関節運動法・臨床発表 - 田中鍼灸指圧治療院

関節運動法・臨床発表
普通、この関節は薬指に響くことが多い。
● 順捻転で、いつも右側だけ関節が鳴る。
女性 23 歳。
● 胸椎 10/11 椎間関節の逆捻転で側頭部・
背腰部の硬結・圧痛は右側に多い患者さんで
胆経のツボに響いた。女性 31 歳。
ある。
患者さんはチーズが大好きということで胆
背腰部の脊椎に逆捻転を行って次に順捻転
嚢の弱りが予想された。
を行うと、いつも右側がバリバリバリと関節
右上の側臥位で腰から背中にかけて脊柱起
が鳴る。
立筋に診断按摩を行うと胆兪穴に硬結・圧痛
左側の脊椎はほとんど鳴らない。
があった。
右側の背腰部に筋の硬結・圧痛が強くあるの
このツボと同じ高さの胸椎 10/11 棘突起間
で、脊椎椎間関節の機能異常(関節が滑らか
を触診すると詰まりと圧痛があった。
に動かないこと)も右側に強くあって、それ
逆滑り法と順滑り法を行って逆捻転を行う
が矯正されるものと思われる。
と、椎間関節部と前側の腹部が伸ばされる感
(平成 26 年 1 月・125 号)
じがした。さらに持続して行うと右側頭部・
胆経の正営・承霊穴あたりにジーンとした感
● 仙腸関節の手技でどれをやっても特別に
覚で響いた。
反応がなくて手技を決められない。
この部位はたまに頭痛が起こるという。
・対策:2つの正反対の手技を行って、その
頭の響き的な感覚が起こらなくなるまで、2
2つだけの感覚を比較するとよい。
分間ほど行った。
例えば、前屈上方滑り法と前屈下方滑り法あ
るいは後屈上方滑り法と後屈下方滑り法を
● 胸椎 12/腰椎 1 椎間関節(胃兪穴)の逆
行って、「最初と後の手技でどちらが響き的
捻転で肘関節・外側部(曲池穴)の痛みが軽
な感じが強かったですか」と聞いて、響き的
減した。女性 44 歳。
な感覚の強い手技を選択する。
肘関節部が痛むというので背腰部を指圧す
響き的な感覚が強く感じるというのは、関節
ると胃倉穴(胃兪穴の外側部にある)に圧痛
機能異常(関節が滑らかに動かない=気が正
があって肘に響いた。このツボの中心部であ
常に巡っていなこと)があるところに、手技
る胸椎 12/腰椎1棘突起間を触診すると詰
を受けて滑らかに動くようになるときに感
まりと圧痛があった。
じるものである。滑らかに動いてしまうと響
・治療
き的な感覚は感じなくなる。
① 胸椎 12/腰椎1の棘突起を左右に圧迫し
て、順滑り法と逆滑り法を3回ずつ行った。
● 腰椎1/2椎間関節の逆捻転で中指に響
どちらの手技でもジーンとした感覚が起こ
いた。女性 29 歳。
った。
右腰部の椎間関節に逆捻転を行ったところ、
② 胸椎 12/腰椎1椎間関節に逆捻転を患者
特に腰椎1/2椎間関節(三焦兪穴の位置す
さんの背部に位置して行う場合、手根を深部
る部位)に硬さを感じた。この関節に持続的
にある胸椎 12 椎骨の下関節突起に正確に当
に手技を行うと右手指の中指に響きが起こ
てなければならない。その方法は手根を3箇
った。
所にあてて行い、最も響き的な感覚の強い部
1
位を調べて行うとよい。最初に棘突起間の真
按摩の治療をして最後に背臥位で風池穴の
横に手根を当てて逆捻転を行い、これを1と
離開法を行ったところ、腰の関節がピキッと
して患者さんに説明し、次にこれより1㎝ほ
音をたてて鳴った。
ど上方の部位に行って、これを2とし、さら
頚椎の関節運動法で腰椎の関節機能異常が
に最初の部位よりも1㎝ほど下方の部位に
改善されたわけで、腰部に症状がある場合、
行って、これを3として、最も伸ばされた感
この現象はよく起こることである。
覚が強く感じた部位を聞く。
この場合、3であったので、この部位に手根
● 風池穴の離開法で胃に響いた。女性
をあてて逆捻転を持続して行うと肘の疼痛
歳。
部位に響いた。その感覚は普段、痛を感じる
普段から胃が弱い患者さんである。後頭骨/
感覚とほぼ同じであった。
環椎関節の風池穴の離開法をしたら胃が重
③ 患部関節の関節運動法
くなる感じで響いた。
・腕橈関節の離開法
1分間くらい持続して行うと、その後、胃が
・腕橈関節の過伸展と凹滑り
かすかに温かく感じた。
● 腰椎2/3椎間関節の逆捻転で胸鎖乳突
● 腰部・下部胸椎の逆捻転で腹の鳴る音が
筋部に響いた。女性 77 歳。
左右で違う。男性 34 歳。
右の腰にすこし痛みがあるというので側臥
腰痛ということで最初に右腰部から胸部に
位になってもらい、右の腰椎で響き的な反応
かけて椎間関節のひとつひとつに逆捻転を
の強い関節をさがすと腎兪穴の位置する腰
行うとゴロゴロと腹鳴が起こった。
椎2/3椎間関節であった。
次に左側に同様に行うとグーグーと腹鳴が
この関節に逆捻転を持続的に行うと腰部に
起こった。
伸ばされる感覚が起こったあと、右側頚部の
右側の逆捻転は主に右側の腸に関係が深く、
胸鎖乳突筋部に響いた。
左側は左側に関係が深いと思われる。腸の弱
この部位は、たまに軽く凝りを感じるところ
り方に違いがあるせいか腹鳴の音に違いが
であった。
あった。
● 後屈上方滑り法で左下腹部の外側に響い
● いびきに対して頚椎1/2と胸椎 11/12
た。女性 31 歳。
椎間関節の関節運動法で改善する可能性が
便秘しているというので仙骨下部に診断按
ある。女性 36 歳。
摩を行うと左下髎穴に圧痛があった。
いびきは仰向けで寝ているときに舌が背部
左上側臥位になってもらい後屈の手技を2
に落ち込んで、気道を塞ぐことで起きるとい
種類行うと、後屈上方滑り法で響き的な感覚
われている。
が強いというので、この手技を持続的に行っ
脾経が最後に舌の根元で終了している。
た。
舌を奥に圧迫してもらうと、やや詰まった感
30秒間ほど行うと左下腹部の外側(脾経・
覚があった。
府舎穴あたり)に響いて腹鳴が起こった。
・治療
42
① 足の第1中足指節関節と指節関節の底屈
● 後頭骨/第1頚椎椎間関節(風池穴)の
と凹滑り法を行って、舌を奥に圧迫してもら
離開法で腰がピキッと鳴った。女性 36 歳。
うと詰まった感覚が軽減した。
2
② 腹臥位で脾兪穴を指圧すると左脾兪穴に
でもかすかに左足に響きが起こった。
硬結・圧痛が強かったので、左上に側臥位に
なってもらい、胸椎 11/12 椎間関節の逆滑
●
り法を行って逆捻転を行いジーンと響いて
鳴って膝がすごく軽くなった。男性
30 秒くらいたった後、舌を奥に圧迫しても
右膝の裏がこわばる感じがして歩きにくい
らうと、この手技でも詰まった感覚が軽減し
という。
た。
背臥位で膝関節に屈曲・伸展などの他動運動
③ 背臥位になってもらい第2頚椎棘突起を
を行うと、過伸展できつい感じがした。
調べると左側と後方に変位していた。右顎を
そこで過伸展と凹滑り法を繰り返し行った
固定して左側から第2頚椎棘突起を右に圧
らポキッと関節が鳴った。
迫して、次に天井側に圧迫し、舌を奥に圧迫
足を伸ばして患者さんに自分で膝の曲げ伸
してもらうと詰まった感覚が軽減した。
ばしをしてもらうと、だいぶ楽だというので、
膝関節の過伸展と凹滑り法で、ポキッと
50 歳。
ベッドから降りて歩いてもらうと右膝の裏
のこわばる感じがほとんどなくなっていた。
● 風池穴の離開法で目に響いたあと足が温
かくなった。女性 38 歳。
仕事上、目が疲れるというので背臥位で後頭
● 顎関節の違和感が頸椎1/2椎間関節の
骨/環椎関節(風池穴)の離開法を行った。
回旋・上方滑り法で改善した。男性
やや強めに行うと目の奥に響いた。
最近、食事をして右顎がおかしい感じで、し
さらに続けて行うと両足が温かくなった。
っかりと噛めないという。
59 歳。
顎関節は上部頸椎の関節機能異常が関係す
● 仙腸関節の上部離開法で鼻が通った。
るので、背臥位で調べると第2頸椎棘突起が
右腰痛ということで右上側臥位になっても
左側かつ後方に出っ張っていた。
らい仙腸関節の主要な5つの手技を行った。
そこで右手で右顎を圧迫固定し、左手の中指
上部離開法で反応が強かったので、この手技
で第2頸椎棘突起を左側から右側に圧迫し
を持続的に行ったところ右の鼻がスーッと
て回旋し、さらに天井側に持ち上げて頸椎1
通った。
/2椎間関節の滑り法を行った。
右顎にジワーッとした響きを感じるという
● 腰椎5/仙骨の逆捻転で足の指先に響い
ので1分間ほど行ってから、噛む動作をして
た。女性 66 歳。
もらうと、すごくスムーズでできるという。
糖尿病で薬を服用してヘモグロビン A1c は 7
1分間の手技を、さらに2回行って終了した。
以下におさまっている。
「顎の関節が調子、悪くなるのは、大抵、甘
しかし左足の甲から指先が冷たくなって痺
いものを食べると起こるのですが、どうです
れる。
か」と聞くと「かみさんと食事でアルコール
左関元兪穴に母指持続圧をすると足の親指
を飲むのを止めたら、食後に甘い物が欲しく
に響くので、腰椎5/仙骨椎間関節の逆捻転
なって、いろいろ食べている」という。
を 30 秒くらい長く行った。足の指先にジー
「奥様も顎の症状は出ていませんか」と聞く
