第43回 日本関節病学会 - BS online journal

第43回 日本関節病学会
The Japanese Society for Joint Diseases
JSJ D
日程 2015年11月5日(木)‒ 6日(金)
会場 札幌コンベンションセンター
2015
【シンポジウム 2 - 6】
RA治療におけるバイオシミラー 現状と今後の展望
∼インフリキシマブ BSの使用経験を踏まえて∼
金子敦史氏 <国立病院機構 名古屋医療センター 整形外科リウマチ科>
2015 年 11 月 5 日に札幌コンベンションセンター(札幌市)で開催された第 43 回日本関節病学会の
シンポジウム 2「整形外科医による RA に対する生物学的製剤の処方の現状とこれからの展望∼それぞれ
の薬剤の特徴を考える∼」において、名古屋医療センターの金子敦史氏は、バイオシミラー(BS)導入に
よる患者負担の軽減と国民医療費削減の重要性、インフリキシマブ先行品と BS の臨床比較試験の成績、
さらには自身の BS 導入経験を踏まえ、
「国民医療費の削減は急務の課題であり、安価な BS の普及が望まれ
る。BS は先行品と同等/同質の医薬品であり、切替えについても臨床的な問題は認められていないこと
から、使用を積極的に検討すべきだ」と述べた。
国民医療費の観点から望まれるバイオシミラーの活用
生物学的製剤は関節リウマチ(RA)治療に不可欠だがその費用が高く、リウマチ患者の関心が最も高いのもこの
点である 1)。金子氏は「先行品より薬価の低い BS の普及は、患者の自己負担額軽減だけでなく国民医療費の増大を
抑えることが期待される」と BS の必要性を訴えた。また、
「BS は臨床試験で先行品との同等性/同質性が確認され
ているなど、ジェネリック医薬品とは全く異なる厳しい基準をクリアして承認された医薬品である」と述べ、ジェネ
リック医薬品との違いを強調した。さらに、インフリキシマブ先行品と BS を比較した国内臨床試験に触れ、両者の
臨床的有効性と安全性が同等であった旨を解説した 2)。
実臨床におけるインフリキシマブ BS 導入の試み
名古屋医療センターでは、2015年春からインフリキシマブ先行品とBSを患者が選択できる体制を整備しており、
金子氏は「当院は国立病院機構ゆえに、国が求めるモデル医療を体現する役目を担っている。その一環として、イン
フリキシマブ先行品を継続投与中のRA患者を対象に、インフォームド・コンセント(IC)を行った上で、BSを選択
できるようにした」とその取り組みを紹介した。ICの際は「BSについて説明し、先行品からBSに切替えた際の自己
負担額の差額を提示するとともに、薬剤費の保険者負担分や国民医療費の高騰についても説明する。BS導入が
患者自身の負担軽減のみならず国民医療費の削減になることを解説し、最終的には患者に選択を委ねる」という。
金子氏はRA患者17例にICを行い、11例で同意を得て先行品からBSに切替えており、「インフリキシマブBSの3
回目投与を終了した段階で、DAS28(ESR)やSDAIなどの総合疾患活動性指標の平均値は切替え前、切替え6∼8
週後、12∼16週後で変化がない。投与時反応や遅延型アレルギーの発現はなく、有害事象を含め安全性も問題
は認められていない」と述べ、自身の経験ではBSの有効性と安全性に問題はなく、前向きにBSの導入を検討する
ことが勧められると締めくくった。
1) 我が国における関節リウマチ治療の標準化に関する多層的研究 (http://www.allergy.go.jp/Research/Shouroku_13/22miyasaka.pdf)
2) Takeuchi T et al. Mod Rheumatol. 2015; 25(6): 817-824. (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25736355)
本記事は、学会の承諾を得てBS online journal事務局で取材・作成しました。
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作成:2015年12月
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