 89 T, S, V; 92 E, Q, K, R, N, 【請求項10】 P, A, S, G, H; 109 K, R, E, D; 137 L, I, V; 138 N Yersinia mollaretiiおよびハフニア属種由来の2つの野 , Q, H, S; 140 P, A, N; 142 T, S, V; 143 Y, F, W; 生型フィターゼと比べて増加した熱安定性および/また 149 H, N, S; 156 R, K, E, D; 202 S, T, A, V; 205 R は増加した比活性を有する、先行する請求項のいずれか , K, E, D; 207 E, Q, D, R, N, T, S, V, A, I, L, M; 一項に記載のフィターゼ。 208 M, L, I; 209 S, T; 228 Y, F, W;234 N, D, Q, H , S, I, V, L, M; 243 K, R, D; 247 K, R, E; 248 L, 【請求項11】 30 請求項1∼10に記載のフィターゼの1つをコードする I, M, V; 251 N,D, Q, H, S, I, V, L, M; 255 V, I, L 、フィターゼをコードする単離された核酸配列。 , T, S; 256 Y, F, W, H, N, S; 261 E, Q, D, K, R, N 【請求項12】 ; 270 K, R, E, D; 304 V, I, L, T, S; 314 G, A; 320 フィターゼをコードする単離された核酸配列であって、 L, I, M, V; 349 R, K, E, D; 356 L, I, M, V; 373 I (a) 配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性 , V, L, M; 382 G, A; 399 I, V, L, M; 402 N, D, Q, を有する、 H, S; 413 L, I, M, V, Q, E, N, K, Rのうちの1個によ (b) 高度にストリンジェントな条件下で(a)の配列の1つ って置換されている、請求項1に記載のフィターゼ。 の相補鎖とハイブリダイズする 【請求項5】 単離された核酸配列。 配列番号18のアミノ酸配列に対して、S1N; A6V; K12N 【請求項13】 ; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A; D92N; Q109K; 40 請求項11または12に記載の核酸配列を含む組み換え M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T156R; 発現ベクター。 N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V208M; A 【請求項14】 209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S248L; K2 請求項11もしくは12に記載の核酸配列または請求項 51N; K251I; A255V; Q256Y; Q256H; S261E; N270K; A30 13に記載のベクターを含む組み換え宿主細胞。 4V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G; T399 【請求項15】 I; K402N; H413LおよびH413Qからなる群から選択される 請求項11もしくは12に記載の核酸配列または請求項 少なくとも1個の変化を有する、請求項1に記載のフィ 13に記載のベクターを含む組み換え産生生物。 ターゼ。 【請求項16】 【請求項6】 請求項1∼10のいずれか一項に記載のフィターゼの少 少なくとも5個の前記変化を有する、請求項5に記載の 50 なくとも1つおよびさらなる飼料添加物をも含む動物飼 ( 3 ) JP 3 2015-177800 A 2015.10.8 4 料添加物。 【0004】 【請求項17】 EP 420 358は、一般に、微生物フィターゼのクローニン 請求項1∼10のいずれか一項に記載のフィターゼの少 グおよび発現を記載し、WO 2006/38062は、動物飼料の なくとも1つを含む動物飼料。 添加物として、Citrobacter freundiiに由来する微生物 【請求項18】 フィターゼを記載し、WO 2007/112739は、Citrobacter 請求項1∼10のいずれか一項に記載のフィターゼまた braakii由来の天然フィターゼに基づくフィターゼ、お は請求項16に記載の動物飼料添加物の、動物飼料中で よびその製造方法および動物飼料中でのその使用を記載 の使用。 する。 【請求項19】 【0005】 家畜の肥料中のリン酸含量を減少させるための、請求項 10 Haefner et al. (Haefner S., Knietsch A., Scholten 1∼10のいずれか一項に記載のフィターゼ、請求項1 E., Braun J., Lohscheidt M. and Zelder O. (2005) B 6に記載の動物飼料添加物、または請求項17に記載の iotechnological production and application of phyt 動物飼料の、使用。 ases. Appl Microbiol Biotechnol 68:588-597)では、 【発明の詳細な説明】 ヒトまたは動物栄養の分野での、多数の公知のフィター 【技術分野】 ゼ使用が記載される。フィターゼのさらなる使用、例え 【0001】 ば、バイオエタノール生産でのバイオマスまたはデンプ 本発明は、フィターゼ、フィターゼ酵素をコードするア ンを加水分解するための使用がWO2008/097620に記載さ ミノ酸配列およびフィターゼをコードするヌクレオチド れる。 配列ならびにフィターゼの製造および使用方法、ならび 【0006】 に前記フィターゼを含む動物飼料に関する。 20 【背景技術】 WO 2008/116878は、Hafnia alvei由来のフィターゼおよ びそのタンパク質配列を記載する。Zinin et al. (FEMS 【0002】 Microbiology Letters (2004) 236:283-290)は、Obesu リンは、生物の成長に必須の元素である。家畜生産では mbacterium proteus由来のフィターゼを開示する。その 、一般に、良好な成長能力を達成するために飼料に無機 配列はUNIPROTデータベースに寄託され、アクセッショ リンを補充しなければならない。穀類およびマメ科植物 ン番号Q6U677を有する。特許出願WO 2006/043178、WO 2 では、リンは主にフィチン酸エステルの形式で保存され 008/097619およびWO2008/092901は、種々のブティアウ る。しかし、単胃動物、例えばブタ、家禽および魚はフ クセラ属種(Buttiauxella sp.)由来のフィターゼを記載 ィチン酸エステルまたはフィチン酸を直接吸収すること する。現在最高の比活性を有する天然フィターゼには、 ができず、したがって、これはフィチン酸エステルの排 Yersinia intermedia (WO2007/128160)およびYersinia 泄を招き、それは集中的な家畜生産が行われる地域でリ 30 pestis (WO02/048332)由来の天然フィターゼが含まれる ンが過度に富栄養化されることを意味する。さらに、フ 。 ィチン酸は、カルシウム、銅または亜鉛などの金属と結 【0007】 合することによって、単胃動物の代謝に悪影響を与える しかし、これらの現在利用可能なフィターゼはいずれも 組成物として作用する。