ンと響いて痺れ感が軽減し、さらに手技を続
と「かみさんはこめかみが痛いと言ってい
けると少し温かくなった。
る」とのこと。これも脾・胃の弱りの現われ
脾兪穴の位置する胸椎 11/12 椎間関節の逆
であると考えられる。
捻転と後頭骨/環椎関節の風池穴の離開法
3
● 腰椎の逆捻転の後に順捻転を行うと、軽
側屈と凸滑り法を行った。
くやってもポキポキと関節が鳴る。男性 42
1回約 10 秒の手技を 4 回行うと、ジーンと
歳。
感じていた響き的な感覚がなくなって横突
整体院で腰をねじられたら、かえって痛くな
起の出っ張りが少し改善されていた。起きて
ったという男性患者さん。
立って歩いてもうらと、治療前よりもめまい
仙腸関節の治療を行って腰椎の逆捻転をす
が少なくなっていた。
ると、
「それ、すごく気持ちいい」という。
次に順捻転を行うとすると、
「それ、かえっ
● 脊椎椎間関節の逆捻転で関節が鳴ると改
て痛くなるから止めて下さい」という。
「私
善効果が大きい。男性 66 歳。
のやり方はソフトで痛くなることはないで
腰部・下部胸椎の逆捻転で関節が鳴ることは
すよ」と説明して軽くストレッチのように腰
少ないが、鳴ると関節機能異常の改善の効果
部を捻転した。ポキポキと関節が鳴ったとき
が大きい。右腰痛ということで右上側臥位に
患者さんは「アッ」といって驚いた様子だっ
なってもらい仙骨/第5腰椎椎間関節に逆
たが、痛みが起らなかったので安心したよう
捻転を4回、行ったところ最後に「ゴキッ」
だ。
と音がした。
股関節の屈曲・伸展他動運動を行うと、ほと
ゴキッと音がするまでは背骨が伸ばされる
んど痛みが起らないでできたので立って前
感じが強かったが、音がしてからは特に伸ば
屈・後屈をしてもらうと腰痛は70%改善し
された感じがなくなって腰が楽になった。
ていた。
● 後頭骨/環椎関節(風池)の離開法で心
● 後頭骨/環椎関節の側屈と凸滑り法で下
臓がドキドキした。男性 43 歳。
腹部と下肢が楽になった。男性 38 歳。
治療の最後に風池の離開法を行ったところ、
下腹部に特別に症状はない患者さんであっ
心臓がドキドキするという。
たが、この関節に手技を行うと最初、顔面部
心臓の弱い人に、まれにこの反応が起るので
にかすかに響いた後、下腹部にジワーッと響
「何か心臓に症状はありませんかと」聞くと、
いて下腹部と下肢が楽になった感じがした。
「昔、健康診断で不整脈があるといわれた」
さらに治療師が凸滑り法を行いながら、関節
ということだった。
可動域の限界で患者さんに頭を側屈しても
らった。
● 瘂門穴の離開法を行うと眉間に響く。女
性 35 歳。
● 第 1 頸椎横突起の側方変位を矯正すると
後頭骨/環椎関節で外後頭隆起の下の瘂門
めまいが軽減する。女性 45 歳。
に中指を当てて頭上に牽引すると、顔面部の
頸が凝ってめまいがひどいという訴えで、側
眉間に響きが起こることが多い。
臥位になってもらい頸部を触診したところ、
アトピーの患者さんで眉間に湿疹が出てい
左側頸部の第1頸椎横突起部の筋がひどく
たので、この関節に離開法を行うと痒くなる
凝っていて、乳様突起に対して横突起が左に
感覚が起こって響いた。
出っ張っていた。
そこで第1頸椎横突起を左側から、後頭骨下
● 第 4 指の掌屈・背屈で耳鳴りの音が変わ
縁を右側から圧迫して、同時に患者さんに
る。男性 56 歳。
「頭を右に傾けて」と指示して、この関節の
左耳に耳鳴りがするというので背臥位に寝
4
てもらい、両手の平をベッドにつけた状態で
筆者は左腕の肘を腹部に付けて体から押す
手背の三焦経・上中渚を指圧すると左側に圧
力で、息を吐きながら1分間くらい持続的に
痛が強くあった。
3回行った。
左手に圧痛があるので手の関節機能異常も
あると判断して、左右の薬指に背屈と掌屈を
● 舌を噛むという症状が頸椎1/2椎間関
行うと、やはり左薬指に強張り感が強かった。
節の前方圧迫滑り法で軽減した。女性 52 歳。
手関節に掌屈と凸滑り法、第4指の関節に掌
体調が悪いと舌を噛むようになるという。
屈と凹滑り法を行って全体を屈曲すると、耳
舌を出してもらうと舌の縁に歯型がついて
鳴りの音が変化して雑音が消えてクリアー
いた。
になった感じに変わった。
頸部の椎間関節で舌に最も関係の深いのは、
次に手関節に背屈と凸滑り法、第4指の関節
筆者の経験上、頸椎1/2椎間関節である。
に背屈と凹滑り法を行って全体を伸展する
背臥位で第2頸椎棘突起の変位を調べると、
と、耳鳴りの音が全体的に小さくなった。
左側に出っ張っていた。
・頸椎1/2椎間関節の滑り法
● 胸椎 9/10 椎間関節の逆捻転でゴボッと
① 支えの手で右顎を固定する。
腹が鳴る。女性 55 歳。
顎を固定することによって、後頭骨と接触が
継続的に治療にかかっている患者さんで、主
強い環椎を固定することになる。
訴は左臀部の重だるい感じである。
② 操作の手の中指と示指で、第2頸椎棘突
毎回、この関節に手技を行っているが、3回
起を左から右に圧迫して回旋する。
に1回はゴボッと腹鳴が起こる。
顔がまっすぐ前を向いていて、第2頸椎棘突
「どの辺ですか」と聞くと「胃のあたりです」
起が左に出っ張っているということは、環椎
という。
(第1頸椎)に対して第2頸椎の椎体が右に
この関節の刺激は、主に肝臓に及んでいると
回旋している訳である。
思われるが、肝臓はほとんど響き的な感覚が
③ さらに天井側に向かって圧迫する。
起こらない。
第2頸椎棘突起を天井に向かって圧迫する
肝臓に関係して弱っている胃や腸の働きが、
と歯突起が前方に移動して、頸髄の圧迫を解
治ろうとして音が出るものと思われる。
消するので舌の症状を改善することになる。
また、臀部は胆経の気の巡るところであるが、
この手技を持続的に行うと、舌の奥が引き締
慢性的な股関節部や臀部の症状は、肝の弱り
まるような感じがした。
が発展して胆に現われていることが多い。
治療をすると 1 日は舌を噛まないでいられる
が、次の日には戻ってしまうという。
● 胸椎 9/10 椎間関節の逆捻転で、期門穴
が伸ばされて気持ちよい。男性 47 歳。
● 胸椎 11/12 椎間関節の逆捻転でコキッと
アルコールを飲む機会の多い患者さんで、背
関節が鳴った瞬間に腰が楽になった。女性
部の筋の硬結は右肝兪穴にある。
72 歳。
このツボの位置する胸椎椎間関節に逆捻転
右腰に慢性的な痛みがあるということで、右
を行うと、上腹部の肝経募穴・期門穴あたり
上側臥位で仙腸関節と腰椎椎間関節に手技
が伸ばされる感じで気持ちよいということ
を行った。さらにその上部の胸椎椎間関節を
で患者さんは、「先生、それ、ズーッとやっ
調べると胸椎 11/12 棘突起間が詰まってい
てくれないかな」という。
たので、この関節に順滑り法と逆滑り法を2
5
回ずつ行ってから逆捻転を行うとコキッと
あったが、他の部位に強く響くことはなかっ
関節が鳴って、その瞬間に腰がスッと楽にな
た。
った感じがしたという。
そこで顎を固定して第2頸椎棘突起を前側
に圧迫したところ、左後頭部から目に響いて
● 胸椎5/6椎間関節の順捻転で足底の湧
目が明るくなった。
泉穴に響いた。女性 48 歳。
側臥位で肩甲間部を揉むと左心兪穴に硬
● 第5趾の外転と凸突滑り法で、脇腹に響
結・圧痛があった。このツボの中心部の胸椎
いた。女性 44 歳。
5/6棘突起間を触診すると詰まりと圧痛
第5趾が内側にひどく曲がっている。
があった。順捻転と逆捻転を行うと順捻転で
十分に按摩を行って第5趾を牽引(離開法)
ジーンとするというので、この手技を持続し
した後、外転と凸滑り法を行った。
て行うと胸にジワーッと響いたあと左足底
ジーンとして気持ちよいと言うので持続し
部の腎経・湧泉穴に響いた。
て行うと、胸部の脇腹の肝臓と思われる部位
に響いた。
● 頸椎2/3椎間関節の関節運動法で、つ
ばを飲むと違和感があるという症状が改善
● 指圧師は母指の指節間関節の掌屈と凹滑
した。女性 55 歳。
り法を自分で行って矯正することができる。
「つばを飲み込むと違和感を感じるのは、の
指圧を長く行っていると、母指が背屈位で固
どの上の方でしょうか、下の方でしょうか」
まり、掌屈位に曲げると痛みが起こる。
と聞くと、
「のどの上の方です」というので
矯正としての方法は、例えば左母指では、右
背臥位で上部頸椎の関節機能異常を調べた。
示指で左基節骨の掌側遠位端を圧迫固定し、
ちなみに、のどの下の方の症状は頸椎7/胸
右母指で左末節骨の背側近位端を掌側に圧
椎1椎間関節機能異常が関係する。
迫しながら、左母指指節間関節を掌屈させて
頸椎2/3椎間関節が大きく膨らんでいて、
凹滑り法を行う。
第2頸椎棘突起が左に回旋して出っ張って
いたので第3頸椎棘突起を右から圧迫固定
● 腹臥位で頸椎椎間関節の上下棘突起間左
し、第2頸椎棘突起を左から右に圧迫する滑
右圧迫による滑り法を行った。女性
り法を行うと、のどが広がる感じがして楽に
マッサージ希望の患者さん。頸の後側が凝る
