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JP 2011-105299 A 2011.6.2
(57)【要約】
【課題】大人と幼児とを高精度に判定できるとともに、
リフタを備えたシートにも適用できるコスト低廉で軽量
なシート乗員判定装置を提供する。
【解決手段】シートの下側の左右に離隔配置された第1
荷重検知センサ3Lおよび第2荷重検知センサ3Rと、
第1および第2荷重検知センサ(3L、3R)に対して
前方に離隔配置された第3荷重検知センサ3Fと、第1
荷重検知センサの第1荷重値WLと第2荷重検知センサ
の第2荷重値WRとを加算して左右和Wsumを求める
左右和演算手段52と、第3荷重検知センサの第3荷重
値WFに基づいて乗員判定閾値JDを変化させる閾値変
化手段(53,54)と、左右和Wsumが乗員判定閾
値JD以上のときに大人が前記シートに着座していると
判定し、左右和Wsumが乗員判定閾値JD未満のとき
に幼児を保持したチャイルドシートがシートに固縛され
ていると判定する乗員判定手段55と、を備える。
【選択図】図3
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートの下側の左右に離隔配置されて前記シートに作用する荷重の一部をそれぞ
れ検知する第1荷重検知センサおよび第2荷重検知センサと、
前記第1荷重検知センサおよび前記第2荷重検知センサに対して前方または後方に離隔
配置されて前記シートに作用する前記荷重の一部を検知する第3荷重検知センサと、
前記第1荷重検知センサで検知された第1荷重値と、前記第2荷重検知センサで検知さ
れた第2荷重値とを加算して左右和を求める左右和演算手段と、
前記第3荷重検知センサで検知された第3荷重値に基づいて乗員判定閾値を変化させる
閾値変化手段と、
10
前記左右和が前記乗員判定閾値以上のときに大人が前記シートに着座していると判定し
、前記左右和が前記乗員判定閾値未満のときに幼児を保持したチャイルドシートが前記シ
ートに固縛されていると判定する乗員判定手段と、
を備えることを特徴とするシート乗員判定装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シートを支持する4支持部のうち後方左右の2支持部に前記第
1荷重検知センサおよび前記第2荷重検知センサが配置され、前方の左または右の支持部
に前記第3荷重検知センサが配置されていることを特徴とするシート乗員判定装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記閾値変化手段は、前記大人または前記幼児により前記
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シートに荷重が作用するときの第1荷重値、第2荷重値、および第3荷重値をそれぞれ実
測することにより求めた乗員判定閾値を、閾値変動マップまたは閾値変動関数としてもつ
ことを特徴とするシート乗員判定装置。
【請求項4】
請求項1∼3のいずれか一項において、前記シートはその座面高さを昇降駆動するリフ
タを備え、該リフタよりも下側に前記第1荷重検知センサ、前記第2荷重検知センサ、お
よび前記第3荷重検知センサが配置され、
前記閾値変化手段は、前記第3荷重値と前記第1および前記第2荷重値との相対的な関
係に基づいて前記リフタの高さを推定するリフタ高さ推定手段と、推定した前記高さに基
づいて前記乗員判定閾値を求める閾値演算手段と、を含むことを特徴とするシート乗員判
30
定装置。
【請求項5】
請求項4において、前記リフタ高さ推定手段は、前記第3荷重値と前記左右和との比率
を表す前後比に基づいて前記リフタの前記高さを推定することを特徴とするシート乗員判
定装置。
【請求項6】
請求項1∼5のいずれか一項において、前記第1荷重値と前記第2荷重値との差分であ
る左右差を求める左右差演算手段と、求めた前記左右差に基づいて前記閾値変化手段の前
記乗員判定閾値を補正する閾値補正手段と、を備えることを特徴とするシート乗員判定装
置。
40
【請求項7】
請求項6において、前記閾値補正手段は、前記左右差が所定値を越えるときに前記乗員
判定閾値を低減補正することを特徴とするシート乗員判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートの乗員を大人か幼児か判定するシート乗員判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に装備されたシートベルトやエアバッグ等の各種安全装置の性能を向上さ
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せるため、シートに着座している乗員の体重に合わせてこれらの安全装置の動作をコント
ロールする場合がある。例えば、乗員がシートに着座してシートベルトを装着しないとき
に、「シートベルト未装着」のアラームを表示することが一般的になっている。また、北
米法規では、助手席に大人が着座している場合には、事故時にエアバッグを展開するよう
に定められている。さらに、助手席にチャイルドシートを後ろ向きに固縛して幼児が運転
者と対面するようにした場合には、エアバッグの展開による衝撃が逆効果となるのでこれ
