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柔道整復学 骨格系
2016 年度版
♪監修:オガワル GT♪
2 【骨格系】
まずは解剖学用語から
《人体の区分》 p17
・頭(頭・顔),頸(頚),体幹(胸・腹),体肢(上肢・下肢)
p2
『体表の境界線』
①頭と顔 ―――― 鼻根-眉-外耳孔を結ぶ線
②頭・顔と頸 ―― 下顎骨下縁-乳様突起-外後頭隆起を結ぶ線
③頸と胸 ―――― 胸骨上縁-鎖骨上縁-肩峰-第 7 頸椎の棘突起を結ぶ線
④胸と腹 ―――― 胸骨下端-肋骨弓-第 12 胸椎の棘突起を結ぶ線
⑤上肢と体幹 ―― 三角筋胸筋溝-三角筋の起始縁-腋窩を結ぶ線
⑥下肢と体幹 ―― 鼡径溝-上前腸骨棘-腸骨稜-尾骨-殿裂-陰部大腿溝を結ぶ線
《基本姿勢》
1.解剖学的立位姿勢
・手掌(手のひら)を前に向けた
(前腕回外位)直立位
2.基本的立位姿勢
・手掌を体側に向けた直立位
【骨格系】 3
♪
《方向と位置を示す用語》
①垂直:地平線と直角な方向
②水平:直立した姿勢で、地平線に平行な方向
③矢状:正面から身体を矢が射抜く方向
④正中:身体を左右に分ける真ん中のこと
⑤前頭(冠状):前頭(額)や冠状縫合に平行な方向
⑥内側と外側:正中により近い位置を内側,遠い位置を外側
⑦浅と深:体表により近い位置を浅,遠い位置を深
⑧前(腹側)と後(背側):人体の前面(腹のほう)と後面(背のほう)
⑨上(頭方)と下(尾方):直立位における頭と足の方向・位置
⑩近位と遠位:体肢で身体の中心に近い位置を近位,遠い位置を遠位
3
4 【骨格系】
《関節運動の用語》
1) 屈曲と伸展
(*主に矢状面での運動)
・屈曲:関節の角度を小さくする運動
・伸展:関節の角度を大きくする運動
2) 外転と内転
(*主に前頭面での運動)
・外転:体肢を体幹から遠ざける運動
・内転:体肢を体幹に近づける運動
3) 回外と回内
・回外:前腕の運動で,手掌が前方に向く運動
・回内:前腕の運動で,手背が前方に向く運動
4) 外旋と内旋
(*主に水平面での運動)
・外旋:上腕・大腿の運動で,前面が外側に回転する運動
・内旋:上腕・大腿の運動で,前面が内側に回転する運動
【骨格系】 5
♪
5) 外がえしと内がえし
・外がえし:足底が外方を向く動き.
足部の回内・外転・背屈の複合運動
・内がえし:足底が内方を向く動き.
足部の回外・内転・底屈の複合運動
6) 挙上と下制
・挙上:肩甲骨や下顎骨を引き上げる運動
・下制:肩甲骨や下顎骨を引き下げる運動
*分回し運動
・四肢や指が円錐状に動く運動.
屈曲・伸展・外転・内転の複合運動
*側
屈
(主に前頭面での運動)
・頸部や体幹を側方へ傾ける運動
*回
旋
(主に水平面での運動)
・脊柱(垂直軸)を軸とした運動
5
6 【骨格系】
骨格系
総論
*人体の骨格は約 200 個の骨が連結*
《骨の役割》*教科書 p21
1.支持
:身体の支柱
2.運動
:関節運動
3.保護
:内臓諸器官の保護
4.造血機能
:骨髄で血球の産生
5.電解質の貯蔵
:カルシウム,リンなどの貯蔵
《骨の形状による分類》
1.長骨
:細長い棒状の骨.中央(骨幹
骨幹の内部は空洞(髄腔
)は細く,両端(骨端
)は太い
)となり,骨髄をいれる
ex)上腕骨,橈骨,尺骨,中手骨,大腿骨,脛骨,腓骨,中足骨など
2.短骨
:短く塊状の骨.一般には数個が集まる
ex)手根骨,足根骨,椎骨など
3.扁平骨
:板状の骨.一般にはやや弯曲する
ex)頭頂骨,前頭骨,後頭骨,肩甲骨,肋骨
4.含気骨
:骨の内部に外界と交通する空洞(含気洞)を有する
ex)上顎骨,前頭骨,篩骨,蝶形骨,側頭骨(乳突蜂巣)
*クイズ:下図の骨①~④は、どの形状による分類でしょう?
