プレイズ&ワーシップ 第1回 「賛美の目的とプレイズ&ワーシップ」 東京

プレイズ&ワーシップ 第1回
「賛美の目的とプレイズ&ワーシップ」
東京メトロチャーチ牧師
林
幸司
私たちは、毎週日曜日の礼拝やいろいろな集会の時に賛美を歌います。それは、説教を
待つためではありません。私たちは、礼拝にあたって、神様への捧げ物として賛美を捧げ
るのです。私たちが主に向かって賛美を捧げる時、主は私たちを臨在の中へと導いてくだ
さいます。そのような中で、御言葉が語られる時、私たちはより深く御言葉を理解し、主
の言葉として受け取ることができるようになります。
<聖書は、賛美を用いて神様の臨在に入るように勧めている>
「感謝しつつ、主の門に、賛美しつつ、その大庭に、はいれ。主に感謝し、御名をほめた
たえよ」詩篇 100 篇4節)
主は、私たちを臨在の中に招いておられます。そこに至るにあたって、賛美をもって近
づくように勧められています。ちょうど、私たちが高貴な人に会う場合、その手続きを踏
み、それ相応の格好で出かけるように、神様の臨在の中に入るためには、賛美をもって近
づくのです。
「ラッパを吹き鳴らす者、歌うたいたちが、まるでひとりででもあるかのように一致して
歌声を響かせ、主を賛美し、ほめたたえた。 ……そのとき、その宮、すなわち主の宮は雲
で満ちた」(II 歴代誌5章 13 節)
ソロモンが建てた神殿の献堂式で、歌うたいのレビ人たちが賛美を捧げた時、祭司たち
はそこに立って仕えることができないほどの主の栄光を感じたのです。賛美は、そのよう
な主の臨在を経験する道筋であると言えるでしょう。もちろん、主はいつも共にいてくだ
さいますが、賛美を通して私たちの心が主に向かって開かれ、深い交わりの中へと導かれ
ていきます。
私の近隣の教会から、ある姉妹がピアノの奏楽を習うために、私の家に通っています。
ある時、賛美を通して主の臨在に入ることを体験するため、私と家内とその姉妹とその友
人の四人で賛美の時を持ちました。聖霊が豊かに働かれて、その姉妹はすばらしい満たし
を体験しました。それ以来、彼女のピアノ演奏の音が変わりました。彼女は、主が彼女を
賛美の器として選んでくださっていることを自覚して、大胆に喜びをもって奉仕すること
ができるようになったのです。
私たちが主の臨在を体験することは、すばらしい結果を生み出します。主の臨在の中で、
私たちに対する主の愛と御心を知り、心と体のいやしと解放、慰めを受け、御霊によって
燃やされて、力強いクリスチャン生活を歩むようになるのです。
<なぜ、プレイズ&ワーシップが歌われているのか>
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今日、特にプレイズ&ワーシップと言われる種類の賛美が、日本の教会の中に急速に広
まっています。プレイズ&ワーシップを通して、霊的な解放、一致が与えられています。
ではなぜ、私たちはプレイズ&ワーシップを使って主を賛美するのでしょうか。
一、水平方向の賛美と垂直方向の賛美
水平方向の賛美と垂直方向の賛美との区別は、歌詞によってなされます。水平方向の賛
美は、伝道、証しなどがその内容で、人々に対して歌うことを目的としています。垂直方
向の賛美は、私たちから神様に向かっての歌です。
プレイズ&ワーシップと言われる曲の中の多くは、この垂直方向の賛美だと言えます。
現在、礼拝の中でこのような音楽が用いられている理由の一つがここにあります。私たち
の神様への信仰の告白、愛の告白、より直接的に神様をほめたたえる歌詞がプレイズ&ワ
ーシップの曲の中に込められているので、私たちはストレートに神様を賛美することがで
きるのです。水平、垂直双方の賛美が教会にとって大切です。そのTPOを考えながら用
いる時、それらの曲を効果的に用いることができるようになるのです。
二、平易な言葉と現代的な音楽スタイル
プレイズ&ワーシップの歌詞は、現代的な言葉です。誰でも簡単に理解することができ
ます。また、短い歌詞なので、簡単に覚えることができます。
また、プレイズ&ワーシップは、現代的な音楽スタイルを持っています。音楽のジャン