なった。
という訴えで腹臥位になってもらうと、頸椎
起きて、つばを飲み込んでもらうと違和感が
6番棘突起が後方に変位(後方に出っ張って
半分くらいになっていた。
いる)して、さらに左に回旋している。
44 歳。
頸椎7番棘突起を右側から圧迫固定し、頸椎
●(側臥位) 顎を固定して第2頸椎棘突起を
6番棘突起を左側から圧迫して頸椎6/7
前方に圧迫すると、後頭部から目に響いた。
椎間関節に滑り法を行うと、ズーンとした感
男性 45 歳。
じで痛気持ちよく感じるという。「のどに何
左上側臥位で頸部に按摩を行うと第2頸椎
か感じはありませんか」と聞くと「のどが広
棘突起部に硬結があり、この棘突起が天井側
がるような感じがする」というので、この方
に回旋して盛り上がっていた。
法も治療手技として有効であると考えられ
この硬結を指圧したら、この部位から多少ど
る。
こかに響いている感じがするということで
6
● 右小指の遠位指節関節・内転変位の関節
くなるので、いつも耳を抑えていた。
運動法 女性 42 歳。
3カ月前から治療にかかって按摩と整体を
別に痛みはないのだが、小指の関節が内側に
受けていたら、帰省で飛行機に乗ったとき、
曲がって気になるという。
ほとんど耳が痛くなかった。
小指は心臓に関係があるので、何か心臓の弱
耳の聞こえも良くなったような気がすると
りはないですかと聞くと別にないと言う。
いう。
小指の関節を外転すると痛みが出た。
・手技:後頭骨の乳様突起を示指と中指で挟
背臥位で胸部の第5肋骨が胸骨に関節して
んで牽引する。
いる部位を触診すると、第5肋骨の頭側に圧
耳に耳鳴りや難聴などの症状がある場合、こ
痛があった。
の手技を行うと、耳の中や周囲に響き的な感
患者の左手で右小指を外転して痛みを出し
覚が起こる。
た状態にして、第5肋骨を足側に圧迫しなが
その他、耳の中がスーッとする、ジーンとす
ら上肢を頭側に圧迫する胸肋関節の凸滑り
る、耳の中が熱くなる、耳の中が痒くなる、
法を行うと、痛みが軽減して強く外転するこ
耳の周囲がジーンとする、耳の聞こえが良く
とができた。
なる、耳鳴りが軽減する、水泳で水が入って
次に右上側臥位で胸椎5/6棘突起間を調
も、すぐに抜けるようになる、冬、耳が冷た
べると詰まっていて圧痛があった。
く感じるのがなくなるなどの改善反応が起
順捻転と逆捻転を行うと順捻転で響き的な
こる。
感じが強いというので、この手技を行いなが
ら、また小指を外転してもらうと痛みが軽減
● 口内炎が頸椎2/3椎間関節の関節運動
した。
法で改善した。女性 50 歳。
最後に、また背臥位になってもらい、右小指
口内炎の位置は、右側の上歯の裏側である。
遠位指節関節の外転と凸滑り法を行った。
舌で圧迫してもらうと痛みを強く感じた。
口の中は頸椎2/3椎間関節あるいは後頭
● 頸椎2/3椎間関節の滑り法で、くしゃ
骨/環椎関節(主に完骨穴)が関係する。
みが出た。女性 75 歳。
2つの手技を行うと頸椎2/3椎間関節の
治療の最後に背臥位で頸椎の関節機能異常
方に響き的な反応が強かったので、この手技
を調べると、この関節に硬結があった。
を行った。
頸椎2番と3番の椎間板が狭窄して関節が
ジーンと感じた後に、舌で口内炎の部位を圧
くっついて動きが制限されている。この関節
迫してもらうと圧痛が軽減した。
に関節運動法を行うと、のどや目などに響く
この響き的な感覚がなくなるまで行って、も
ことが多い。
う一度、舌で圧迫してもらうと痛みが50%
滑り法を行ったところ、くしゃみが出た。
くらい軽減した。
毎回の治療でこの関節に滑り法を行ってい
るが、その度にくしゃみが出る。
● 怪我で示指の遠位指節間関節が曲がらな
普段、そんなにくしゃみは出ないという。
くなった。女性 46 歳。
中学生のとき車のドアに右手の指を挟んで、
● 完骨穴の離開法で、飛行機の着陸態勢の
それ以来、右示指の遠位指節間関節がまっす
とき、耳の痛みが少なかった。女性 35 歳。
ぐになったまま曲がらなくなった。
飛行機に乗って着陸の急降下の時に耳が痛
患者さんは「別に不自由はないしあきらめて
7
います」と言う。
置いて頭方に圧迫して凸滑り法を行った。
関節の周りを揉んでから、この関節に掌屈・
左母指の痛む部位にジワーと響いた。
背屈と凹滑り法、外転・内転と凸滑り法を行
このジワーとした響きが、ほとんど感じなく
った。どの手技でも腹がゴロゴロと鳴った。
なるまで手技を行った。
患者さんは「その指でお腹が鳴るなんて不思
丸めたタオルを持ってもらって絞る動作を
議です。なんだか指が曲げられるような気が
してもらうと、普段の痛みの半分くらいに軽
します。」と言って継続してかかっている。
減していた。
この治療を4回行うと、腫れと痛みが引いて
● 右腰椎椎間関節の逆捻転で、左側の腹部
雑巾を絞れるようになった。
に腹鳴が起こった。女性 50 歳。
最初に左腰椎椎間関節の逆捻転を行った。特
● 手の甲の痺れ感が胸椎 12/腰椎1椎間関
に響き的な感覚がなく腹鳴も起こらなかっ
節の逆捻転で響いて軽減した。女性
た。
右肩凝りが続いたあと、腕から手にかけて痛
反対の側臥位になってもらい右腰椎椎間関
だるい感じがして、最近は手の甲が痺れるよ
節に逆捻転を行うと、左腹部に腹鳴が起こっ
うになりましたという。
た。
パートでパソコン入力を長くするので、その
反対側に響くことは、まれにあることだが不
せいですという。
思議な反応である。
右上側臥位で、肩甲間部から背腰部の脊柱起
27 歳。
立筋を触診すると、胸椎 12/腰椎1椎間関節
● 左曲泉穴の痛みが右腰椎2/3椎間関節
部の胃兪穴に硬結・圧痛があった。
の逆捻転で改善した。女性 75 歳。
このツボの関節の棘突起間を触診すると、詰
左膝内側部の痛みで、最初に左上側臥位で腰部
まっていて圧痛があった。
に関節運動法を行ったが特別に改善の反応は
また胃兪穴と関係の深い腹部のツボは、みず
なかった。次に右上側臥位になってもらい第5
おちと臍との真ん中にある「中脘穴」なので、
腰椎から順に頭方向かって逆捻転を行うと腰
このツボを圧迫すると不快感があった。
椎2/3椎間関節でゴクッと音がして、その瞬
手関節を掌屈すると痺れ感が強くなるとい
間に左膝が楽になった。
うので、左手で中脘穴を圧迫してもらい、右
手関節を掌屈して症状を確認して、胸椎 12
● 左母指関節の腫れが第2胸肋関節の頭方
/腰椎1椎間関節の逆捻転を行うと両方の
凸滑り法で改善した。女性 74 歳。
症状が軽減した。
何もした覚えがないのに、雑巾をしぼると左
逆滑り法と逆捻転の響き的な感覚が感じな
親指が痛くなってしぼれなくなったという。
くなるまで、1回の手技を約 10 秒間、4回
痛む部位と右母指を比較してみると、左母指
行った。
背側部の大菱形骨・第1中手骨関節部が腫れ
胃の弱りが予想されたので食事内容を聞く
ている。
と「主人は肉料理が好きで野菜が嫌いなので、
母指は第2胸肋関節と関係が深いので、この
その食事を作って一緒に食べていると、胃の
部位を注意深く触診すると第2肋骨の足側
調子が悪くなって、ときどき胃グスリを飲ん
に圧痛があった。
でいます」という。
上肢を足方に引っ張って肋骨全体を足方に
胃の弱りとパソコン作業による指の使いす
移動しながら、第2肋骨の足側に人指し指を
ぎが原因であった。
8
10 日に1回の割合で治療を続けて、肩凝りと
キッと音がして関節の可動域が広がった。
手の症状がすこしずつ改善している。
その瞬間に足背部のシビレ感がなくなった。
胸椎 12/腰椎1椎間関節にも逆捻転を行っ
● 胸椎3/4椎間関節の順捻転と逆捻転を、
たが、この関節部にジーンと感じるだけで足
呼吸に合わせて連続して行うと呼吸が楽に
には響かなかった。
なる。
ベッドから降りて歩いてもらうと、足背部の
胸椎3/4椎間関節に機能異常がある場合、
シビレ感はほとんど感じなくなっていた。
吸う息、吐く息を指示して、それに合わせて
手技を連続して行うと呼吸が楽になる。
● 母趾の指節間関節の軟骨がなくなってい
「息を吸って」と指示して、順捻転を行う。
るので曲がらない。女性 48 歳。
「息を吐いて」と指示して、逆捻転を行う。
足の親指が曲がらなくなったので病院で調
◎胸椎3/4椎間関節機能異常の症状
べてもらったら、指節間関節の軟骨が薄くな
・胸椎3/4棘突起間が詰まっていて圧痛が
って関節がくっついているので、もう曲がら
ある。
ないと言われた。
・胸椎3/4椎間関節部の肺兪穴に硬結・圧
右母趾を底屈・背屈すると、硬くなっていて
痛がある。
ほとんど曲がらない。
・咳が出るとかかぜを引きやすいなど、呼吸
この関節に離開法と背側・底側に滑り法を行
器の症状がある。
って、背屈・底屈と凹滑り法を繰り返し行っ
た。
● 前屈上方滑り法で、鼠径部の動脈部に激
・例.母趾の指節間関節の背屈と凹滑り法
痛が起こった。女性 27 歳。
小さい音でポキッと音がして、少し関節が曲
腰痛は特になかったが、右上側臥位で仙腸関
がるようになった。
