美々新試験道路におけるアスファルト舗装の長期供用

報 文
美々新試験道路におけるアスファルト舗装の長期供用性
Long-term Performance of Asphalt Pavements at Bibi New Test Road
丸山 記美雄* 田高 淳**
Kimio MARUYAMA and Jun TAKO
本報告は、構造設計手法の違い及び混合物配合や構成厚の違いがアスファルト舗装の長期供用性や
耐久性に与える影響に関して、実際に供用中の道路を対象とした長期間の追跡調査結果をとりまとめ
たものである。
調査の対象とした美々新試験道路では、交通量やひび割れ、わだち掘れ、平坦性計測を供用後17年
間毎年定期的に実施している。これらの調査結果から、路面性状の長期的な推移は舗装を構成する材
料や厚さの影響を受けており、アスコン層が薄い方がわだち掘れ変形量が大きい傾向があることや、
断面構成によりわだち掘れ変形の生じる部位
(アスコン層、路盤、路床)が異なることを示した。また、
舗装構成厚と使用する材料が異なれば、疲労ひび割れ発生時期が異なることを示した。
《キーワード:アスファルト舗装;長期供用性;ひび割れ;わだち掘れ;試験道路》
This paper reports on the effects of differences in asphalt mixtures and asphalt layer thickness
on the long-term performance and durability of pavements, based on long-term observation at a
road in service.
The observation was performed at Bibi New Test Road, which consists of eight sections of
different pavement structure design. Traffic conditions, cracking, rutting, and surface smoothness
have been measured each year for the 17 years.
The long-term road surface characteristics was found to differ by the type of asphalt materials
and its thickness. The layers in which rutting deformation occurs(e.g., asphalt mixture layer,
base course, subgrade)was found to differ according to the pavement configuration. Fatigue
cracking, which is caused by vehicle loading, was also found to have occurred in the asphalt layers,
and the time of occurrence was shown to differ according to asphalt type and thickness.
《Key Words: asphalt pavement; long term performance; cracking; rutting; test road》
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
31
ˍȅ͉̲͛ͅ
料の導入が進み、建設コストやライフサイクルコスト
の縮減が期待できる。
混合物配合や舗装断面構成厚さが異なる舗装の長期
しかし、これらの力学的な設計手法においてもその
パフォーマンスが異なるであろうことは想像に難くな
妥当性について検証が必要であり、混合物配合や舗装
1)
い。これまでも、AASHO 試験道路 に代表される各
2), 3), 4)
断面の異なる舗装が、供用後どのような路面性状の経
において、舗装構造や材料と長期
年変化を示し、どのように破壊に至るのか、その実態
パフォーマンスの関係について検討が実施されてき
を定量的に把握・解析し、実態と理論の整合性を検証
た。その研究成果に基づいてわが国の舗装設計手法で
することが重要な段階にあると考えられる。
そのため、
ある CBR-TA 法が確立された。しかし、この CBR-TA
海 外 で は1987年 に 始 ま っ た SHRP(Strategic
法は経験的に交通荷重に耐えうる舗装断面を設計する
Highway Research Program,新道路研究計画)の舗
手法を体系化したものとなっているため、設計された
6)
装長期供用性プログラム
(LTPP)
や、MnROAD,
断面がどのようなパフォーマンスを示すのか、異なる
WesTrack, NCAT Pavement Test Track などにおけ
材料を使用したときにどのように異なったパフォーマ
る実物大試験や促進載荷試験装置を用いた取組みが、
ンスを示すのかを明確にする手法とはなっていない。
日本では土木研究所つくば中央研究所の舗装走行実験
2001年に舗装の構造に関する技術基準
(以下、技術
場における促進載荷試験や、本報告で述べる美々新試
種試験道路
5)
基準)が定められ、基準の内容が技術革新に柔軟に対
験道路における取組みがなされている。
応できるよう仕様規定から性能規定化に向けて大きく
美々新試験道路では、同一の交通条件・同一環境下
舵が切られた。それに伴い、舗装の設計手法も Shell
で供用されている舗装構成の異なる舗装の長期供用性
およびアメリカアスファルト協会
(AI)による手法に
の差異を示すデータが得られた。新技術や新材料を導
代表される多層弾性理論などをベースとした理論的設
入する場合の力学的設計手法の妥当性を確認する上で
計手法を採用するなど、性能照査型の設計手法に移行