を禁止するよう定められている。そして、大人であることの判定は小柄な成人女性の体重
を判定基準として行い、幼児の判定についても判定基準が定められている。このように、
乗員の体重を検知して正しく判定することは、安全性の面で極めて重要である。
【0003】
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シートに作用する荷重を検知して乗員の有無を判別する乗員検知装置の一例が特許文献
1に開示されている。この乗員検知装置では、多数箇所のシート取り付け部のうちの2カ
所にのみ荷重センサを設置し、得られる2つの荷重値の和から乗員の有無を判別している
。これにより、通常は4カ所あるシート取り付け部のうちの最小限必要な2カ所にのみ荷
重センサを設置し、全体として構成が簡単で安価な乗員検知装置が提供できる、とされて
いる。
【0004】
また、シートに着座した乗員が大人であるか子供であるかを判定する乗員検知装置の一
例が特許文献2に開示されている。この乗員検知装置は、シートベルトのバックル近傍お
よび反対側に加わるシート荷重を検出する第1および第2荷重センサと、バックルにタン
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グプレートが挿入されたことを検出する検出手段と、第1および第2荷重センサの検出値
から求めた総荷重が予め定めた閾値以上の場合に乗員が大人であると判定する判定手段と
を含んでいる。さらに、判定手段は、総荷重が閾値以上であっても、第1および第2荷重
センサの検出値の差が所定値以上に増加した履歴があり、かつタングプレートが挿入され
たタイミングの前後に第1荷重センサの検出値が増加している場合に、乗員が子供である
と判定するようになっている。これにより、閾値より少し下回る子供がシートに着座して
、他の乗員によってシートベルト装着動作が行われた場合の誤判定を防止できるとされて
いる。なお、実施形態の説明によれば、第1および第2荷重センサはそれぞれ2個ずつあ
り、4カ所のシート取り付け部の全部で荷重を検出して総荷重を求めるようになっている
。
30
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−207638号公報
【特許文献2】特許第3991740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の乗員検知装置では、装置の低コスト化、軽量化のために荷重セ
ンサの設置数を最小限としており、乗員の有無は判別できても、大人と幼児とを判定でき
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ない。多数箇所のシート取り付け部のうちの一部にのみ荷重センサを設置する方法では、
検知される荷重値が乗員の着座姿勢や車両傾斜角度に依存して変化するため、単純に一定
の閾値で大人と幼児とを判定することが難しい。さらに、シートの座面高さを昇降駆動す
るリフタを備える場合、リフタの高さによっても検知される荷重値が変化するので、乗員
の判定は一層難しくなる。
【0007】
また、特許文献2の乗員検知装置は、シートベルト装着動作により一時的に増加する荷
重値の影響を排除して大人と幼児(子供)を高精度に判定できるが、4カ所のシート取り
付け部の全部に荷重センサを設置するため、装置が高コスト化、重量化している。
【0008】
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本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、大人と幼児とを高精度に判定できるとと
もに、リフタを備えたシートにも適用できるコスト低廉で軽量なシート乗員判定装置を提
供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1に係るシート乗員判定装置の発明は、車両のシートの下側
の左右に離隔配置されて前記シートに作用する荷重の一部をそれぞれ検知する第1荷重検
知センサおよび第2荷重検知センサと、前記第1荷重検知センサおよび前記第2荷重検知
センサに対して前方または後方に離隔配置されて前記シートに作用する前記荷重の一部を
検知する第3荷重検知センサと、前記第1荷重検知センサで検知された第1荷重値と、前
10
記第2荷重検知センサで検知された第2荷重値とを加算して左右和を求める左右和演算手
段と、前記第3荷重検知センサで検知された第3荷重値に基づいて乗員判定閾値を変化さ
せる閾値変化手段と、前記左右和が前記乗員判定閾値以上のときに大人が前記シートに着
座していると判定し、前記左右和が前記乗員判定閾値未満のときに幼児を保持したチャイ
ルドシートが前記シートに固縛されていると判定する乗員判定手段と、を備えることを特
徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記シートを支持する4支持部のうち後方
左右の2支持部に前記第1荷重検知センサおよび前記第2荷重検知センサが配置され、前
方の左または右の支持部に前記第3荷重検知センサが配置されていることを特徴とする。
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【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記閾値変化手段は、前記大人ま