節の前屈上方滑り法の手技を行ったところ、
母趾と経絡的に関係のある胸椎 11/12 椎間
右鼠径部の大腿動脈部に強い痛みを伴った
関節部の筋に硬結があり、この関節に逆捻転
響きが起こった。
を行うと、ジーンとした響きが起る。
患者さんは鼠径部が痛くなったことはない
この治療を5回続けたところ、健側の左母趾
という。
の底屈・背屈関節可動域に対して、50%程
自覚的症状のない部位に、強い痛み的響きが
度まで回復した。
起こっためずらしい症例であった。
週1回の治療を続けている。
● 腰椎2/3椎間関節の逆捻転で足背部の
● 耳鳴りの治療で、後頭骨/環椎関節(完
しびれ感が軽減した。女性 75 歳。
骨穴)の離開法を行うと音が大きくなる。
主訴は右足背部の軽いシビレ感である。
男性 53 歳。
仙腸関節の治療では、上部離開法で少し軽減
耳鳴りに対して、後頭骨/環椎関節(完骨穴)
した。
の離開法は、最も治療効果のある手技である。
次に脊椎椎間関節の棘突起間を触診して調
しかし、手技を行っているときは耳鳴りがや
べると、腰椎2/3椎間関節(腎兪穴)、胸
や強くなる。
椎 12/腰椎1椎間関節(胃兪穴)の部位に詰
治療が終って帰る頃には、耳鳴りが治療前よ
まりと圧痛があった。
りも弱くなる。
他の患者さんでも同じようなことがあった。
腰椎2/3椎間関節部に逆捻転を行うと、グ
9
・鎖骨肩峰端に四指をあて、肩甲骨に手根を
● 膝蓋骨/大腿骨関節の滑り法で胃がグー
あてて鎖骨と肩甲骨を胸側に圧迫し、前腕部
グーと鳴った。男性 25 歳。
を上腕骨にあてて背側に圧迫して、肩甲骨と
歩いて疲れてくると、左膝の皿がぎくしゃく
肩関節の全体を前方に回旋する。
する。
さらに関節可動域の限界のところで、さらに
背臥位で膝関節の屈曲・伸展と膝蓋骨の滑り
患者さんの手を背中から頭の方向に上げて
法を行うと、すごく気持ちよい感じがすると
もらう。
いう。
この手技をそれぞれ2回ずつ行って、座って
ゆっくりと手技を行って5回ほど繰り返し
もらい両手の指を背中でつかむ動作をして
た頃、胃がグーグーと鳴り出した。
もらうと指が届いた。
「普段、胃は悪くないですか」と聞くと、
「脂
っこいものを食べたあと胃がもたれます」と
● 女性・33歳
のこと。
眉間部のアトピー性皮膚炎に対して、盆の
「そのとき長く歩くと、膝の皿に症状を感
じるのではないですか」と聞くと「そんな気
窪の風府穴の離開法で響いた。
がします」ということで、胃の調子が悪いと
額の眉毛の中間部に湿疹があった。眉毛の
きに膝の症状が発生することが分かった。
中間なので後頭骨/環椎関節の離開法を、
新技術として右手の中指で盆の窪の真ん中
●
背中で両手の指をつかめるようにし
(風府穴)にあてて離開法を行うと、眉間
たい。女性・58歳
の湿疹部位に響いた。
以前は、どちらの手を下から回しても背中
で両手の指をつかめたのが、最近、右手を
● 女性・28歳
上にして左手を背中からまわすと指が届
後頭骨/環椎関節の離開法で、額のアトピー
かないという。
に響き、また顎のアトピーに響いた
その動作をしてもらうと、5㎝くらいの間隔
額のアトピーに対して後頭骨/環椎関節(風
で指が届かない。
府穴)の離開法を行うと、額に響いた。治療
反対側をしてもらうと楽につかめる。
を続けて額が治って、顎の方が目立つように
・治療
なった。
① 右上側臥位
同じようにこの関節に離開法を行うと、今度
・両手を背中にまわして指をつかむ動作は、
は顎に響きを感じるようになった。
脊椎が反った姿勢である。
後頭骨/環椎関節の離開法は、顔面部で最も
脊椎椎間関節に逆捻転の手技を行う。
症状のある部位に響く。
・脊椎を固定して、肩関節と肩甲骨の全体を
背部に圧迫する。
● 女性・76歳
・肩関節の屈曲と凸軸回旋法
示指遠位指節間関節の関節運動法で物がつ
・肘関節を屈曲して、肩関節の屈曲と凸軸回
まめるようになった
旋法を関節可動域の限界のところまで行い、
最近、服のボタンがうまくつまめなくて、掛
患者さんにさらに屈曲に力を入れてもらっ
けにくいという。
た。
指を診ると、右示指の遠位指節間関節部が膨
② 左上側臥位
らんで、やや掌屈位になり、さらに中指側に
10
屈曲位になっている。
さらに後屈上方滑り法を行いながら、患者さ
軽く按摩を行ったあと、示指遠位指節間関節
んに右下肢を後ろに引くように力を入れて
の離開法、滑り法を行い、背屈と凹滑り法を
もらった。
十分に行った。
立って後ろに反ってもらうと、踵のしびれ感
次に示指の中手骨を持って固定し、末節骨の
は半減していた。
底部を中指側に圧迫して末節骨の先端を母
指側に押す、橈骨と凸滑り法を行った。
●
女性・62歳
治療すると関節の曲がりが改善されて、ほと
まぶたの痙攣が後頭骨/環椎関節の離開法
んどまっすぐに伸びていた。
で軽減した
患者さんに示指の曲げ伸ばしの自動運動を
左上まぶたの内側が軽く痙攣するという。
してもらった。
そう言われて私がよく見るとやっとわかる
座ってもらい、私がパジャマのボタンを1つ
程度である。しかし本人はすごく気になると
外して、それをつまんで掛けてもらうと、は
いう。
めることができた。
背臥位で、後頭骨/環椎関節(内天柱穴)の
週1回の全身治療の度に、示指の関節運動法
離開法を左側に強く行った。
を行ったところ、ボタン掛けが普通にできる
最初、患者さんは痙攣が強くなったような気
ようになった。
がするといったが、我慢してもらって持続的
に行うと、次第に痙攣が治まった。
● 男性・29歳
1週間後に来院したとき、まだすこし痙攣し
左足を前に上げると大腿部の胆経と膀胱経
ているというので同じ治療をした。
にだるさが出る
今度は手技を行っても痙攣は強くならなか
左上側臥位で、左足を前に上げた状態で仙腸
った。
関節の前屈機能異常を改善する手技を調べ
3回目の治療では、ほとんど治っているとい
ると、前屈上方滑り法であった。
うことだった。
この手技を行いながら、患者さんに左足をさ
らに前に上げる動作をしてもらった。
● 男性・66歳
手技を行いながら5回繰り返すと、かなり前
腕枕をして昼寝して起きたら、右小指がしび
に上げることができるようになった。
れて力が入らず。掌屈・背屈ができなくなっ
立って左足を前に上げると、大腿部のだるさ
た
はほとんどなく正常に上げることができた。
・治療
①背臥位で右第5胸肋関節の下方凸滑り法
●
男性・71歳
を行うと、右小指に響いた。
脊椎管狭窄症で後ろに反ると踵にしびれ感
②右上の側臥位になって胸椎5/6椎間関
が出る
節の逆捻転を行うと小指に響いた。響きが感
右踵がしびれるというので右上側臥位にな
じなくなるまで行った。
ってもらい、右下肢を後ろに反らした状態で、
③腕尺関節の離開法。
後屈機能異常を改善する手技を2種類行う
④尺骨/三角骨関節の背屈と凸滑り法で小
と、後屈上方滑り法でしびれが軽くなった。
指に響いた。
この手技を1回約10秒間持続的に3回行
⑤第5中手骨/基節骨関節の離開法、滑り法、
うと、しびれ感が軽減した。
背屈掌屈と凹滑り法
11
⑥第5指の指節間関節の離開法、滑り法、掌
● 女性・55歳
屈背屈と凹滑り法
天枢穴の圧迫不快感が示指の関節運動法で
・治療効果
改善した
約15分間の治療が終わって、右小指が温か
ガスが出やすいという。腹部を触診すると左
くなった。指の強さを左小指と比較すると、
の臍の横、大腸の募穴・天枢穴に硬結があっ
半分くらいまで力が入るようになった。
て圧迫して不快感がある。
大腸経の流注する左示指を引っ張ると、気持
● 女性・64歳
ちよく感じるという。
左上腕骨外側上顆の疼痛部位を指圧しなが
左示指の中手指節関節に掌屈と凹滑り法、手
ら、腕橈関節の離開法を行うと圧痛が軽減し
関節の大腸経の流注部位の橈骨/舟状骨・大
た
菱形骨関節に掌屈と凸滑り法を行いながら、
ゴルフの打ちっぱなしの練習をしたところ、
患者さんに左天枢穴を圧迫してもらうと圧
左上腕骨外側上顆の出っ張りの部分が痛く
迫不快感が軽減した。
なった。この部位を指圧して圧痛を感じさせ
この手技を持続的に行うとゴロゴロと腹鳴
ながら腕橈関節の離開法を行うと圧痛が軽
が起こった。
減した。
1回約 10 秒間の持続的手技を3回行ったと
●
ころ、圧痛が半分以下に軽減した。
(失敗例)後頭骨/環椎関節の離開法で貧血
関節部の周囲の痛みは、痛みの最も近い関節
がおきた
の機能異常を改善すると軽減することが分
脂抜きの食事をしたところ3カ月で5㎏体
かった。
重が減って、少し痩せ気味の体型になった女
女性・62歳
性。
● 女性・38歳
治療の最後に後頭骨/環椎関節の離開法を
左肩凝り(天髎穴)が薬指の関節運動法で改
行ったところ、ズーンと頭に響いた後、目が
善した
暗くなった。
肩凝りを訴えるので、前腕部の大腸経・手三
坐ってもらうと貧血が起きたようでフラッ
里穴と三焦経・四瀆穴を指圧して圧痛を比較
とするというので、枕を低くして約5分間、
すると、三焦経・四瀆穴の方に圧痛が強かっ
寝てもらった。その後、起きると普通の状態
た。