有益なデータと考えられ、定量的なとりまとめを行っ
していくことが望まれる。それにより、新技術や新材
た結果を述べる。
⥋䇭䇭⧴ዊ’
㪫㪉㪄㪉ᢿ㕙
㪫㪉㪄㪈ᢿ㕙
ਛᄩಽ㔌Ꮺ
㪛੤ㅢᢿ㕙
㪚੤ㅢᢿ㕙
⹜㛎⥩ⵝᢿ㕙䋨ㅊ⿧ゞ✢䋩
㪙੤ㅢᢿ㕙
㪘੤ㅢᢿ㕙
㪫㪈㪄㪈ᢿ㕙
㪫㪈㪄㪉ᢿ㕙
䋨⿛ⴕゞ✢䋩
⥋䇭䇭ᧅᏻ
䋨㪈ゞ✢ಽ䈱஥ᣇ૛⵨䋺⹜㛎⥩ⵝ䈱⺞ᩏ䈱䈢䉄ㅊ⿧ゞ✢䉕ⷙ೙䈜䉎ᤨ䈮䈲䈖䈱ㇱಽ䉅੤ㅢ䈮ଏ䈜䉎䋩
଎Ƚˍȁ๼ș૧দࡑൽႹ͈দࡑ༘௡໹࿂଎
㪉㪇㪇㪊ᐕ
∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢
㪉㪇㪇㪈ᐕ
∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢
㪉㪇㪇㪈ᐕ
∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢
㪉㪇㪇㪈ᐕ
∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢
㪉㪇㪇㪍ᐕ
∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢
ゞਔㅢㆊᣇะ
䉝
䉴
䊐
䉜
䊦
䊃
ᷙ
ว
‛
ጀ
⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪊㪺㫄
⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪊㪺㫄 ⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪊㪺㫄
⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪌㪺㫄 ⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪋㪺㫄 ⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪋㪺㫄 ⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪊㪺㫄 ⚦☸㪞㪈㪊㪝㩷㩷㪊㪺㫄
☻☸ᐲ㩿㪉㪇㪀㩷䇭㪋㪺㫄 ቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇
☻☸ᐲ㩿㪉㪇㪀
☻☸ᐲ㩿㪉㪇㪀㩷䇭㪌㪺㫄 ቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇
☻☸ᐲ㩿㪉㪇㪀
ኒ☸㪈㪊㪝㩷㩷㪈㪉㪺㫄 ቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇㩷㪌㪺㫄
☻☸ᐲ㩿㪉㪇㪀
㩷䇭㪐㪺㫄
㩷㩷㩷㪐㪺㫄
㩷䇭㪈㪇㪺㫄
㩷㩷㩷㪈㪉㪺㫄
቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇㩷㪍㪺㫄
㩷䇭㪈㪉㪺㫄
቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇
㩷㩷㩷㪈㪉㪺㫄
ਅጀ〝⋚
ਅጀ〝⋚
ਅጀ〝⋚
቟ቯಣℂ㪇㪄㪊㪇
ਅጀ〝⋚
ਅጀ〝⋚
㩷㩷㩷㪈㪏㪺㫄
ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖
ਅጀ〝⋚
㪋㪇㫄㫄⚖䇭㪍㪌㪺㫄
〝ᐥ࿯
ᢿ㕙ฬ
⸳⸘ᚻᴺ
⥩⸳ᑧ㐳
㪛੤ㅢᢿ㕙
㪫㪘ᴺ
㪍㪇㫄
ਅጀ〝⋚
ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖
䇭㪌㪌㪺㫄
ਅጀ〝⋚
ಾㄟ⍾೑㪋㪇㫄㫄⚖
䇭㪍㪌㪺㫄
䇭㪊㪎㪺㫄
䇭㪊㪎㪺㫄
ಓ਄ᛥ೙ጀ
ಓ਄ᛥ೙ጀ
ಾㄟ⍾೑㪏㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪏㪇㫄㫄⚖
㪊㪇㪺㫄
㪊㪇㪺㫄
〝ᐥ࿯
〝ᐥ࿯
㪚੤ㅢᢿ㕙
㪫㪘ᴺ
㪍㪇㫄
㪙੤ㅢᢿ㕙
㪫㪘ᴺ
㪍㪇㫄
䇭㪋㪇㪺㫄
ಓ਄ᛥ೙ጀ
ಾㄟ⍾೑㪏㪇㫄㫄⚖
㪊㪇㪺㫄
䇭㪋㪇㪺㫄
䇭㪋㪇㪺㫄
ಓ਄ᛥ೙ጀ
ಓ਄ᛥ೙ጀ
ಾㄟ⍾೑㪏㪇㫄㫄⚖ ಾㄟ⍾೑㪏㪇㫄㫄⚖
㪊㪇㪺㫄
㪊㪇㪺㫄
〝ᐥ࿯
〝ᐥ࿯
〝ᐥ࿯
〝ᐥ࿯
〝ᐥ࿯
㪫㪉㪄㪈ᢿ㕙
ജቇ⊛⸳⸘
㪊㪇㫄
㪫㪉㪄㪉ᢿ㕙
ജቇ⊛⸳⸘
㪊㪇㫄
㪘੤ㅢᢿ㕙
㪫㪘ᴺ
㪍㪇㫄
㪫㪈㪄㪈ᢿ㕙
ജቇ⊛⸳⸘
㪊㪇㫄
㪫㪈㪄㪉ᢿ㕙
ജቇ⊛⸳⸘
㪊㪇㫄
଎Ƚˎȁ๼ș૧দࡑൽႹ͈༘௡౯࿂̤͍͢๦Ⴛ͍͌‫ͦڬ‬อ୆ે‫ޙ‬
32
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
よび舗装試験法便覧別冊11)3-3-3T「可搬式車両重量計
ˎȅ๼ș૧দࡑൽႹ͈‫ٽ‬ါ
を用いた走行車両の輪荷重測定試験方法」に拠り、追
美々新試験道路は、舗装の構造設計手法の違いによ
越車線と走行車線の各々の車線の外側車輪通過位置
る長期パフォーマンスの検証と理論的設計法の確立を
(OWP 部)にマット式ポータブル輪荷重計を設置して
目的として、1990年7月に一般国道36号苫小牧市美沢
行った。走行速度もマット式ポータブル輪荷重計によ
に構築された。この試験道路の詳細については、これ
り測定した。
までも報告されていることから
7), 8), 9)
、本報ではそ
走行位置分布調査は、車線横断方向に路面に5㎝間
の概要を述べるにとどめる。
隔の目盛りをマーキングし、その上を車両が通過する
新試験道路は଎Ƚˍおよび଎Ƚˎに示すように、中
状況をビデオカメラで撮影記録して、再生画像から第
央分離帯の設置された片側2車線の札幌方向の追越車
一軸目の外側タイヤ中心通過位置を目視によって測定
線部分に、8つのアスファルト舗装断面を連続して設
する手法をとった。走行位置分布調査は2004年秋期の
けている。なお、片側2車線の外側には1車線幅程度
交通量調査と輪荷重調査に合わせて実施し、時間当り
の側方余裕が設けられており、通常の供用時にはこの
大型車通過台数が約100(台 / 時間 / 車線)と予想され
部分を車両が走行する事はなく停車帯として利用され