ルで言うなら、ポピュラー音楽的な曲が多いでしょう。
神様を賛美する音楽のスタイルにおいて、クリスチャンの中にもさまざまな好みがある
でしょう。お互いを受け入れ合って、いろいろなスタイルで一致して神様を賛美できれば、
本当にすばらしいと思います。
<賛美を捧げることは犠牲を伴う>
賛美を捧げることは、私たちの感情の変化に左右されません。なぜなら、聖書が「賛美
はいけにえである」と教えているからです。
「ですから、私たちはキリストを通して、賛美
のいけにえ、すなわち御名をたたえるくちびるの果実を、神に絶えずささげようではあり
ませんか」(ヘブル 13 章 15 節)。
旧約聖書においては、神様を礼拝する時には、神様へのいけにえとして、何らかの捧げ
物を持って行きました。そのために、人々は犠牲を払いました。しかし、新約時代の教会
は、主イエス・キリストが、ただ一度だけ永遠に有効ななだめの供え物として十字架にか
かってくださったことによって、そのような捧げ物の必要がなくなりました。
今は、「賛美のいけにえ」を捧げるように勧められています。そのためには、犠牲が伴い
ます。賛美を捧げることなどとてもできないと感じる時、私たちの感情を犠牲にしてでも、
神様に賛美を捧げるべきなのです。なぜなら、私たちの状況にかかわらず、主はすばらし
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いお方であり、私たちを変わらず愛していてくださり、私たちとの交わりを求めておられ
るからです。私たちが賛美のいけにえを捧げる時、主はそのいけにえをとても喜んでくだ
さいます。そして、難しい状況の中でも、私たちを支え励ましてくださるのです。
教会の礼拝に限らず、私たちは日々の生活の中で賛美のいけにえを捧げましょう。そう
するなら、いつも主の臨在を感じながら生活することができるでしょう。
次回は、教会の礼拝において、効果的に賛美が捧げられるための、奉仕者の役割につい
て扱いたいと思います。
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プレイズ&ワーシップ 第2回
「ワーシップチームにおける牧師の役割」
東京メトロチャーチ牧師
林
幸司
<ワーシップチームについて>
今回は、教会での賛美、プレイズ&ワーシップについての実践面に触れたいと思います。
多くの教会の礼拝で、プレイズ&ワーシップ・ソングが導入され、神様を礼拝しています
が、その時に起こってくるさまざまな問題があります。その中で、どの教会にも共通する
と思われる問題の一つに、不一致が考えられます。具体的な状況を考えてみましょう。
[ある日曜日の礼拝で]
司会者が講壇に立って、礼拝を始めます。一曲目は新曲で、この教会では初めて歌う賛
美です。司会者は、先日の超教派の集会に参加して、この賛美でとても恵まれたので、ぜ
ひみんなにも分かち合いたかったのです。ピアニストには前もって楽譜を渡しておき、礼
拝の少し前に一緒に歌ってみました。司会者は、あの集会での感動が、この朝の礼拝でも
再現されるものと思っていました。しかし実際には、その感動からはほど遠い状況になっ
たのです。
その曲を賛美する中で、ピアニストとの間に何か不穏な空気が漂ってきました。司会者
はちらちらとピアニストの方を見ています。ピアニストも少しむっとした顔をして、司会
者を見返しています。「リズムが違う!」と司会者は感じています 。「楽譜と違うメロディ
ーで歌っている!」とピアニストは思います。会衆は、司会者とピアニストの間に起こっ
ている緊張を感じながらも、必死で新しい曲についていこうとしています。でも、PA(音
響設備)がうまくいっていないので、司会者の声を聞き取ることができず、いったいこれ
がどんな曲なのかさえもわからないでいます。
司会者の顔は焦りによって引きつっていきます。次の曲に移る頃には、すっかり失望し
ています。動揺しているので、次の曲の最初の音を取ることに失敗してしまいました。ピ
アニストは、そんなことにはお構いなく曲を弾いていきます。会衆は、どうしたらよいの
かわからない様子で、司会者を見つめています。