前記動物のリン酸不足を補うた 、動物飼料添加物の生産に必要な特性を示さない。現在 めおよび適切な成長および適切な健康を確保するために 利用可能なフィターゼは、その活性の大きな損失を伴わ 、無機リン酸が動物飼料に加えられている。この無機リ ずに動物飼料ペレットの生産で使用するために十分な熱 ン酸添加は高価であり、また、さらなる環境汚染をもた 安定性を示さない。動物飼料ペレットの生産中に、フィ らす。動物飼料中でフィターゼを使用することによって ターゼは、まとめて家畜に与えるために、別の慣用の動 、フィチン酸エステルは加水分解され、肥料中に低いイ 物飼料成分とともに高温および水分条件下で圧縮される ノシトールリン酸および無機リン酸含量しか生じさせな 40 。この高温で湿った圧縮の際に、フィターゼ活性のかな い。動物飼料へのフィターゼ添加は、有機リンの有効性 りの損失が生じる。この活性の損失を防ぐ可能性は、そ を改善し、かつフィチン酸エステルに結合している排泄 れらが熱の作用から保護されるようなフィターゼ粒子の リン酸に起因する環境汚染を減少させる。 複合コーティングである。フィターゼ添加物のこのコー 文献では、真菌だけでなく細菌にも由来する多数の天然 ティングは、コーティングに使用される脂肪またはポリ フィターゼが記載されている。 マー使用のせいで、かなりの追加コストを生じさせる。 【0003】 【発明の概要】 ミオ-イノシトール6リン酸ホスホヒロドラーゼとも称さ 【発明が解決しようとする課題】 れるフィターゼは、フィチン酸エステルから少なくとも 【0008】 1個のリン酸基を放出できるホスファターゼのクラスで したがって、本発明の目的は、コーティングなどの追加 ある。 50 の保護手段を用いずに飼料ペレットの生産に使用できる ( 4 ) JP 2015-177800 A 2015.10.8 5 6 ような十分な熱安定性を有するフィターゼを提供するこ 変化させることによって、合成フィターゼの熱安定性を とであった。さらなる本発明の目的は、飼料生産中に使 さらに増加させるか、または最適pH範囲を広くするか、 用されるフィターゼの総量ができるだけ少ないように十 または比活性を増加させることが可能である。 分に高い比活性を有するフィターゼを提供することであ 【0012】 った。さらなる本発明の目的は、種々の動物種の消化管 好都合には、合成フィターゼは、配列番号18に基づく の種々のpH範囲で使用可能であるためおよび飼料成分の アミノ酸配列中に少なくとも5個の変化を有し、特にそ 変動に起因する種々のpH範囲のイベントでさえその活性 れは、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少 を保持するために、広いpH範囲にわたって使用できるフ なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも ィターゼを提供することであった。 【課題を解決するための手段】 19、および非常に特に好ましくは少なくとも20個の変化 10 を有する。 【0009】 【0013】 前記目的は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも 好ましくは、配列番号18の位置に基づいて1、6、12、 70%の同一性を有する合成フィターゼによって達成され 17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149 る。本発明の前記フィターゼは少なくとも63℃の最適温 、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247 度および少なくとも65℃の熱安定性を有し、したがって 、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349 、飼料ペレットの生産での使用に好適であり、ペレット 、356、373、382、399、402および413位から選択される 化中の熱く湿った条件に起因してその活性のかなりの損 位置の1個での少なくとも1個のアミノ酸を、以下のアミ 失を被ることがない。さらに、それらは、少なくとも50 ノ酸のうちの1個によって置換するが、ここで、好都合 %の相対活性を保持する3 pH単位を上回る広いpH範囲を には、新しく導入されるアミノ酸は、1位のN、D、Q、H 有し、したがって多数の動物で種々の飼料成分とともに 20 、6位のV、I、L、T、S、12位のN、D、Q、H、S、17位のN 使用することができ、その活性の損失およびそれによる 、D、Q、H、84位のV、I、L、T、S、89位のT、S、V、92 動物のリン酸排泄の増加は生じない。好ましくは、本発 位のE、Q、K、R、N、P、A、S、G、H、109位のK、R、E、 明の合成フィターゼは、配列番号18のアミノ酸配列と D、137位のL、I、V、138位のN、Q、H、S、140位のP、A 、少なくとも75%、好ましくは80%、特に好ましくは85% 、N、142位のT、S、V、143位のY、F、W、149位のH、N、 、および好ましくは90、91、92、93、94、95、96、97、 S、156位のR、K、E、D、202位のS、T、A、V、205位のR 98、99%の同一性を有する。 、K、E、D、207位のE、Q、D、R、N、T、S、V、A、I、L 【0010】 、M、208位のM、L、I、209位のS、T、228位のY、F、W、 2つのタンパク質配列または核酸配列間の同一性は、200 234位のN、D、Q、H、S、I、V、L、M、243位のK、R、D、 9年10月に利用可能なバージョンのプログラムneedleに 247位のK、R、E、248位のL、I、M、V、251位のN、D、Q よって算出されるものとして定義される。needleは、ウ 30 、H、S、I、V、L、M、255位のV、I、L、T、S、256位のY ェブサイトhttp://emboss.sourceforge.net/からダウン 、F、W、H、N、S、261位のE、Q、D、K、R、N、270位のK ロードできる無料で利用可能なEMBOSSプログラムパッケ 、R、E、D、304位のV、I、L、T、S、314位のG、A、320 ージの部分である。以下の標準パラメータを使用する: 位のL、I、M、V、349位のR、K、E、D、356位のL、I、M ギャップオープン10.0 ("ギャップオープンペナルティ 、V、373位のI、V、L、M、382位のG、A、399位のI、V、 ー")、ギャップ伸長0.5 ("ギャップ伸長ペナルティー") L、M、402位のN、D、Q、H、Sおよび413位のL、I、M、V 、タンパク質の場合のデータファイルEBLOSUM62 (マト 、Q、E、N、K、Rである。 リックス)およびDNAの場合のデータファイルEDNAFULL ( 【0014】 マトリックス)。 