た事から、走行位置分布を把握するために十分なサン
ているが、新試験道路の調査時に追越車線部を規制す
プル数として大型車約400台のデータ取得を目標とし
る場合には車線の切り替えを行い、走行車線と側方余
て合計4時間実施した。ダンプトラックやトレーラの
裕部分を車両が走行できるようにして、調査時の渋滞
タイヤ中心位置は第1軸と第2軸、第3軸で若干ずれ
等の影響を軽減するよう配慮した平面構造となってい
ており、本調査では第一軸のタイヤ中心位置に対して、
る。8断面の内4断面は日本において標準的に用いら
第2、第3軸のタイヤ中心位置のずれが10㎝として通
れている経験的設計手法である CBR-TA 法によって設
過位置を算出した。
計された断面
(A, B, C, D 断面)
であり、他の4断面は
気温は、最寄りの気象庁のアメダス観測データを用
当該車線の49kN 換算輪数が1年で疲労破壊に達する
いた。このアメダス観測地点は厚真であるが、美々新
と仮定して多層弾性理論により設計した断面
(T1-1,
試験道路近傍の気温とほぼ同じであることを確認して
T1-2断面)
、2年で疲労破壊に達すると仮定して多層
いる。
弾性理論により設計した断面(T2-1, T2-2断面)となっ
ている。T1-1, T1-2, T2-1, T2-2断面は最下層の混合物
ˏȅˏȁ࢐೒಺औ͈ࠫ‫ض‬
種類を変化させ、混合物の違いによる長期パフォーマ
ˏȅˏȅ
ˍȁ࢐೒ၾ͂ႊ‫ك‬ਹ಺औࠫ‫ض‬
ンスの差を検証できるようにしている。
試験道路が構築されている追越車線と、走行車線に
ˏȅ‫ٸ‬എૄ࠯ͅ‫಺̳ͥ۾‬औ
なお、各年度における詳細の測定データは文末に資料
おける交通量および輪荷重の平均値をນȽˍに示す。
として添付しているので参照されたい。
ˏȅ
ˍȁ಺औ࿒എ
ນȽˍより、試験断面が構築されている追越車線の
路面性状の長期変化に影響を与える外的な要因とし
大型車交通量は1,704台 / 日 / 車線、平均日49kN 換算
ては、交通量、輪荷重、気温、路温、降雨量
(湿度)な
輪数は2,261(輪 / 日 / 車線)である。これに対し、走
どが挙げられる。そのため、調査対象とする舗装道路
行車線の大型車交通量は2,476台 / 日 / 車線、平均日
上を走行する交通の量と質の双方を把握し、合わせて
49kN 換算輪数は4,875(輪 / 日 / 車線)であり、試験
気温などの情報も収集している。
断面が設けられている追越車線には方向交通の約4
交通に関する調査としては、交通量、輪荷重、タイ
割、輪荷重の3割が通過していることになる。
ヤ走行位置分布、走行速度の4項目を、環境に関して
次に、交通の時系列的な変化について述べる。大型
は気温を調査している。
車交通量は଎Ƚˏに示すように測定年度による変動が
見られないにもかかわらず、49kN 換算輪数は଎Ƚː
ˏȅ
ˎȁ಺औ༹༷
に示すように1994年以降減少し、最近10年程度は横ば
交通量と輪荷重の調査は供用後ほぼ毎年1回定期的
い傾向にある。଎Ƚˏ,ːの図中には1994年5月に道
に、秋期の平日に24時間実施している。測定は舗装試
路交通法が改正されて過積載車両に対する罰則が厳し
験法便覧
10)
7-3「数取器による交通量の調査方法」
、お
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
くなった時期と1997年4月に過積載に対する行政処分
33
が強化された時期を付記してある。49kN 換算輪数の
分かる。
減少はこれらの時期に対応している。また、଎Ƚˑに
これらの結果から、時系列的には1994年と1997年の
は調査年度毎の輪荷重階級毎の49kN 換算輪数を示す。
過積載の取締りの強化を契機に49kN 換算輪数が減少
過積載取締り強化前の1993年度以前の調査では、輪荷
し、近年は適正な輪荷重になってきている状況にある
重が6t 以上の過積載車両による49kN 換算輪数が非
と推測される。
常に多いが、過積載取締り強化直後の1994年度調査で
は輪荷重が6t 以上の過積載車両による49kN 換算輪
ˏȅˏȅ
ˎȁΗͼμ௢࣐պ౾௶೰ࠫ‫ض‬
数は激減し、その後若干増えた以降は似かよった分布
外側の区画線から100㎝離れた点を原点0とし、横
を示している。さらに、警察庁のデータに基づく統計
断方向に原点から外側に向かう方向をプラス、原点か
資料12)をもとに作成した全国における過積載取締件数
ら内側に向かう方向をマイナスとして、10㎝間隔の区
の推移を଎Ƚ˒に示す。
改正法施行後の1994年度以降、
間を通過した大型車のタイヤの走行位置測定結果を଎
過積載取締件数は明らかに減少し、
2003年度には、ピー
Ƚ˓に示す。
ク時の1993年度の5分の1の件数になっていることが
原点付近を中心とした分布をしており、正規性の適
ນȽˍȁ࢐೒ၾ಺औ͂ႊ‫ك‬ਹ௶೰͈௶೰ࠫ‫ض‬
䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭䇭੤ㅢ㊂⺞ᩏ⚿ᨐ
䇭䇭䇭䇭䇭䇭ベ⩄㊀᷹ቯ⚿ᨐ
ోゞ੤ㅢ㊂ ᄢဳゞ੤ㅢ㊂ ᄢဳᷙ౉₸ ᣣ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ 㪈㪇ᐕ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ
䋨บ㪆ᣣ㪆ゞ✢䋩 䋨บ㪆ᣣ㪆ゞ✢䋩
㩿㩼㪀
䋨ベ㪆ᣣ㪆ゞ✢䋩
䋨ベ㪆㪈㪇ᐕ㪆ゞ✢䋩
ㅊ⿧ゞ✢䋨⹜㛎ゞ✢䋩
⿛ⴕゞ✢
ᣇะᒰ䉍
䋨ㅊ⿧䋫⿛ⴕ䋩
㪌㪃㪇㪐㪌
㪌㪃㪊㪈㪈
㪈㪃㪎㪇㪋
㪉㪃㪋㪎㪍
㪊㪊㪅㪌
㪋㪍㪅㪐
㪉㪃㪉㪍㪈
㪋㪃㪏㪎㪌
㪏㪃㪎㪌㪉㪃㪎㪇㪇
㪈㪐㪃㪉㪊㪌㪃㪌㪇㪇
㪈㪇㪃㪋㪇㪍
㪋㪃㪈㪏㪇
㪋㪇㪅㪉
㪎㪃㪈㪊㪍
㪉㪍㪃㪇㪋㪍㪃㪋㪇㪇
㪌㪃㪇㪇㪇
⿛ⴕゞ✢
㪋㪃㪇㪇㪇
㪈㪇㪃㪇㪇㪇
ㅊ⿧ゞ✢
㪈㪐㪐㪋ᐕ䋵᦬䇭㆏੤ᴺᡷᱜ
䇭䇭䋨ㆊⓍタข✦䉍ᒝൻ䋩
㪈㪐㪐㪎ᐕ䋴᦬
䇭ⴕ᡽ಣಽ䈱ᒝൻ
㪊㪃㪇㪇㪇
㪉㪃㪇㪇㪇
㪈㪃㪇㪇㪇
ᣣ㪋 㪐 㫂㪥឵▚ベᢙ䋨 ベ䋩
㪇
㪈㪐㪐㪋ᐕ䋵᦬䇭㆏੤ᴺᡷᱜ
䇭䇭䋨ㆊⓍタข✦䉍ᒝൻ䋩