牧師先生の説教が始まりました。霊的な雰囲気が重いので、説教するのも大変です。壁
に向かって話しているようで、反応が返ってきません。そして今日も、礼拝は終わってし
まいました。この教会の礼拝は毎週、これと同じような雰囲気で、決して主の臨在の中に
入ることができないでいるのでした。
ここまでひどくないとしても、このようなことはある程度起こりうることではないでし
ょうか。ここではいったい何が起こっているのでしょう。司会者の技術やピアニストの頑
固さ、あるいはPAの機材や牧師の司会者の人選に問題があるのでしょうか。最も根本的
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な問題は、「不一致」なのです。司会者、奏楽者、牧師、PA、OHP、会衆が一致してい
ない中で、主は臨在されません。そこに主との本当の交わりは起こりえないのです。
この問題を解決する鍵は、
「ワーシップチーム」の考え方です。お互いが理解し合い、愛
し合い、励まし合い、協力して神様を礼拝するのです。その時に、聖霊様の麗しい臨在の
あふれる礼拝を持つことができます。このチームの中で、一番重要な鍵を握っている牧師
の役割についてお話しします。
<牧師の役割>
一、牧師はワーシップチームにビジョンと動機を与える人
牧師は、礼拝賛美の奉仕の鍵を握っています。しかし、牧師は礼拝の音楽においては、
門外漢であるかのように思われていることがあります。牧師が楽器を演奏することができ
ないとか、新しい賛美について理解がないとかいったことがその主な理由です。
牧師は、礼拝がどのような方向性を持つのかについて、ビジョンを持っているでしょう。
それをワーシップチームのメンバーに伝える役目があります。チームの一人であるにもか
かわらず、礼拝に対する牧師のビジョンを知らないとすれば、効果的な奉仕をすることが
できないのは当然のことです。
二、牧師は礼拝者の模範を示す人
「神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません」
(ヨ
ハネ4章24節)
牧師は、この分野において、効果的に人々を動かすことができます。牧師は真の礼拝者
になることについて説教できますが、牧師自身が模範的な礼拝者であれば、より大きな影
響力を持つでしよう。牧師が霊的な礼拝者の模範であれば、人々は同じように霊的な礼拝
者になっていくのです。
牧師が講壇の上に立っている時、会衆は牧師をよく見ています。司会者が「手を上げて
賛美しましょう」と言う時、牧師が一番先に手を上げるべきでしょう。賛美を大きな声で
歌うべきです。会衆をコントロールするためではなく、主の前に一人のクリスチャンとし
て心からの礼拝を捧げている姿を会衆が見る時、会衆もその牧師のように礼拝したいと思
うようになるでしょう。
ダビデは、イスラエルの牧者として礼拝の良い模範を示しました(II サムエル6章12
-23節)。彼は人々の目を気にしないで、主に向かって力一杯の賛美を捧げたのです。そ
んなダビデを主は愛され、人々は尊敬したのです。
三、牧師は司会者を養成する人
これは、やはり牧師の責任です。神様の導きによって、賜物を持った人を任命し、養成
して礼拝の司会者として用いるようにします。あるいは、司会者とワーシップリーダーを
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別に立てることも一つの方法です。
司会者の養成のために、いろいろな集会に出て司会者のアイデアを取り入れたり、ミュ
ージックセミナーに参加したり、司会者養成のための資料を集めるとよいでしょう。大切
なことは、その教会の礼拝のスタイルに合った養成をすることです。また、ワーシップチ
ームの中に、新しい司会者を育てようという温かい雰囲気を作り出すことが大切です。こ
こでも、チームで協力し合うことによって、より大きな効果を上げることができるのです。
次回は、司会者とワーシップリーダーの役割についてお話しします。
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プレイズ&ワーシップ 第3回