たは前記幼児により前記シートに荷重が作用するときの第1荷重値、第2荷重値、および
第3荷重値をそれぞれ実測することにより求めた乗員判定閾値を、閾値変動マップまたは
閾値変動関数としてもつことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1∼3のいずれか一項において、前記シートはその座面
高さを昇降駆動するリフタを備え、該リフタよりも下側に前記第1荷重検知センサ、前記
第2荷重検知センサ、および前記第3荷重検知センサが配置され、前記閾値変化手段は、
前記第3荷重値と前記第1および前記第2荷重値との相対的な関係に基づいて前記リフタ
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の高さを推定するリフタ高さ推定手段と、推定した前記高さに基づいて前記乗員判定閾値
を求める閾値演算手段と、を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記リフタ高さ推定手段は、前記第3荷重
値と前記左右和との比率を表す前後比に基づいて前記リフタの前記高さを推定することを
特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1∼5のいずれか一項において、前記第1荷重値と前記
第2荷重値との差分である左右差を求める左右差演算手段と、求めた前記左右差に基づい
て前記閾値変化手段の前記乗員判定閾値を補正する閾値補正手段と、を備えることを特徴
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とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6において、前記閾値補正手段は、前記左右差が所定値
を越えるときに前記乗員判定閾値を低減補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係るシート乗員判定装置の発明では、車両のシートの下側の左右で検知され
た第1荷重値と第2荷重値とを加算した左右和を、前方または後方で検知された第3荷重
値に応じて変化する乗員判定閾値と比較して乗員が大人か幼児かを判定する。ここで、シ
ートに作用する乗員の荷重(以降は乗員荷重と称す)に占める第1∼第3荷重値の割合は
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、乗員の着座姿勢および車両傾斜角度に依存して変化する。例えば、乗員が通常と異なる
着座姿勢をとりその重心位置が第3荷重検知センサに近づいた場合、第3荷重値の乗員荷
重に占める割合は通常よりも大きめになり、重心位置から離れた第1および第2荷重検知
センサで検知される荷重値やその左右和の乗員荷重に占める割合は通常よりも小さめにな
る。逆に、乗員の重心位置が第3荷重検知センサから離れた場合、第3荷重値の乗員荷重
に占める割合が小さめになって、左右和の乗員荷重に占める割合が大きめになる。
【0017】
この関係を利用し、第3荷重値に応じて乗員判定閾値を変化させる。定性的には、第3
荷重値が大きいときほど乗員判定閾値を小さく変化させる。つまり、第3荷重値が大きい
ときに、乗員の重心位置が第3荷重検知センサに近づいたものと想定して、左右和が小さ
10
くとも大人と判定する。なお、大柄な大人が通常の着座姿勢をとった場合にも第3荷重値
は大きくなるが、左右和も大きくなるので、小さめの乗員判定閾値で判定を誤ることはな
い。また、車両傾斜角度により重心位置が変化する場合にも、同様の作用が生じる。した
がって、乗員の着座姿勢や車両傾斜角度の影響を低減して、大人と幼児とを高精度に判定
できる。本発明は、乗員の着座姿勢および車両傾斜角度の要因を考慮しており、単純に3
つの荷重値を加えた加算値を閾値と比較する方法よりも高精度になっている。
【0018】
さらに、シートを支持する4箇所以上の支持部に対して荷重検知センサは3個で済むの
で、全支持部にセンサを配置する従来技術と比較して、材料コストおよび組み付けコスト
が低廉になり、また、センサを含むシートの重量を軽くできる。
20
【0019】
請求項2に係る発明では、シートを支持する4支持部のうち後方左右の2支持部に第1
荷重検知センサおよび第2荷重検知センサが配置され、前方の左または右の支持部に第3
荷重検知センサが配置されている。本発明は、普及している4点支持のシートに好適とな
っている。また、大人が通常の着座姿勢をとった場合に乗員荷重の過半が作用する後方左
右の支持部で第1および第2荷重値を求め、乗員荷重のより少ない割合が作用する前方の
左または右の支持部で第3荷重値を求めている。したがって、主たる判定指標となる左右
和は乗員荷重の過半を検知したものとなり、加えて、第3荷重値に基づいて乗員判定閾値
を変化させるので、高精度な乗員判定を行える。
【0020】
30
請求項3に係る発明では、閾値変化手段は、大人または幼児によりシートに荷重が作用
するときの第1荷重値、第2荷重値、および第3荷重値をそれぞれ実測することにより求
めた乗員判定閾値を、閾値変動マップまたは閾値変動関数としてもつようになっている。
