科目名 公法総合演習Ⅱ(行政救済論) 担当者 松戸 浩 開講期 単位数

科目名
公法総合演習Ⅱ(行政救済論)
担当者
松戸 浩
開講期
単位数
必修・選択
後期
2
必修
1.講義内容・到達目標
前期に行なった行政活動と法の講義を受け、行政法総論中、行政訴訟法・国家賠償法等の行政救済法の講
義を行う。従って行政活動と法を履修済であることが前提となる。
受講者が概説書及び関連判例を予め読んできたことを前提として、質疑応答及び議論を交えた双方向的な
授業を行なう。これにより、行政救済法の制度・理論を、近時の判例・学説の展開を踏まえつつ、その基本
的構造を把握せしめることが本講義の到達目標である。
2.講義予定
1 行政訴訟概説・取消訴訟(その一)
行政訴訟の基本的内容と取消訴訟の対象に就いて扱う。判例としては、ごみ焼却場設置訴訟(11-2)、
成田新幹線訴訟(11-4)、用途地域指定(11-6)、土地区画整理事業(11-3)及びこれを変更した 11-15 等を
検討する
2 取消訴訟(その二)
判例は、税関検査(11-5)、公共施設管理者同意拒否(11-9)等を検討する
3 取消訴訟(その三)
判例は、市街地再開発事業(11-8)、二項道路指定(11-10)、労災就学援護費不支給事件(11-11)、食品衛
生法違反通知(11-12)、病院開設中止勧告訴訟(11-14)等を検討する
4 原告適格(その一)
判例は、主婦連ジュース訴訟(12-1)、長沼ナイキ訴訟(13-3)、新潟空港訴訟(12-2)、もんじゅ訴訟(12-5)、
近鉄特急訴訟(12-3)、パチンコ店営業許可訴訟(12-8)、伊場遺跡訴訟(12-4)、総合設計許可訴訟(12-10)
を検討する
5 原告適格(その二)
判例に就いては、パチンコ店営業許可事件(12-6)、免職処分取消訴訟(13-1)、建築確認取消訴訟(13-4)、
開発許可(12-7)、墓地経営許可事件(12-9)、小田急訴訟(12-11)、サテライト大阪事件(12-12)、東京 12
チャンネル訴訟(14-3)に注意されたい
6 いわゆる「狭義の訴えの利益」
判例は、運転免許停止処分取消請求事件(13-2)、優良運転免許証交付請求事件(13-9)、建築確認取消
請求事件(13-4)、開発許可取消請求事件(13-7)、土地改良事業施行認可取消請求事件(13-6)等を検討す
る
7 訴えの審理・判決
前者に就いては特に主張制限につき、判例としては新潟空港事件(12-2)、情報公開(10-1)、法人税増
額更正事件(3-5)を、後者に就いては特に判例の効力につき 14-8 を検討する
8 無効確認訴訟
判例は、もんじゅ訴訟(15-3) 、大阪空港訴訟(16-1)等を検討する
9 不作為の違法確認訴訟・義務付け訴訟・差止訴訟
判例に就いては、国立マンション訴訟(15-4)、厚木基地訴訟(16-5)に注意されたい
10 当事者訴訟
判例に就いては、在外邦人選挙権訴訟(16-5)、横川川訴訟(15-2)、長野勤評訴訟(15-1)を検討する
11 公権力の行使に基づく損害賠償責任
判例に就いては、健康診断訴訟(18-4)、警官強盗殺人事件(18-1)、芦別国賠訴訟(18-2)、銃刀法不作為
訴訟(18-3)、宅建業者訴訟(18-6)、予防接種訴訟(18-7)、更正処分国賠訴訟(18-9)、パトカー追跡訴訟
(18-5)、住民票続柄記載訴訟(18-10)、水俣病関西訴訟(18-12)に注意されたい
12 公の営造物の設置・管理の瑕疵に基づく損害賠償責任
判例に就いては、高知落石事件(19-1)、赤色灯訴訟(19-3)、大東水害訴訟(19-5)、多摩川水害訴訟(19-7)、
故障車放置訴訟(19-4)、審判台転倒事故(19-8)、国道 43 号訴訟(19-10)に注意されたい
13 公務員の違法無過失な行為による損害・損失補償
判例に就いては、都市計画街路事業用地収用訴訟(20-2)、ガソリンスタンド地下タンク移設訴訟
(20-4)、予防接種禍訴訟(18-7、20-5)、別荘建築不許可訴訟(20-6)、変電所予定地収用訴訟(20-7)、都
市計画制限訴訟(20-8)に注意されたい
14 行政不服審査
15 期末試験
3.教 科 書
教官が作成した設例を中心とするレジュメを講義毎に配布し、これに沿って話を進める。
また高木光・稲葉馨編「ケースブック行政法」(弘文堂)を使用する。
4.参考書等
講義中に触れるもののほか、次のものを推奨する
塩野宏「行政法Ⅱ」(有斐閣)
芝池義一「行政救済法講義」(有斐閣)
宇賀克也「行政法概説Ⅱ」(有斐閣)
神橋一彦「行政救済法」(信山社)
より平易なもので定評があるものとしては
櫻井敬子・橋本博之「行政法」(弘文堂)
参照用の判例集としては
行政判例百選Ⅱ(有斐閣)
なお問題集として定評があるものとして
曽和俊文・金子正史編「事例研究行政法」(日本評論社)
大貫博之・土田伸也「行政法―事案解析の作法」
中原茂樹「基本行政法」(事例研究に近いスタイルの教科書)
5.評価方法
6.そ の 他
絶対評価・相対評価
学期末試験 100%