「ワーシップリーダーについて 1」
東京メトロチャーチ牧師
林
幸司
今回は、ワーシップチームの中のワーシップリーダーについて触れたいと思います。ワ
ーシップリーダーとは、礼拝や各種の集会で「会衆の賛美を導く人」です。家庭集会や小
さな集会では、ワーシップリーダーは必要ないこともありますが、礼拝やある程度大きな
集会ではワーシップリーダーが必要となります。それは、ワーシップリーダーを立てるこ
とによって、会衆の賛美が引き上げられ、主の臨在の中に入ることができるようになるた
めです。司会者とは、「集会全体を導く人」です。司会者がワーシップリーダーを兼ねる場
合がほとんどだと思いますが、今回は特にワーシップリーダー(以下リーダー)の役割に
限定してお話ししたいと思います。
<ワーシップリーダーは訓練と学びを受ける必要がある>
このことに驚かれる方がいるかもしれません。リーダーはとても重要な役割を担ってい
ます。彼らの奉仕は、会衆が主の臨在に入れるかどうかを左右するからです。
リーダーというのは、その教会の礼拝や集会の伝統を引き継いでいけばいいという考え
方があります。しかし、礼拝や集会の賛美の部分が、主の臨在に入るためであると認識す
るなら、この考え方は変えざるをえなくなるでしょう。役員などの立場であれば、誰でも
できるという奉仕ではなくなってきます。牧師が伝道牧会のために、聖書学校や神学校な
どで訓練を受けなければならないとすれば、リーダーも学びと訓練を受ける必要があるの
です。それによって、教会全体が益を受けることになります。なぜなら、会衆が主の臨在
を体験し始める時、教会は大きく変わることになるからです。
「彼らおよび主にささげる歌の訓練を受けた彼らの同族--彼らはみな達人であった。
--の人数は二百八十八人であった」(I歴代誌25章7節)とあるように、賛美の奉仕者
として、リーダーは訓練を受けるべきなのです。しかし、そのような機会はまだとても少
ないと思います。自分の所属する教会の牧師による訓練を受けることはもちろんですが、
ミュージックセミナーなどの機会を利用すべきです。ミュージックセミナーでは、使命感
を持って熱心に学んでいるリーダーたちと出会うことができるでしょう。同じ悩み、問題
意識を分かち合いながら、賛美の奉仕者として互いに励まし合い、学ぶことができるので
す。
<ワーシップリーダーの召し>
リーダーになるためには、主からの召しが必要です。それは、 ”音楽的に素質がある”
とか、”人前に立つことが好きだ”ということとは違います。「神の賜物と召命とは変わる
ことがありません」(ローマ11章29節)と聖書は語っています。
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主は私たちが救いにあずかるように召してくださいました。また、いろいろな奉仕のた
めに召してくださり、賜物を与えてくださっています。ある人々は、リーダーとして立つ
ことに対して重荷を感じています。その人は、賛美することや賛美をリードをすることが
好きですし、そのためには学んだり訓練を受けたりすることを喜んでしたいと考えます。
そのような人は、リーダーとして召されている可能性があります。またそうでなくても、
学びと訓練を受けているうちに、召しに気づくということもあるでしょう。
いずれにしても、牧師の指導と励ましを受けながら、召しを確認し、優れたワーシップ
リーダーとなれるよう、主に従いましょう。
<ワーシップリーダーの働き--支配するのではなく、影響を与える人>
リーダーの奉仕をしていると、会衆に礼拝を強要したくなってしまうことがあります。
一生懸命準備をして礼拝に臨むのですが、会衆がなかなか反応しない時など、特にそうい
う誘惑を感じます。しかしリーダーの働きは、 ”会衆を支配する”のではなく、”影響を
与える”ことです。つまり、会衆が共に主を賛美し、礼拝したいという気持ちになるよう
に導くのです。そのためには、やはりリードしている本人がまず、主を礼拝していなけれ
ばなりません。
以前、アメリカでのワーシップセミナーに参加した時、ギャリー・オリバーという方の
話を聞きました。彼は、