したがって、乗員判定閾値は、実測結果から得られた精度の高いものとなり、高精度な乗
員判定に寄与できる。また、乗員判定閾値は、閾値変動マップまたは閾値変動関数の形態
で迅速かつ容易に利用できるようになっている。
【0021】
請求項4に係る発明では、シートの座面高さを昇降駆動するリフタよりも下側に第1荷
重検知センサ、第2荷重検知センサ、および第3荷重検知センサが配置され、閾値変化手
段は、リフタの高さを推定するリフタ高さ推定手段と、推定した高さに基づいて乗員判定
40
閾値を求める閾値演算手段と、を含んでいる。さらに、請求項5に係る発明では、リフタ
高さ推定手段は、第3荷重値と左右和との比率を表す前後比に基づいてリフタの高さを推
定する。本発明は、リフタを備えるシートに好適となっている。また、検知された第1∼
第3荷重値からリフタの高さを推定し、推定した高さに基づいて乗員判定閾値を求めるの
で、リフタの高さの影響を低減して高精度な乗員判定を行える。
【0022】
請求項6に係る発明では、第1荷重値と第2荷重値との差分である左右差を求める左右
差演算手段と、求めた左右差に基づいて閾値変化手段の乗員判定閾値を補正する閾値補正
手段と、を備える。さらに、請求項7に係る発明では、閾値補正手段は、左右差が所定値
を越えるときに乗員判定閾値を低減補正する。乗員が車両内壁にもたれかかったりして左
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右に偏った着座姿勢をとると、乗員荷重の一部がシート以外の部位に抜けて左右和が減少
することが生じ得る。このとき、左右差を求めることで偏った着座姿勢を判定し、さらに
減少した分の荷重を考慮して乗員判定閾値を低減補正することができる。したがって、乗
員が左右に偏った着座姿勢をとり求められる左右和が減少する場合にも、高精度な乗員判
定を行える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態のシート乗員判定装置を装備する助手席のシートの内部下
方を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態において、リフタによりシートが昇降駆動された状態を説明する側
10
面図であり、(1)は下限高さ位置、(2)は上限高さ位置を示している。
【図3】第1実施形態のシート乗員判定装置の構成を説明するブロック図である。。
【図4】第1実施形態において、大人と判定すべき最小の体重値の乗員がシートに着座し
た状態でリフタ高さを変化させたときの実測結果の図である。
【図5】第2実施形態のシート乗員判定装置の構成を説明するブロック図である。
【図6】第2実施形態における閾値変動マップを模式的に説明する図である。
【図7】第3実施形態のシート乗員判定装置の構成を説明するブロック図である。
【図8】第3実施形態において、閾値補正手段の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
20
本発明を実施するための形態を、図1∼図4を参考にして説明する。図1は、本発明の
第1実施形態のシート乗員判定装置1を装備する助手席のシートの内部下方を示した斜視
図である。なお、以降の説明中において、シートに着座した乗員にとっての前方をシート
の前方とし、乗員の右手側をシートの右方とし、乗員の左手側をシートの左方とする。
【0025】
図1に示されるように、シートのクッションフレームを構成する左右のフレーム片91
L、91Rは、クッションフレームの下側に前後方向に延在している。左右のフレーム片
91L、91Rは、それぞれの後方が左右に延在する連結ロッド95に枢支され、互いの
間隔が不変な状態で保持されている。また、シートの下側には、シートを前後方向に移動
可能とする符号略のスライド機構が配置されている。スライド機構は、車両のフロアに固
30
定されて前後方向に延在する左右一対のロアレール92L、92Rと、ロアレール92L
、92Rにそれぞれ係合して前後方向にスライドする左右一対のアッパレール93L、9
3Rなどにより構成されている。シートのフレーム片91L、91Rとアッパレール93
L、93Rとの間には、シートを昇降駆動するリフタ2が備えられている。
【0026】
リフタ2は、フレーム片91L、91Rとアッパレール93L、93Rとを連結する前
後各一対のリンク21FL、21FR、21RL、21RRを備えている。各リンク21
FL、21FR、21RL、21RRは、シートを支持する4つの支持部であり、シート
に作用する乗員荷重およびシート自重を分担して支持するようになっている。前方右リン
ク21FRは、右側のフレーム片91Rの前方および右側のアッパレール93Rの前方に
40
、回動可能に連結されている。前方左リンク21FLは、左側のフレーム片91Lの前方
およびリテーナ94FLに、回動可能に連結されている。後方右リンク21RRの一端は
連結ロッド95に溶接等によって固着され、他端はリテーナ94RRに回動可能に連結さ
れている。
【0027】
また、後方左リンク21RLは、略「く」の字状に形成されている。後方左リンク21
RLの「く」の字が折れ曲がる中央は連結ロッド95に溶接等によって固着され、「く」
の字の一端はリテーナ94RLに回動可能に連結されている。後方右リンク21RR、後
方左リンク21RL、および連結ロッド95により、剛性を有した略コの字状の昇降部材
