琉球大学主催 工学部情報工学科 中間発表予稿 農作物の管理を目的としたドローンによる自律制御システムの開発 Development of autonomous control system by means of the drone for the purpose of management for farm produce 学籍番号 : 125753G 氏名 : 宮城修平 指導教員 : 宮里智樹 2015 年 10 月 30 日 はじめに 1 接続しアプリを使用して飛行させることができる. また, PC でも接続でき, キーボードを使って操作することもできる. 現在, ドローンの商業利用を目指す動きが急速に拡大して そこで, 現在 MacBook Pro を使用していて, フリーのライ いる. 基本的に屋外で使用され, 物資の配達や実験的ではあ ブラリである CV Drone [4] を使って操作している. よって, るが栽培する植物に肥料を与えるなどの農業分野にも使用 この CV Drone を用いて開発を行う. されている. しかし屋外だけではなく, 倉庫内で物を動かし パレットの積荷としてまとめるためのドローンを屋内で使 CV Drone は Open CV と呼ばれる画像処理の機能を活用 するために作られたものであり, 手動で AR.Drone を制御で 用する研究もされている [1]. このように, ドローンを商用 きる. さらに、マーカを認識させるプログラムや AR.Drone 目的で利用することは様々な分野で役に立つ. から取得できるセンサ情報の取得など必要な機能がすべて そこで, 農場特にビニールハウスで確実に飛ばせるように 揃っている. なお, 使用している言語は C++ である. なれば農作物の生育状況のデータ取得などに活用でき, 農作 業の効率化に繋がると想定される. 3.2 先行研究と本研究の目的 2 まず, マーカを使用したドローンの自律制御に関する先行 システム概要 本研究では, ビニールハウス向けのマーカを使用したド ローンの自律制御の開発を進めている. 図 1 にシステム構 成を示す. 研究を 2 つ挙げる. 羽根らの研究 [2] では, 狭い場所でも確 実な制御をするために安定したホバリングをさせることが 目的であるが, ホバリング以外の動きを想定していない. 三 木らの研究 [3] では, ドローンを用いてマーカを天井に貼り 付け, その位置を学習しカルマンフィルタなどを使って自己 位置推定を行っている. ここでマーカを貼り付けた位置を 学習しているのは, うまく貼り付けられなかったときや貼り 付ける位置がずれたときに対応するためである. そこで本研究では, ホバリング以外の制御もマーカを使用 して自律制御を実現し, さらにマーカを認識した位置を先行 研究とは違う方法で自己位置推定し, ビニールハウス内でも 確実な制御をできるようにする. そして, 確実な制御ができ れば農作物の生育状況の確認などの管理が可能になる. こ 図 1: システム構成 れを目的とする. ここからは, ドローンを自律飛行させるための制御手法に ついて述べる. 現在, ビニールハウスで自律飛行させるとき 提案手法 3 3.1 開発環境 に動きとして想定しているのは, 前進とホバリングと回転と 着陸である. そのほかにも上昇と離陸の動きが必要となる が, これは上昇の場合はユーザ側に最大高度を設定してもら 本研究では, 現在ドローンとして Parrot 社が提供してい いその高さ付近まで上昇させる方法を取る. 離陸の場合は最 る AR.Drone 2.0 を使用している. このドローンはそれ自体 大高度を設定してもらった後にユーザの UI 操作で離陸する からでている Wi-fi ネットワークがあり, スマートフォンで ようにする. 前進とホバリングは以下のような制御をする. 1. AR.Drone に内蔵されている底面のカメラを使用して, は 3.5 秒から 6 秒までしかヨーの値は変化していない. これ 基本的に前進させる制御を行う は, 3.5 秒までは離陸していないことを表している. 2. 底面のカメラでマーカを認識するたびにホバリングさ せ AR.Drone に内蔵されている前方のカメラに切り替 える 3. 