認知症のステージによる“認知症の人の受診のための連携シート© ” 活用法

大阪市認知症対策連携強化事業
認知症のステージ
●
認知症のステージによる“認知症の人の受診のための連携シートⒸ”活用法
M C I
物忘れ.80 代. 男性.老夫婦世帯. 高血圧.糖尿病
軽
●
度
中
等
AD. 80 代. 女性. 独居. 物忘れへの不安強い
重
度
●
度
急激な BPSD 出現. 80 代. 男性.老夫婦世帯
キーワード;複数の通院先による多重処方
キーワード;不要なプロバイダー契約
キーワード;BPSD.精神科医療機関との連携
(概要)
(概要)
(概要)
数年前から物忘れあり。本人も自覚。
複数通院による多重処方、薬の飲み忘れ、かかりつけ医が妻
に生活指導行うが血圧・血糖のコントロール不良。
記憶障害進行、ケアマネジャーはかかりつけ医に相談。
物忘れへの不安強く、経過観察。
ケアマネジャーがパソコンのない自宅でプロバイダー契約書
を発見。
妻が脳梗塞で入院中に認知症症状が出現。
2ヵ月後、暴言・フォークを振り回すような暴力がみられる
ようになる。通院歴はなし。
医療との連携ポイント
1 老夫婦世帯の状況を把握し、かかりつけ医に物忘れからくる生
活の困難さを具体的に伝える
2 処方の一本化
3 かかりつけ医と専門医との連携(両者に連携シートを情報提供)
医療との連携ポイント
1 本人の権利擁護のために鑑別診断が必要なこと、権利侵害を受
けやすい現状をかかりつけ医に伝える
2 診断後、あんしんさぽーと契約を検討
連携シートの活用法
医療との連携ポイント
1 本人の症状から他害性が高く、専門治療が先決
2 医療判断に必要な本人の病状を的確に伝える
3 治療に必要な、経済状況の把握
連携シート活用法
連携シート活用法
[2認知症の経過]の症状の急激な進行に✓
し、
「その他具体的」に具体的症状を記入
[1受診目的]の鑑別診断にチェック
[4 既往歴]項目を参考に[6特記事項]に複
数通院先と投薬内容、服薬状況を記載し(※複
数の場合)、かかりつけ医への情報提供
妻は要介護 1 で理解力も乏しく本人介護は難しい
[5生活状況]キーパーソンの理解力・判断力が乏しい状況を記入
●
[2認知症の経過]症状について
「その他具体的」に不要な契約
をした経過を記入
(概要)
2年前から物忘れ、意欲低下。長年の知人が異変に気づく。
株の先物取引により資産を損失したが、契約したことを忘
れている。近隣からの嫌がらせを訴え転居2回。
医療との連携ポイント
1 認知症相談が可能な医療機関リスト*を参照。
「かかりつけ医」
を見つける
2 医師に生活障害等の情報提供を行い、今後の成年後見制度の
活用を検討する
連携シート活用法
[6 その他]に別紙:自由記載欄に記入ポイントを書き、[別紙:自由記載
欄]に、記憶障害による「生活の困難さ」の様子を簡潔に記入
・本人は、契約内容を理解しておらず、消費者センターにも相談した
が、認知症診断されていないため、本人にも過失があるとの見解で少
ない貯金から損失を支払った。
・近隣の人が植木鉢を隠したり、悪口を言うなどの嫌がらせを受けた
と訴え、2 回転居している。
5万円
[5生活状況]の経済状況に記入
不足分は、長男
が支援可能
訪問営業者に言われるまま契約を交わしているが、書類を見ても覚えがな
い。日頃より誰彼かまわずお茶をふるまい歓迎している様子あり。
.
●
被害妄想?. 70 代前半.かかりつけ医がいない.