㪉㪄㪊
㪊㪄㪋
㪋㪄㪌 㪌㪄㪍 㪍㪄㪎 㪎㪄㪏 㪏㪄㪐 㪐㪄㪈㪇 㪈㪇㪄
㪈㪉
ベ⩄㊀䈱㓏⚖▸࿐䇭䋨㫋䋩
㪈㪉㪄
㪈㪋
଎Ƚˑȁႊ‫ك‬ਹ‫ྀ͈ݭٴ‬5:lO ۟ॳႊତ
㪈㪋㪄
㪉 㪇㪇 㪎 ᐕ
㪉㪇㪇㪌ᐕ
㪉㪇 㪇 㪈 ᐕ
㪉 㪇 㪇㪋 ᐕ
㪉㪇㪇㪇ᐕ
㪈㪐㪐㪏ᐕ
㪈 㪐 㪐㪎 ᐕ
㪈㪐 㪐 㪍 ᐕ
㪈㪐㪐㪌ᐕ
㪈㪐 㪐 㪊 ᐕ
㪈 㪐 㪐㪋 ᐕ
㪉㪇 㪇 㪍 ᐕ
㪉㪇㪇㪊ᐕᐲ
㪈㪄㪉
㪉㪇㪇㪉ᐕᐲ
㪇
㪇㪄㪈
㪈㪐 㪐 㪉 ᐕ
㪈 㪐 㪐㪇 ᐕ
㪇
㪉㪇㪇㪋ᐕ
㪉㪇㪇㪈ᐕᐲ
㪉㪇㪇
㪉㪇㪇㪇ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪈ᐕ
㪉㪇㪇㪇ᐕ
㪉㪇㪇㪈ᐕ
㪈㪐㪐㪐ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪎ᐕ
㪈㪐㪐㪏ᐕ
㪋㪇㪇
㪌㪇㪃㪇㪇㪇
㪈㪐㪐㪏ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪉ᐕ
㪈㪐㪐㪎ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪋ᐕ
㪈㪐㪐㪍ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪋ᐕ
㪈㪐㪐㪌ᐕ
㪈㪐㪐㪍ᐕ
㪍㪇㪇
㪈㪐㪐㪌ᐕᐲ
㪏㪇㪇
㪈㪐㪐㪋ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪇ᐕ
㪈㪐㪐㪉ᐕ
㪈㪐㪐㪊ᐕ
㪈㪐㪐㪊ᐕᐲ
㪈㪐㪐㪇ᐕ
㪈㪐㪐㪈ᐕ
㪈㪃㪇㪇㪇
㪈㪇㪇㪃㪇㪇㪇
㪈㪐㪐㪊ᐕ
ㆊⓍタ㆑෻ข✦ઙᢙ䋨ઙ䋩
ㆊⓍタ
⸘᷹ᐕ
㪈㪐㪐㪈ᐕ
㪉 㪇 㪇 㪍ᐕ
㪉㪇㪇㪎ᐕ
㪉 㪇㪇 㪋 ᐕ
㪉㪇㪇㪈ᐕ
㪉 㪇 㪇 㪇ᐕ
㪈㪐 㪐 㪏 ᐕ
㪈 㪐㪐 㪎 ᐕ
㪈㪐㪐㪍ᐕ
㪈 㪐 㪐 㪌ᐕ
㪈㪐 㪐 㪋 ᐕ
㪈 㪐㪐 㪊 ᐕ
㪈㪐㪐㪉ᐕ
㪈 㪐 㪐 㪈ᐕ
㪈㪐 㪐 㪇 ᐕ
㪉㪇 㪇 㪌 ᐕ
଎Ƚːȁ5:lO ۟ॳႊତ͈শࠏႥ་‫ا‬
㪈㪃㪉㪇㪇
ฦ㓏⚖䈱㪋㪐 㫂㪥឵▚ベᢙ 䋨ベ䋩
㪈㪐㪐㪎ᐕ䋴᦬
䇭ⴕ᡽ಣಽ䈱ᒝൻ
㪇
଎Ƚˏȁఱ߿৬࢐೒ၾ͈শࠏႥ་‫ا‬
34
⿛ⴕゞ✢
㪌㪃㪇㪇㪇
㪈㪐㪐㪉ᐕᐲ
ᄢဳゞ੤ㅢ㊂䋨บ㪆ᣣ䋩
ㅊ⿧ゞ✢
଎Ƚ˒ȁًୟश৾೿ͤ࠯ତ͈ଔ֊
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
合度の検定を実施した結果、(1.1, 24.42)の正規分布に
ˏȅˏȅ
ːȁ‫಺أܨ‬औࠫ‫ض‬
適合していると判断された。車両走行位置分布に関し
1990年度∼ 2003年度の間のアメダスデータから得
て報告された既往の文献では、正規分布や対数正規分
られた各月毎の気温と凍結指数を଎Ƚ˔、˕に示す。
布とされているが
13)
,14),15)
、本調査結果によれば、概
ね正規分布として扱って良いものと考えられる。
平均気温は−10 ∼ 20(℃)の範囲、平均凍結指数は
585(℃・day)
、年間の0℃以下の日数は105日であり、
寒冷な気候の地域であることがわかる。
ᄢဳゞ
0บ
㪊㪇
ਸ਼↪࡮ዊဳ⽻‛ゞ
0บ
㪉㪇
᳇᷷䋨㷄䋩
ㅢ ㆊ บᢙ ഀ ว 㧔 㧑 㧕
ᣣᦨ㜞᳇᷷䋨㷄䋩
ᣣᐔဋ᳇᷷䋨㷄䋩
ᣣᦨૐ᳇᷷䋨㷄䋩
㪈㪇
㪇
㪄㪈㪇
㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㨪 㪄㪉㪇
㪋᦬
⿛ⴕ૏⟎
ේὐ߆ࠄߩ㔌ࠇ‫ޔ‬EO㧕
଎Ƚ˓ȁΗͼμ௢࣐պ౾͈໦ືࠗ௶ࠫ‫ض‬
㪌᦬
㪍᦬
㪎᦬
㪏᦬
㪐᦬ 㪈㪇᦬ 㪈㪈᦬ 㪈㪉᦬ 㪈᦬
㪉᦬
㪊᦬
଎Ƚ˔ȁ2::1ා̥ͣ3114ා͈‫࠮ڎ‬໹޳‫أܨ‬
ˏȅ
ˏȅ
ˏȁΑΩͼ·Ηͼμܰଷͅ‫಺̳ͥ۾‬औࠫ‫ض‬
下の通りである。
試験道路構築当時の1990年は冬期間にスパイクタイ
ヤを使用するのが一般的であったが、スパイクピンに
㪏㪇㪇
ಓ⚿ᜰᢙ䋨 㷄䊶 㪻㪸㫐䋩
制の経緯について把握しておく必要がある。経緯は以
㪎㪇㪇
㪉㪇㪇
ಓ⚿ᜰᢙ䋨㷄䊶㪻㪸㫐䋩
䋰㷄એਅ䈱ᣣᢙ䋨ᣣ䋩
㪐㪇㪇
㪈㪏㪇
㪈㪍㪇
ಓ⚿ᜰᢙ䈱ᐔဋ䋺㩷㪌㪏㪌䋨㷄䊶㪻㪸㫐䋩
㪈㪋㪇
㪍㪇㪇
㪈㪉㪇
㪌㪇㪇
㪈㪇㪇
㪋㪇㪇
㪇㷄એਅ䈱ᐔဋᣣᢙ䋺㩷㪈㪇㪌䋨ᣣ䋩
㪊㪇㪇
㪏㪇
㪍㪇
より削り取られた細かい屑が車によって舞い上がり人
㪉㪇㪇
㪋㪇
の健康や生活環境に影響するいわゆる車粉公害が社会
㪈㪇㪇
㪉㪇
㪇
一次指定地域は1991年4月1日から、新試験道路が位
㪉㪇 㪇㪉 ᐕᐲ
㪉 㪇 㪇㪊 ᐕᐲ
㪉 㪇㪇㪈 ᐕᐲ
㪉 㪇 㪇 㪇 ᐕᐲ
㪈 㪐㪐㪐 ᐕᐲ
㪈 㪐 㪐 㪏 ᐕᐲ
㪈㪐 㪐㪎 ᐕᐲ
㪈 㪐 㪐 㪍 ᐕᐲ
㪈 㪐 㪐㪋 ᐕᐲ
㪈 㪐㪐㪌 ᐕᐲ
㪈㪐 㪐㪊 ᐕᐲ
㪈 㪐 㪐 㪉 ᐕᐲ
㪈 㪐㪐㪇 ᐕᐲ
粉じんの発生の防止に関する法律」が公布、施行され
た。この法律によって、札幌市や千歳市などが存する
㪇
㪈 㪐 㪐 㪈 ᐕᐲ
問題として顕在化し、1990年6月に「スパイクタイヤ
䋰㷄એਅ䈱᳇᷷ᣣᢙ䋨ᣣ䋩
㪈㪇㪇㪇
交通条件の質の変化として、スパイクタイヤ使用規
଎Ƚ˕ȁ2::1ා̥ͣ3114ා͈ൄࠫঐତ͂
ˌɎո‫أܨ͈ئ‬඾ତȁ
置する苫小牧市などの第二次指定地域は1993年3月1
日からスパイクタイヤの使用が規制された。使用規制
ːȅႹ࿂଻ે͈ଔ֊ͅ‫಺̳ͥ۾‬औ
に伴いスパイクタイヤ装着率は第一次指定区域では
1992年度にほぼゼロとなり、続いて第二次指定区域は
ːȅˍȁႹ࿂଻ે಺औ͈࿒എ
1993年度に、第三次指定区域は1996年度にそれぞれほ
舗装断面構成の違いおよび輪荷重と路面性状の長期
16)
ぼゼロ%となったと報告されている 。
的変化の関係を把握する目的で、新試験道路の8タイ
したがって、新試験道路においては構築当時の1990
プの試験舗装断面でわだち掘れ量、ひび割れ率、縦断
年度および1991年度はスパイクタイヤによる摩耗の発
方向の平坦性の3項目の路面性状について追跡調査を
生を考慮に入れる必要があり、1992年度以降はスパイ
行った。
クタイヤによる摩耗がないものと考えて良いと思われ