「セレブレイト・ジーザス」などを作曲した人であると同時に、優
れたワーシップリーダーでもあります。
ある日、彼は何千人規模の大教会に招かれた時のことを話してくれました。彼はそこで、
賛美のリードを始めたのですが、会衆の雰囲気は沈んでいました。彼はリードしながら聖
霊様に、「なぜ、彼らはこんなに沈んでいるのですか」と尋ねました。聖霊様は、それはそ
の教会に、最近大きな問題があったためであることを教えてくださいました。そこで、彼
は聖霊様の勧めに従って、いつも家でやっているように、主を礼拝し始めました。彼はピ
アノの所に行き、会衆に背を向けて一人で賛美し始めました。十五分ほど主を礼拝したあ
と、会衆の方を振り向くと、全員が手を上げ、涙を流して主を賛美していたということで
す。彼は、ワーシップリーダーとして立つ前に、礼拝者として立つことによって、会衆に
影響を及ぼし、主を札拝する方向へと導いたのです。
リーダーが講壇に立つ時、主を礼拝することではなく、リードの仕方や人々の反応、奏
楽者の演奏などで頭がいっぱいになることがあります。しかし、リーダーが主ご自身に焦
点を当てて主を賛美し、礼拝する時、会衆も共に主を礼拝して、主との深い交わりに入っ
ていくことができるのです。
そのためには、リーダーは普段の生活の中で、主を礼拝する習慣を身に着けておくこと
が必要です。奉仕の時にだけ、突然礼拝者になることはできないからです。講壇に立って、
リーダーを演じることはできても、良い奉仕をすることはできません。それは、その人の
あり方そのものと関わっていると言うことができるでしょう。もし、主を愛し、主を礼拝
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することを喜びとしているなら、その生き方が人々に影響を及ぼすのです。
次回は、ワーシップリーダーの技術面についてお話しします。
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プレイズ&ワーシップ 第4回
「ワーシップリーダーについて 2」
東京メトロチャーチ牧師
林
幸司
今回は、ワーシップリーダーの技術面について、準備段階から実際の集会までの流れを
追って説明します。
一、選曲
選曲の際には、音楽的な要素を考えに入れながら選びます。ワーシップリーダーには、
最低限の音楽的能力が必要です。音感、リズム感、コードとスケールについてのある程度
の理解(楽譜を見て、それが何調かわかるなど)、そして歌う能力です。
これらは、勉強と訓練である程度身に着くものですから、音楽恐怖症の方もぜひ挑戦し
てみてください。その学びの際に、奏楽者に手伝ってもらうといいと思います。わからな
いことを奏楽者に尋ねて、教えてもらうのです。奏楽者と音楽的なことについて話す機会
を持つことによって、お互いに相手に対する配慮が生まれてきます。お互いの状態を理解
することによって、一致が生まれ、助け合いが始まります。間違っても、裁き合いになら
ないようにしてください。
プレイズ&ワーシップでは、特に音楽的な流れを大切にします。従来の賛美のように、
一曲歌うごとに司会者が何かを話し、祈りや聖書朗読をはさんで次の曲を歌うという形で
はなく、ある程度まとまった時間を取り、続けて数曲の賛美を歌う形を取っています。数
曲を続けて途切れなく歌うことによって、会衆が主に心を向け、臨在に入るように導くの
です。一概には言えませんが、少なくとも三、四曲のプレイズ&ワーシップを歌う時間を
確保しなければ、その効果を生み出すことは難しいでしょう。
曲を続けて歌うためには、同じ調(ト長調やイ短調など)の曲を並べる方法が基本にな
ります。しかし、ただト長調の曲を四曲並べれば、効果が出るというわけではありません。
その他にも、曲のテンポ、リズム、歌詞の内容をうまく組み合わせる必要があります。そ
のためには、一つ一つの賛美の曲を理解する必要があります。
例えば、「イエスは全地の主」(ミクタムプレイズ&ワーシップ一 ○三番)という曲を例
にとってみましょう。この曲は、キーはG(ト長調)で、テンポは速め、リズムはエイト
ビート系、歌詞の内容はイエス・キリストを賛美する内客、聖句は使徒の働き一 ○章三六
