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賃借人からの中途解約に関する特約
1.解約の効力は、賃借人が解約の申入れをした日から30日の経過を
もって発生する。
2.前項の規定にかかわらず賃借人は、30日分の賃料相当額を賃貸人
に支払うことにより、即時に本契約を解除することができる。
(解
説)
以上のような特約がある場合に、更新日の1週間前になって賃借人から
突然、契約期間満了で賃貸建物を明け渡したいと言われました。このよう
な場合、期間満了後の23日分の賃料相当額を請求できるでしょうか。
この点に関する明確な判例・学説はなく、異論もあると思いますが、当
事務所では、検討の結果、次のように考えたいと思います。
借地借家法26条1項は、
「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満
了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又
は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の
契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定
めがないものとする。」
と規定し、賃借人からの更新拒絶についても同項の適用を明言しています。
質問の場合、賃借人側からの7日前の更新拒絶ですから、更新拒絶としては
無効であり、本件賃貸借契約の期間満了以降も期間の定めのない契約として
存続することになります。それでは、期間満了前に同項所定の期間を遵守し
ていない更新拒絶がなされた場合、どの時点において賃貸借契約が終了する
か問題となります。この点、判例は、賃貸人からの更新拒絶の案件で、更新
拒絶から法定の解約期間を経過した時点において賃貸借契約は終了するも
のと解すべきであるとしています(東京地判平元.11.28・判時 1363.101)。
賃借人の場合は、民法617条によって3ヵ月とされていますから、特に特
約がない場合は更新拒絶の時点から3ヵ月後に終了するということになる
と思います。
しかし、本契約では、賃借人に対し、特約によって「30日前の中途解
約権」、あるいは「30日分の賃料相当額を支払うことによる即時解約権」
を認めており、賃借人が解約の申し入れの日から30日を経過した日、あ
るいは解約申入時に30日分の賃料相当額を支払うことで賃借人は契約を
終了し得るということになります。ちなみに、賃借人に対し請求できる金
額が期間満了後の23日分となる理由ですが、期間満了時までの賃料は通
常既に支払われている筈であり、期間満了後23日分の賃料相当額の支払
いで過不足がないからです。