好ましい実施形態では、合成フィターゼは配列番号18 【0011】 のアミノ酸配列に関する以下の変化: S1N; A6V; K12N; 特定の実施形態では、合成フィターゼは、配列番号18 40 S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A; D92N; Q109K; M に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84、89、92、10 137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T156R; N2 9、137、138、140、142、143、149、156、202、205、20 02S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V208M; A20 7、208、209、228、234、243、247、248、251、255、25 9S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S248L; K251 6、261、270、304、314、320、349、356、373、382、39 N; K251I; A255V; Q256Y; 9、402および413位からなる群から選択される位置の少 V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G; T399I なくとも1個でのアミノ酸の変化を有する。本発明の関 ; K402N; H413L; H413Qのうちの少なくとも1個を有する 連で、前記変化は、配列表の配列番号18で指定される 。 元のアミノ酸を別のアミノ酸によって置換することを意 【0015】 味するために使用される。この場合のアミノ酸は慣用の このリストでは、該当する位置番号の前に記載される配 1文字コードによって指定される。1個以上のアミノ酸を 50 列番号18中のアミノ酸が、位置番号の後に記載される Q256H; S261E; N270K; A304 ( 5 ) JP 2015-177800 A 2015.10.8 7 8 アミノ酸の1個によって置換される。ここで、残りの変 1E; N270K; A304V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373 化のいずれかを伴う任意の考えられる上記アミノ酸置換 I; E382G; T399I; K402N; H413L; H413Q; を、組み合わせることが可能である。 A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228 【0016】 Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q; 好都合には、本発明の合成フィターゼは、少なくとも5 A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209 個の前記変化を含み、特に少なくとも10、12、14、16、 S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L 17、18、19、および特に好ましくは20個の前記変化を含 / H413Q; む。 A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209 【0017】 S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Q 合成フィターゼの非常に特に好ましい実施形態は、配列 10 および 番号18に関する変化の以下の累積合計のうちの1つを A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209 有する: S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q (a) の少なくとも1個の保存的アミノ酸置換を有し、 A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q (b) ここで、合成フィターゼは少なくとも1個の個別に記載 A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / される変化または該変化群のうちの1個を有することが A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F できる。本発明の目的で保存的とは、アミノ酸AによるG 356L / H413Q の置換; G、SによるAの置換; I、L、A、T、SによるVの (c) 置換; V、L、MによるIの置換; I、M、VによるLの置換; A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H 413Qまたは (d) L、I、VによるMの置換; A、S、NによるPの置換; Y、W、 20 A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / HによるFの置換; F、W、HによるYの置換; Y、F、Hによ るWの置換; K、E、DによるRの置換; R、E、DによるKの A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H 置換; Q、N、SによるHの置換; N、E、K、R、QによるDの 413Q。 置換; Q、D、K、R、NによるEの置換; T、AによるSの置 【0018】 換; S、V、AによるTの置換; S、T、AによるCの置換; D それぞれの個別のまたは累積の突然変異は、位置および 、Q、H、SによるNの置換; E、N、H、K、RによるQの置換 置換されるアミノ酸に応じて、合成フィターゼの熱安定 を意味する。この場合、アミノ酸の任意の保存的置換を 性について1∼11℃の増加を生じさせることができ、し 別のアミノ酸の任意の保存的置換と組み合わせることが たがって、対応する数およびタイプの突然変異を選択す 可能である。 ることによって、それぞれの用途に対応するフィターゼ 【0021】 の所望の熱安定性を選択することができる。 30 好都合には、合成フィターゼは単離されたフィターゼで 【0019】 ある。また、合成フィターゼは、精製された単離された 番号A-518、A-521、A-534およびA-519 (定義に関して表 フィターゼではなく発酵ブロスとして存在し、ここで、 1を参照のこと)を有する合成フィターゼの、これらの特 バイオマスを、完全に、部分的に除去するかまたはまっ に好ましい累積突然変異は、いずれの場合も、配列番号 たく除去しないことが想定される。この場合、液体除去 18の合成フィターゼ(Fus5#2)より少なくとも10℃の熱 によってブロスを濃縮するかまたは完全に乾燥させるこ 安定性の増加を生じさせる。これらの特に好ましい実施 とができる。前記未精製または部分精製フィターゼ溶液 形態では、熱安定性は、フィターゼFus5#2 (配列番号1 または固体を種々の生成物の添加物として使用すること 8)に関してすでに達成されている65℃を少なくとも10 が可能である。 ℃上回る結果になる。配列番号18のフィターゼの温度 【0022】 プロファイル、pHプロファイルおよび熱安定性は、それ 40 本発明の合成フィターゼは、好都合には、生物Yersinia ぞれ、図1、2および3に示される。 mollaretiiおよびハフニア属種(Hafnia sp.)由来の2種 【0020】 の野生型フィターゼと比べて、増加した熱安定性および 一実施形態では、合成フィターゼは、配列番号18に基 /または増加した比活性を有し、該野生型フィターゼは づいて上記フィターゼの少なくとも1つに対して以下の 、配列番号18に記載の合成フィターゼ構築物の構築の 記載の位置: 基礎となるものであった。 