①
②
③
④
【骨格系】 7
♪
①から⑭の名称をなんというでしょう?
教科書 22 ページの図を参考に,骨の位置を確認しながら名称を書き込んでみやぁ
①胸骨
,②鎖骨
,③肩甲骨
⑥尺骨
,⑦脊柱
,⑧寛骨
⑪大腿骨
,⑫膝蓋骨
,④上腕骨
,⑨仙骨
,⑬脛骨
7
,⑭腓骨
,⑤橈骨
,⑩尾骨
,
,
8 【骨格系】
『骨の基本的構造』
*教科書 p23
①関節軟骨
②海綿質
③髄腔
④緻密質
⑤骨膜
⑥介在層板
⑦外基礎層板
⑧内基礎層板
⑨骨層板(ハバース層板)
⑩ハバース管
⑪フォルクマン管
⑫シャーピー線維
【骨格系】 9
♪
《骨の構造》
1.骨組織:a)骨細胞
と b)骨基質
(緻密質と海綿質)からなる
a)骨細胞:骨小腔の中に存在し,多数の細長い突起を出す
b)骨基質:「主な成分」…リン酸カルシウム・コラーゲン・水分など
b-1)緻密質
:骨の表層部を占める,緻密な層板構造
・ハバース層板
:ハバース管を中心に同心円状に層板が重なり合う
*ハバース管=ハバース層板(骨層板)の中心を縦に走る管
で,血管が通る
・介在層板:ハバース層板の相互間を満たす
・外・内基礎(環状)層板:緻密質の最外層と最内層
・フォルクマン管
b-2)海綿質
:骨層板を横切る管
で,血管が通る
:骨の内部にみられる,骨梁構造
・骨小柱が網目状を呈し,小腔は骨髄
で満たされる
2.骨膜:骨の表面を包む結合組織
・関節面にはない
・血管,神経が豊富
*シャーピー線維
3.骨髄
:骨膜から骨質へ侵入する線維で,骨膜と骨を強固に結合
:長骨の髄腔と海綿質の小腔を満たす細網組織
①赤色
骨髄:造血作用
をもつ
*成人の長骨の骨端,短骨,扁平骨
*胎児や乳幼児はすべて赤色骨髄
②黄色
骨髄:造血作用をもたない脂肪組織
*成人の長骨の髄腔
4.軟骨質:軟骨組織(硝子軟骨
)からなり,関節軟骨と骨端軟骨がある
①関節軟骨
:関節面を覆い,関節部の緩衝帯となる
②骨端軟骨
:成長期の骨幹と骨端との境
成人では骨化し,骨端線
に存在
として残る
*骨の長さの成長に関与
5.栄養孔と栄養管
・栄養孔:骨の表面に開口する孔で血管の出入り口となる
・栄養管:栄養孔と髄腔を連絡する管
9
10 【骨格系】
《骨の構造
その 2》
①骨端:二次骨化点.骨端核
短骨・扁平骨などの辺縁部にも
②骨端軟骨(成長期):骨の長さ
の成長が行われる
骨幹と骨端の間
レントゲンに写らない.軟骨性骨化 海綿骨を作る
②’骨端線(成人):骨端と骨幹が接合した痕跡
③骨幹端:多くの血管が進入
④骨幹:長骨の幹.一次性骨化点
炎症起こしやすい 骨幹の端で太い部分。
緻密質がメイン
#骨膜:骨の表面を包む結合組織.関節面にはない.血管,神経に富む
骨の太さ
の成長が行われる.膜性骨化
骨皮質(緻密質)を作る
【骨格系】 11
♪
《骨の発生》
1.結合組織性骨化(膜内骨化
)
)
間葉細胞が骨芽細胞となる(付加骨
ex)頭蓋底を除く頭蓋骨,鎖骨(外側半分)
2.軟骨性骨化(軟骨内骨化
)
間葉細胞が軟骨細胞となり,その後骨化する(置換骨
)
ex)膜内骨化以外の骨