が一体に形成されている。また、後方左リンク21RLの「く」の字の他端は前方に延設
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され、その前端部にギヤ歯22が形成されている。一方、左側のフレーム片91Lの内側
面には、ギヤ歯22と噛合するピニオンギヤ23が回転可能に枢支されている。さらに、
左側のフレーム片91Lには、ピニオンギヤ23を回転駆動する電動モータ24が設けら
れている。
【0028】
一方、アッパレール93L、93Rの上縁のうち各リテーナ94FL、94RL、94
RRに対向する部分は幅方向内側に折り曲げられて、符号略のフランジ部が形成されてい
る。そして、各リテーナ94FL、94RL、94RRと各フランジ部とをそれぞれ結合
し、かつ作用する荷重を検知するように、前方荷重検知センサ3F、後方左荷重検知セン
サ3L、後方右荷重検知センサ3Rが配置されている。シートの右側において、右側のフ
10
レーム片91R、右側のアッパレール93R、前後のリンク21FR、21RRにより、
変形可能な矩形状のリンク機構が構成される。同様に、シートの左側において、左側のフ
レーム片91L、左側のアッパレール93L、前後のリンク21FL、21RLにより、
変形可能な矩形状のリンク機構が構成される。
【0029】
上述の構成において、電動モータ24が起動されてリフタ2が操作されると、シートが
昇降駆動される。図1において、電動モータ24によりピニオンギヤ23が図中矢印Xで
示す時計回りに駆動されると、後方左リンク21RLのギヤ歯22が下降し、後方左リン
ク21RLはリテーナ94RLを中心として反時計回りに回動する。これにより、後方左
リンク21RLの中央が斜め前方へと上昇する。すると、矩形状のリンク機構の作用によ
20
り、左側のフレーム片91Lは水平姿勢を保ちながら斜め前方へと上昇する。さらに、後
方右リンク21RRは連結ロッド95を介して後方左リンク21RLと一体に駆動される
ので、右側のフレーム片91Rも追従して水平姿勢を保ちながら斜め前方へと上昇する。
両フレーム片91L、91Rの上昇により、シートも水平姿勢を保ちながら斜め前方へと
上昇する。なお、リフタ2のリフタ高さHは、図略のストッパにより上限高さUMで制限
される。
【0030】
逆に、ピニオンギヤ23が反時計回りに駆動されると、後方左リンク21RLのギヤ歯
22が上昇し、後方左リンク21RLはリテーナ94RLを中心として時計回りに回動す
る。これにより、後方左リンク21RLの中央が斜め後方へと下降する。すると、左側の
30
フレーム片91Lは水平姿勢を保ちながら斜め後方へと下降し、右側のフレーム片91R
も追従して下降し、シートも下降する。なお、リフタ2のリフタ高さHは、図略のストッ
パにより下限高さLMで制限される。
【0031】
図2は、第1実施形態において、リフタ2によりシートが昇降駆動された状態を説明す
る側面図であり、(1)は下限高さLM位置、(2)は上限高さUM位置を示している。
図中で、リフタ高さHは、シートのフレーム片91Lとアッパレール93Lとの距離で示
されている。図示されるように、下限高さLM位置から上限高さUM位置に移動するにつ
れて、フレーム片91Lは上昇するだけでなく前方にも移動する。したがって、リフタ高
さHが増加するにつれて、後方に偏っていた乗員荷重Wmが徐々に前方側に移動する。
40
【0032】
次に、図3を参考にして、シート乗員判定装置1の構成を説明する。図3は、第1実施
形態のシート乗員判定装置1の構成を説明するブロック図である。図示されるように、シ
ート乗員判定装置1は、後方左荷重検知センサ3L、後方右荷重検知センサ3R、および
前方荷重検知センサ3Fと、荷重検知ECU4とを主体にして構成されている。
【0033】
各荷重検知センサ3L、3R、3Fは、図1中の各リンク21RL、21RR、21F
Lに作用する荷重、すなわちシートに作用する荷重の一部である後方左荷重値WL、後方
右荷重値WR、および前方荷重値WFをそれぞれ検出するようになっている。後方左荷重
検知センサ3Lおよび後方右荷重検知センサ3Rは、シートの下側の左右に離隔配置され
50
(8)
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た第1および第2荷重検知センサに対応しており、検知された後方左荷重値WLおよび後
方右荷重値WRは第1および第2荷重値に対応している。前方荷重検知センサ3Fは、第
1および第2荷重検知センサに対して前方に離隔配置された第3荷重検知センサに対応し
ており、検知された前方荷重値WFは第3荷重値に対応している。各荷重検知センサ3L
、3R、3Fは歪みゲージ式のセンサであり、それぞれの電気出力は、荷重検知ECU4
の荷重検知部51に取り込まれている。なお、各荷重検知センサ3L、3R、3Fは、車
両が水平でかつシートが空席でシート自重のみが作用する基準状態において、検知される
各荷重値がゼロとなるように校正されている。つまり、シート自重を除外して、シートに
作用する乗員荷重Wmのみを検知するようになっている。
【0034】
10
各荷重検知センサ3L、3R、3Fが検知する後方左荷重値WL、後方右荷重値WR、
および前方荷重値WFは、シートに作用する乗員荷重Wmにより変化し、かつリフタ2の