S1N; A6V; K12N; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A 【0023】 D92N; Q109K; M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q 本発明は、さらに、単一位置または複数の位置で変化の 149H; T156R; N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K2 候補を有する上の記載のような本発明のフィターゼの1 07I; V208M; A209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D24 つ、特に配列番号18に基づいて以下のアミノ酸位置の 7K; S248L; K251N; K251I; A255V; Q256Y; 変化: Q256H; S26 50 ( 6 ) JP 9 (a) A 2015.10.8 10 A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / によって達成される。この場合、すべての飼料成分は、 H228Y / K234I / K251N / Q256H/ H413Qまたは (b) 2015-177800 ウシ、乳牛、家禽またはブタを成長させるための飼料ペ A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / レットで慣用的に使用されると想定される。 A209S / H228Y / K234I / D247K/ K251N / Q256H / F3 【0030】 56L / H413Qまたは 本発明は、さらに、本発明の上記合成フィターゼの1つ (c) 、または動物飼料中に本発明の合成フィターゼの少なく A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N/ Q256H / S314G / H4 とも1つを含む本発明の動物飼料添加物、を使用するこ 13Qまたは とによって達成される。該使用は、ペレット化前に、残 (d) A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / りの飼料成分に本発明のフィターゼまたは本発明の動物 A209S / H228Y / K234I / D247K/ K251N / Q256H / H4 10 飼料添加物を加える形式であってよい。また、飼料ペレ 13Q ットの生産後にフィターゼを特に液体形式でこれらのペ を有するフィターゼ、をコードする単離された核酸配列 レットに適用できることが想定される。 を含む。 【0031】 【0024】 本発明は、さらに、家畜の肥料中のリン酸含量を減少さ 本発明は、同様に、フィターゼ活性を有する酵素をコー せるための、本発明の上記合成フィターゼの1つ、本発 ドする、単離された核酸配列を含み、ここで、核酸配列 明の合成フィターゼの少なくとも1つを含む本発明の動 は、配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性 物飼料添加物、または上記合成フィターゼの少なくとも を有し、または高度にストリンジェントな条件下で配列 1つを含む動物飼料の、使用によって達成される。 番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する 【0032】 上記配列の1つの相補鎖とハイブリダイズする核酸配列 20 記載される実施形態は本発明の説明および良好な理解の である。特定の実施形態では、単離された核酸配列は、 ために役立ち、いかなる意味においても限定として解釈 配列番号19と70%を超える同一性を有し、特に75、80 されるべきではない。本発明のさらなる特徴は、下位ク 、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%を超 レームとともに以下の好ましい実施形態の説明からもた える同一性を有する。 らされる。この場合、本発明の個別の特徴は、単独の各 【0025】 事例の実施形態または複数の実施形態で実現することが 本発明は、さらに、本発明の核酸配列の1つを含む組み でき、いかなる意味においても、記載される実施形態に 換え発現ベクターを含む。 本発明を限定するものではない。ここに特許請求の範囲 【0026】 の表現は明示的に本明細書の対象となる。 本発明は、同様に、本発明の核酸配列の1つを含むかま 以下、本発明の実施形態を示す。 たは本発明の組み換え発現ベクターを含む、組み換え宿 30 (1)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の 主細胞を含む。 同一性を有するフィターゼ。 【0027】 (2)配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、 さらに、本目的は、本発明の核酸配列の1つを含むかま 17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149 たは本発明の組み換え発現ベクターを含む非ヒト産生生 、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247 物である組み換え産生生物によって達成される。特に好 、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349 ましくは、組み換え産生生物は、アスペルギルス属(Asp 、356、373、382、399、402および413位からなる群から ergillus)、ピキア属(Pichia)、トリコデルマ属(Tricho 選択される位置の少なくとも1個でのアミノ酸の変化を derma)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、サッカロミセス属( 有する、(1)に記載のフィターゼ。 Saccharomyces)、バシラス属(Bacillus)、エシェリキア (3)少なくとも5個の前記変化を有する、(2)に記 属(Escherischia)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces 40 載のフィターゼ。 )、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)のうち (4)配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、 の1つである。 17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149 【0028】 、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247 さらに、本目的は、本発明のフィターゼの少なくとも1 、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349 つおよびさらに例えばウシ、家禽またはブタ用の慣用の 、356、373、382、399、402および413位の少なくとも1 飼料添加物、例えばビタミン、ミネラルまたは他の添加 個のアミノ酸が、いずれの場合も、以下のアミノ酸:1 物をも含む、動物飼料添加物によって達成される。 