に回復していた。
それで三焦経の指である薬指を左右同時に
牽引すると、左指がすごく気持ちよいという。
● 女性・33歳
まず、薬指の中手指節関節、近位・遠位指節
胸椎4/5椎間関節の逆捻転で歯に響いた
間関節に離開法を行った。
右腕がだるいというので、右上側臥位で棘突
次に薬指の中手指節関節の掌屈と凹滑り法
起間の詰まりがあった胸椎4/5椎間関節
と同時に月状骨/有頭骨関節の掌屈と凸滑
に逆捻転を行ったところ、右腕にジーンと響
り法を行うと、肩凝りの部位にジワーッと響
いた後、左上の奥歯にもジーンと響きが起こ
いた。持続的に行うと響き的な感覚がなくな
った。
って温かさを感じた。
12
● 女性・61歳
明穴に流注しているからである。
脛が引きつる症状に、胸椎12/腰椎1椎間
関節の逆捻転が効いた
● 男性・26歳
右脛がつるという。前脛骨筋の弱りが予想さ
腕尺関節の離開法で胸がスーッとする
れたので左右の足関節を背屈してもらい、そ
患者さんはマッサージ師で腕が疲れるとい
れに抵抗すると右側が弱かった。
う。腕尺関節の離開法を行ったところ、肘が
脛の筋肉部は胃経なので右上の側臥位で、胃
気持ち良く感じたあと、胸がスーッとしたと
兪穴の位置する胸椎 12/腰椎1椎間関節の
いう。
棘突起を触診すると詰まりと圧痛があった。
肘関節部の心包経と心経を通じて、胸が楽に
関節機能異常があると判断して逆捻転を行
なったものと考えられる。
うと、最初何も響きは起こらなかったが、少
しして脛に温かさを感じた。
●
女性・35歳
足関節をもう一度背屈してもらうと力が強
第12肋横関節の上方滑り法で、胃がグルグ
くなって、左側と同じ位に力が入るようにな
ル鳴った
っていた。
慢性的に胃が悪いというので左側上の側臥
位で背腰部を触診すると、左胃倉穴に硬結・
● 女性・72歳
圧痛があった。
(失敗例)腰椎1/2椎間関節の逆捻転で、
このツボに位置する胸椎12/腰椎1の逆
反対側の腰に響いて動けなくなった。
捻転を行うと、気持ちよく感じるという。
骨粗鬆症がひどくて、腰椎1番の上下の腰椎
次に第12肋横関節の滑り法を、下方と上方
がガチッとくっついた状態である。
に行うと、上方滑り法の方が気持ち良いとい
腰痛がある側の左腰椎1/2椎間関節に極
うので持続的に行うと、胃がグルグルと鳴っ
めて弱い力で逆捻転を行うと、反対側の腸骨
た。
稜のあたりにズーンと響いた。
鳴り止むまで行って胃倉穴を圧迫すると、圧
反対側に寝返りをしてもらおうとしたが痛
痛が軽減した。
みが強くてすぐにはできなかった。
後で考えて仙腸関節の関節運動法を十分に
● 女性・44歳
行った後、行うべきだと思った。
舌の奥ののどのイガイガ感が、頸椎2/3椎
間関節の滑り法で軽減した
● 女性・22歳
寝ていて冷えたのか、朝、起きるとのどがイ
後頭骨/環椎関節(風池穴)の離開法で胃が
ガイガしたという。
動いて睛明穴に響いた
まず仙腸関節の関節運動法を行うと、上部離
肩凝りの按摩を行ったあと、関節運動法はこ
開法で少しのどが楽になった。側臥位で胸椎
の風池穴の離開法だけを行った。持続的に行
3/4椎間関節の順捻転を行うと、また少し
うと胃が動いた。さらに持続的に行うと目の
楽になった。
内側の睛明穴にジーンと響いた。
最後に背臥位で頸部を触診すると、頸椎2番
この関節の離開法で胃が動くということは、
棘突起が右に変位していた。
胃の弱りがこの関節を詰まらせて機能異常
頸椎3番棘突起を左から圧迫固定して、頸椎
を発生していたと考えられる。
2番棘突起を右から左に圧迫すると、すごく
また睛明穴に響きが起こったのも、胃経は睛
気持ちよく感じるというので持続的に手技
13
を行った。
● 男性・52歳
舌の奥に咳が出そうな感じで響いた。響きが
前腕部・手三里穴の痛みが腰椎4/5椎間関
感じなくなるまで行って、咳払いをしてもら
節の逆捻転で軽減した
うとイガイガ感がほとんどなくなっていた。
手三里穴は大腸経である。大腸兪穴の位置す
る腰椎4/5椎間関節に逆捻転を行うと気
● 女性・38歳
持ち良いという。
内天柱穴の離開法で、胃と鼻が楽になった左
手三里穴を揉んで痛みを確認しておいて、こ
鼻が詰まるということで、左内天柱穴の離開
の関節に関節運動法を行ってもう一度揉ん
法を行ったところ、最初、胃に響いて腹鳴が
でもらうと痛みはかなり軽減していた。
起こった。その後、左鼻に響いて鼻が通った。
同時に腹鳴が起こった。
治療が終った時、お腹が空いた感じがすると
椎間関節部の響き的気持ち良さが感じなく
のことだった。
なるまで行って、手三里穴を揉むと痛みは半
分ほどになっていた。
● 男性・45歳
次に肩鎖関節の滑り法を行うと、鎖骨の前方
膝関節の過伸展と凹滑り法を行うと、大腿後
滑り方で大腸経に響き的感覚が起こった。
側部の筋の引きつり感が軽減した
最後に腕橈関節の離開法を行った。
立位で体幹を前屈してもらうと、右大腿後側
この手技でも腹鳴が起こった。
部の筋が引きつるという。
手三里穴を揉むと、ほとんど痛みは感じなく
そこで背臥位になってもらい、大腿遠位部を
なっていた。
圧迫固定して、下腿近位部を床側から天井側
仙腸関節の関節運動法は、5つの手技がどれ
に圧迫して凹滑り法を行いながら、膝関節を
も気持ちよいという反応であった。
過伸展させた。
立って前屈してもらうと、大腿後側部の引き
● 女性・51歳
つり感がほとんどなくなっていた。
胸の中央部の痛みが、胸骨体と胸骨柄の関節
の滑り方で改善した
● 男性・55歳
スポーツジムでプルダウンという、頭上で両
膝関節の最大屈曲と凹滑り法を行うと、踵が
手でつかんだバーを下に引き下げる運動を
お尻に付いた
行った後、胸が痛くなった。
腹臥位で膝のストレッチをしたところ、あと
痛む部位をよく調べると、胸骨体と胸骨柄の
5㎝の距離で踵が臀部に着かない。
関節部であった。
そこで先ず膝関節の離開法を行い、次に最大
この関節の関節運動法は AKA の教科書には
屈曲と凹滑り法を繰り返し行うと、少しずつ
載っていないが行ってみた。胸骨体を固定し
屈曲の角度が増して5回目で踵が臀部に着
て胸骨柄の骨を左右に圧迫して滑り方を行
いた。
うと、身体の左側に圧迫して滑らせて、気持
関節運動法を行わないで、再度、ストレッチ
ち良い感じが起こり大胸筋部に響くという。
を行うと、痛みがなく踵が臀部に着くことが
大胸筋部への響きがほとんど感じなくなる
できた。
まで持続的に手技を行った。肩甲間部の上部
胸椎に詰まりと圧痛があったので、この脊椎
椎間関節にも逆捻転と順捻転を行った。
治療が終って、治療師が患者さんの両手を頭
14
上で持って固定し、引き下げてもらうと、胸
くなったという。
の痛みは半分以下になっていた。
トイレに行ったが排便はなかった。
● 女性・38歳
● 男性・59歳
外反母趾の母指に内反・底屈の凹滑り法を行
靴下を履くとき右鼠径部(上前腸骨棘の下
うと胃が動いた
方)が痛む
外反母趾は両側にあるが左側が強い。
右上側臥位で「気持ち良さ」で仙腸関節の適
身長が155cm ということで、高校時代か
応手技を調べると、前屈上方滑り法であった。
らハイヒールを履いていた。ひどく痛みがあ
この手技を行いながら側臥位で靴下を履く
る訳ではないが、外反母趾と反対の正常な関
動作を行ってもらうと、右鼠径部の痛みが軽
節位置に矯正する関節運動法を行うと、痛気
減した。
持ち良い感覚が起って少し経って胃がゴロ
仙腸関節の気持ち良さが感じられなくなる
ゴロと鳴る。
まで行った。
これ以上ひどくならないようにとの希望で、
次に鼠径部の痛む部位は「胃経」であったの
必ず行うことにしている。
で、胃兪穴の位置する胸椎12/腰椎1椎間
関節に逆捻転を行うと「すごく気持ち良い」
● 女性・52歳
という。
後頭骨/環椎(風池穴)関節の離開法で胃が
手技を行いながら右足に靴下を履く動作を
伸びる
行ってもらうと痛みが軽減した。
普段、別に胃は悪くないが、頸を引っ張って
脊椎椎間関節部の気持ち良さが感じなくな
もらうと胃がスーッと伸びて気持ち良いと
るまで手技を行った。最後に背臥位で、膝関
いう。
節を屈曲して股関節の外転と凸滑り法を行
毎回、治療の最後にこの関節運動法を行って
った。
いる。
ベッドから降りて立って靴下を履く動作を
してもらうと、ほとんど痛みは起こらなかっ
● 女性・59歳
た。
舌のシビレ感が、後頭骨/環椎(風池穴)の
離開法で軽減する
● 女性・44歳
1週間ほど前から舌の先から横側がシビレ
第5趾の離開法で頸部の凝りが取れた
た感じがするという。按摩治療の最後に「風
足指を診ると左第5趾が内側に屈曲して足
池穴」の離開法を行うと、口の中で歯に押し
裏にタコが出来ている。第5趾の離開法(牽
当ててもシビレ感があまり感じなくなると
引)を行った後、趾節関節の背屈と凹滑り法
いう。
を行った。いつも凝りを感じていた右後頸部
に響いた。
● 男性・69歳
ジーンとした感覚がなくなった後、頸を動か
便秘症に前屈上方滑り法を行うと便意をも
すと凝り感がなくなっていた。