リフタ高さHに依存して変化する。図2(1)に示されるように、リフタ2が下限高さL
M位置にあるとき後方に乗員荷重Wmが偏り、前方荷重値WF1が減少するとともに、後
方左荷重値WLおよび後方右荷重値WRが増加し、後述の左右和Wsum1も増加する。
逆に、図2(2)に示されるように、リフタ2が上限高さUM位置にあるとき前方に乗員
荷重Wmが偏り、前方荷重値WF2が増加するとともに、後方左荷重値WLおよび後方右
荷重値WRが減少し、左右和Wsum2も減少する。
【0035】
図3に戻り、荷重検知ECU4は、演算部、記憶部、入力部、出力部、などを備えてソ
20
フトウェアで動作する電子制御装置である。以降に説明する荷重検知部51、左右和演算
手段52、リフタ高さ推定手段53、閾値演算手段54、および乗員判定手段55の各機
能手段は、ソフトウェアを主体にして実現されている。また、閾値演算マップ61および
リフタ高さ推定マップ62は、記憶部に記憶されているデータである。
【0036】
荷重検知部51は、荷重検知ECU4の入力部にあってA/D変換器を有し、各荷重検
知センサ3L、3R、3Fのアナログ電気出力をディジタル量に変換する。さらに、荷重
検知部51は、所定の工学変換式を用いて工学単位の後方左荷重値WL、後方右荷重値W
R、および前方荷重値WFを求め、出力するようになっている。左右和演算手段52は、
荷重検知部51から受け取った後方左荷重値WLと後方右荷重値WRとを加算して左右和
30
Wsumを求める。
【0037】
リフタ高さ推定手段53は、まず、荷重検知部51から受け取った前方荷重値WFと左
右和演算手段52から受け取った左右和Wsumとの比率を表す前後比(f/r)を求め
る(f/r=WF/Wsum)。次に、この前後比(f/r)をリフタ高さ推定マップ6
2に照合して、リフタ高さHを推定する。リフタ高さ推定マップ62は、前後比(f/r
)とリフタ高さHとの関係を対応表形式に整理したデータであって、前以て実測結果から
作成したものである。
【0038】
閾値演算手段54は、リフタ高さ推定手段53から受け取ったリフタ高さHを閾値演算
40
マップ61に照合して、乗員判定閾値JDを求める。閾値演算マップ61は、リフタ高さ
Hと乗員判定閾値JDの関係を対応表形式に整理したデータであって、前以て実測結果か
ら作成したものである。なお、リフタ高さ推定手段53および閾値演算手段54により、
閾値変化手段が構成される。
【0039】
乗員判定手段55は、左右和演算手段52から受け取った左右和Wsumと、閾値演算
手段54から受け取った乗員判定閾値JDとを比較する。そして、前者が大きければ大人
がシートに着座していると判定し、後者が大きければ幼児を保持したチャイルドシートが
シートに固縛されていると判定する。判定結果は、エアバッグの事故時展開の可否の制御
に用いられる。
50
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【0040】
次に、閾値演算マップ61およびリフタ高さ推定マップ62の作成方法について、図4
の実測結果を参考にして説明する。図4は、大人と判定すべき最小の体重値の乗員がシー
トに通常の着座姿勢で着座した状態でリフタ高さHを変化させたときの実測結果の図であ
る。図中のグラフの横軸はリフタ高さHで、左端が下限高さLM、右端が上限高さUMを
示している。また、縦軸は実測された荷重値を示している。図示されるように、リフタ高
さHを9段階に変化させて各荷重値WL、WR、WFを実測し、左右和Wsumのプロッ
トを実線でつなぎ、前方荷重値WFのプロットを破線でつないでいる。
【0041】
図4から明らかなように、リフタ高さHが増加するにつれて左右和Wsumは徐々に減
10
少し、前方荷重値WFは徐々に増加している。このため、前方荷重値WFを左右和Wsu
mで除算した前後比(f/r)は、リフタ高さHの増加につれて単調に増加する。この傾
向は、乗員が入れ替わっても成立する。したがって、前後比(f/r)とリフタ高さHと
の関係を対応表形式でリフタ高さ推定マップ62に整理しておけば、実測された任意の各
荷重値WL、WR、WFからリフタ高さHを推定できる。
【0042】
さらに、図4の左右和Wsumを乗員判定閾値JDに置き換え、リフタ高さHとの関係
を対応表形式で閾値演算マップ61に整理することができる。これを用いれば、任意のリ
フタ高さHに対する乗員判定閾値JDを求めることができる。
【0043】
20
なお、車両が前後に傾斜している場合にはリフタ高さHの推定に誤差を生じるが、前後
比(f/r)と乗員判定閾値JDとの関係は維持されるので、乗員判定の精度が低下する
ことはない。リフタ高さHは、乗員判定閾値JDを得るために用いる中間パラメータであ
って、或る意味でリフタ高さHと車両傾斜角度の両要因の影響を表している。リフタ高さ
Hの推定精度を維持するためには、例えば、傾斜センサを併用して車両傾斜角度の影響を
取り除くことが好ましい。
【0044】
また、乗員の着座姿勢が変化すると、検知される各荷重値WL、WR、WFは微妙に変
化する。例えば、図4に示された左右和Wsumや前方荷重値WFが図中で微妙に上下す
る。したがって、乗員判定閾値JDに或る幅を設けるようにしてもよい。
30
【0045】
第1実施形態のシート乗員判定装置1では、4点支持のリフタ2を備えるシートにおい