N, D, Q, H; 6 V, I, L, T, S; 12 N, D, Q, H, S; 17 【0029】 N, D, Q, H; 84 V, I, L, T, S; 89 T, S, V; 92 E, Q, さらに、本目的は、本発明の上記合成フィターゼの少な くとも1つを慣用の動物飼料成分とともに含む動物飼料 K, R, N, P, A, S, G, H; 109 K, R, E, D; 137 L, I, 50 V; 138 N, Q, H, S; 140 P, A, N; 142 T, S, V; 143 ( 7 ) JP 11 2015-177800 A 2015.10.8 12 Y, F, W; 149 H, N, S; 156 R, K, E, D; 202 S, T, A, (12)フィターゼをコードする単離された核酸配列で V; 205 R, K, E, D; 207 E, Q, D, R, N, T, S, V, A, あって、 I, L, M; 208 M, L, I; 209 S, T; 228 Y, F, W; 234 (a) 配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性 N, D, Q, H, S, I, V, L, M; 243 K, R, D; 247 K, R, を有する、 E; 248 L, I, M, V; 251 N, D, Q, H, S, I, V, L, M; (b) 高度にストリンジェントな条件下で(a)の配列の1つ 255 V, I, L, T, S; 256 Y, F, W, H, N, S; 261 E, Q, の相補鎖とハイブリダイズする D, K, R, N; 270 K, R, E, D; 304 V, I, L, T, S; 31 単離された核酸配列。 4 G, A; 320 L, I, M, V; 349 R, K, E, D; 356 L, I, (13)(11)または(12)に記載の核酸配列を含 M, V; 373 I, V, L, M; 382 G, A; 399 I, V, L, M; 40 む組み換え発現ベクター。 2 N, D, Q, H, S; 413 L, I, M, V, Q, E, N, K, Rのう 10 (14)(11)もしくは(12)に記載の核酸配列ま ちの1個によって置換されている、(1)に記載のフィ たは(13)に記載のベクターを含む組み換え宿主細胞 ターゼ。 。 (5)配列番号18のアミノ酸配列に対して、S1N; A6V (15)(11)もしくは(12)に記載の核酸配列ま ; K12N; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A; D92N; たは(13)に記載のベクターを含む組み換え産生生物 Q109K; M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T 。 156R; N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V2 (16)(1)∼(10)のいずれか一に記載のフィタ 08M; A209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S24 ーゼの少なくとも1つおよびさらなる飼料添加物をも含 8L; K251N; K251I; A255V; Q256Y; Q256H; S261E; N270 む動物飼料添加物。 K; A304V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G (17)(1)∼(10)のいずれか一に記載のフィタ ; T399I; K402N; H413LおよびH413Qからなる群から選択 20 ーゼの少なくとも1つを含む動物飼料。 される少なくとも1個の変化を有する、(1)に記載の (18)(1)∼(10)のいずれか一に記載のフィタ フィターゼ。 ーゼまたは(16)に記載の動物飼料添加物の、動物飼 (6)少なくとも5個の前記変化を有する、(5)に記 料中での使用。 載のフィターゼ。 (19)家畜の肥料中のリン酸含量を減少させるための (7)以下の変化: 、(1)∼(10)のいずれか一に記載のフィターゼ、 [A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H22 (16)に記載の動物飼料添加物、または(17)に記 8Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q]、 載の動物飼料の、使用。 [A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A20 【図面の簡単な説明】 9S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L 【0033】 / H413Q]、 30 【図1】図1はフィターゼFus5#2の温度プロファイルを [A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A20 示す。フィターゼ活性は各事例で指定される温度で測定 9S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Q される。相対活性値の決定では、測定活性の最高値を10 ]および 0%に設定する。 [A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A20 【図2】図2はフィターゼFus5#2のpHプロファイルを示 9S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q す。フィターゼ活性は各事例で指定されるpHで測定され ]からなる群から選択される少なくとも1つの変化を有す る。相対活性値の決定では、測定活性の最高値を100%に る、(1)に記載のフィターゼ。 設定する。 (8)(5)∼(7)のいずれか一に記載のフィターゼ 【図3】図3はフィターゼFus5#2の温度安定性を示す。 の1つに対して、少なくとも1個の位置で少なくとも1個 フィターゼを、pH 5.5で20分、指定の温度に加熱する。 の保存的アミノ酸置換を有する、(1)∼(7)のいず 40 冷却後、残存活性をpH 5.5および37℃で測定する。相対 れか一に記載のフィターゼ。 残存活性の決定には、室温で20分インキュベートされた (9)単離されたフィターゼである、(1)∼(8)の 参照サンプルの活性を100%に設定する。 いずれか一に記載のフィターゼ。 【図4】図4は発現プラスミドpFus5#2のプラスミド地 (10)Yersinia mollaretiiおよびハフニア属種由来 図を示す。 の2つの野生型フィターゼと比べて増加した熱安定性お 【図5】図5は発現プラスミドpH6-Fus5#2のプラスミド よび/または増加した比活性を有する、(1)∼(9) 地図を示す。 のいずれか一に記載のフィターゼ。 【図6】図6は発現プラスミドpGLA53-Fus5#2のプラス (11)(1)∼(10)に記載のフィターゼの1つを ミド地図を示す。 コードする、フィターゼをコードする単離された核酸配 【実施例】 列。 50 【0034】 ( 8 ) JP 13 2015-177800 A 2015.10.8 14 実施例 および ハフニア属種LU11047由来のフィターゼのクローニング Haf1171 (5'- GTCGCGCACGCCCTATATCGCCAAGC-3', 配列番 刊行物Huang et al. (2006) A novel phytase with pre 号10) ferable characteristics fromYersinia intermedia. B 3. iochem Biophys Res Commun 350: 884-889, Shi et al. および Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8) (2008)A novel phytase gene appA from Buttiauxella Haf1172 (5'- CTGCAAACCATCGCACACGCACTGG-3', 配列番 sp. GC21 isolated from grass carp intestine. Aqua 号11)。 