前方のカメラでマーカを認識したら回転させる制御を 行う 4. 認識できなかったときはカメラを底面のカメラに切り 替え再び前進させる制御を行う 5. 2 ∼ 4 を繰り返す 着陸もマーカを使用するが, 前進とホバリングのマーカと 図 2: 実験結果 は別のものを用意する. 回転の制御は, AR.Drone に内蔵さ れているセンサの中に 3 軸磁気センサがあり, この値から方 位を取得できる. 方位を取得できると 90 度回転させるなど の制御が可能になる. 4.2 今後の予定 しかし, マーカだけを使用した制御だとドローンが同じ場 今後は, 前進とホバリングと回転の制御も実現する. これ 所を何度も通る可能性があり, 確実な制御をするのは困難で らをマーカのプログラムに組み込んで, 最終的にビニールハ ある. そこで, ドローンの自己位置推定を行うことでそれを ウスでドローンを飛ばす実験をする予定である. 現在の制 回避する. AR.Drone に内蔵されているセンサである加速度 御システムでは, AR.Drone の付属品であるフライトレコー センサとジャイロセンサを使いデッドレコニング [5] するこ ダーを使って前方のカメラの映像を記録しているが, 画像の とで自己位置を推定することができる. さらに, 自己位置推 取得にはユーザの UI 操作が必要である. そこで, 常時記録 定ができると飛行経路もわかるので, 同じ場所を何度も通る している映像にタイムスタンプを入れて, それをもとに画像 ことがなくなり, これをマーカと組み合わせた制御をするこ を取得する機能も実装したいと考えている. これは, ビニー とで, マーカだけの制御よりも精度が上がる. ルハウスで栽培されているマンゴーなどの農作物の生育状 だが, 飛行経路がわかったとしても障害物に衝突する可能 況のデータ取得のために実装するものである. 性がある. これは, 物体との距離を測ることで回避する. 参考文献 現状と今後の予定 4 4.1 現状 CV Drone を使用して, AR.Drone から現在取得してい るデータは角度 (ロール · ピッチ · ヨー), 速度 (vx · vy · vz), [1] 「ドローン(無人機)」がもたらす大きな変化 多様な商業利用の可能性を拓く 無人小型飛行機 http://compassmag.3ds.com/jp/5/BUSINESS/node_1403 (2015/10/29) 高度である. 角度はドローンの動きに関係していて, ロー [2] 羽根嘉宜, 武田敦志 : ”カメラ画像に基づいた AR.Drone ルは前後, ピッチは左右, ヨーは回転となっている. 値は の姿勢制御手法の開発”, 情報処理学会東北支部研究報 (−180 度 ∼ 180 度) を取るようになっている. 告, 2015 現在は CV Drone に用意されている AR.Drone を前進や [3] 三木崇弘, 堀浩一 : ”能動的マーカ貼付により自己位置 推定を行う自律飛行ロボット”, 東京大学大学院工学系研 て, 離陸して 5 秒間左方向に回転して着陸する簡単な自律飛 究科, 2015 行の実験をしている. 図 2 に実験結果を示す. なお, グラフ [4] puku0x : CV Drone (= OpenCV + AR.Drone) はヨーのグラフである. https://github.com/puku0x/cvdrone (2015/10/29) 図 2 は, 1 秒までは離陸状態, 1 秒から 6 秒までが左方向 上昇などの動きをさせるときに使う AT コマンドを使用し に回転, 6 秒以降は着陸状態である. ここからは, 図 2 の実 [5] AR.Drone でデッドレコニング http://pukulab.blog.fc2.com/blog-entry-33.html になっているが, それ以降は値が減っていく. これが, 右方 (2015/10/29) 向に回転するとなると値は左方向の場合とは逆に増えてい 験結果の説明をする. 3.5 秒までは degree (角度) の値が 0 く. 1 秒から 6 秒までは回転の命令を送っているが, 実際に
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