る。
ːȅˎȁႹ࿂଻ે಺औ༹༷
試験断面が構築されている追越車線において、試験
道路構築後毎年定期的に春期
(5月頃)
と秋期
(10月頃)
の2回実施している。ただし、ひび割れ率はひび割れ
発生確認以降、適宜測定頻度を増やしている。
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
35
調査方法は舗装試験法便覧10)に則って実施してお
わたって実施した交通量調査結果7)に基づいて、曜日
り、わだち掘れ量は道路の横断方向に発生する凹凸を
変動係数を平日1.00、土曜日1.05、日祭日0.98とした。
横断プロフィルメータにより測定する方法、ひび割れ
率は路面に生じたひび割れをスケッチしメッシュ法に
ːȅːȁႹ࿂଻ે಺औࠫ‫ض‬
より算出する方法、平坦性は道路の縦断方向の基準線
ːȅːȅ
ˍȁ̺̻ͩߡͦၾ಺औࠫ‫ض‬
と路面との高さの差を3m プロフィルメータによっ
わだち掘れ量の時系列変化および49kN 換算輪数と
て1.5m 間隔で計測し,区間の標準偏差を測定値とす
の関係を଎Ƚ21に示す。美々新試験道路は1990年8月
る方法を用いた。
に供用後、1995年7月にわだち掘れ隆起部のみを切削
する工事が施工され、2002年3月には切削4㎝ + 改
ːȅˏȁ႑ୟ5:lO ۟ॳႊତ͈ॳ೰༹༷
質Ⅱ型アスファルト混合物によるオーバーレイ4㎝の
累積49kN 換算輪数は、先に述べた輪荷重調査結果
施工が実施されている。そのため、その時期にはわだ
を平日の49kN 換算輪数とし、土曜日、日曜日は曜日
ち掘れ量が減少して路面状態が改善されている。そこ
変動を考慮し、49kN 換算輪数を補正してこれらを足
で、଎Ƚ22を以下に示す3つの期間に分けて検討をす
し合わせて求めた。ここでは、1993年10月に1週間に
すめることとする。
㪌㪇
⹜㛎⥩ⵝᢿ㕙
㪘
㪙
㪋㪇
╙৻ᦼ㑆
╙ੑᦼ㑆
䉴䊌䉟䉪ⷙ೙
ಾ೥Ꮏ੐㩿㪈㪐㪐㪌ᐕ㪎᦬䋩
╙ਃᦼ㑆
ಾ೥㪂䉥䊷䊋䊷䊧䉟Ꮏ੐㩿㪉㪇㪇㪉ᐕ㪊᦬䋩
㪚
䉒䈣䈤ជ䉏㊂ 㩿㫄㫄㪀
㪛
㪫㪈㪄㪈
㪊㪇
㪫㪈㪄㪉
㪫㪉㪄㪈
㪫㪉㪄㪉
㪉㪇
㪈㪇
㪈㪐㪐㪇
㪇
㪈㪐㪐㪈
㪈㪐㪐㪉
㪈㪐㪐㪊
㪇
㪈㪐㪐㪋
㪈㪐㪐㪌
㪈㪐㪐㪍 㪈㪐㪐㪎 㪈㪐㪐㪏 㪈㪐㪐㪐
㪉㪇㪇㪇
㪉㪇㪇㪈
㪌
㪉㪇㪇㪉
㪉㪇㪇㪊
㪉㪇㪇㪋
㪉㪇㪇㪌
㪉㪇㪇㪍
⷏ᥲ
㪉㪇㪇㪎 䋨ᐕ䋩
㪈㪇
㪈㪌
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋨⊖ਁベ䋩
㪊㪇
㪎
╙৻ᦼ㑆
╙ੑᦼ㑆
╙ਃᦼ㑆
㪍
╙ਃᦼ㑆
ฦጀ䈱ᄌᒻ㊂䋨 㫄㫄䋩
䉒䈣䈤ជ䉏㊂৻ᰴ࿁Ꮻᑼ䈱௑䈐㩿㫄 㫄 㪆 ベ㪀
଎Ƚ˔ȁ2::1ා̥ͣ3114ා͈‫࠮ڎ‬໹޳‫أܨ‬
㪌
╙ੑᦼ㑆
㪋
㪊
㪉
㪈
㪉㪇
㪈㪇
╙৻ᦼ㑆
㪇
㪇
㪇
㪈㪇
㪉㪇
㪊㪇
㪋㪇
䉝䉴䉮䊮ጀว⸘⸳⸘ෘ㩿㪺㫄㪀
଎Ƚ22ȁ̺̻ͩߡͦٝ‫ܦ‬৆͈߹̧͂ͺΑ΋ϋ௄࢚͈͂‫߸۾‬
36
⴫ጀ䈱ᄌᒻ㊂
ၮጀ䈱ᄌᒻ㊂
ਅጀ〝⋚એਅ䈱ផቯ႟ᕈᄌᒻ㊂
㪇
㪈㪇
㪉㪇
䉝䉴䉮䊮ጀ⸳⸘ෘ㩿㪺㫄㪀
㪊㪇
㪋㪇
଎Ƚ22ȁ΋ͺन৾಺औͥ͢ͅ‫ڎ‬௄͈་ࠁၾ
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
第一期間:スパイクタイヤ規制から初回の
た。これはアスファルト混合物層による荷重分散効果
切削工事までの期間
の違いにより、下層路盤上面や路床面上面での鉛直荷
第二期間:初回の切削工事から次の切削
重の大きさが異なり、塑性変形量が異なったためと考
オーバーレイ工事までの期間
えられる。
第三期間:切削オーバーレイ工事から現在
以上の結果から、わだち掘れの推移は舗装断面のア
までの期間
スコン層厚さに影響される部分があり、アスコン層厚
第一期間から第三期間までの各々の舗装断面におけ
が薄いほどわだち掘れの進行が早い傾向にあり、下層
るわだち掘れの進行状況を定量化するために、各期間
路盤以下の塑性変形量が大きいものと推測される。な
ごとに累積49kN 換算輪数とわだち掘れ量との関係を
お、補修後のわだち掘れパフォーマンスカーブが補修
一次式に当てはめた。各期間をパラメータとした一次
前に比べて劣るのは一般的に当然と言える結果であ
式の傾きとアスコン層設計厚さとの関係を଎Ƚ22に示
り、アスコン層厚だけでなくアスファルト混合物が供
す。
用に伴い空隙率が低下することや切削による断面欠損
第一期間はアスコン層の厚さによる差が小さいが、
やオーバーレイ混合物の品質が新設時と同等でないこ
第二期、第三期はアスコン層の設計厚が薄いほど傾き
となどの多くの要因が影響する複合的なものであるこ
が大きくなる傾向が表れている。
とを認識しておく必要があり、アスコン層厚のみで説
一次式の傾きはわだち掘れの進行速さを示すことか
明が可能と考えるものではない。
ら、アスコン設計厚が薄いほど、わだち掘れの進行速
さが早い傾向にあるといえる。すなわち、アスファル
ːȅːȅ
ˎȁ͍͌‫಺ͦڬ‬औࠫ‫ض‬
ト混合物層厚さが比較的薄い A, B, T1-1, T1-2, T2-1,
2001年3月にৢ૯Ƚˍのようなひび割れの発生を確
T2-2断面は、アスファルト混合物層が厚い C 断面と
認した。ひび割れ付近のコア採取調査の結果、ひび割
D 断面に比較してわだち掘れ進行が早い状況にある。
れはアスコン層の底面から路面方向に向かって進行し
また、その傾向が第一期に比べて第二期や第三期の
ており、このひび割れは疲労破壊によるひび割れ
(以
方が顕著に認められる事から分かるように、建設直後
下、疲労ひび割れ)であると判断された。疲労ひび割
からその差が認められるものではなく、車輪の累積通
れが発生した断面はこの時点で T1-1断面,A 断面,
過台数の増加につれて、
顕著となるものと推測される。
T2-1断面の3つであり、ひび割れ率は約5%程度で
切削オーバーレイが施工された後の第三期においても
あった。ひび割れ率の経時変化を଎Ƚ24に示す。供用
アスコン層厚が薄い断面でわだち掘れ進行が早い点は
開始(1990年7月)から約10年7箇月経過、累積49kN