culture 275:70-75およびWO2008116878 (example 1)と 【0037】 同様にして、40℃∼50℃の範囲のアニーリング温度で縮 重オリゴHaf1090 5'-GAYCCNYTNTTYCAYCC-3' (配列番号 得られたDNAフラグメントを、「TOPO TAクローニング( 10 登録商標)キット」(Invitrogen)を使用してクローニン 1)およびHaf1092 5'-GGNGTRTTRTCNGGYTG-3' (配列番号 グし、シークエンシングする。ヌクレオチド配列は、ハ 2)を使用して、いくつかの腸内細菌でPCRによってフィ フニア属種LU11047由来のフィターゼをコードする配列 ターゼを探索した。形成されたPCR産物を同じアニーリ 番号12の遺伝子をもたらす。それから得られた配列番 ング条件下でオリゴHaf1090 5'-GAYCCNYTNTTYCAYCC-3' 号13のアミノ酸配列は、Hafnia alveiフィターゼのWO (配列番号1)およびHaf1091 5'-GCDATRTTNGTRTCRTG-3' 200811678由来のフィターゼ配列と98%同一である。 (配列番号3)を使用するセミネスティッド(semi-nested 【0038】 ) PCRの鋳型として使用する。ハフニア属の菌株(ハフニ ソフトウェアSignalP 2.0を使用して、アミノ酸1∼33が ア属種(Hafnia sp.)LU11047)からフラグメントを単離す シグナルペプチドであると予測する。したがって成熟酵 ることができる。単離されたフラグメントを、「TOPO T 素は34位のセリンで始まる。 A クローニング(登録商標)キット」(Invitrogen)を製造 20 【0039】 元の使用説明書にしたがって使用してサブクローニング 1. 合成フィターゼFus5#2 し、次いでシークエンシングする。この部分配列から出 フィターゼFus5#2のクローニング 発し、TAIL-PCR法と称される方法によってフィターゼの ハフニア属種LU11047の染色体DNAから出発し、フィター 完全長配列を増幅する(Yao-Guang Liu and Robert F. W ゼの塩基1∼1074のフラグメントをPCRによって増幅する hittier (1995)Thermal asymmetric interlaced PCR: a (配列番号14)。Yersinia mollaretii ATCC43969のフ utomatable amplification and sequencing of insert ィターゼ候補(すなわち酸性ホスファターゼ)のDNA配列 end fragments from P1 and YAC clones for chromosom 、NCBI sequence ID ZP_00824387から、ヌクレオチド10 e walking. Genomics 25,674-681)。この目的で以下の 57∼1323を増幅するためのオリゴヌクレオチドを導き出 オリゴヌクレオチドを使用する。 す。Yersinia mollaretii ATCC 43969の染色体DNA由来 【0035】 30 の第2のフィターゼフラグメントをそれによって増幅す 3'末端の増幅: る(配列番号15)。2つのフィターゼフラグメントの増 1. 幅で、ハフニアフラグメントの3'末端およびエルシニア Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)お よび フラグメントの5'末端の両末端で、使用されるオリゴの Haf1167 (5'-CTTCGAGAGCCACTTTATTACCGTCG-3', 配列番 助けにより、それぞれ他方のフィターゼフラグメントと 号5) の20 bpのオーバーラップが生じる。このようにして、 2. 両フラグメントをPCR融合によって組み合わせて、合成 Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)お よび フィターゼFus5#2をコードする配列番号16のフィター Haf1168 (5'-CCAATGTTGTGCTGCTGACAATAGG-3', 配列番号 6) ゼ配列を得ることができる。それから得られた配列番号 3. 0によって、アミノ酸1∼33がシグナルペプチドであると 17のアミノ酸配列について、ソフトウェアSignalP 2. Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)お 40 よび 予測される。成熟フィターゼFus5#2 (配列番号18)は Haf1169 (5'-CCGAACTCATCAGCGCTAAAGATGC-3', 配列番号 配列番号19のヌクレオチド配列によってコードされる 7)。 。 【0036】 【0040】 5'末端の増幅: E. coli用の発現プラスミドのクローニングでは、配列 1. 番号16のフィターゼDNAフラグメントの5'末端でNdeI Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8) および 制限部位を確立し、3'末端で終止コドンおよびHindIII Haf1170 (5'- CGCAGTTTGACTTGATGTCGCGCACG-3', 配列番 制限部位を確立する。このためにさらに必要とされる配 号9) 列をPCR反応によって、配列番号16のフィターゼを鋳 2. Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8) 50 型として使用して、使用されるプライマーを介して導入 ( 9 ) JP 15 2015-177800 A 2015.10.8 16 する。これらの部位を使用して、フィターゼをコードす には、まず、非コード3' glaA領域に隣接するA. niger る遺伝子をE. coli発現ベクターpET22b (Novagen)にク グルコアミラーゼ(glaA)プロモーターの制御下にフィタ ローニングする。NdeI制限部位を使用することによって ーゼ遺伝子を含む発現構築物を確立する。このようにし 、かつ終止コドンを導入することによって、pelBシグナ て、A. nigerの3' glaA領域への組み込みに関して該構 ル配列をベクターから除去し、プラスミドに存在する6x 築物を判定する。細胞外タンパク質分泌のシグナル配列 Hisタグ内へのリードスルーを防ぐ。このように生産さ として、A. ficuumフィターゼのシグナル配列を使用す れたプラスミドpFus5#2 (配列番号20)をE.coli株BL21 る。発現構築物のベースとして、EP0635574B1に詳細に (DE3) (Invitrogen)に形質転換する。 記載されるプラスミドpGBGLA-53 (WO9846772ではpGBTOP 【0041】 FYT-1とも称される)を使用する。 フィターゼタンパク質の精製を向上させるために、N末 10 当業者に公知のPCRに基づくクローニング法を使用して 端6xHisタグを有するフィターゼ変異体をクローニング 、pGBGLA-53中の、アミノ酸配列ASRNQSSで始まる成熟フ する。6xHisタグおよびBamHI部位の両者を導入するセン ィターゼタンパク質をコードするA. ficuumフィターゼ ス-オリゴプライマーH6: 5'-ctatggatccgcatcatcatcatc の遺伝子部分を、成熟Fus5#2フィターゼをコードする配 atcacagtgataccgcccctgc-3' (配列番号21)、および成 列番号19の遺伝子部分によって置換する。