日本のジェノグラム

日本のジェノグラム
早樫 一男
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まずは、お知らせです。
4月初旬に「対人援助職のためのジェノグラム入門」が中央法規出版より発売されます。
詳しくは、この原稿の最後をご覧ください。
ジェノグラムから思いを巡らせる、想像する
家族について想像する作業が家族理解の第一歩になります。年齢や家族構成といった最
小限の情報からでも、まずは、家族に起こりうる可能性をあれこれ考えてみるのです。相
談援助の現場にいる初心者はもちろんですが、ベテランの人にも、お奨めしていることが
あります。それは、日常生活の中で、興味や関心を持った家族について、ジェノグラムを
作成してみることです。相談ケースだけではなく、マスコミ報道などで出会う家族につい
ても、限られた情報から思いを巡らせてみるのです。家族理解について、自分でできるト
レーニングをぜひ工夫してください。
さて、次のジェノグラムから想像してみてください。
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あなたは、どのような疑問や可能性を思い浮かべますか。
とてもシンプルなジェノグラムですね。このようなシンプルなジェノグラムを「スッピ
ンのジェノグラム」と呼んでいます。
15歳の男性は高齢夫婦(年齢は推定です)の実子ではないというのが、このジェノグ
ラムのポイントでしょう。
家族がわかりますか?
それでは、次のジェノグラムを考えてみてください。どのようなことが思い浮かびます
か?
ジェノグラムから思い浮かぶ可能性や疑問など、あなたの中にある「不思議センサー」
(不
思議だなあとか、一般的ではないなあと感じる感覚)はどんな点で作動しますか?
先ほどと同じようなジェノグラムですね。やはり、子ども(今回は女性)は夫婦(年齢
は推定です)の実施ではないというのが特徴です。
最後に、以下のジェノグラムについて考えてみてください。16歳の女性から見れば、
継母には連れ子二人(年齢的に義姉にあたります)がいるというジェノグラムです。なお、
継母の夫(義姉の父親の情報は不明です)
。
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16歳女性と義姉の位置関係と継母の位置を考えて作成すると、次のようなジェノグラ
ムになります。このジェノグラムは表記の工夫ですが、わかりやすさから考えると、先に
紹介したジェノグラムですかね。みなさんはどのように思いますか?
ところで、紹介した3つのジェノグラム(家族)について、わかりましたか?
答えは次号にでもお知らせします。
【対人援助職のためのジェノグラム入門】(中央法規出版)発刊のお知らせ!!
ジェノグラムに関するまとまった読み物があればという願いを込めたのが、一冊の書物
になりました。
「対人援助職のための家族理解入門」(団士郎著
中央法規出版)の兄弟版
になればと願っています。
対人援助職は直接・間接を問わず家族と出会うことになります。具体的には、児童・障
害・高齢といった福祉分野、医師・看護師・保健師などの医療保健分野、教員・スクール
カウンセラー・スクールソーシャルワーカーといった教育分野、家庭裁判所調査官・弁護
士などの司法分野などです。
多種多様で広範な分野にわたっている対人援助職の方々に、ぜひ、一読してもらいたい
と願っています。必ず、現場で役に立つと思っています。
第一章はジェノグラムそのもの解説です。第二章は表記の基本について紹介しています。
第三章は読み方、第四章はジェノグラムの扱いと事例、そして、第五章はグループカンフ
ァレンスの一端を紹介しています。
発刊は4月初旬 定価は1400円の予定です。
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