【発表要旨】 *常思佳 「川端康成と関東大震災」 *森本穫 「川端康成

【発表要旨】
*常思佳
「川端康成と関東大震災」
関東大震災の直後に、川端康成は今東光・芥川龍之介とともに、被災地を歩き、災害の惨状を目の当たりにし
た。それ以降、震災に関連する随筆「大火見物」
(
『文芸春秋』大正十二年十一月号)
、小説「空に動く灯」
(
『我観』
大正十三年五月号)
、
「浅草紅団」
(
『東京朝日新聞』昭和四年十二月十二日~昭和五年二月十六日)などを発表し
た。
本発表では、浅草十二階の倒壊をはじめとした震災の痕跡や帝都の大規模な再建を通じて顕在化するモダン都
市の形態美に触れつつ、さらに、
「地震の娘」弓子・
「塔の花嫁」春子(
「浅草紅団」
)を手がかりに、都市・女性
をどのように川端は表象したのか、関東大震災後(大正末~昭和初頭)の時代状況を補助線として考察を試みた
い。
*森本穫
「川端康成〈魔界〉の終焉―「不死」
「雪」から「隅田川」まで―」
昭和38年、
「片腕」とほぼ同時期に書かれた掌編「不死」
「雪」から、
「たんぽぽ」
「隅田川」を経て自裁に到
る、康成最晩年の内面の軌跡を追ってみたい。
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