《骨の成長》
1.長さの成長:骨端軟骨による
*成人では骨端線となる
2.太さの成長:骨膜による
「長管骨の成長」
1.一次骨化点(一次骨化中心)
・胎生期における長管骨軟骨原基の骨幹部
の骨化
2.二次骨化点(二次骨化中心)
・生後における長管骨の骨端部
の軟骨細胞の骨化
「骨に関わる 3 種の細胞」
1.骨芽細胞
2.骨細胞
3.破骨細胞
:類骨の合成
と石灰化の促進
:石灰化の調節,骨基質と血液の間の物質交換を調節
:骨組織の破壊と吸収
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12 【骨格系】
骨表面の形状についての用語(解剖学 p24~25)
突出部に関する用語
①結節:周囲から比較的はっきり区別される肥厚部
②隆起:やや円味をもった小さい突出部
③粗面:多少隆起したザラザラした面で,筋の付着部
④突起:表面から長さをもって突き出す部
⑤棘:尖端の比較的とがった突起
⑥顆:骨端部の肥厚する突起
⑦稜:長くつらなった隆起部
陥凹部に関する用語
①窩:表面から陥凹する部
②切痕:骨の辺縁における切れ込み状の部
③裂:裂け目状の狭い間隙
④孔:いわゆる“あな”の部
⑤溝:細長い陥凹
⑥管:孔の長くなったもの
《骨の連結》
1.線維性
①縫合
の連結
:a.鋸状縫合…冠状縫合(前頭骨と頭頂骨間),矢状縫合(左右の頭頂骨間),
ラムダ縫合(頭頂骨と後頭骨間)
b.鱗状縫合…側頭骨と頭頂骨間
c.直線縫合…両側の鼻骨間
②釘植
③靱帯結合
:歯根と歯槽との結合
2.軟骨性
:脛腓靱帯,黄色靭帯による椎弓間の連結
の連結
①軟骨結合:骨端軟骨結合,幼児の頭蓋底の蝶後頭軟骨結合
②線維軟骨結合:恥骨結合
3.滑膜性
,椎間円板(椎体間の結合)
の連結(狭義の関節)
・相対する骨端は関節軟骨
・関節包内には関節腔
で覆われ、関節包
とよばれる空隙が存在する
により包まれる
【骨格系】 13
♪
『関節の構成』*教科書 p26
①骨膜
②関節頭
③関節軟骨
④線維膜
⑤滑膜
⑥関節腔
⑦関節窩
[関節軟骨] *成分:軟骨細胞、コラーゲン、プロテオグリカン、水など
・硝子軟骨
・血管,神経,リンパ管はない
・関節の滑動を助ける,衝撃を和らげる,潤滑性,圧縮力の分散 etc
*④線維膜と⑤滑膜を合わせて関節包
とよぶ
[線維膜]:関節包の外層
関節包の補強.一部は靭帯を構成
する
★靭帯とは:関節包の強化や骨の結合を強化.関節運動の指示・抑制などの役割を持つ
[滑
膜]:関節包の内層
疎性結合組織
滑液(関節液)の分泌.異物を貪食
ヒアルロン酸:粘性を持つ
★滑液(関節液):血漿濾過液にヒアルロン酸などが加わったもの
関節の潤滑.関節軟骨の栄養(関節運動により行われる)
「その他の関節構成組織」
[関節円板
]:完全な板状をなし関節腔を二分する線維軟骨
*関節円板をもつ関節=胸鎖関節,顎関節,橈骨手根関節
[関節半月
]:中心部は欠損し半月状もしくは環状をなす線維軟骨
*関節半月をもつ関節=膝関節
[関節唇
]:関節窩縁にあり関節窩の深さを補う線維軟骨