その結果、 熟フィターゼタンパク質をコードする配列番号19の配 プラスミドpGLA53-Fus5#2 (配列番号23)が形成される 列を鋳型として使用して、PCR産物を増幅する。PCR産物 。HindIIIによって、得られたプラスミドから単離され の3'末端で、以前と同一のアンチセンスオリゴを使用し た線状発現カセットを、プラスミドpGBLA50 (EP0635574 て、やはり終止コドンおよびNdeI制限部位を導入する。 B1)/pGBAAS-1 (WO9846772での同プラスミドの名称)から このように生産されたフラグメントをBamHI/NdeIを介し 単離されたamdSマーカーカセットとともにglaA欠失A. n てベクターpET22bにクローニングし、プラスミドpH6-Fu 20 iger発現株に同時形質転換し、振とうフラスコ中でフィ s5#2 (配列番号22)を取得し、それを、同様に、E. co ターゼを発現させることを、2つの引用特許文献に記載 li BL21(DE3)に形質転換する。この構築物の場合、pET2 されるように進める。細胞を遠心分離によって除去した 2b中に存在するpelBシグナル配列がペリプラズム(perip 後、培養上清中のフィターゼ活性を毎日測定する。最大 lasma)内への輸送に使用される。 活性は3日目∼6日目の間に達成される。 【0042】 【0045】 Escherichia coliでのフィターゼFus5#2の発現 比活性の測定 フィターゼ発現カセットを有するプラスミドを保持する フィターゼ活性をマイクロタイタープレートで測定する E. coli BL21(DE3)株を、アンピシリン(100 mg/l)を含 。精製された酵素サンプルを反応バッファー(250 mM酢 むLB培地で37℃で培養する。0.6のOD (600 nm)で1 mM I 酸Na、1 mM CaCl2 、0.01% Tween 20、pH 5.5)で希釈す PTGを加えることによってフィターゼ発現を誘導する。4 30 る。10μlの酵素溶液を60℃で20分110μlの基質溶液(反 時間の誘導後、10% (v/v)の10x BugBuster溶液(Novogen 応バッファー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))とイ )を加え、混合物を室温で15分インキュベートする。遠 ンキュベートする。80μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/ 心分離後、フィターゼ活性の測定に上清を使用する。 w)を加えることによって反応を停止させる。20μlの停 【0043】 止された反応溶液を、放出されたリン酸の検出のために Ni-アフィニティークロマトグラフィーによる精製 、280μlの新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコ 6xHis標識フィターゼ変異体の精製には、誘導された、 ルビン酸(Sigma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニ フィターゼ発現E. coli培養ブロスを300 mM NaCl、EDTA ウム四水和物、325 mM H2 SO4 )と混合し、50℃で25分イ T M を含まないComplete Protease Inhibitor (製造元Roch ンキュベートし、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブ e Applied Scienceの情報に基づく)と混合し、10% (v/v )の10x BugBuster溶液(Novogen)と混合し、室温で15分 ランク値として、基質バッファーのみを37℃でインキュ 40 ベートし、トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの インキュベートする。遠心分離後、製造元の使用説明書 酵素サンプルを加える。染色反応を同様の方法で実施す にしたがって上清をNi-NTAカラム/KIT (Qiagen)に結合 る。既知の濃度のリン酸溶液を使用する染色反応の検量 させる。冷却溶出バッファー(50 mM酢酸Naバッファー、 線によって、放出されたリン酸の量を決定する。前記条 300 mM NaCl、500 mMイミダゾール、1 mM CaCl2 )を使用 件下で1分あたり1μmolのリン酸を放出する酵素活性を1 して、洗浄ステップ後の溶出を実施する。タンパク質含 Uと称する。使用されたフィターゼ溶液のタンパク質濃 量を測定する前に、透析によってサンプルバッファーを 度を280 nmの吸光度から決定する。この目的で、「Vect 2 mMクエン酸ナトリウムpH 5.5に交換する。 or NTI」ソフトウェア(Invitrogen、バージョン10.3.0) 【0044】 を使用してフィターゼの分子吸光係数を決定する。 Aspergillus nigerでのフィターゼFus5#2の発現 【0046】 Aspergillus nigerでのフィターゼFus5#2の発現のため 50 Fus5#2フィターゼの比活性は2300 +/-200 U/mgである。 ( 10 ) JP 17 2015-177800 A 2015.10.8 18 【0047】 る。希塩酸を使用して該修飾反応バッファーをpH 1.5∼ フィターゼアッセイ 7の範囲にpHを調整する。相対活性の決定では、最高の フィターゼ活性をマイクロタイタープレートで測定する 測定活性を100%に設定する。結果を図2に示す。 。酵素サンプルを反応バッファー(250 mM酢酸Na、1 mM 【0051】 CaCl2 、0.01% Tween 20、pH 5.5)で希釈する。10μlの 酵素溶液を37℃で1時間140μlの基質溶液(反応バッファ ー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))とインキュベー トする。150μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/w)を加え Fus5#2フィターゼの最適pHはpH 4.5である。 ることによって反応を停止させる。20μlの停止された 【0052】 反応溶液を、放出されたリン酸の検出のために、280μl 10 熱安定性(T5 0 )の決定 の新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコルビン酸( 熱失活曲線の記録のためには、反応バッファー(250 mM Sigma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニウム四水和 酢酸Na、1 mM CaCl2 、0.01% Tween 20、pH 5.5)中の希 物、325 mM H2 SO4 )と混合し、50℃で25分インキュベー 釈酵素サンプルを該当する温度に20分加熱し、次いで4 トし、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブランク値と ℃に冷却する。非熱処理参照サンプルを20分室温に置き して、基質バッファーのみを37℃でインキュベートし、 、その後、同様に4℃に冷却する。熱での前処理の後、 トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの酵素サンプ サンプルの酵素活性をフィターゼアッセイによって測定 ルを加える。残りの計測値と同様の方法で染色反応を進 する。