よおした
2~3日に1回しか排便がないという。
● 男性・56歳
仙腸関節の手技は左前屈上方滑り法が気持
仙腸関節の上部離開法を行うと足の裏に血
ち良いというので、持続的に行うと排便した
がかよう感じがする
15
足が冷えるというので仙腸関節の関節運動
椎(風池穴)関節の離開法を行ってから、百
法を行うと上部離開法で足の裏に響いた。
会穴の指圧をして終了することにしている。
持続的に行うと足の裏がドクドクとして血
が通うような気がするといった。
● 胸椎3/4椎間関節の逆捻転を行うと胃
に響いた。
● 女性・63歳
左母指の付け根が痛むというので、胸椎3/
後頭骨/環椎関節(完骨穴)の離開法で唾液
4椎間関節の逆捻転を行うと母指には微か
が出た
に響いて、それ以上に胃に響いた。
少し難聴があるので、いつも治療の最後に完
胸椎3/4椎間関節の関節運動法で、胃に響
骨穴の離開法を行っている。
くのは珍しい症例である。
今日は耳への響きよりも唾液が出るという
● 女性・39歳
反応があった。
後頭骨/環椎(完骨穴)関節の離開法で耳の
● 女性・72歳
中が温かくなった
右母指球部(魚際穴)の痛みが軽減した
疲れると耳が塞がった感じがするという。背
特別に右手指を使った覚えがないのに、母指
臥位で普通の強さで手技を行っても、とても
球部が痛くなったという。
痛がる。心地よい響きが感じられる弱い圧で
背臥位で胸肋関節部を触診すると、第2胸肋
離開法を続けると耳の中が温かくなった。
関節部に圧痛があった。
この関節に肋骨を挙上して肋骨の胸骨関節
面を足方に圧迫する凸滑り法を行うと、母指
● 女性・25歳
球部の痛みが軽減した。
左第2第3中足骨間の滑り法で、胃が動いた
胃の調子が悪いというので、下肢の胃経に診
● 男性・31歳
腰痛が治った
断按摩を行うと、足背部の陥谷穴に圧痛があ
腰痛の男性。立位で背部から診ると左側の腰
った。この関節に関節運動歩法を行うと胃に
が高くなっている。
ズーンと響いて胃がゴロゴロと鳴った。
左仙腸関節の関節運動法は、前屈上方滑り法
が適応手技であった。腰椎の逆捻転を行うと
● 女性・48歳
「胃が動く感じで気持ちよい」という。
腸骨の上後腸骨棘の出っ張りが、仙腸関節の
治療後、腰の高さを診ると左右が揃っていて、
後屈上方滑り法で改善した
腰痛はほとんど治っていた。
テニスをしていて尻餅をつくように後ろ向
きに転んだ。その後、腰痛になり、自分で腰
●
を触ると、左に較べて上後腸骨棘が出っ張っ
後頭骨/環椎(風池穴)関節の離開法で
目の奥に重く響いた。男性
ていることが分かった。
43 歳
目が疲れるということで、最初に後頭骨/環
仙腸関節の気持ち良く感じる手技を行うと、
椎(風池穴)関節の離開法を行った。
理論通りに後屈下方滑り法が適応手技で、3
目の奥に重くジーンと響いた。
回の治療でほぼ改善した。
次に頭頂部の百会穴に重ね母指持続圧を行
うと目がスッキリした。
この患者さんには、治療の最後に後頭骨/環
16
● 女性・48歳
● 女性・44歳
後頭骨/環椎間節(完骨穴)の離開法を行う
右第3肋横関節の凹滑り法を行うと呼吸が
と、耳の中が広がる感じがした
楽になった
飛行機の着陸時に、いつも右耳がキーンとし
肩甲間部が凝るということで按摩を行なう
て痛くなるという。
と、第3肋骨部位の魄戸穴であった。
背臥位で後頭骨/環椎関節(完骨穴)の離開
このツボの関節・第3肋横関節に肋骨の挙上
法を行うと、耳の中が広がる感じで気持ち良
と凹滑り法を行うと、肩がスッとして呼吸が
いという。
楽になる感じがした。
ジワーッとした響き的感覚が感じなくなる
●女性・33歳
まで行った。
外反母趾のAKA的矯正が気持ち良くて腹
● 女性・52歳
鳴が起こる
後頭骨/環椎関節の完骨離開法で耳鳴りが
右側の外反母趾がひどい。
軽減した
母趾の中手指節関節の外反および底屈と凹
右耳が軽く耳鳴りがするというので、背臥位
滑り法を行うと、気持ち良く感じて腹鳴が起
で右側頸部の第1頸椎横突起部を触診する
こった。
とゴチゴチに硬くなっていた。
外反母趾の母趾中手指節関節は、経絡で脾経
後頭骨/環椎関節の離開法を、特に乳様突起
の流注部位である。この手技を行いながら、
部(完骨)に強く行なうと、耳鳴りが軽減し
脾の募穴・章門穴を圧迫すると、圧迫不快感
た。
が減少していた。
● 女性・34歳
● 女性・48歳
左肘の後側部(三焦経の天井穴)がにぶい感
後頭骨/環椎の離開法でマリファナ様快感
じでうずく
が起こった
背臥位で肘関節を90度に曲げて、腕尺関節
治療の最後に後頭骨/環椎の離開法を行うと、
の離開法を行なうと、肘の部分がすごく気持
頭の中がファーとしてすごく気持ち良いと
ち良く感じるという。気持ち良さがほとんど
いう。昔、マリファナをやったことがあるけ
感じなくなるまで持続的に行なって、肘を屈
ど、その感じに似ているという。
伸してもらうと、うずく感じがまったくしな
関節運動法によって快感物質エンドルフィ
くなっていた。
ンが発生したと思われる。
● 女性・48歳
● 女性・38歳
右母指の指節関節の離開法で胸が温まった
あぐらを組むと左股関節が硬くて、膝が立っ
風邪気味でのどが、かさついた頃から何とな
てしまう(外に開かない)
く左の親指が気になって自分で揉むように
仙腸関節の手技で気持ちよく感じるのは上
なったという。そこで、その親指に離開法を
部離開法であった。次に股関節が外に開かな
行なったところ、痛いけど気持ち良く感じた。
いということで、仙腸関節の前上部離開法と
この手技を持続的に行なうと、胸が温まった
前下部離開法を行った。前上部離開法で腹鳴
感じがした。
が起こった。
腰椎椎間関節は、仙骨/第 5 腰椎椎間関節に
17
ジーンとする響きがあり、この関節に響きが
と説明して、先ず上部離開法を行うとゴロゴ
起こらなくなるまで逆捻転を行った。
ロと腹が鳴った。「気持ち良い感じはします
股関節は肝・胆に肝経が深いので、胸椎 9/
か」と聞くと「何も感じない」と言う。次の
10、10/11 椎間関節の棘突起間の詰まりと
前屈上方滑り法でも腹が鳴って、感じを聞く
圧痛を調べると胸椎 10/11 椎間関節の棘突
と何も感じないという。後、3つの手技では
起間に症状があった。この関節に4種類の関
腹が鳴らなかった。
節運動法を行った。
上部離開法と前屈上方滑り法を腹鳴が起こ
股関節・膝関節屈曲位で外転と凸滑り法を行
らなくなるまで行って、ベッドからおりて前
った。とても気持ち良い感じがするといった。
屈してもらうと「アレ!痛くなく曲がる」と
坐ってあぐらを組むと、治療前より 10 度く
驚きの声。お年寄りの患者さんでは効果的に
らい股関節が開いていた。
手技を行っても、何も感じない場合がある。
この症例では腹鳴が起こったので治療手技
● 男性・60歳
が分かったが、選択に困った時の方法として
胸椎9/10 椎間関節に逆捻転を行うと、ぐ
は次のやり方がある。
っすり眠れる
股関節を屈曲して前屈上方滑り法と前屈下
脂肪肝がある。右上側臥位で肝兪穴のある部
方滑り法の2つを行って、このどちらかが気
位の胸椎9/10 椎間関節に逆捻転を行うと、
持ち良く感じるかを聞くと、大抵は判断がつ
いつもゴクと音がして胸がスーッとすると
く。さらに股関節を伸展して、後屈上方滑り
いう。
法と後屈下方滑り法を行って、この2つを比
この治療を受けるまで、寝ていて夜1回は目
較して良いほうを聞く。
が覚めていたのだが、目を覚まさないで眠れ
高齢者には、一般的に仙骨が後屈位になって
るようになったという。
いるので、前屈の手技は必ず治療手技になる。
また上部離開法はどんな症状でも治療手技
● 女性・44歳
となる。
左外反母趾に関節運動法を行うと、腹がゴロ
ゴロと鳴る
● 女性・55歳
左足の親指が外反母趾で、靴が当たって痛い
腰椎5/仙骨椎間関節に逆捻転を行うと、手
という。講習会で習った「中足骨・指節関節
の小指が温かくなった。
の内転・底屈と凹滑り法」を行うと、ジーン
腰痛の治療で右腰椎5/仙骨椎間関節に逆
として気持ち良いという。
捻転を持続的に行っていると、右手の小指に
持続的に行うと、お腹がゴロゴロ鳴り出した。
ジワーッと感じて、その後温かくなった。
「あら嫌だ、お腹が空いてないのに」と手に
今年の冬、時々右手の小指に冷えを感じるこ
お腹を当てて止めようとしているが、手技を
とがあったという。
行っている間、ずっと鳴り続けていた。
腰椎5/仙骨椎間関節の部位は、関元兪穴で
小腸に関係があるので、手の小指に響いたも
● 女性・75歳
のと思われる。
仙腸関節の手技を行って何も感じない
右側の腰が痛いということで右上の側臥位
● 男性・50歳代
で仙腸関節の手技を行った。
鼻の奥が渇く感じが、風府穴の離開法(後頭
「気持ちの良く感じる手技を言って下さい」
骨/環椎の離開法)で改善した
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はっきり風邪を引いたわけではないが、1週