節……ということになります。
プレイズ&ワーシップでは、速い曲からゆっくりの曲へと移行していくのが一般的です。
四曲歌う場合には、テンポの速い曲 →中くらいの曲→中くらいの曲(あるいはゆっくり)
→ゆっくりの曲という具合です。主の御名をたたえる賛美から、私たちの心を注ぎ出して
主と交わる賛美へと移行していきます。最後の曲のあと、みんなで祈る時間を持つと、会
衆一人一人が主との交わりを持つことができます。その際に、音楽的な流れを保つために、
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祈りの背後で奏楽をしてもらいます。もっと臨在が深まってくると、沈黙の中で主と交わ
るということもあります。
曲と曲との間で、何かを話すこともありますが、その場合にも背後で奏楽を続けてもら
い、会衆の心をさらに主に向けさせるように努めなければなりません。会衆が一致して主
の臨在に入るように招きます。その際、その人らしく、白然に話すことが重要です。
テーマを決めて選曲することもいいと思います。しかし、あまりテーマにこだわりすぎ
ると、音楽的に無理が生じることもあるので、バランスを考えましょう。
二、打ち合わせ・リハーサル
祈りのうちに選曲をしたら、リハーサルの時を持ちます。実際に曲を歌い、チームで礼
拝の時を持つことができればすばらしいと思います。頭の中で選曲しても、実際に歌って
みるとうまくいかないことがあります。もしそうであれば選曲を変えることもありえます。
リハーサルの時には、ワーシップリーダーの心をチームの人たちと分かち合うことが大
切です。なぜこの選曲なのか、また今回の礼拝ではどの方向に全衆を導きたいと思ってい
るのかという集会のゴールを設定して、チームで一致して会衆を導くように励まします。
そして、共に祈る時を持ちましょう。
賛美をしていく中で、重要なのはハンドサインです。もう一度くり返す、コーラス部分
をくり返す、次の曲に行く、転調する、祈りの時を持つなど、いろいろなサインを決めま
す。それは、会衆に対してではなく、奏楽、OHPなどのチームの人たちのためのもので、
会衆には言葉でリードします。コーラス部分をくり返したければ、その歌詞を前もって言
うのです。
曲と曲のつなぎ目では、待に神経を使います。速い曲から少しゆっくりな曲へと移るな
ら、必ずテンポを落とさなければなりません。その際、適正なテンポを示す必要がありま
す。そうでないと速すぎたり、間延びしたりして、うまくリードすることができません。
同じ曲でも、楽器の編成によって適正なテンポは変わってくることがあります。ドラム
やベースといったリズム楽器がある場合には、CDなどで聴くテンポで歌えますが、ピア
ノだけの奏楽の場合は、違ったテンポにする必要が生じたりします。新曲を歌う時、
「こん
な曲ではなかったはず」と感じる原因の一つがここにあります。プレイズ&ワーシップソ
ングの多くが、バンドで奏楽をするのに通しているからです。この点も、チームと相談し
て決めていきましょう。
三、集会
ここまで準備ができていれば、あとは「礼拝者」として、大胆にリードすればいいので
す。主が会衆の一人一人に触れてくださることを信じましょう。音楽的な流れと、霊的な
流れを敏感に感じ取りながら、曲のくり返しや次の曲への移行、祈り、語りなどのタイミ
ングの判断を下していきます。そうして、主の臨在の中に入っていきます。「祭司たちは、
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その雲にさえぎられ、そこに立って仕えることができなかった。主の栄光が神の宮に満ち
たからである」(II 歴代誌5章 14 節)
集会が終わった時には、チームの一人一人に感謝の言葉をかけることが大切です。そう
するなら、チームの人たちはリーダーをもっと応援したいと思うようになるでしょう。す
ぐれたワーシップリーダーになれるよう、努力していきましょう。
次回は奏楽者についてお話しします。
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