共形ブートストラップにおける 最近の進展について

Nanoscience and Quantum Physics
量子物理学・ナノサイエンス第 122 回セミナー
共形ブートストラップにおける
最近の進展について
講師 : 大槻 知貴 氏
(東京大学 国際高等研究所
カブリ数物連携宇宙研究機構)
日程 : 6 月 4 日(木)15:30-17:30
場所 : 本館 2 階 H284B 物理学科輪講室
概 要
近年、臨界現象を調べる手法として、「共形場ブートストラップ」という手法が
大変注目されています。驚くべき事に、この手法でもって 3 次元イジング模型がほ
ぼ「解けた」と言われています。実際に、臨界指数の最も精度よい計算が、(厳密な
誤差とともに)この手法から導かれています。前半では、共形ブートストラップの考
え方についてのレビューを行います。特に、イジング模型が「解けた」とはどうい
う事なのか、を理解してもらう事を目標とします。
後半では、イジング模型に対しての手続きを、O(n)×O(m)-対称なランダウ-ギン
ツブルク模型に応用しようと言う我々の試みを紹介します。これらの模型は大変重
要で、例えばある種のフラストレート・スピン系の相転移がこれで記述されると考
えられています。しかし、これらのモデルが赤外安定な固定点を持ち得るか否か(す
なわち、転移が連続であり得るか)は、大変難しい問題であり、30 年来にわたって
議論がなされて来ました。共形ブートストラップによって、この問題がどのように
(ほぼ)解決されるかについて、中山優氏との共同研究、arXiv:1407.6195 に基づい
て議論したいと思います。
連絡教員 物性物理学専攻 西田 祐介(内線 3614)
東京工業大学 ナノサイエンス・量子物理学国際研究センター 主催
2015 年 6 月
同「ナノサイエンスを拓く量子物理学拠点」、大学院理工学研究科基礎物理学専攻・物性物理学専攻 共催