て、乗員荷重Wmの過半が作用する後方左右で検知した各荷重値WL、WRの左右和Ws
umを求め、乗員荷重のより少ない割合が作用する前方の左で検知した前方荷重値WFを
求める。そして、前後比(f/r)を求め、リフタ高さHを推定して、乗員判定閾値JD
を求める。本第1実施形態は、リフタ高さHや車両傾斜角度の要因を考慮しており、単純
に3つの荷重値を加えた加算値(WL+WR+WF)を閾値と比較する方法よりも高精度
な乗員判定を行える。
【0046】
また、各荷重値WL、WR、WFの実測結果を整理した閾値演算マップ61およびリフ
40
タ高さ推定マップ62を用いるので、乗員判定閾値JDは精度の高いものとなり、高精度
な乗員判定に寄与できる。
【0047】
さらに、シートを支持する4リンクのうち3リンク21FL、21RL、21RRの下
側にそれぞれ荷重検知センサ3F、3L、3Rを設け、前方右リンク21FRの下側には
センサを設けていない。したがって、4センサの従来技術と比較して材料コストおよび組
み付けコストが低廉になり、また、センサを含むシートの重量を軽くできる。
【0048】
次に、リフタ2の有無に関わらず適用できる第2実施形態のシート乗員判定装置10に
ついて、図5および図6を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実
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施形態のシート乗員判定装置10を装備する助手席のシートの内部下方は図1と同様であ
るが、これに制約されずリフタ2を備えていなくともよい。図5は、第2実施形態のシー
ト乗員判定装置10の構成を説明するブロック図である。シート乗員判定装置10は、第
1実施形態と同様に後方左荷重検知センサ3L、後方右荷重検知センサ3R、および前方
荷重検知センサ3Fと、荷重検知ECU40とを主体にして構成され、荷重検知ECU4
0のソフトウェアが第1実施形態と異なる。
【0049】
荷重検知ECU40は、荷重検知部51、左右和演算手段52、閾値変化手段56、お
よび乗員判定手段55の各機能手段と、閾値変動マップ63により実現されている。閾値
変化手段56は、荷重検知部51から受け取った前方荷重値WFを閾値変動マップ63に
10
照合して、乗員判定閾値の上限値JDUおよび下限値JDLを求める。閾値変動マップ6
3は、前方荷重値WFと乗員判定閾値の上限値JDUおよび下限値JDLとの関係を対応
表形式に整理したデータであって、前以て実測結果から作成したものである。
【0050】
図6は、第2実施形態における閾値変動マップ63を模式的に説明する図である。図中
のグラフの横軸は前方荷重値WF、縦軸は左右和Wsumを示している。グラフ上には、
大人が様々な着座姿勢でシートに着座したときの実測結果をプロットする。図中の正方形
の記号は、リフタ2が下限高さLMにあるときの複数の大人の実測結果であり、菱形の記
号はリフタ2が上限高さUMにあるときの複数の大人の実測結果である。同様に、グラフ
上に、シートに固縛されたチャイルドシートに幼児を保持したときの実測結果をプロット
20
する。図中の丸の記号は、リフタ2が下限高さLMにあるときの複数の幼児の実測結果で
あり、三角形の記号はリフタ2が上限高さUMにあるときの複数の幼児の実測結果である
。
【0051】
図示されるように、大人と幼児とでは左右和Wsumに大小差がある。また、前方荷重
値WFの増加につれて、左右和Wsumは減少する傾向がある。これを踏まえ、大人と幼
児の間に、図中右肩下がりの乗員判定閾値の幅を設定できる。閾値変動マップ63には、
前方荷重値WFに対する乗員判定閾値の幅の上限値JDUと下限値JDLを、対応表形式
で整理する。上限値JDUよりも上側が大人判定領域であり、下限値JDLよりも下側が
幼児判定領域である。
30
【0052】
乗員判定手段55は、左右和演算手段52から受け取った左右和Wsumと、閾値変化
手段56から受け取った乗員判定閾値の幅の上限値JDUおよび下限値JDLとを比較す
る。そして、左右和Wsumが上限値JDU以上のときに大人がシートに着座していると
判定し、左右和Wsumが下限値JDL未満のときに幼児を保持したチャイルドシートが
シートに固縛されていると判定し、左右和Wsumが下限値JDL以上でかつ上限値JD
U未満のときに判定を保留する。
【0053】
第2実施形態のシート乗員判定装置10では、リフタ2の有無によらず、体重の異なる
複数の大人および幼児が様々な着座姿勢をとったときの実測結果に基づいて、乗員判定閾
40
値の幅の上限値JDUおよび下限値JDLを求める。したがって、乗員の着座姿勢の影響
を低減して、大人と幼児とを高精度に判定できる。
【0054】
次に、左右に偏った着座姿勢の影響を低減する第3実施形態のシート乗員判定装置11
について、図7および図8を参考にして、第1および第2実施形態と異なる点を主に説明
する。第3実施形態のシート乗員判定装置11を装備する助手席のシートの内部下方は図
1と同様である。図7は、第3実施形態のシート乗員判定装置11の構成を説明するブロ
ック図である。シート乗員判定装置11は、第1および第2実施形態と同様に、後方左荷
重検知センサ3L、後方右荷重検知センサ3R、および前方荷重検知センサ3Fと、荷重