注目に値する。
換算輪数にして約900万輪 / 車線で舗装の表面に疲労
表層、基層部のアスコン層厚変形量の把握と下層路
ひび割れが生じた事となる。アスファルト舗装要綱18)
盤面以下の塑性変形量の推定を目的に、供用後5年と
に示されている A 交通や B 交通の設計期間10年内の
なる1995年8月に実施したコア採取調査結果を଎Ƚ24
累積49kN 換算輪数15万輪および100万輪を上回った。
に示す。
また、試行的に力学設計により設計した断面も予定し
଎Ƚ23から、表層においては、アスコン層厚が厚い
た設計期間を超えており、断面設計時の凍上抑制層や
断面ほど表層の変形量が大きいことがわかる。基層に
路床の材料定数やタイヤ走行位置分布、走行速度、舗
おいては舗装構成によらず大きな違いは見られない。
装体温度、混合物の疲労特性、アスコン層下面にひび
上層路盤層
(加熱アスファルト安定処理層)
は最大粒径
割れが生じてから表面に達するまでのタイムラグなど
が30㎜と大きく、40㎜級切込砂利である下層路盤との
の設定手法の検証が必要と考えられる。これらの点に
境界面の骨材の凹凸が激しいため、その境界位置を明
関しては詳しく検討して別途報告したい。
確に判断することは困難であった。そこで、上層路盤
଎Ƚ24より、2001年3月に T1-1断面,A 断面,T2-1
の変形量はごく小さいものと仮定して、表層と基層の
断面に発生したひび割れはその後、徐々に進展した様
変形量の和とわだち掘れ量の差を下層路盤以下の塑性
子がわかる。最初は縦断方向のひび割れが路面に現れ、
変形量とすると、下層路盤以下の塑性変形量は、アス
やや遅れて魚の骨のように横方向のひび割れが現れて
コン層厚が薄い断面ほど大きくなっている。
すなわち、
亀甲状のひび割れとなっていく様子が観察された。な
アスコン層厚が薄いほど表層の変形割合が小さく、下
お、2002年3月の時点でわだち掘れが著しく、試験道
層路盤以下の塑性変形量が大きいとの結果が得られ
路全区間において切削4㎝+改質 II 型混合物による
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
37
オーバーレイ4㎝の修繕が施された。その後、2003年
D 断面の路面においてもひび割れの発生が認められ、
10月に T1-1断面、A 断面,T2-1断面の3つの断面に
2007年10月にコア採取および開削調査を実施したとこ
おいてリフレクションクラックの発生、また B 断面に
ろ、T1-2断面に発生したひび割れは疲労ひび割れ
(ボ
おいては疲労ひび割れの発生を確認した。このことか
トムアップクラック)であり、T2-2断面 , C 断面 , D 断
ら、B 交通断面は供用後13年3ヶ月経過、累積49kN
面に発生したひび割れはトップダウンクラックである
換算輪数にして約1,100万輪 / 車線で疲労ひび割れが
ことが確認された。このことから、アスコン層最下層
発生した事となる。この時点までのひび割れ発生の有
が粗粒度アスコンである T1-2断面において、累積
無と舗装の断面構成厚の関係を଎Ƚˎにおいて照らし
49kN 換算輪数が約1,300輪 / 車線で疲労ひび割れが発
て見ると、疲労ひび割れが発生した断面はいずれもア
生したこととなる。
スコン層厚が12㎝又は15㎝で、アスコン層の最下層が
アスファルト安定処理であることが分かる。アスコン
層厚が同一厚さでもアスコン層最下層が粗粒度アスコ
ンや密粒度アスコンで造られた断面には疲労ひび割れ
の発生は認められていなかった点が特筆される。交通
荷重条件および環境条件は8つの断面が同一であるた
め、混合物配合の違いが疲労ひび割れの発生に影響し
たものと推測できる。つまり、アスファルト安定処理
は、粗粒度アスコンや密粒度アスコンよりも疲労ひび
割れが入りやすく、発生したひび割れの進展速度が速
いと推測された。
さらに、2006年には T1-2断面 , T2-2断面 , C 断面 ,
㪋㪌
㪈㪐㪐㪇 㪈㪐㪐㪈
㪈㪐㪐㪊
㪊㪇
㪉㪌
㪈㪐㪐㪍 㪈㪐㪐㪎 㪈㪐㪐㪏 㪈㪐㪐㪐
㪉㪇㪇㪇
㪉㪇㪇㪈 㪉㪇㪇㪉 㪉㪇㪇㪊 㪉㪇㪇㪋 㪉㪇㪇㪌 㪉㪇㪇㪍 㪉㪇㪇㪎 ⷏ᥲ
㪉㪇㪇㪍ᐕ㪌᦬
㪫㪈㪄㪉䈮∋ഭ䈵䈶ഀ䉏䋨䊗䊃䊛䉝䉾䊒䉪䊤䉾䉪䋩䇮
㪫㪉㪄㪉㪃㩷㪚㪃㩷㪛䈮⴫㕙❑䈵䈶ഀ䉏䋨䊃䉾䊒䉻䉡䊮䉪
䊤䉾䉪䋩⊒↢⏕⹺
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋺⚂㪈㪊⊖ਁบ
㪘
㪙
㪚
㪛
㪫㪈㪄㪈
㪫㪈㪄㪉
㪫㪉㪄㪈
㪫㪉㪄㪉
㪊㪌
㪈㪐㪐㪌
㪈㪐㪐㪋
㩿ᐕ䋩
⹜㛎⥩ⵝᢿ㕙
㪋㪇
䈵䈶ഀ䉏₸䋨䋦䋩
㪈㪐㪐㪉
ৢ૯Ƚˍȁ˝౯࿂ͅอ୆̱̹๦Ⴛ͍͌‫ͦڬ‬
㪉㪇㪇㪊ᐕ㪈㪇᦬
㪫㪈㪄㪈㪃㩷㪘㪃㩷㪫㪉㪄㪈䈮䊥䊐䊧䉪䉲䊢䊮䉪䊤䉾䉪䇮
㪙䈮∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢⏕⹺
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋺⚂㪈㪈⊖ਁบ
㪉㪇
㪉㪇㪇㪈ᐕ㪊᦬
㪫㪈㪄㪈㪃㩷㪘㪃㩷㪫㪉㪄㪈䈮∋ഭ䈵䈶ഀ䉏⊒↢⏕⹺
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋺⚂㩷㪐⊖ਁบ
㪈㪌
㪈㪇
㪉㪇㪇㪉ᐕ㪊᦬
ಾ೥䉥䊷䊋䊷䊧䉟ᣉᎿ
㪌
㪇
㪇
㪈
㪉
㪊
㪋
㪌
㪍
㪎
㪏
㪐
㪈㪇
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋨⊖ਁベ䋩
㪈㪈
㪈㪉
㪈㪊
㪈㪋
㪈㪌
଎Ƚ24ȁ͍͌‫ͦڬ‬ၚ͈ࠐশ་‫ا‬
38
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
㪌
外側車輪通過位置
(Outer Wheel Path, 以下、OWP)
㪋
と 車 輪 通 過 位 置 中 央(Between Wheel Path, 以 下、
BWP)の平坦性測定結果について、代表例として A
断面の測定結果を଎Ƚ25に示す。2002年3月に切削4