り、腹鳴がしなくなって下腹部が温かくなっ
間程、鼻の奥が渇く感じがして気になるとい
た。
う。
患者さん背臥位で、右手中指を風府穴(後頭
● 女性・33 歳・風邪の治療
骨と環椎の中間に位置するツボ)にあてて頭
風邪を引く前に足のアキレス腱部がだるく
上方向に圧迫牽引し、後頭骨/環椎関節の離
なるという。その後、咽から風邪を引く。肺
開法を行った。
兪穴に硬結・圧痛があったので、胸椎3/4椎
30 秒間くらい持続的に行ったところ、鼻の
間関節に順滑り法を行うとアキレス腱部に
奥の渇いた感じが、冷たく湿っぽい感じに変
響き、さらに持続的に行うと咽がむず痒くな
わった。
って咳が出た。
● 男性・65歳
● 女性・50歳・販売員・ギックリ腰
後頭骨/環椎の離開法を行うと、腹が広がっ
昨日、ギックリ腰になったと言って、前かが
て腰が伸びて腰痛が改善した。
みの姿勢で来院した。腰を伸ばそうとしても
腰痛で仙腸関節と腰椎椎間関節の関節運動
できないという。
法を行い、最後に背臥位で後頭骨/環椎の離
痛みの強い左を上に横になってもらい、仙腸
開法を行うと、腹が広がる感じがしてとても
関節の治療手技を気持ちよさで判断しても
気持ち良く、腰も伸びてすっかり治った感じ
らうと、上部離開法と前屈上方滑り法であっ
がしたという。
た。
この2つの手技を気持ちよい響きがなくな
● 女性・50歳
るまで持続的に丁寧に行った。
腰椎4番の後方変位が、逆捻転でゴクと音が
終わってベッドから降りてもらうと、腰を伸
して改善される。
ばせなかったことを忘れて自然に立った。
左上側臥位で、この椎骨に逆捻転を行うと毎
本人も無意識にできたことに驚いていた。
回、決まって1回ゴクと音がして矯正される。
10 日後に 2 回目の治療を行ったが、1 回治
すぐにベッドから降りて立位体前屈を行う
療して日常生活ではほとんど痛みは起こら
と、全く違和感を感じることなく前屈ができ
なくなったそうである。
るようになる。
● 男性・60歳代
● 女性・60歳
頭の芯にファーと響きを感じる
右手関節の背屈痛で背屈と凸滑り法を行っ
治療の最後に背臥位で後頭骨/頚椎の離開
たら、下腹部の腸が動いて温かくなった
法を行うと、頭の中がファーと感じてとても
転びそうになって右手をついたら、その後、
気持ちよいという。
手関節を背屈したり手をつくと痛みが起こ
この手技は目の奥とか、額や頭の表面に響き
るようになった。
を感じる人は多いが、頭の芯に感じる人は少
右手関節の背屈と凸滑り法を行うとコキコ
ない。
キと関節が鳴る。
珍しい響きであった。
関節音がしなくなるまで手技を行ったら治
ると思い繰り返し行うと、下腹部の腸が動き
● 女性・48歳・介護ヘルパー
出した。さらに行うと手の関節音が小さくな
入浴介護などの仕事に従事しているので腰
19
に負担がかかり、慢性の左腰痛と肩凝り、右
● 男性・65歳
肘痛を訴える。
長い時間歩くと右足の親指の裏が痛くなる
背臥位で仙腸関節機能異常を検査すると、左
靴は、すごく足に合っている物を履いている
ファベル(股関節の屈曲・外転・外旋・伸展)
ので靴のせいではないという。
で腰痛が再現した。
腰の疲れからと判断して、仙腸関節の関節運
次に左上の側臥位になってもらい、気持ち良
動法を行い、次に腰椎の逆捻転を行うと右腰
さで仙腸関節の治療手技を検査すると前屈
椎5/仙骨の関節で痛気持ちよく感じた。
上方滑り法であった。
持続的に行うと右足の裏に響いたので、響き
この手技を持続的に3回行って、もう一度フ
が起こらなくなるまで行った。
ァベルの検査をすると腰痛は起こらなかっ
た。
● 女子高校生・17歳
立って中腰になっても腰痛は起こらなかっ
バスケットボール選手 左足首 の捻挫
た。
ジャンプして着地したとき、他の選手の足の
その後、腰痛のないときでも予防的にかかっ
上に乗ってしまい捻挫した。病院の治療を受
てくれるようになった。
けて踵を L 型ギブスで固定していて松葉杖を
ついている。
●胃痛 女性・33歳
包帯とギブスを取って患部を診ると、内踝の
右の背中が張るということで、右上側臥位で
周囲に痛みが起こり、底屈すると外踝の周囲
上腹部の胃の部位を圧迫しながら仙腸関節
に痛みが起こる。
の治療手技を調べると、前屈上方滑り法で不
また自覚的に下腿外側・胆経の筋肉に引きつ
快感が軽減した。
り感がある。
次に腰椎椎間関節の逆捻転で腰椎5番/仙
・治療
骨の逆捻転を行うと、すごく気持ちよさを感
① 仙腸関節の関節運動法
じて、胃の圧迫不快感がほとんどなくなった。
仙腸関節の主要な5つの手技を行って、気持
気持ちよさを感じなくなるまで行った。
ちよさで治療手技を判断すると、上部離開法
と前屈下方滑り法であった。
●
盲腸炎の疑い 女性・28歳
上部離開法を行いながら足関節を背屈・底屈
右下腹部にときどき鈍痛があり、圧迫すると
してもらうと、背屈での内踝の痛みが軽減し
不快感があるということで、病院で診てもら
た。
うと盲腸炎の疑いがあるとのこと。
前屈下方滑り法を行いながら足関節を背
右下腹部を手で圧迫してもらいながら、仙腸
屈・底屈してもらうと、底屈での内踝の痛み
関節の5種類の手技を行うと、後屈下方滑り
が軽減する。
法で最も不快感が軽減した。
この2つの手技を、捻挫の痛みが 50%ほど感
同時に腰部に気持ちよさを感じた。気持ちよ
じなくなるまで行った。
さを感じなくなるまで持続的に行うと、下腹
② 脊椎椎間関節の関節運動法
部を圧迫しても不快感はほとんど感じなく
肺腰部の脊柱起立筋を揉んで硬結・圧痛を調
なった。2週間後に治療にかかったとき症状
べると、第5腰椎部、第4腰椎部、第 10 胸
を聞くと、そのあと、鈍痛は起こっていない
椎部に反応があった。
とのことだった。
(筋の硬結のある部位の椎間関節は関節機
能異常がある)
20
この3つの椎間関節に逆捻転をテスト的に
次に脊柱起立筋を揉むと、肝兪穴に硬結・圧
行うと、伸びて気持ちが良いという。
痛があって、この部位の棘突起間を触診する
逆滑り法を行って逆捻転を行い、足関節を背
と詰まりがあった。
屈・底屈してもらうと、捻挫の痛みが軽減し
この椎間関節に逆滑り法・逆捻転、順滑り
た。
法・順捻転を行った。
逆捻転の気持ちよさが感じられなくなるま
・第9/10 脊椎椎間関節の逆捻転
で行った。
最後、全体的に腰椎5番から胸椎9番まで逆
・第5/仙骨椎間関節の逆捻転
捻転を行った。
③患部の関節運動法
左上の側臥位になってもらい右側とほぼ同
1)距腿関節の背屈・底屈と凸滑り法
様の手技を行った。
距腿関節の背屈・底屈と凸滑り法を行いなが
仙腸関節の治療が終わって間もなく、患者さ
ら、患者さんに更に背屈・底屈自動運動して
ん曰く「なんとも不思議な体験です。疲れや
もらって関節可動域を広げた。
だるさが雲散霧消のように、体から抜けてい
・距腿関節の背屈と凸滑り法
く感じがします。」ということだった。
・距腿関節の底屈と凸滑り法
脊椎椎間関節の手技を行っているときは、か
2)距骨・踵骨関節の凸滑り法
すかに眠っていた。
3)距骨・舟状骨関節の凹滑り法
ベッドから降りて背中の重だるさを調べて
距骨・舟状骨関節の凹滑り法を行いながら、
もらうと、背負っていた荷物を降ろしたよう
患者さんに更に内反・外反自動運動をしても
に、すごく軽いという。
らって関節可動域を広げた。
また、目がすごく明るく見えるようになった
距骨・舟状骨関節の凹滑り法と内反
とのことだった。
距骨・舟状骨関節の凹滑り法と外反
関節運動法を行って、いろいろ症状改善の症
・治療効果の確認
例があるが、今回は劇的に改善して患者さん
ベッドから降りて立って歩いてもらうと、左
も感動的に話してくれた承霊であった。
足に体重をかけない姿勢ではあったが、ゆっ
くりと歩くことができた。
● 女性・48 歳・主婦
L 型ギブスは必要ないので装着せず、左側だ
階段を降りるとき右膝の内側部が痛む
け松葉杖をついて帰った。
1 週間前から駅の階段を降りるとき、右膝が
痛むようになった。治療前の検査で、立位か
● 男性・32 歳・内装業
らしゃがんでもらう動作と、右上側臥位で右
背腰部が重だるい
ひざを曲げる自動運動をしてもらうと痛み
常日頃、腰と背中に何とも言えない重だるさ
が出た。
を感じるということで来院した。
仙腸関節の治療手技の選択は、5つの手技を
坐位で背腰部を指圧すると右側に圧痛が強
1つ行うたびに膝を曲げてもらうと、上部離
い。
開方と前屈上方滑り法で痛みが軽減した。
右上側臥位になってもらい、仙腸関節の診断
この 2 つの手技を 1 回約 10 秒間、持続的に
AKA を行うと、気持ちよく感じる手技は前
行った。復鳴が起こった。
屈上方滑り法であった。
4 回ずつ行って膝を曲げると、痛みは半分以
・前屈上方滑り法
下になっていた。
気持ち良さが感じなくなるまで3回行った。
次に脊椎椎間関節の逆捻転を腰椎 5 番から椎
21
骨1つずつ頭方に向かって行うと、椎間関節
● 男性・50 歳・営業
に硬さを感じたのは、腰椎5番と胸椎 12 番