*関節唇をもつ関節=股関節,肩関節
# これらは,関節運動を滑らかにしたり,関節面の適合を完全にする補助装置
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14 【骨格系】
《関節の種類》
①関節をつくる骨数による分類
a.単関節
:2 個の骨
によりつくられる関節
ex)肩関節,股関節,指節間関節など
b.複関節
:3 個以上の骨によりつくられる関節
ex)肘関節,膝関節,橈骨手根関節など
②運動軸の数(関節の運動形式)による分類
a.一軸性関節
:一つの軸を中心とする運動のみを行う関節
ex)腕尺関節,指節間関節,距腿関節,上・下橈尺関節など
b.二軸性
関節:互いに直行する二つの軸を中心とする運動を行う関節
ex)橈骨手根関節,母指の手根中手関節など
c.多軸性
関節:三つ以上の軸を中心とする運動を行う関節
ex)肩関節,股関節など
③関節面の形状による分類 *関節頭と関節窩の形で分類
a.球関節:関節頭と関節窩が半球状をなす.基本的には多軸性関節
★関節窩が深い関節を臼状関節とよぶ
b.車軸関節:関節頭が環状をなし,関節窩内で回転運動を行う.一軸性関節
c.蝶番関節:ドアの蝶番(ちょうつがい)のような形.一軸性関節
★運動軸と骨の長軸が直角ではなく,運動が螺旋をえがくような関節をらせん関節とよぶ
d.鞍関節:馬の鞍の背を直角に交わらしたような形.二軸性関節
e.楕円関節:関節頭と関節窩が楕円形をなす.二軸性関節
★楕円関節を顆状関節とよぶこともある
顆状関節:楕円関節に類似し球関節に近いが、靭帯などにより運動が一方向もしくは二方向に制限される関節.
f.平面関節:両関節面が平面.基本的には多軸性関節
★関節面にやや凹凸があり,ほとんど可動性のない関節を半関節とよぶ
【骨格系】 15
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『関節面の形状による種類』*教科書 p27
a.球
b.車軸
c.蝶番
関節(肩
関節,股
関節(上橈尺
関節(腕尺
関節)
関節,正中環軸
関節)
d.鞍
関節)
関節
(母指の手根中手
e.楕円
関節(橈骨手根
f.平面
関節)
15
関節(椎間
関節)
関節)
16 【骨格系】
各論
脊柱
脊柱とは:多数の椎骨からなる,体幹の背側を縦走する骨格
脊椎とは:脊柱を構成するひとつひとつの骨.椎骨ともいう
《脊柱の役割》*教科書 p28
・頭部,体幹の支持と運動
・脊髄の保護
《脊柱の弯曲》*教科書 p32
・前頭面ではほとんど直線
・矢状面では①頸椎前弯,②胸椎後彎,③腰椎前弯,④仙・尾椎(骨)後彎
[一次弯曲]:胎生期から存在する後弯部
胸椎,仙・尾椎
[二次弯曲]:直立位が可能になってから形成される前弯部
頸椎,腰椎
《脊柱の運動》
・全体で屈曲伸展(前後屈),側屈,回旋運動を行う
*教科書 p29
頸椎
7 個・前弯
頸椎
7 個・前弯
胸椎
12 個・後弯
腰椎
5 個・前弯
胸椎
12 個・後弯
腰椎
5 個・前弯
仙骨
仙
骨
尾骨
尾
骨