㎝ + 改質 II 型混合物によるオーバーレイ4㎝を実施
ᐔမᕈ 㱟 㩿 㫄 㫄 㪀
ːȅ
ːȅ
ˏȁ໹౛଻಺औࠫ‫ض‬
㪦㪮㪧
㪙㪮㪧
ಾ೥Ꮏ੐
䇭㪈㪐㪐㪌ᐕ㪎᦬
㪊
㫐㩷㪔㩷㪇㪅㪉㪋㪊㪉㫏㩷㪂㩷㪇㪅㪌㪎㪇㪎
㪩㪉 㩷㪔㩷㪇㪅㪋㪍㪍㪍
㪉
㫐㩷㪔㩷㪇㪅㪇㪌㪌㪊㫏㩷㪂㩷㪇㪅㪊㪏㪊㪏
㪩㪉 㩷㪔㩷㪇㪅㪉㪏㪊㪌
㪈
した以降は平坦性が1㎜以下に改善していることか
ら、2002年3月以降のデータを省いたものを଎Ƚ26に
示す。
OWP で測定した平坦性σは、累積49kN 換算輪数
㪇
㪇
㪌
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋨⊖ਁベ䋩
㪈㪇
଎Ƚ26ȁ໹౛଻͂႑ୟ5:lO ۟ॳႊତ͈‫߸۾‬ȪB ౯࿂ȫ
の増加に伴い悪化する傾向にある。その変化には変動
があるものの概ね一次直線で回帰でき、800万輪で
σ =2.5㎜に達している。春期は秋期よりも平坦性が
ːȅːȅ
ːȁ֋঵‫ۯ‬ၑঐତ NDJ ಺औࠫ‫ض‬
悪化することが予想されたが、一概に春期の平坦性が
路 面 評 価 指 標 で あ る MCI( 維 持 管 理 指 数、
秋期よりも悪いという傾向は見られず、春期、秋期と
Maintenance Control Index)
は、式
(1)から(4)で算出
変動を繰り返しながらも、通過輪数が多くなるにつれ
される数値の中で最小のものを評価値とする。
て平坦性が悪化する傾向にある。なお、凍上が平坦性
に与える影響に関して凍上量調査は実施していないも
MCI =10-1.48C0.3-0.29D0.7-0.47σ0.2
0.3
0.7
(1) のの、凍上に対する設計置換厚である80㎝まで凍上抑
MCI0 =10-1.51C -0.3D
制層
(80㎜級切込砂利)
で置換えられており、問題とな
MCI1 =10-2.23C0.3
(2) (3) 0.7
(4)
るような凍上は発生していないと考えられる。
MCI2 =10-0.54D
一方、車輪が通過しない位置(BWP)の平坦性は、
ここで、C : ひび割れ率(%)
通過輪数によらずほぼ一定していることが分かる。
D : わだち掘れ量
(mm)
なお、図に示した A 断面以外の全ての断面におい
σ : 平坦性(mm)
ても同様の傾向が見られるが、舗装断面構成の違いに
よる平坦性変化量などに、特に明確な差は確認できな
先に述べたわだち掘れ、平坦性、ひび割れ率の3項
かった。
目に基づいて MCI を算出した結果を଎Ƚ27に示す。
49kN 換算輪数の増加に伴い MCI が低下する傾向が
伺える。供用開始からの累積49kN 換算輪数が500万
㪌
輪を超える頃には MCI が4以下となりわだち掘れも
㪦㪮㪧
ಾ೥㪂䉥䊷䊋䊷䊧䉟Ꮏ੐
㩷㩷䇭㪉㪇㪇㪉ᐕ㪊᦬
㪙㪮㪧
ᐔ မᕈ 㱟 㩿 㫄 㫄 㪀
㪋
30㎜に達する区間が見られたことから、そのままの路
ಾ೥Ꮏ੐
䇭䇭㪈㪐㪐㪌ᐕ㪎᦬
面状態での供用が困難と判断され、本来であれば切削
㪊
オーバーレイが施されるところであるが試験舗装区間
であるために凸部を切削するに留めて経過を観察し
㪉
た。切削量が断面毎に一律でなかったために MCI の
㪈
改善程度は断面によって差があるものの、この切削工
事によって MCI が改善した。その後、49kN 換算輪
㪇
㪇
㪌
㪈㪇
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋨⊖ਁベ䋩
଎Ƚ25ȁPXQ ໐͂ CXQ ໐͈໹౛଻௶೰ࠫ‫ض‬ȪB ౯࿂ȫ
㪈㪌
数の累積に伴い再び MCI が低下する傾向が認められ、
供用開始からの累積49kN 換算輪数が900万輪を超え
る頃には一部の断面で MCI が3以下の路面状態とな
るに至って、切削4㎝+改質 II 型混合物によるオー
バーレイ4㎝の修繕が施された。この切削オーバーレ
イ工事により、MCI は8以上に回復した。
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
39
㪈㪇
㪐
㪏
㪎
㪤㪚㪠
㪍
㪌
⹜㛎ᢿ㕙
㪋
㪘
㪙
㪚
㪛
㪫㪈㪄㪈
㪫㪈㪄㪉
㪫㪉㪄㪈
㪫㪉㪄㪉
㪊
㪉
㪈
㪈㪐㪐㪇
㪇
㪈㪐㪐㪈
ಾ೥Ꮏ੐
㩷㩷㩷㩿㪈㪐㪐㪌ᐕ㪎᦬䋩
㪈㪐㪐㪉
㪈㪐㪐㪊
㪇
㪈㪐㪐㪋 㪈㪐㪐㪌 㪈㪐㪐㪍
㪌
ಾ೥㪂䉥䊷䊋䊷䊧䉟Ꮏ੐
㩷㩷㩿㪉㪇㪇㪉ᐕ㪊᦬䋩
㪈㪐㪐 㪈㪐㪐㪏 㪈㪐㪐㪐
㪉㪇㪇㪇
㪉㪇㪇㪈
⚥Ⓧ㪋㪐㫂㪥឵▚ベᢙ䋨⊖ਁベ䋩
㪉㪇㪇㪉
㪉㪇㪇㪊
㪈㪇
㪉㪇㪇㪋 㪉㪇㪇㪌
㪉㪇㪇㪍
⷏ᥲ
㪉㪇㪇㪎 䋨ᐕ䋩
㪈㪌
଎Ƚ27ȁNDJ ͈ࠐාႦ‫ا‬
切削オーバーレイ工事後約100万輪の49kN 換算輪
数が通過した頃に T1-1断面、A 断面,T2-1断面の3
適合するとの計測結果が得られた。
4) スパイクタイヤによる摩耗の影響が大きかった
つの断面においてリフレクションクラックが発生し、
1993年頃までは、舗装構成の違いによるわだち掘
B 断面においては新たに疲労ひび割れが発生したため
れ量への影響は相対的に小さく、差異を認めるこ
に、それらの4断面では MCI が急激に低下する傾向
とはできなかったが、スパイクタイヤ規制後は摩
を示している。C 断面と D 断面の MCI の低下が最も
耗が減ったことによって、舗装構成のうちアスコ
緩やかである。
ン層厚がわだち掘れに影響を与える傾向が確認さ
れた。すなわち、アスコン層厚が薄いほどわだち
ˑȅ͂͛͘
掘れの進行が早い傾向にあった。アスコン層が薄
い場合の変形は下層路盤面以下の粒状材料の塑性
本報告は、以下の様にまとめられる。
変形の占める割合が多いことが確認された。
1) 美々新試験道路の大型車交通量は4,180台 / 日・
5)長期的なひび割れ推移はアスコン層厚とアスコン
方向、10年当り49kN 換算輪数は26百万輪・方向
層最下層の混合物配合によって異なっており、ア
であることから、D 交通相当に該当する。試験道
スコン層厚が12㎝又は15㎝でアスコン層最下層が
路が設けられている追越車線の大型車交通量は