キーワード;覚えのない契約と身寄りのない女性
自宅前で暴言を吐きながらフォークを振り回し、妻や関係者を攻
撃する行為あり、関係者も手がつけられない状況。
「別紙:自由記載欄」記入ポイント
キーワード;無収入の男性との再婚による生活困窮
(概要)
認知症の本人・家族が医師に正確に伝えられな
い場合、次の①~⑤を参考に記入しましょう。
① 毎日の食事・服薬・排泄状況
② 介護家族の状況
③ 複数の医療機関に受診している場合、検査デ
要介護3。本人は遺族年金受給中止となることを理解せず婚
姻届提出。無収入となり急速に生活困窮に陥る。介護保険サ
ービス利用料未払いにより、サービス提供が困難。
ータ、処方薬の情報を記入(もしくはお薬手
帳を持参)
④ 今回の症状が日常生活にどのように影響し
ているのか、生活の困難さを具体的に記入
⑤ サービス担当者会議や地域ケア会議・権利擁
護相談(大阪市社会福祉研修・情報センター)
など、複数でケース検討した参加者・内容を
簡潔に記入
医療との連携ポイント
1 かかりつけ医と専門医に生活障害等、情報提供
(両者に連携シートを情報提供)
2 権利擁護ケースとして医師に弁護士の見解を伝える。
連携シート活用法
婚姻届の意味を理解しな
いまま届出を提出している。
[2認知症の経過]に該当
項目がない場合は、
「その
他具体的」に記入
[別紙自由記載欄]地
○月×日 地域ケア会議
域ケア会議や弁護士
(行政・サービス関係者・民生委員・包括) 等による権利擁護相
○月△日 権利擁護相談
談結果を簡潔に記入
(弁護士・社会福祉士・ケアマネ・包括)
*大阪市内の医師会数か所で作成、一部医師会ホームページでアップ
編集・発行;社会福祉法人 大阪市社会福祉協議会 認知症地域支援推進員(認知症連携担当℡06-6765-5606)
《本人の権利擁護のために受診を必要とする場合》
《かかりつけ医から家族に必要な生活上の助言の場合》
《家族の理解不足から支援につなげられない場合》
《本人のBPSDにより自傷他害がみられている場合》
“本人の判断能力が不十分”な様子を具体的に伝え、その
状態が認知症によるものか、☑鑑別診断、☑成年後見制
度の活用(鑑定診断など)につなげていくことが大切です。
家族が“薬による影響の不安や過剰な期待から、本人への
対応に混乱がある”、“治療の理解がされず、服薬ができて
いない”場合、☑生活上の助言を受けることが大切です。
認知症の診断をしているものの、家族が本人の症状が認知
症によるものと理解していない場合、☑病気の説明、☑予
後の説明に✓し、かかりつけ医に伝える必要があります。
自傷他害がある場合は、本人が心身ともに落ちつくよう早
期受診し、適切な医療につながるよう支援が必要です。
記入例:☑その他(興奮が強く自傷他害がみられる)
アルツハイマー型認知症を診断された方の連携シート記入例
《裏面:生活・介護情報》
《表面:医療情報》
❀受診目的の✓は、
3つまでにしましょう。
✓が 多すぎる と、何 を
求めて受診するかが伝
わりません。目的をしぼ
りこみましょう。
1受診目的(当てはまる項目に☑をお願いします。)
➹家族情報について
検査や入院等、家族の
同 意 が 必 要 に なる こ と
があるため、記入しまし
ょう。
☆日常生活状況
その他:記入例
・食事
「同じものが冷蔵庫にた
くさん入っている」
「消費期限が切れてい
る」
・移動
「伝え歩きをしている」
・服薬管理
「本人が管理してるが、
家族の声かけが必要」
・調理
「作っている様子がな
い」
・受診
「病状を伝えられない」
「 医 師の 指示 を忘 れ て
いる」など
気になる様子を記入し
ましょう。
❀今回の症状は
いつ頃から?
どのような症状で
困っているのか?
具体的に記入しましょ
う。
❀かかりつけ医と情報
共有した“連携シート”
は、紹介先の医療機
関に対しても情報共有
しましょう。
❀既往歴について
認知症の場合、高血圧
や脂質異常症、糖尿病
などが要因になるため
大事な情報です。
❀投薬状況や処方箋
の内容についてはお
薬手帳を活用しましょ
う。複数の診療科から
処方されている場合、
把握する必要がありま
す。
➹喫煙や飲酒の習慣に
ついては、診断・治療に
影響があるため必要な
情報になります。
“連携シート”の手引き『“認知症の人の受診のための連携シート”活用のすすめ』や、直接入力できる Excel 版
連携シートについては大阪市社会福祉協議会ホームページをご参照ください。