検知ECU41とを主体にして構成され、荷重検知ECU41のソフトウェアが第1およ
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び第2実施形態と異なる。
【0055】
荷重検知ECU41は、荷重検知部51、左右和演算手段52、閾値変化手段56、左
右差演算手段57、閾値補正手段58、および乗員判定手段55の各機能手段と、閾値変
動マップ63により実現されている。左右差演算手段57は、荷重検知部51から受け取
った後方左荷重値WLから後方右荷重値WRを差し引いた絶対値を求めて左右差Wdif
とする。左右差Wdifは、所定値Wd0と大小比較することで、乗員が左右に偏った着
座姿勢を取っているか否かを判定する指標である。閾値変化手段56は、第2実施形態と
同様の実測に基づいて求めた閾値変動マップ63から、通常時に用いる常時乗員判定閾値
JD1を求める。なお、常時乗員判定閾値JD1は幅を有さない単一の値、例えば第2実
10
施形態の上限値JDUと下限値JDLの中間値としておく。
【0056】
閾値補正手段58は、左右差演算手段57から受け取った左右差Wdifが所定値Wd
0を越えない通常時に、閾値変化手段56から受け取った常時乗員判定閾値JD1を通過
させる。また、閾値補正手段58は、左右差Wdifが所定値Wd0を越えるときに、常
時乗員判定閾値JD1から所定量JD0を減算して補正乗員判定閾値JD2とする(JD
2=JD1―JD0)。図8は、第3実施形態において、閾値補正手段58の機能を説明
する図であり、図中のグラフの横軸は前方荷重値WF、縦軸は左右和Wsumを示してい
る。図示されるように、常時乗員判定閾値JD1は、図6の第2実施形態における乗員判
定閾値の幅と同じ右肩下がりの特性を有している。また、補正乗員判定閾値JD2は、常
20
時乗員判定閾値JD1よりも所定量JD0だけ下側で平行している。
【0057】
乗員判定手段55は、左右和演算手段52から受け取った左右和Wsumと、閾値変化
手段56から受け取った常時乗員判定閾値JD1または補正乗員判定閾値JD2とを比較
して、乗員を大人か幼児か判定する。
【0058】
第3実施形態のシート乗員判定装置11では、閾値補正手段58は、左右差Wdifが
所定値Wd0を越えるときに、乗員判定閾値JD1から所定量JD0を減算して補正乗員
判定閾値JD2とする。これにより、乗員の左右に偏った着座姿勢を検出し、シート以外
の部位に抜けて減少した分の荷重を考慮して、乗員判定閾値を低減補正する(JD1→J
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D2)。したがって、乗員が左右に偏った着座姿勢をとり求められる左右和が減少する場
合にも、高精度な乗員判定を行える。
【0059】
なお、各実施形態において、シートの内部下方の構造は図1に示されるものとしたが、
これに限定されない。すなわち、本発明は、リフタ2やスライド機構の有無に関わらず適
用でき、支持部も4箇所に限定されない。また、荷重検知センサの配置は、後方に2個で
前方に1個としているが、逆に後方に1個で前方に2個としてもよい。さらに、第1実施
形態で閾値演算マップ61およびリフタ高さ推定マップ62を使用し、第2実施形態で閾
値変動マップ63を使用しているが、これらのマップを閾値変動関数に置き換えてもよい
。閾値変動関数は、乗員判定閾値JDを前方荷重値WFまたはリフタ高さHの関数式で表
40
したものである。
【符号の説明】
【0060】
1、10、11:シート乗員判定装置
1L:後方左荷重センサ EL:電気出力
1R:後方右荷重センサ ER:電気出力
2:リフタ
21FR:前方右リンク 21FL:前方左リンク
21RR:後方右リンク 21RL:後方左リンク
22:ギヤ歯 23:ピニオンギヤ 24:電動モータ
50
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3L:後方左荷重検知センサ(第1荷重検知センサ)
3R:後方右荷重検知センサ(第2荷重検知センサ)
3F:前方荷重検知センサ(第3荷重検知センサ)
4、40、41:荷重検知ECU
51:荷重検知部 52:左右和演算手段 53:リフタ高さ推定手段
54:閾値演算手段 55:乗員判定手段 56:閾値変化手段
57:左右差演算手段 58:閾値補正手段
61:閾値演算マップ 62:リフタ高さ推定マップ 63:閾値変動マップ
91L、91R:フレーム片 92L、92R:ロアレール
93L、93R:アッパレール 94FL、94RL、94RR:リテーナ
WL:後方左荷重値(第1荷重値)
WR:後方右荷重値(第2荷重値)
WF:前方荷重値(第3荷重値)
Wsum:左右和 Wdif:左右差 (f/r):前後比 JD:乗員判定閾値 JDU:上限値 JDL:下限値
JD1:常時乗員判定閾値 JD2:補正乗員判定閾値
H:リフタ高さ LM:下限高さ UM:上限高さ
【図1】
【図2】
10
(13)
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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(14)
【図7】
【図8】
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