アスファルト安定処理の断面において最初に疲労
1,704台 / 日、10年当り49kN 換算輪数は8.8百万輪
ひび割れ(ボトムアップクラック)の発生が認めら
であった。一方向交通量の約7割が走行車線に集
れ、アスコン層厚が12㎝又は15㎝でアスコン層最
中しており、試験断面が設けられている追越車線
下層が粗粒度アスコンや密粒度アスコンで造られ
には約3割の割合となっている。
た断面には疲労ひび割れの発生が見られなかっ
2)調査期間中の平均日当り49kN 換算輪数は7,136輪
た。さらに供用年数が経過した後にアスコン層厚
/ 日・方向で、試験断面が設けられている追越車
が12㎝でアスコン層最下層が粗粒度アスコンで造
線は2,261輪 / 日 / 車線であった。1994年と1997
られた T1-2断面に疲労ひび割れ
(ボトムアップク
年 の 過 積 載 車 両 取 締 り 規 制 の 強 化 に よ っ て、
ラック)の発生が見られた。これらのことから、
49kN 換算輪数は1993年度をピークに減少した。
最下層のアスファルト安定処理の疲労抵抗性が粗
この傾向は美々新試験道路だけの傾向ではなく、
粒度アスコンや密粒度アスコンに比べて小さいと
全国的に同様の傾向を示すものと考えられる。
推測される。
3)大型車のタイヤの通過位置は道路横断方向にばら
6)車輪通過部の平坦性は49kN 換算輪数の増加に比
つき、そのタイヤ走行位置分布は概ね正規分布に
例して悪化する傾向にあるが、舗装構成の異なる
40
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
8つの試験断面による差は特に見られない。
5)日本道路協会 : 舗装の構造に関する技術基準・同
解説、2001.
˒ȅ̤ͩͤͅ
6)SHRP: Strategic Highway Research Program
Research Plans, Final Report, AASHTO, FHWA
本報告における路面のパフォーマンスの長期的な推
and TRB, USA, 1986.
移に関する調査結果をもとに、今後は力学的視点から
7)石谷雅彦、中川伸一、小笠原章、高橋守人、笠原
舗装構造や材料特性と疲労ひび割れ発生の関係に関し
篤:美々新試験道路におけるアスファルト舗装の
て検討を進め、耐久性の向上やライフサイクルコスト
パフォーマンスに関する研究、土木学会論文集、
の縮減を図る方策を提案していきたいと考えている。
最後に、美々新試験道路において、長期にわたる画
No.564/V-35、pp.265-276、1997.
8)島多昭典、中川伸一、高橋守人:美々新試験道路
期的な調査研究の企画および進行に携わった関係者に
における舗装の長期パフォーマンスに関する研究、
敬意を表すると共に、本報告の形で取りまとめる貴重
第1回舗装工学講演会講演論文集、pp.197-204、
な機会を頂いたことに感謝申し上げる。
1996.
9)中川伸一、島多昭典、小笠原章:美々試験道路に
४ࣉ໲ࡃ
おける構成厚の異なる舗装の長期パフォーマンス
(中間報告)
、開発土木研究所月報 No.513、pp.25-39、
1)Highway Research Board: The AASHO Road Test:
1996.
Reporte 5-Pavement Research, HRB Special
10)日本道路協会:舗装試験法便覧、1988.
Report 61E, Washington D.C., 1962.
11)日本道路協会:舗装試験法便覧別冊
(暫定試験方
2)An OECD Scientific Export Group: Full-scale
Pavement Tests, OECD, Paris, 1991.
3)Autret, P., Boissoudy, A. and Gramsammer, J.C.:
法)、1996.
12)財団法人交通事故総合分析センター:交通事故統
計年報
The Circular Test Track of the Laboratoire Central
13)松野三朗、小林泰介:車両走行位置分布について、
des Ponts et Chaussees(L.C.P.C.)Nantes-First
第14回日本道路会議論文集、pp.177-178、1981.
Results-, Proceedings 6th Interjnational Conference
14)笠原篤、工藤敏雄:舗装における車輌の走行軌跡分
on the Stractural Design of Asphalt Pavements,
布、第14回日本道路会議論文集、pp.179-180、1981.
Ann Arbor, Michigan, pp.550-561, 1987.
4)Sharma, M.G., Kenis, W.J. and Mirdamadi, M.:
Evaluation of Mechanical Parameters of Inservice
15)笠原篤:舗装における車輌の車輪通過位置分布に
関する研究、第38回土木学会年次学術講演会概要
集、V-239、pp.457-476、1983.
Pavements from Field Data, Proceedings 6th
16)浅野基樹、原文宏、田邊慎太郎、横山真吾:スパ
International Conference on the Stractural design
イクタイヤ規制後10年間の評価と今後の課題、開
of asphalt Pavements, Ann Arbor, Michigan,
発土木研究所月報 No.580、pp16-23、2001.
pp.710-724, 1987.
寒地土木研究所月報 №661 2008年6月
17)日本道路協会:アスファルト舗装要綱、1992.
丸山 記美雄*
Kimio MARUYAMA
田高 淳**
Jun TAKO
寒地土木研究所
寒地道路研究グループ
寒地道路保全チーム
主任研究員
寒地土木研究所
寒地道路研究グループ
寒地道路保全チーム
上席研究員
41