卒業式式辞 短期大学部、大学、大学院を卒業、修了される皆さん、おめでとうございま す。また、ご家族ならびに関係者の方々にも心よりお祝い申し上げます。 皆さんは入学した時、本学にどのような期待を抱いていたでしょうか。今、 大学生活の数年間を振り返ってみて下さい。それは達成出来ましたか。それと も様々な経験を通じて変わりましたか。 一般的な辞書には「経験とは実際に見たり、聞いたり、行ったりすること。 また、それによって得られた知識や技能」とあります。皆さんはそれぞれの大 学生活で一定の経験を積まれましたが、皆さんが積まれた経験は一人一人異な るものでしょう。 東京大学の山内祐平(やまうちゆうへい)教授は米国の哲学者であり教育思想 家のジョン・デューイが「自己の経験を推し進める過程において、段々に知性 を発達させ、さらにその知性を道具として新しい経験に立ち向かう知性道具主 義を確立した」と述べています。加えて、 「ある経験が、その後の経験に影響を 及ぼし、その後の経験の質も変化する連続性の原理」、「正常な経験は、周囲の 環境に代表される客観的条件と自己の変化という内的条件の相互作用によって なされる相互作用の原理」を紹介しています。さらに、 「この二つがセットとな っている経験が真の経験であるとデューイは説いている」と強調しています。 教育には個人の成長と社会をつくるという二つの使命がありますが、きっと、 皆さんは入学から卒業までの学修期間に様々な経験を通じて自己を成長させ、 他者を成長させ、社会への貢献を果たしたと思います。しかし、これで皆さん の成長が止まるわけではありません。社会への貢献も終わるわけではありませ ん。 ソニーの創業者の一人、井深大(いぶかまさる)氏は 1945 年に東京日本橋白木 屋の 3 階に東京通信研究所の看板を掲げました。最初に始めた仕事はラジオの 修理と改造でした。その後、同研究所は株式会社となり、1958 年には社名を SONY(ソニー)に変更しました。SOUND(サウンド)、SONIC(ソニック)の語源 となったラテン語の SONUS(ソヌス)と小さな子どもを意味する SONNY(ソニ ー)を元に創られた名前です。そして、自社製品を米国で知ってもらい、多くの 人たちに購入してもらうことを目的に付けられた名前です。後のソニーの成長 は皆さんもご存じの通りです。井深氏は回想録の中で「人生で出会う出来事は、 全て何かを教えてくれる。生きている限り、学ぶべきことがある」と述べてい ます。卒業生の皆さん、これからも力強く社会で学び続けてください。そして、 自分の宝物となる経験をして下さい。どうかお元気で。 以上、式辞とさせていただきます。 札幌国際大学短期大学部 札幌国際大学 学長越塚宗孝 平成 28 年 3 月 15 日
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