足底の痛みが前屈上方滑り法で改善した
であった。
この患者さんは、月に1、2回、疲労回復の
この椎間関節に逆捻転を持続的に行ったと
ために全身按摩を希望される方である。
ころ、この手技でも腹鳴が起こった。
この時もいつものように治療して最後、足底
立って、しゃがんでもらうと痛みはなく、右
部を指圧すると左足底部に強い圧痛を訴え
足に体重をかけてもう一度しゃがんでもら
た。
っても痛みは起こらなかった。
そこで左上側臥位になってもらって仙腸関
節の主要な5つの手技を行うと、前屈上方滑
● 男性・44 歳
り法で足底部にジーンと響くという。
後頭骨/頚椎 1 番の離開方で腰が伸びる
この手技を3回行って足底を指圧すると、完
慢性腰痛で定期的に治療にかかっている患
全に圧痛が消えていた。患者さんも不思議が
者さん。
っていたが、筆者も驚くほどの治療効果であ
腰痛の関節運動法を行うようになってから、
った。
腰痛は 70%位改善して便通もよくなってい
る。
● 女性
78 歳・肥満
右鼠径部痛
治療の最後に背臥位で、後頭骨/頚椎 1 番の
長年、右膝に変形性膝関節症があったが、2
離開法を行うと、腰が伸びてすごく気持ちよ
ヶ月前から右鼠蹊部に痛みが起こり、寝てい
く感じて、この手技が 1 番、腰痛に効いてい
てもうずくほどになった。
るという。
右足大趾の内側部、爪の生え際に小さな湿疹
がある。
● 女性・26 歳・OL 腰痛
上部離開法と前屈上方滑り法で疼痛部位の
いつも腰痛で来院する患者さんである。
鼠径部から下肢内側部を下って大指内側の
鍼灸治療や他の手技療法では刺激が強いの
湿疹の部位まで、線を引くように響くという。
か、治療後にめまいを起こして倒れることが
中医学で鼠径部から大指内側部ラインは脾
ある。
経の経絡である。
今日は関節運動法だけを行うことにした。
2回から4回と治療を進めるに従って鼠径
腰痛の強い左を上に側臥位になってもらい、
部痛は少しずつ改善してきたが。湿疹は次第
仙腸関節の 5 つの手技を行って、
「気持ちよ
に大きくなった。
く感じる手技を言ってください」と説明する
6回の治療で鼠径部痛がほぼ治ったとき、湿
と、はっきり分からないという。
疹も同時に消えた。
そこで「感じがあるか、ないかで言ってくだ
さい」と言って、もう一度行うと上部離開法
●
と前屈上方滑り法で感じるという。
右肩鎖関節の前方滑り法で、右橈骨遠位部骨
この二つの手技を、感覚が起こらなくなるま
折による手根骨部ズレの部位が温かくなる
で行った。
骨折して6ヵ月経過し、骨折自体は治ってい
治療を終わった時点では腰がまだ重だるい
るが、手根骨が橈骨に対して橈骨側に変位し
ということだったが、次の日からすっかり良
て尺骨が出っ張って見える。自覚症状は手首
くなって「腰痛がないってこんなことだった
の橈屈が十分にできない、また、文字を書く
のかなー」と思ったとのこと。
とき尺骨が当たって痛いことである。
22
男性・29 歳
右肩鎖関節の前方滑り法を行うと手根骨に
開を約2分間行うと、腹痛がなくなると同時
ジワーッと響いた。
に急激に睡魔に襲われるという。
この手技を持続的に行って手根骨部に温か
そのままにして毛布を掛けて 15 分ほど眠っ
さを感じてから、橈骨手根関節の橈屈自動運
てもらい、次に腹臥位になり背腰部と下肢に
動を行ってもらうと、痛みが少なくて力を入
按摩を行って終了する。
れて行うことができた。
● 女性・35 歳
● 女性・20 歳
左胸椎3/4椎間関節の順捻転で、左足小指
後頭骨/環椎関節(風池穴)の離開法で、む
が温かくなった
くんでいた足がスーッとした
月2回ペースで治療にかかっている女性、生
仙腸関節と脊椎椎間関節の関節運動法を行
理2日目。
って、最後に背臥位で分界項線部の離開法を
生理中だが腹痛や腰痛はなく左肩が凝ると
行うと、これまでの手技では響きが起こらな
いう。
かったが、この手技でむくんでいた足にスー
左上側臥位で肩を揉むと、硬結・圧痛穴は左
ッと響きを感じたので、足首の背屈・底屈自
肺兪穴であった。
動運動を行ってもらって終了した。
肺兪穴の位置する胸椎3/4椎間関節の棘
更衣室に行きながら「足がとても軽いです」
突起間を触診すると詰まりと圧痛があった。
とのことだった。
順滑り法のあと順捻転を行うと、左足の第5
指にジーンと響いて、その後、血液が流れる
● 女性・62 歳
感じで温かくなった。
後頭骨・環椎(頚椎 1 番)
(風池穴)の離開
法で、肋骨骨折部に響いた
● 女性・40 歳
肝臓の弱り
主訴は慢性腰痛ということで、治療して最後
スナックのママさん。職業柄アルコールを飲
に背臥位で風池穴の離開法を行うと、左脇腹
むことが多くて肝臓の疲れがある。左上側臥
にズーンと感じるという。
位で左仙腸関節の前屈上方滑り法を行うと
そこは8年前に交通事故で肋骨を骨折した
足に響いた。
ところで、すっかり治っていたと思っていた
その部位を聞くと、左足背の第1趾と第2趾
のに不思議だという。
の間の肝経・行間穴であった。
関節運動法を行った関節から遠い部位に響
このツボに母指持続圧を行うと、ジワーッと
くというのは、気の巡りの悪い部位に気が巡
した感じが左上腹部(肝臓の部位と思われ
って治る反応であると考えられる。
る)から左目の奥に響いた。
響きが起こらなくなるまで持続的に行うと、
この響きのルートは中医学の肝経の経路流
その後、その部位は血液循環が良くなって温
注である。
かくなることが多い。
そこで肝兪穴の位置する胸椎9/10 椎間関節
の棘突起とその上下を触診すると、一つ上の
● 女性・30 歳未婚 生理痛
胸椎8/9椎間関節の棘突起間に詰まりと圧
定期的にかかっているこの患者さんは、上部
痛があった。
離開法を行うと腹痛がなくなって眠ってし
この椎間関節に逆滑り法と逆捻転を行うと
まう。
左上腹部に鈍痛的な感じで響いた。
左側仙腸関節の手技で反応が強く、左上部離
肝臓の弱りがあるために、その改善効果とし
23
て響きが起こったものと思われる。
● 女性・59 歳 風池穴離開法で心臓がドキ
ドキする
● 女性・32 歳
すべて心の弱りであった
軽い不整脈のある患者さん。
左側に少し腰痛があるということで左上側
最後に後頭骨/環椎(頚椎 1 番)の離開法を
臥位になってもらい、仙腸関節の治療手技の
行うと、心臓がドキドキして不安に感じた。
選択を行うと、気持ち良く感じる手技では前
心臓の弱りを改善する反応ではあったが、刺
屈上方滑り法であった。
激が強すぎたと思われる。
この手技を持続的に行っていると胸に圧迫
感が起こった。
● 女性・60 代
白内障
その部位を聞くと第5肋骨付着部の心臓の
白内障が進んでいる。特に左目の視力が低下
あたりである。
している。背臥位で後頭骨/環椎関節(風池
「心臓が動悸するとか、何か症状はありませ
穴)の離開法を左右同時に行うと、左目だけ
んか」と聞くと何もないという。
に涙が出てきた。
背部の肩甲間部の棘突起間を注意深く触診
すると胸椎5/6棘突起間に詰まりと圧痛
● 女性・45 歳
歯の治療中
があり、横の筋にも硬結があった。ツボは心
右上の奥歯を治療中である。背臥位で右第2
兪穴である。
頚椎棘突起と左第3頚椎棘突起を圧迫して、
この部位に逆滑り法・逆捻転と順滑り法・順
頚椎2/3椎間関節の滑り法を行うと、右手
捻転を行うと、やはり胸に圧迫感が起こった。
の第1指と第2指の関節部(ツボでは合谷
いろいろ聞くと、いつも手足が冷たいという。
穴)にジーンという感じで響きが起った。
さらに「恥ずかしいので言わなかったけど、
右上の奥歯には、特別響きはなかった。しか
数ヶ月前から舌が変なんです」と打ち明ける。
し治癒が早まると考えられる。
舌を出してもらうと真ん中から奥にかけて
舌の皮がむけていた。
● 女性・72 歳
手足が冷たいこと、舌の病的な症状、心兪穴
若い時に、肺結核を患った。今はX線で影が
の凝り、胸椎5/6棘突起間のつまり、すべ
あるだけで活動はしていない
て心の弱りである。
側臥位で肩甲上腕関節の外転と凸滑り法を
睡眠不足にならないこと、ストレスをためこ
行うと、肺に空気が入る感じがして気持ち良
まないこと、疲れたときにコーヒーを飲まな
いという。
いことなどをアドバイスして、継続治療を勧
● 女性・65 歳
めた。
右外反母趾痛
右上側臥位で仙腸関節の治療手技を調べる
● 女性・70 歳
糖尿病で左足指にシビレ
と、前屈上方滑り法が最も気持ちよく感じた。
インスリンは使っていない。 左仙腸関節の
脊椎椎間関節の機能異常は、胸椎 11/12 番
治療手技を気持ち良さで選択すると前屈下
と9/10 番椎間関節にあった。この関節に逆
方滑り法であった。この手技を持続的に行う
捻転を行うと大腿内側に響いた。
と左足のシビレる部分に響いて温かくなっ
外反母趾に対しては第1中足骨・基節骨関節
た。
の内反と凹滑り法を行いながら、屈曲・伸展
と凹滑り法を行った。
最後に背臥位で、後頭骨・頸椎1番の離開法
24
を行うと、外反母趾の骨の出っ張り部の疼痛
部位に響いた。
25