参照サンプルの活性を100%に標準化する。種々の める。既知の濃度のリン酸溶液を使用する染色反応の検 フィターゼ変異体の熱安定性をT5 0 値によって特徴付け 量線によって、放出されたリン酸の量を決定する。 る。T5 0 値は、熱失活後に、熱処理されない参照サンプ 【0048】 20 ルと比較して、50%の残存活性が依然として存在する温 最適温度の決定 度を提供する。2種のフィターゼ変異体の熱安定性の変 最適温度の測定のためには、酵素サンプルを反応バッフ 化(℃単位で表現される)は、それぞれのT5 0 値の差異の ァー(250 mM酢酸Na、1 mM CaCl2 、0.01% Tween 20、pH せいで生じる。結果を図3に示す。 5.5)で希釈する。10μlの予熱された(5分、それぞれの 【0053】 反応温度)酵素溶液を110μlの予熱された基質溶液(反応 バッファー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))と30分 インキュベートする。温度勾配ヒートブロック(gradien t heating block)で種々の温度でインキュベーションを その結果、Fus5#2フィターゼのT5 0 値65℃が得られる。 進める。80μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/w)を加える 【0054】 ことによって反応を停止させる。20μlの停止された反 30 2. フィターゼFus5#2のフィターゼ変異体 応溶液を、放出されたリン酸の検出のために、280μlの 配列番号19の遺伝子配列のPCRによる突然変異によっ 新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコルビン酸(Si てフィターゼの変異体を作製した。標的化突然変異誘発 gma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニウム四水和物 では、「Quickchange Site-directed Mutagenesis Kit 、325 mM H2 SO4 )と混合し、50℃で25分インキュベート 」(Stratagene)を使用する。配列番号19のコード配列 し、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブランク値とし の全体または部分のみのランダム突然変異誘発は「Gene て、基質バッファーのみを指定の温度でインキュベート Morph II Random Mutagenesis Kit」(Stratagene)を使 し、トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの酵素サ 用して行う。突然変異誘発率を、使用される鋳型DNAの ンプルを加える。他の計測値と同様の方法で染色反応を 量により1∼5個の突然変異の所望の程度に設定する。 進める。相対活性の決定では、最高の測定活性を100%に 設定する。結果を図1に示す。 単一の突然変異の標的化された組み合わせによって、ま 40 【0049】 たは複数の突然変異誘発ラウンドを連続して行うことに よって多重突然変異を作製する。 【0055】 このようにして作製されたフィターゼ遺伝子の変異体を 、元のフィターゼFus5#2と同様の方法でE. coli発現ベ Fus5#2フィターゼの最適温度は約63℃である。 クターpET22b (Novagen)にクローニングし、次いでE. c 【0050】 oli株BL21(DE3)を使用して発現させる。 最適pHの決定 【0056】 最適pHの決定のためには、修飾反応バッファー(100 mM 少数の事例では、選択されたフィターゼ変異体を、出発 酢酸Na、100 mMグリシン、100 mMイミダゾール、1 mM C フィターゼFus5#2と同様の方法で、Aspergillus niger aCl2 、0.01% Tween 20)をフィターゼアッセイに使用す 50 において対応する発現構築物を使用して発現させる。 ( 11 ) JP 19 20 【0057】 作製されたフィターゼ変異体のフィターゼ活性および温 度安定性をハイスループット試験で試験する。この目的 で、pET22bに基づく発現構築物での形質転換後に得られ たE. coli BL21(DE3)クローンを96ウェルマイクロタイ タープレートでLB培地(2%グルコース、100 mg/lアンピ シリン)中でインキュベートする(30℃、900 rpm、シェ ーカーの振れ2 mm)。約0.5のOD (600 nm)で、1 mM IPTG で4時間誘導を実施する。次いで、10% (v/v)の10x BugB uster溶液(Novogen)を加え、混合物を室温で15分インキ 10 ュベートする。フィターゼ活性および20分の熱ストレス 後の残存活性を測定する。高い相対残存活性を有する変 異体で、熱安定性(T5 0 )を測定する。一部の選択フィタ ーゼ変異体で、追加の特徴的パラメータ(例えば最適温 度、比活性、最適pH)を測定する。 【0058】 熱安定性 個別のフィターゼ変異体の熱安定性の増加をΔTによっ て表現し、ここに、ΔTは、フィターゼFus5#2と比較し たT5 0 値の℃単位での増加を示す。突然変異の詳細は出 20 発分子Fus5#2に関する。 【表1】 2015-177800 【0059】 【表2】 A 2015.10.8 ( 12 ) JP 【図1】 【図4】 【図2】 【図5】 【図3】 【図6】 2015-177800 A 2015.10.8 ( 13 ) 【配列表】 2015177800000001.app JP 2015-177800 A 2015.10.8 ( 14 ) JP 2015-177800 A 2015.10.8 ───────────────────────────────────────────────────── 【手続補正書】 【補正の内容】 【提出日】平成27年4月23日(2015.4.23) 【特許請求の範囲】 【手続補正1】 【請求項1】 【補正対象書類名】特許請求の範囲 家畜の肥料中のリン酸含量を減少させるための、配列番 【補正対象項目名】全文 号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有す 【補正方法】変更 るフィターゼの使用。 ──────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (74)代理人 100111741 弁理士 (74)代理人 弁理士 (72)発明者 田中 夏夫 100170221 小瀬村 暁子 ヘーフナー,シュテファン ドイツ連邦共和国 (72)発明者 ドイツ連邦共和国 (72)発明者 67346 シュパイヤー,コルンガッセ 28 ゼルヴェ,アンネグレート 67067 ルートヴィヒスハーフェン,マリー−ユハッチ−アレー シュトシック,ベアータ ドイツ連邦共和国 68219 マンハイム,イン デン アルテン ヴィーゼン Fターム(参考) 2B150 AA01 AB20 AC02 AC16 AC22 AC25 AC28 AC37 AE05 DF09 4B024 AA10 BA11 CA01 CA05 CA09 CA11 CA20 DA06 EA04 GA11 QQ06 QQ42 QQ52 QR32 QR35 QR55 QR62 HA01 HA11 4B050 CC03 DD02 LL10 4B063 QA01 QA13 QA18 QS25 QX01 65 48
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